相談事例

東京都の貸金業対策課に寄せられた相談事例をご紹介します。

契約内容に関するもの

相談事例1

不動産担保ローンを扱う貸金業者に融資を申し込んだところ、「当社では、融資ができない」として、他の貸金業者を紹介された。その貸金業者と契約を締結し、融資が実行された後、紹介元の貸金業者から、紹介の手数料として契約額の5%を請求された。しかし、事前に十分な説明がなかった。

アドバイス1

資金需要者の希望に沿う借り入れができるよう、他の貸金業者を紹介することを「媒介(ばいかい)」と言います。この媒介についての手数料は、法令で契約額の5%(年利換算)を超えてはならないと定められています。
貸金業者が媒介を行って、その手数料を請求することは違法ではありません。しかしながら媒介を行う貸金業者は、融資を行う場合と同様、資金需要者に対して契約の締結前と締結時に書面を交付しなければなりません。これらの手続を欠く場合は違法となります。

高金利に関するもの

相談事例2

ある貸金業者から年利15%で200万円を借りて、返済を続けていた。資金が調達できたため元金の一括返済を申し出たところ、業者から違約金として繰上げ返済手数料15万円を別途支払うよう求められた。

アドバイス2

出資法では、貸金業者がその貸付けに関して受取る金銭は、礼金、割引料、手数料、調査料、その他の名義であっても、利息とみなされます(「みなし利息」)。本事例の返済手数料もみなし利息となり、本来の利息と合わせると、実質的に年利20%を超える違法な高金利となり、出資法違反となっています。また、利息制限法にも抵触しており、元本が100万円以上の場合は、年利15%を超えるときは、その超過部分は無効となります。

相談事例3

ダイレクトメールを見て業者に1ヶ月の期間で5万円の借入を申し込んだところ、4万5千円が振り込まれ、6万円返済するよう要求された。

アドバイス3

出資法では、上限金利は年利20%とされており、これを超える利息は出資法違反となります。また、ヤミ金融の疑いもありますので、都道府県庁や財務局へ登録照会を行ってください。

取り立て行為に関するもの

相談事例4

ある貸金業者から融資を受け、現在、毎月数千円の返済を続けているが、返済が滞ったところ、取立ての電話が来るようになった。その内容は、「他から借りて返済できないのか」や「今後は、勤めている会社に電話連絡する」といったもので、威圧的で恐怖を感じさせるものだった。

相談事例5

裁判で和解し毎月5千円ずつ返済している。約定日に入金しなかったところ、翌日になって、「支払いはどうなっているんだ」と昼過ぎから5回も督促電話がかかってきて、大声を上げたり、高圧的な態度で返済を催促したりしてきた。

アドバイス4・5

貸金業法では、取立て行為の規制が定められており、「私生活若しくは業務の平穏を害す言動」は禁止されています。
このような行為があった場合には、各登録行政庁へご相談ください。

その他・不正行為

相談事例6

380万円の借入を行った際、高級腕時計6個、自動車1台を担保として差し入れさせられ、さらに追加で小切手380万円分を担保に取られた。契約書などは一切渡されなかった。

アドバイス6

過大な担保の請求は、著しく不当な行為として、貸金業法の禁止行為に該当します。また、貸金業者は契約の際、契約締結前の書面や契約締結時の書面の交付義務があります。

ヤミ金融に関するもの

相談事例7

貸金業者を名乗るところから、融資勧誘のファクスが届き、貸付条件が良かったので、200万円の融資を申し込んだ。最初は、保証料名目で15万円を支払うよう言われ、個人名義の口座に振り込んだ。しかし、業者から振り込まれていないと言われ、再度、同額の15万円を振り込み、更に利息(10%)として20万円を先に支払うよう要求され、併せて振り込んだが、融資してもらえない。

相談事例8

融資を前提に保証金として50万円を業者の口座に振込んだが、なかなか融資が行われない。仕方なく、保証金の返金を求めたが返金されず、その後、相手の担当者とも連絡が取れなくなった。

アドバイス7・8

「貸します詐欺(融資保証金詐欺)」というヤミ金融の手口です。正規の貸金業者が融資の前提として、保証金や登録料、審査手数料などの名目で金銭を振り込ませることはありません。管轄の警察署に行き、相手の口座番号などを情報提供してください。
なお、業者に接触する前には、まず、各登録行政庁で貸金業登録の有無を確認してください。

相談事例9

ダイレクトメールを送ってきた業者に融資を申し込んだところ、保証人が必要と言われたが、保証人の心当たりが無いため、断念することにした。ところが、業者から相談者の口座に2万5千円が勝手に振り込まれ、一週間後に5万円を返済するよう、脅迫的に求められた。業者には、勤務先の電話番号も教えてしまっているので、業者から取立ての電話が来るのが心配だ。

アドバイス9

「押し貸し」というヤミ金融の手口です。振込金については法務局に供託し、今後、勤務先に電話が来ても出ないようにしてください。管轄の警察署に行き、あなたの口座を凍結してもらうことが必要です。
なお、業者に接触する前に、まず、各登録行政庁で貸金業登録の有無を確認してください。

生活相談に関するもの

相談事例10

不況により、会社からリストラされ、新しい仕事がなかなか見つからない。以前からの借金があり、これまで少しずつ返済を続けていたが、今の生活状況では、返済を続けることは難しい。

アドバイス10

突発的な生活環境の変化によって、返済に支障を来たした場合は、債務の整理も視野に問題解決に向けて、検討していくことが必要です。弁護士会、司法書士会などの相談センターを利用することをお勧めします。