労働情勢(2019年3月31日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
2月完全失業率は2.3%-総務省労働力調査速報ほか
総務省統計局は3月29日、「労働力調査(速報)平成31年2月結果」を公表した。2月の完全失業率(季節調整値)は2.3%(前月に比べ0.2ポイント低下)。
就業者数は6,656万人で、前年同月に比べ78万人の増加で、74か月連続の増加となった。
雇用形態別雇用者のうち、正規の職員・従業員数は3,486万人。前年同月に比べ56万人の増加であり、51か月連続の増加となっている。非正規の職員・従業員数は2,157万人。前年同月に比べ37万人の増加であり、17か月連続の増加となっている。
完全失業者数は156万人で、前年同月に比べ10万人の減少となり、2か月ぶりの減少となっている。
また、厚生労働省が同日発表した「一般職業紹介状況(2月分)」によると、2月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同じ水準の1.63倍(正社員1.15倍)。
都内の有効求人倍率(東京労働局発表)は、前月から0.01ポイント上昇の2.13倍であった。
1月の現金給与総額は前年同月比1.2%増、所定外労働時間は前年同月比3.8%減-厚生労働省毎月勤労統計調査
厚生労働省は3月8日、「毎月勤労統計調査(平成31年1月分結果速報)」を発表した。
従業員5人以上の事業所結果(速報)によると、現金給与総額は、前年同月比1.2%増の277,001円、特別に支払われた給与は、前年同月比12.7%増の14,459円となった。
また、総実労働時間は、前年同月比2.4%減の130.5時間、所定外労働時間は、前年同月比3.8%減の10.0時間となった。
労働政策審議会障害者雇用分科会意見書
厚生労働省は2月13日、労働政策審議会が障害者雇用分科会からの報告を受け、厚生労働大臣に対し、今後の障害者雇用施策の充実強化について意見書を提出したことを公表した。
本意見書では、官民問わず、障害者が働きやすい環境を作り、全ての労働者にとっても働きやすい場を作ることを目指すことが重要であるという視点から、法的整備を中心に、今後の障害者雇用施策の充実強化に取り組むことが必要だとしている。具体的には、民間事業主における障害者雇用の一層の促進に関する措置として、週所定労働時間20時間未満の障害者の雇用に対する支援、障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設、法定雇用率の段階的な引上げに関する検討などを挙げた。
本公表を受け、連合は同日、事務局長談話を公表した。本談話では、意見書には国等の機関において質・量ともに適切な形で障がい者雇用を進めていくために必要な内容が盛り込まれており、早期に実現すべきであると述べ、また、合理的配慮を含め職場の体制を十分整え、適切な採用計画を策定・実施することが不可欠であるとした。
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申
厚生労働省は2月14日、労働政策審議会に対して諮問した「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」について、同審議会雇用環境・均等分科会において審議が行われた結果、同審議会から厚生労働大臣に対して、答申が行われたことを公表した。
本法律案要綱は、女性活躍の推進のため、一般事業主行動計画の策定等の義務の対象拡大、女性活躍に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度の創設、女性の職業選択に資する情報公表義務の対象拡大等を盛り込んでいる。また、ハラスメント対策の強化のため、国の講ずべき施策に「職場における労働者の就業環境を害する言動に起因する問題の解決を促進するために必要な施策を充実すること」の規定、パワハラ防止のための雇用管理上の措置義務(相談体制の整備等)を新設、セクハラ等に起因する問題に関する国、事業主及び労働者の努めるべき事項を明確化、セクハラ等の相談をしたこと等を理由とする事業主による不利益取扱いの禁止などを盛り込んでいる。
本公表を受け、連合は同日、事務局長談話を公表した。本談話では、職場における男女間格差やハラスメントが未だ蔓延する現状の中、女性活躍推進とハラスメント対策を一歩前進させるものとして評価すると述べた。
「働き方改革関連法」の施行に向けた周知・啓発を要請
厚生労働省は2月18日、日本経済団体連合会、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、日本商工会議所に対し、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下、「働き方改革関連法」)の施行に向けた一層の周知・啓発などへの協力を要請したことを公表した。昨年の6月に「働き方改革関連法」が成立したことに伴い、今年の4月1日から、時間外労働の上限規制や、年次有給休暇の確実な取得をはじめとする各改正事項が、順次施行されるため、これらを踏まえ、要請を行った。
「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」の諮問及び答申
厚生労働省は2月19日、労働政策審議会に対して諮問した「障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案要綱」について、同審議会障害者雇用分科会において審議が行われた結果、同審議会から厚生労働大臣に答申が行われたことを公表した。
法律案要綱は、障害者の雇用を一層促進するため、事業主に対する短時間労働以外の労働が困難な状況にある障害者の雇入れ及び継続雇用の支援、国及び地方公共団体における障害者の雇用状況についての的確な把握等に関する措置を講ずることを内容としている。
当面の課題に関する考え方-経団連
日本経済団体連合会は2月12日、当面の課題に関する考え方を公表した。
本公表によると、春季労使交渉について、経済界は、今年の春季労使交渉においても、企業業績の拡大を賃金引上げや総合的な処遇改善に着実に反映すべく、様々な観点から各企業の状況に見合った方法を検討し実現していくことで、経済の好循環に引き続き寄与していくことが期待されると述べた。
また、働き方改革とダイバーシティの推進について、働き方改革関連法への企業の対応を支援するため、政府に様々な働きかけを行うとともに、裁量労働制の対象拡大のための法案の再提出を求めていくと述べた。
さらに政府における女性活躍推進法の見直しおよびハラスメント防止対策、新たな外国人材の受入れ制度への動きに対応し、この他、今後求められる人材像や中長期的な採用、大学教育改革のあり方等について、大学との対話を進めるとした。また、女性の活躍を通じた消費の拡大、市場の創出(ウーマノミクス)を推進するとともに、LGBTの人々への配慮や、若者、高齢者、外国人、障がい者など多様な人材の活躍促進(ダイバーシティ)に取り組むと述べた。
要求水準は9,274円(3.16%)-連合 2019春季生活闘争 要求集計結果
連合は3月7日、2019春季生活闘争の要求集計結果を発表した。3月4日時点で、3,613組合が要求を提出し、このうち平均賃金方式で要求を提出し、金額が集計できる2,993組合の要求水準は9,274円(3.16%)(前年比0.04ポイント増)となった。300人未満の中小組合1,981組合の要求水準は8,421円(3.38%)(前年比0.11ポイント増)となっている。
2 主要労働統計
※( )内は前月
労働力状態<全国・2月>
資料出所:総務省統計局「労働力調査報告」
労働力人口 | 6,812万人 ( 6,794万人 ) |
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就業者数 |
6,656万人 ( 6,628万人 ) 前年同月比78万人の増加。 |
完全失業者数 | 156万人 ( 166万人 ) 前年同月比10万人の減少。 |
完全失業率【季節調整値】 | 2.3% ( 2.5% ) |
労働市場<東京都・2月>
資料出所:東京労働局「職業安定業務統計」
月間有効求職者数 | 113,565人 ( 111,657人 ) |
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月間有効求人者数 | 227,489人 ( 225,925人 ) |
有効求人倍率【季節調整値】 | 2.13倍 (2.12倍 ) <全国:1.63倍(1.63倍)> |
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。
一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・1月・規模5人以上>
資料出所:東京都総務局「毎月勤労統計調査」
現金給与総額 | 343,167円(707,179円 ) |
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定期給与 | 321,921円( 329,080円 ) |
特別給与 | 21,246円( 378,099円 ) |
総実労働時間数 | 128.7時間 (138.3時間 ) |
所定内労働時間数 | 118.0時間 (127.5時間 ) |
所定外労働時間数 | 10.7時間 ( 10.8時間 ) |
倒産状況<東京都・2月>
資料出所:東京商工リサーチ
件数 | 118件 ( 117件 ) <全国:589件(666件)> |
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負債総額 | 12,116百万円 ( 89,050百万円 ) <全国:195,534百万円(168,374百万円)> |
倒産件数は、118件(前年同月比5.4%増)と、4か月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は、121億1,600万円(前年同月比45.0%減)となった。負債額10億円以上の倒産は2件(前年同月3件)となった。業種別件数ではサービス業(27件)、情報通信業(18件)、卸売業(18件)、小売業(15件)、宿泊業、飲食サービス業(15件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のしわ寄せ・売掛金等回収難)は91件となり、倒産件数における構成比は77.1%となった。倒産企業総従業員数は416人となり、前年同月の610人と比べ31.8%減となった。
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