労働情勢(2020年11月30日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
10月完全失業率は3.1%-総務省労働力調査
総務省統計局は12月1日、「労働力調査(基本集計)令和2年10月分」を発表した。10月の完全失業率(季節調整値)は3.1%で前月に比べ0.1ポイントの上昇となった。就業者数は6,694万人で、前年同月に比べ93万人減少し、7か月連続の減少となった。完全失業者数は215万人で、前年同月に比べ51万人増加し、9か月連続の増加となった。
産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「農業,林業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などが減少となった。
現金給与総額は前年より0.9%減、所定外労働時間は13.4%減-厚生労働省毎月勤労統計
厚生労働省は11月25日、「毎月勤労統計調査(令和2年9月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比0.9%減の269,323円となった。
また、総実労働時間は前年比1.7%減の135.9時間となり、このうち所定外労働時間は前年比13.4%減の9.1時間となった。
一般職業紹介状況(令和2年10月分)
厚生労働省は12月1日、「一般職業紹介状況(令和2年10月分)」を発表した。
その発表によると、10月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.01ポイント上昇し1.04倍(正社員0.79倍)、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月と同水準となり、1.19倍であった。
令和2年夏季賞与の結果 ―毎月勤労統計調査
厚生労働省では11月13日、令和2年夏季賞与の結果を公表した。
賞与支給のある事業所における一人当たり平均では、前年比0.5%増の383,431円となった。主な産業についてみると、製造業4.6%減、卸売業,小売業1.9%増、医療,福祉3.1%増となった。
また、賞与支給のある事業所に雇用される労働者の割合は、前年差2.4%ポイント減の79.5%となった。
「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」の答申
厚生労働省は11月13日、労働政策審議会に諮問した「労働基準法施行規則等の一部を改正する省令案要綱」について、同審議会から厚生労働大臣に対して答申が行われたことを公表した。
これにより労働基準法施行規則が改定となり、労働基準監督署に届け出る36協定届について、使用者の押印及び署名が不要となり、36協定の協定当時者に関するチェックボックスを新設する等、労務関係書類での押印・署名が見直しの方向になる。
厚生労働省では、この答申を踏まえ、速やかに省令の制定に向けた作業を進めていくとしている。
新型コロナウイルス感染症による「小学校休業等対応助成金に係る特別相談窓口」を開設
厚生労働省は11月24日、「小学校休業等対応助成金に係る特別相談窓口」を開設することを公表した。
「小学校休業等対応助成金」は、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として小学校などが臨時休業した場合などに、その小学校などに通う子の保護者である労働者の休職に伴う所得の減少に対応するため、正規雇用・非正規雇用を問わず、有給の休暇(年次有給休暇を除く)を取得させた企業に対して支給しているもので、窓口は全国の都道府県労働局に11月24日から12月28日まで設置される。
厚生労働省では、改めてこの助成金の趣旨、活用方法などの周知とともに、労働者や事業主の方からの相談に対応するとしている。
雇用調整助成金の特例措置等の延長
厚生労働省は11月27日、雇用調整助成金の特例措置、緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下「雇用調整助成金の特例措置等」という)の申請期限を令和2年12月末から令和3年2月末まで延長することを公表した。
そのうえで、感染防止策と社会経済活動の両立が図られる中で、休業者数・失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、雇用調整助成金の特例措置等は、段階的に縮減を行っていくとしている。
職場における新型コロナウイルス感染症への感染予防及び健康管理について、経済団体などに再度協力を依頼
厚生労働省は11月27日、労使団体や業種別事業主団体などの経済団体に対し、再度、職場における感染予防、健康管理の強化、テレワークの積極的な活用等を、傘下団体などに向け周知するよう協力を依頼した。
今回の協力依頼は、4月17日、5月14日、8月7日に続き4回目、新型コロナウイルス感染症対策分科会での提案を踏まえたものである。
直近のコロナウイルス感染症の急速な拡大に危機感を示し、業種別ガイドラインの策定が現場でも進む一方で引き続きクラスターが発生している状況をうけ、店舗や職場などで感染防止策の確実な実践への取り組みと、一層の対策強化を求める提案を行った。
その際、冬場における「密閉空間」を改善するための「職場における新型コロナウイルス感染症の拡大を防止するためのチェックリスト」(改訂版)などを活用するよう提案している。
厚生労働省では、併せて、各事業などを所管する省庁などに対しても、上記の趣旨を周知するよう、協力を依頼した。
新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等についての要請
厚生労働省は11月27日、新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について、日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会、NEOA及び経済団体である日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会に対し要請したことを公表した。
労働者派遣契約の更新等を図ること、労働者派遣契約の解除や不更新があった場合でも派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ること、助成金等を活用し安易な雇止め及び解雇等は行わず派遣労働者の雇用維持を図ること等が盛り込まれている。
12月は「職場のハラスメント撲滅月間」
厚生労働省は11月30日、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場環境をつくる気運を盛り上げるため、集中的な広報・啓発活動を実施すると公表した。
また、その一環として、「職場のハラスメント対策シンポジウム」を令和2年12月9日(水)にオンラインで開催し、有識者による基調講演やハラスメント防止対策に取組んでいる企業の事例紹介などを行うとしている。
雇用調整助成金特例措置のさらなる延長を要望<経団連>
日本経団連は11月4日、「雇用調整助成金新型コロナウイルス感染症特例措置のさらなる延長に関する要望」を取りまとめ、政府等に建議した。雇用調整助成金(雇調金)に関する要望の取りまとめは5月、8月に続き今年度3回目である。
感染症収束の道筋はいまだついておらず、依然として、雇調金に対する企業のニーズが強い。そのため、提言では、「雇用情勢を慎重に見極めながら、本則への段階的な移行を見据えつつも、特例措置の延長」を求めた。
さらに、今回のコロナ禍は全国規模の感染症拡大によるものであり、必要となる失業予防対策は、事業主の雇用保険料で賄う雇調金の域を超えており、約2兆円の支給実績のうち、事業主負担の雇用保険料で約1.5兆円が賄われている。こうしたことから提言では、特例措置のさらなる延長に際しては、「雇調金全体に要する費用として、一般財源を思い切って投入すべき」ことを求めている。
その他、経済が回復しない段階で雇用保険料率の引き上げは回避すべきこと、また全額事業主負担の雇調金を基本とした現行の仕組みではなく、一般財源等を投入した新たな仕組みを検討すべきことを提言している。
2020春季生活闘争 年末一時金 第2回回答集計結果について<連合>
連合は11月30日、2020春季生活闘争年末一時金第2回回答集計結果を公表した。
集計結果によると、月数で2.24月、額で624,140円(加重平均)となった。
前年実績(682,828円)との比較では、58,688円減となっている。
2020年年末一時金 第2回回答集計結果について<国民春闘共闘委員会>
国民春闘共闘委員会は11月24日、2020年年末一時金第2回回答集計結果を公表した。
集計結果によると、回答金額は単純平均額で676,679円、加重平均額は618,102円となっている。
前年同期との比較では、単純平均額は23,888円減、加重平均額は13,145円減となった。
都内民間労組の平均妥結額は781,794円<東京都>
東京都は11月9日、2020年年末一時金要求・妥結状況について(中間集計)をとりまとめ、公表した。
集計結果によると、既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な204組合の平均妥結額は781,794円(加重平均)で、これは平均賃金(318,334円・39.5歳)の2.46か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(784,927円)との比較では、金額で3,133円減、率で0.40%下回った。
「2020年冬季賞与」実態調査 ―『エンゲージ』アンケート
エン・ジャパン株式会社が運営する求人支援サービス『engage(エンゲージ)』上で、利用企業を対象に「2020年冬季賞与」に関するアンケートを実施(1,263社が回答)し、11月26日に結果を公表した。
それによると、賞与支給予定企業の5割が「昨年の冬季賞与と支給額は変わらない予定」と回答した。一方で、「増額予定」は12%、「減額予定」は21%で2019年に比べ15ポイント上昇した。
また、「社員への賞与支給に関する悩みや課題」については、「業績不振など、原資確保」(37%)、「賞与の支給額による社員モチベーションへの影響」(29%)、「社員への評価・賞与の査定基準」(27%)となっている。