労働情勢(2020年5月31日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
就業者数が88か月ぶりに減少、4月完全失業率は2.6%-総務省労働力調査速報ほか
総務省統計局は5月29日、「労働力調査(基本集計)令和2年4月結果」を発表した。4月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で前月と比べ0.1ポイント上昇した。
就業者数は6,628万人で、前年同月に比べ80万人減少し、88か月ぶりの減少となった。完全失業者数は189万人、前年同月に比べ13万人の増加となった。
産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」,「卸売業,小売業」,「製造業」などが減少した。
現金給与総額は前年より0.1%増、所定外労働時間は6.5%減-厚生労働省毎月勤労統計
厚生労働省は5月22日、「毎月勤労統計調査(令和2年3月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比0.1%増の281,632円となった。
また、総実労働時間は前年比1.2%減の137時間となり、このうち所定外労働時間は前年比6.5%減の10.2時間となった。
一般職業紹介状況(令和2年4月分)
厚生労働省は5月29日、「一般職業紹介状況(令和2年4月分)」を発表した。
その発表によると、4月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.07ポイント低下し1.32倍(正社員0.98倍)、都内の有効求人倍率は前月から0.14ポイント低下し1.73倍であった。
労働災害による死亡者数は過去最少-労働災害発生状況を公表
厚生労働省は5月27日、平成31年1月から令和元年12月までの労働災害発生状況を取りまとめ公表した。
平成31年1月から令和元年12月までの労働災害による死亡者数(以下「死亡者数」)は845人(前年比64人・7.0%減、平成29年比133人・13.6%減)と2年連続で過去最少となった。
労働災害を減少させるために重点的に取り組む事項を定めた中期計画「第13次労働災害防止計画」(以下「13次防」)(平成30年度~令和4年度)では、平成29年比で死亡者数を15%以上、死傷者数を5%以上減少させることを目標としている。
13次防の重点業種では、陸上貨物運送事業が15,382人(前年比436人・2.8%減、平成29年比676人・4.6%増)、小売業が14,666人(同281人・1.9%減、同785人5.7%増)で対前年比で減少。社会福祉施設が10,045人(同500人・5.2%増、同1,307人15.0%増)、飲食店が5,141人(同126人・2.5%増、同420人8.9%増)で増加となった。
令和2年3月大学等卒業者の就職状況を公表
厚生労働省と文部科学省では、令和2年3月大学等卒業者の就職状況を共同で調査し、令和2年4月1日現在の状況を取りまとめ、公表した。
取りまとめの結果、大学生の就職内定率は98.0%(前年同期比0.4ポイント上昇)となり、調査開始以降、同時期で過去最高となった。
厚生労働省と文部科学省では、新卒応援ハローワークの就職支援ナビゲーターと大学等の就職相談員との連携による新卒者の就職支援などを行ってきた。
未就職のまま卒業した方に対して、引き続き、新卒応援ハローワークと大学等が連携し、継続した支援がなされるよう、努めている。
新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響を公表
厚生労働省は6月2日、新型コロナウイルス感染症に起因する雇用への影響に関する情報について、全国の都道府県労働局及び公共職業安定所(ハローワーク)を通じて事業所に対する任意の聞き取り等により把握した状況を取りまとめ、公表した。
それによると、雇用調整の可能性がある事業所数は30,214 事業所、新型コロナウイルス感染症に起因する解雇等見込み労働者数は16,723 人となっている。(5月29日現在)
また、前週からの増加分は雇用調整の可能性がある事業所数が8,155 事業所、解雇等見込み労働者数は4,811 人となっている。
令和元年度 契約社員に関する実態調査の結果を公表<東京都>
東京都は5月20日、「令和元年度 契約社員に関する実態調査」の結果を公表した。
事業所調査結果によると、無期転換申込権を行使した契約社員を雇用している事業所の割合は16.5%、無期転換ルールへの対応予定については、「通算5年を超える契約社員から申し込みがあれば無期労働契約に転換する」が23.5%増の63.5%となっている。
従業員調査結果によると、契約社員が無期転換した理由は、「雇止めや中途解約の不安から解放され、安心して働けるから」が54.7%で最多となった。
また、無期転換を希望する契約社員は、20代から50代でいずれも60%を超えている。
令和元年度11月「過重労働解消キャンペーン」の重点監督の実施結果を公表
厚生労働省は5月1日、昨年11月に実施した「過重労働解消キャンペーン」における重点監督の実施結果について取りまとめを公表した。
今回の重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる8,904事業場に対して集中的に実施したものである。その結果、違法な時間外労働等の労働基準関係法令違反が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導を行い引き続き今後も、長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行っていく方針。
妊娠中の女性労働者の新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置
厚生労働省は5月7日、妊娠中の女性労働者の母性健康管理を適切に図ることができるよう、男女雇用機会均等法に基づく指針(告示)を改正し、
妊娠中の女性労働者の母性健康管理上の措置に新型コロナウイルス感染症に関する措置※を新たに規定したことを公表した。
※妊娠中の女性労働者が、保健指導・健康診査を受けた結果、その作業等における新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主はこの指導に基づき、作業の制限、出勤の制限(在宅勤務又は休業をいう。)等の必要な措置を講じなければならない。
対象期間は令和2年5月7日~令和3年1月31日である。
新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等についての要請
厚生労働省は5月26日、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を踏まえ、労働者派遣事業者団体である日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会、NEOA及び経済団体である日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会に対し、新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について要請したことを公表した。
心理的負荷による精神障害の労災認定基準の改正
厚生労働省は5月29日、心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正したことを公表した。
この改正は、今年6月からパワーハラスメント防止対策が法制化されることなどを踏まえ、今月取りまとめられた「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告を受けたもので、「パワーハラスメント」の出来事を「心理的負荷評価表」に追加するなどの見直しを行った。
認定基準改正点としては、「具体的出来事」等に「パワーハラスメント」を追加、評価対象のうち「パワーハラスメント」に当たらない暴行やいじめ等について文