労働情勢(2020年6月30日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
5月完全失業率は2.9%-総務省労働力調査
総務省統計局は6月30日、「労働力調査(基本集計)令和2年5月分結果」を発表した。5月の完全失業率(季節調整値)は2.9%で前月と比べ0.3ポイント上昇した。
就業者数は6,656万人で、前年同月に比べ76万人減少し、2か月連続の減少となった。完全失業者数は198万人で、前年同月に比べ33万人増加し、4か月連続の増加となった。
産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「卸売業,小売業」、「生活関連サービス業,娯楽業」などが減少した。
現金給与総額は前年より0.7%減、所定外労働時間は18.9%減-厚生労働省毎月勤労統計
厚生労働省は6月23日、「毎月勤労統計調査(令和2年4月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比0.7%減の274,825円となった。
また、総実労働時間は前年比3.9%減の137.8時間となり、このうち所定外労働時間は前年比18.9%減の9.0時間となった。
一般職業紹介状況(令和2年5月分)
厚生労働省は6月30日、「一般職業紹介状況(令和2年5月分)」を発表した。
その発表によると、5月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.12ポイント低下し1.20倍(正社員0.90倍)、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月から0.18ポイント低下し1.55倍であった。
令和元年度 障害者の職業紹介状況等
厚生労働省は6月22日、令和元年度の障害者の職業紹介状況を取りまとめ公表した。
それによると、ハローワークを通じた障害者の就職件数は103,163件で、対前年度比0.8%の増となり11年連続で増加という結果になった。就職率については46.2%で、対前年度差2.2ポイントの減となっている。また、新規求職申込件数は223,229件で対前年度比5.7%の増となった。
このうち、精神障害者の新規求職申込件数は107,495件で、対前年度比6.1%の増となり、就職件数は49,612件で、対前年度比3.3%の増となっている。
また、産業別の就職件数は、「医療,福祉」が35,744件(構成比34.6%)、「製造業」が13,418件(同13.0%)、「卸売業,小売業」が12,357件(同12.0%)、「サービス業」が10,524件(同10.2%)となった。
「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和元年度)」の公表
厚生労働省は6月22日、都道府県労働局や公共職業安定所(ハローワーク)における「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和元年度)」を取りまとめ、公表した。
障害者差別及び合理的配慮に関する相談は254件で、対前年度比2.4%の増となった。このうち障害者差別に関する相談は75件で、対前年度比21.0%の増となり、合理的配慮の提供に関する相談は179件で、対前年度比3.8%の減となった。平成28年度の制度施行以降、相談件数は増加傾向にある。
また、公共職業安定所が行った事業主への助言件数は76件で、対前年度比16.9%の増となり、指導件数は0件で、対前年度比100%の減となった。
労働経済動向調査(2020年5月)の結果を公表
厚生労働省は6月24日、労働経済動向調査(2020年5月)をとりまとめ公表した。
調査結果によると、生産・売上額および所定外労働時間は過去最低となっており、産業別にみると「生活関連サービス業、娯楽業」が最も減少している。
また、正社員等、パートタイム労働者ともに不足とする事業所割合が引き続き多かった。
2021 年新規学卒者の採用予定者数を2020 年新規学卒者の採用者数に比べて「増加」とする事業所の割合は、高校卒21%、高専・短大卒13%、大学卒(文科系)13%、大学卒(理科系)15%、大学院卒7%、専修学校卒11%となり、すべての学歴で前年より低下した。
令和元年度「過労死等の労災補償状況」の公表
厚生労働省は6月26日、令和元年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ公表した。
過労死等に関する請求件数は2,996件で、前年度比299件の増となっている。
また、支給決定件数は725件で前年度比22件の増となり、うち死亡(自殺未遂を含む。)件数は前年度比16件増の174件であった。
労働災害発生状況(2020年6月速報値)の速報結果を公表
厚生労働省は6月29日、労働災害発生状況(2020年6月速報値)をとりまとめ公表した。
これは、2020年1月1日から5月3日に発生した労働災害について、同年6月8日までに報告があったものを集計した。
調査結果によると、死亡者数は267人で、前年同期比7人(2.7%)増。休業4日以上の死傷者数は36,989人で、前年同期比667人(1.8%)減となっている。事故の型別発生状況としては転倒が一番多く、9,418人で前年同期比 112人(1.2%)減となっている。
東京都内の労働基準監督署における平成31年(令和元年)の申告事案の概要
東京労働局は、6月5日に管下労働基準監督署における平成31年(令和元年)の申告事案の概要について取りまとめ公表した。
それによると、申告受理件数は4,124件(前年比4.4%減)、申告内容では、賃金不払3,276件(前年比6.1%減)、解雇557件(前年比増減なし)、労働時間111件(前年比42.3%増)であった。申告の業種別内訳をみると、商業が766件(全体の18.6%)で最も多く、次いで接客娯楽業が689件(同16.7%)、保健衛生業が400件(同9.7%)の順で、これら3業種で全体の半数近くを占めている。
前年と比べると、教育・研究業、保健衛生業などで増加し、商業、接客娯楽業などで減少した。
雇用調整助成金の助成額の上限額を引き上げ
厚生労働省は6月12日、雇用調整助成金の助成額の上限を引き上げたことを公表した。
現行では雇用調整助成金の1人1日あたりの助成額の上限額は8,330円となっていたが、令和2年4月1日から9月30日までの期間の休業および教育訓練について、企業規模を問わず上限額を15,000円に引き上げることとした。
また、解雇等をせずに雇用を維持している中小企業の休業および教育訓練に対する助成率は、原則9/10となっていたが、助成率を一律10/10に引き上げることとした。
両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」を創設
厚生労働省は6月12日、両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)に「新型コロナウイルス感染症対応特例」を創設したことを公表した。
これは、今般の新型コロナウイルス感染症への対応として、家族の介護を行う必要がある労働者が育児・介護休業法に基づく介護休業とは別に、有給休暇を取得して介護を行えるような取組を行う中小企業事業主を支援するものである