労働情勢(2020年8月31日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
7月完全失業率は2.9%-総務省労働力調査
総務省統計局は9月1日、「労働力調査(基本集計)令和2年7月分」を発表した。7月の完全失業率(季節調整値)は2.9%で前月と比べ0.1ポイント上昇した。就業者数は6,655万人で、前年同月に比べ76万人減少し、4か月連続の減少となった。完全失業者数は197万人で、前年同月に比べ41万人増加し、6か月連続の増加となった。
産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」,「建設業」,「生活関連サービス業,娯楽業」などが減少となり、2カ月連続で同産業別就業者が減少するという結果となった。
現金給与総額は前年より2.0%減、所定外労働時間は23.9%減-厚生労働省毎月勤労統計
厚生労働省は8月25日、「毎月勤労統計調査(令和2年6月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比2.0%減の443,111円となった。
また、総実労働時間は前年比4.0%減の136.9時間となり、このうち所定外労働時間は前年比23.9%である。
一般職業紹介状況(令和2年7月分)
厚生労働省は9月1日、「一般職業紹介状況(令和2年7月分)」を発表した。
その発表によると、7月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.03ポイント低下し1.08倍(正社員0.81倍)、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月から0.06ポイント低下し1.29倍であった。
「令和元年度使用者による障害者虐待の状況等」結果の公表
厚生労働省は8月28日、「令和元年度使用者により障害者虐待の状況等」を取りまとめ、公表した。
結果によると、通報・届出のあった事業所数は1,458事業所(前年度比 12.0%減)であり、通報・届出の対象となった障害者数は1,741人(前年度比10.4%減)となっている。
また、虐待が認められた事業所数は535事業所(前年度比1.1%減)であり、虐待が認められた障害者数は771人(前年度比14.3%減)となっており、いずれも前年度より減少という結果となった。
受けた虐待の種別※では、経済的虐待が686人(84.8%)と最も多く、次いで心理的虐待が64人(7.9%)、身体的虐待が30人(3.7%)であった。
※被虐待者の虐待種別については、重複しているものがある。
地方最低賃金審議会での答申について
厚生労働省は8月21日、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が21日までに答申した令和2年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」という。)を取りまとめ公表した。
これは、7月22日に中央最低賃金審議会が示した「令和2年度地域別最低賃金額改定の目安について(答申)」などを参考として、各地方最低賃金審議会で調査・審議した結果を取りまとめたものである。
答申の内容として、最低賃金の引上げを行ったのは40県で1円~3円の引上げ(引上げ額が1円は17県、2円は14県、3円は9県)となった。
また、改定後の全国加重平均額は902円であり昨年度と比べて1円増となっている。
答申された改定額は、労使関係からの異議申出に関する手続きを経た上で、都道府県労働局長の決定により10月1日から10月上旬までの間に順次発効される予定である。
新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等についての要請
厚生労働省は8月28日、労働者派遣事業者団体である日本人材派遣協会、日本生産技能労務協会、NEOA及び経済団体である日本経済団体連合会、日本商工会議所、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会に対し、新型コロナウイルス感染症に係る派遣労働者の雇用維持等について要請したことを公表した。
要請内容としては、可能な限り労働者派遣契約の更新等を図ること、解除や不更新があった場合でも別の就業場所を確保する等して派遣労働者の就業機会を確保すること、それができない場合でも給付金等の支援策の活用を通じて安易な雇止め・解雇は行わないこと、社員寮に入居している労働者については離職後も一定期間入居できるように配慮すること、などが盛り込まれている。
雇用調整助成金の特例措置等の延長
厚生労働省は8月28日、雇用調整助成金の特例措置、緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下「雇用調整助成金の特例措置等」という。)を延長することを公表した。
これにより、本来9月末までとなっていた雇用調整助成金の特例措置等は本年12月末までとなる。
感染防止策と社会経済活動の両立が図られる中で、休業者数・失業者数が急増するなど雇用情勢が大きく悪化しない限り、雇用調整助成金の特例措置等は、段階的に縮減を行っていくとしている。
新型コロナウイルス感染症対策および連合の重点政策に関する要請を実施<連合>
連合は厚生労働省に対し、8月26日新型コロナウイルス感染症対策および連合の重点政策に関する要請を実施した。
相原事務局長から、「新型コロナウイルス感染症の影響により様々な不安の声が届いている。雇用を守っていくためにも、今後も緊密なコミュニケーションをはかっていきたい。」と挨拶を行い、続いて鈴木事務次官が「重症者・死者を減らすため、医療・介護・福祉現場が倒れないよう異次元の支援を行わなければならないと考えている。
また、仕事とくらしを守るため雇調金等の支援施策をしっかりと安心してもらえるよう取り組む。」と述べた。
要請内容としては、不合理な解雇や雇止め等を防止すること、雇用保険が適用されない労働者が生活保護を活用できるよう広報や自治体に対する指導・支援を行うこと、派遣労働者保護の強化のための必要な措置を講じること等が盛り込まれている。