労働情勢(2020年9月30日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
8月完全失業率は3.0%-総務省労働力調査-
総務省統計局は10月2日、「労働力調査(基本集計)令和2年8月分」を発表した。8月の完全失業率(季節調整値)は3.0%で前月と比べ0.1ポイント上昇した。
就業者数は6,676万人で、前年同月に比べ75万人減少し、5か月連続の減少となった。完全失業者数は206万人で、前年同月に比べ49万人増加し、7か月連続の増加となった。
産業別就業者では、前年同月比で「製造業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「卸売業,小売業」などが減少となった。
現金給与総額は前年より1.5%減、所定外労働時間は16.2%減-厚生労働省毎月勤労統計-
厚生労働省は9月25日、「毎月勤労統計調査(令和2年7月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比1.5%減の368,756円となった。
また、総実労働時間は前年比2.7%減の140.2時間となり、このうち所定外労働時間は前年比16.2%減の8.8時間となった。
一般職業紹介状況(令和2年8月分)
厚生労働省は10月2日、「一般職業紹介状況(令和2年8月分)」を発表した。
その発表によると、8月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.04ポイント低下し1.04倍(正社員0.78倍)、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月から0.07ポイント低下し1.22倍であった。
長時間労働が疑われる事業場に対する令和元年度の監督指導結果の公表
厚生労働省では9月8日、長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した、令和元年度の監督指導の結果を公表した。
この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としている。
今回対象となった32,981事業場のうち、法令違反があり是正勧告書を交付した事業場での主な違反内容として、「違法な時間外労働:15,593事業場(47.3%)」、「賃金不払残業:2,559事業場(7.8%)」、「過重労働による健康障害防止措置の未実施:6,419事業場(19.5%)」等が挙げられる。
厚生労働省は、今後も長時間労働の是正に向けた取組を積極的に行うとしている。
労働経済動向調査(2020 年8月)の結果の公表
厚生労働省は9月24日労働経済動向調査(2020年8月)の結果を取りまとめ公表した。
調査結果によると、7~9月期実績見込では、前回調査(2020年5月)に比べ生産・売上額等及び所定外労働時間の実績見込は、30 ポイントを超える上昇となった。また、8月1日現在、正社員等、パートタイム労働者ともに、「不足」とする事業所割合が引き続き多かった。
また、今回は特別項目として、「労働者不足の対処方法」及び「2019年度新規学卒者の採用枠での募集」についても調査しており、調査結果によると、現在、労働者が不足していて、かつ、過去1年間に何らかの「対処をした」事業所の割合は60%、今後1年間に「対処をする予定」の事業所の割合は53%であった。その対処方法は過去1年間及び今後1年間とも 「正社員等採用・正社員以外から正社員への登用の増加」の割合が最も多かった。
令和元年分民間給与実態統計調査結果 -国税庁民間給与実態統計調査-
国税庁は9月、令和元年分民間給与実態統計調査結果を公表した。それによると、年間平均給与は436万円で前年比1.0%減。正規・非正規別にみると、正規は503万円(前年比と同水準)、非正規は175万円(前年比2.5%減)であった。
業種別にみると、最も高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の824万円、最も低いのは「宿泊業、飲食サービス業」の260万円となっている。
令和2年 民間主要企業夏季一時金妥結情報
厚生労働省は9月11日、令和2年民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表した。
それによると、妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業390社の平均妥結額は828,171円で、昨年と比較して17,282円の減。
平均要求額は919,838円で、前年に比べ27,835円の増であった。
新型コロナウィルス関連破綻状況
東京商工リサーチは、9月8日新型コロナウイルス関連破綻状況について公表した。
9月8日午前11時までに判明した、「新型コロナ」関連の経営破たん(負債1,000万円以上)は、2月からの累計が全国で460件に達した。
コロナ関連破綻は9月1日にこれまで発生ゼロだった高知県で初めて発生し、全都道府県に広がった。このうち、東京都が116件で突出し、全体の4分の1(構成比25.2%)を占める。
都道府県別「新型コロナ関連破たん」の発生率においても、経営破綻比率のワーストは、東京都の0.0277%となっている。※企業数は「平成28年経済センサー活動調査」を参照。
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定
厚生労働省は9月1日、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(平成30年1月策定)を改定したことを公表した。
今回の改正の主なポイントは、労働時間管理と健康管理についてであり、労働時間管理及び健康管理についてルールの明確化を図る内容となっている。
労働時間については、①雇用関係にある働き方においては、本業と副業・兼業の労働時間を通算したものに上限を定めること。②労働基準法の範囲内で、本業と副業・兼業でそれぞれ前もって、労働時間の範囲を決めておくという、簡便な労働時間管理の方法(管理モデル)について。
健康管理については、使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合、健康保持のため自己管理を徹底するように伝えるとともに、必要に応じて健康確保措置を実施するなど、適切な対応が望ましいとされていること。などが盛り込まれている。
第11回G20労働雇用大臣会合が開催
第11回G20労働雇用大臣会合(ビデオ会議)が9月10日に開催され、日本からは加藤厚生労働大臣が副議長として出席した。
今回の会合では、「豊かで繁栄した仕事の世界への移行」をテーマとして、労働市場と社会における新型コロナウイルスの影響を緩和するための効果的な措置について議論を行うとともに、(1)働き方の変化を反映した社会的保護、(2)若年者の雇用の改善、(3)ジェンダー平等の達成、(4)労働市場政策に向けた行動インサイト(※)の適用の探求について議論が行われ、労働雇用大臣宣言が採択された。
また、加藤大臣は開会挨拶において、新型コロナウイルスの感染リスクをコントロールしながら社会経済活動と両立させることにより、暮らしや雇用、人々の命を守ることが重要であると述べた。また、我が国の取組として、(1)資金給付や家賃支援、(2)休業補償の拡充措置の本年末までの延長、(3)妊娠中の労働者等に対し有給休暇を取得させた事業主への助成などを紹介するとともに、テレワークの推進など「新たな日常」下に適合した雇用を実現することの重要性を訴えた。
今回採択された大臣宣言については、G20サミット(2020年11月21日~22日に開催予定)に提出される予定である。
(※)行動インサイト(behavioral insights):行動科学の知見や洞察。近年、行動インサイトの公共政策への適用について国際的に関心が高まっている。
「新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金」の支給要件の見直し及び「母性健康管理措置等に係る特別相談窓口」の開設について
厚生労働省は9月30日、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援助成金」の支給要件の見直し及び「母性健康管理措置等に係る特別相談窓口」の開設について公表した。
助成金の支給要件のうち、対象となる有給の休暇制度を事業主が整備し労働者に周知する期限について、令和2年9月30日を同年12月31日※まで延長することとした。なお、令和3年1月31日までとなっている対象となる休暇の取得期限については、変更はない。また、母性健康管理措置及び助成金に係る相談に対応する窓口として、令和2年10月1日から令和3年1月31日までの期間、各都道府県労働局において「母性健康管理措置等に係る特別相談窓口」を設置する。
※11月27日時点で令和3年1月31日まで延長されている。