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後楽ガーデンホテル(後楽賓館)の取組み 東京都文京区後楽1-5-3

客室のユニバーサル化で稼働率アップ

建築士のセンスを取り入れながら、
50部屋に対し1部屋のバリアフリー化を目指す

東京ドームや小石川後楽園の付近にありながら、低稼働率であった後楽ガーデンホテル。毎年一フロアずつ改装してユニバーサルデザインルームを増やすことで、稼働率が上がったそうです。現在ではユニバーサルデザインルームを6部屋設置しており、2019年にも1部屋増室する予定です。同ホテルの取組みについて、日中友好会館資材部管理部部長の平岡靖氏に取組みについてお伺いしました。

稼働率向上のため、6年かけてフロアを改修

当施設は1988年の開業です。日中友好会館というテナントが入っている棟と、後楽ガーデンホテルの宿泊施設棟から成っています。今から9年前、当施設の稼働率はテナントが60%、ホテルが50%程度でした。開業当時は熱源の供給率が低い設計だったため、稼働率を上げたいが電気の消費に限界がある、という問題がありました。そこで、まずは熱源の改修を行い、その後、6年かけて各フロアの改修を行うことにいたしました。
まず、駐車場を整備しました。以前はリフト式駐車場だったのですが、障害のある方は車いすごと乗れるような車高の高いワゴンタイプに乗車してこられることが多く、車高の関係で駐車できないことがありました。これは、車で移動することの多い障害のある方から外出の機会を奪うことだと考えました。また、車いすの方がメイン玄関から入れるよう、入り口付近の段差を取り除きました。
他にも車いす対応トイレ、車いす対応エレベーターの設置、客室のユニバーサル化などに取り組んでいます。これらについては補助金を利用しています。
障害のある方だけでなく外国から来た方のアクセスも考え、当施設の看板は「宿泊施設の外国人旅行者受入環境整備支援補助金(現:インバウンド対応力強化支援補助金)」を活用して多言語化しています。

入り口付近の段差解消車いす対応トイレ

建築設計のノウハウを活かし改修

フロア改修は2012年に4階から着手しました。昭和60年代の部屋の作りだと、ユニットバスの下に排水管を通しているので、客室とユニットバスの間にどうしても20cm程度の段差ができてしまいます。そこで、当時シングルだった2部屋を1つにつなぎ合わせ、入り口からスロープで寝室まで入ることができるようにすることで、ベッドのある場所から浴室までフラットな作りを実現しました。
浴室の扉は3枚引きにし、トイレ側とバスタブに近い側の両方から入れる上、軽く開けられるものを選びました。鏡もどの位置からでも見られるよう大きくしています。
私は建築設計者として特別養護施設の設計に関わっていますが、このデザインは静岡の病院の設計で採用し、使いやすいという実績があったものです。
部屋のライトや温度調節のスイッチも車いすから押しやすいよう、低い位置に設置しました。また、フラッシュランプも入れておりますので、インターフォンが鳴ったら室内のランプが光ります。

客室内から浴室へのスロープ客室内から浴室へのスロープ

経費や遊び心の面にも工夫

2013年に改装した5階は4階と同じつくりですが、その後改装した10階と9階のユニバーサルルームは、シングルルーム3室を繋げて2ベッドルームにしました。
3部屋を1部屋にしたのは、セミスイートを作るためです。この部屋タイプは浴室とトイレ・洗面所が別です。浴室の段差は浴室へのスロープを採用して解消しました。トイレ・洗面所はベッドがある床と同じ高さにしています。
浴槽には遊び心も加え、十和田石を利用し檜の縁にしました。浴槽が高い場合には、移乗台などの貸出器具も用意していますが、この補助器具も「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」を利用して購入しています。
ベッドは車いすから移乗しやすい高さにし、マットレスを上に乗せるタイプのフレームにしています。これにより、マットレスの高さを何センチにすれば良いかが考えやすく、またハウスキーパーもシーツの取換えが楽にできます。
2018年に改装した6階は、入り口から部屋までつながるスロープを作っておりますが、スロープの手すりは、握る部分が円筒型ではなく少し平らになっており、手が滑らないようになっています。特注だと値段が高くなってしまいますが、既製品で見つけました。他にも、いろいろな部分で既製品を利用して経費の面でも気を付けています。また、先ほども触れました通り、補助金も様々な場面で活用して取組みを進めています。
こうした取組みが功を奏し、現在では稼働率が80%程度になった他、客室単価も向上しました。バリアフリー法の新基準に合わせ、当館も50室に1室はユニバーサルルームを設置することを目指します。

移乗台(貸出備品)浴室内の手すり入り口から客室内へのスロープ

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