• トップページ  > 
  • サインウィズミーの取組み|アクセシブル・ツーリズム推進事例

サインウィズミーの取組み 東京都文京区本郷4-15-14 区民センター1F

お話を聞いた代表理事の柳さん

文京区の街角に、手話と筆談でお店の人に注文をするカフェがあると聞き、伺いました。単なる手話で会話ができるカフェではないことや、障害者雇用の問題や共生社会に関する様々な取組みについて、代表理事の柳匡裕さんよりお話いただきました。

お話を聞いた代表理事の柳さん

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける

2011年に本郷の東大赤門近くに開業したのが1号店で、この春日店は2号店です。文京区が「この場所を、積極的に障害者の雇用、運営をしている事業者に貸したい」ということで、本郷店の取組みが評価され、数社によるプロポーザルを経て当社を選んでいただき2016年にここ、春日の交差点近くにオープンしました。

2020年初頭から発生した新型コロナで飲食店は打撃を受けましたが、本郷の1号店も多分に漏れず影響を受け、春日の2号店に移転統合したというのが経緯です。コロナ禍前まではアルバイトも含め、従業員が17名近くいたのですが、今は4名ほどです。

店舗外観。店の外にも大きなメニューが掲出されている。

飲食業を始めるまでの経緯

経営母体は、「一般社団法人 ありがとうの種」です。
私は、もともと障害者向け人材紹介の会社に勤めていて、当時、聴覚障害者の離職率が他の障害者に比べて高いという問題に取り組んでいました。聴覚障害者の雇用の課題はコミュニケーションにあると考え、当事者である自らが動かない限り本質的解決にならないと思い、一念発起して独立起業しました。事業内容は飲食事業と学習支援事業です。中でも飲食事業を選んだエピソードがあります。 どのようなビジネスモデルが良いかヒントを探しているとき、インド料理店に入りました。ところが出されたメニューには、日本語はおろか英語とも違う読めない文字しか書かれていませんでした。お腹が空いていたこともあり、「ここは日本だろ?」と思わず毒づいてしまいました。やむをえず写真を頼りに注文したら、出てきた食事がとてもおいしく、気づいたら常連になっていました。その時に、「自分の中にもバイアス(偏見)がある」と気づいたのです。インド人といえばこういう人たちである、というイメージを持っていたのですが、そのお店を見渡すと、インド人と言ってもいろいろな人がいることに気付きました。ステレオタイプを持っていたことがとても恥ずかしくなったと同時に、偏見は無知から生まれるということを痛感しました。この経験から、言葉が違っても、料理がおいしければ売上が立ち、コミュニケーションに課題を持っている人たちの雇用創出に繋がり、「接客」という職域開発はできる。何よりも、働く当事者が、お客様に対して第三者を経由せずに接客を通して自分を発信し、ロールモデルになれるというひらめきがありました。そこで「オーナーシップ」をキーワードに、
①当事者による当事者の雇用創出
②当事者による当事者の職域開発
③当事者による当事者のロールモデル発信
という3つのミッションを一気に達成できるのは飲食ビジネスであると考え、飲食店で起業することに決めたのです。

店舗外観。店の外にも大きなメニューが掲出されている。

店舗内部。週2回、手話の茶話会が開催される。

注文窓口。指差しと筆談で注文。

「手話カフェ」ではなく「スープカフェ」

飲食業を開始するにあたり、福祉のためだけではなく、ビジネスでwin-win関係を築くことも目標にしていたこともあって、最初からフランチャイジーを検討していました。フランチャイズ契約にあたり、50社くらいに企画提案書を持っていきましたが、全く相手にしてくれませんでした。その中でベリーベリースープだけが「おもしろい!」と契約に応じてくれたのです。今でこそ手話で働けるカフェは他にもありますが、当店がエポックメイキングになったと自負しています。

私たちのカフェはいろいろなマスメディアにも取り上げていただきましたが、聴覚に障害のない人たちの目線で見られていることが多々あります。その目線とは「聴覚障害の人達が頑張っているカフェ」といった「感動フィルター」を通すことです。私たちの店は純粋にスープカフェで、「手話カフェ」をやっているつもりもありません。ただ、当社の公用語は日本手話と書記日本語(筆談)であり、オペレーション上のコミュニケーションはすべて手話です。一方で手話コミュニケーションを楽しみにしているお客様のニーズにも応え、「手話deカフェ」という茶話会イベントを徹底した少人数で週2回ペース開催しています。 面白いことに私たちの思惑とは別に「店員の声が聞こえない」が売りになって、店員の声が煩わしいと感じている人の利用があるというのも目から鱗でした。当事者目線では思いつかない商品価値に気づかせてくれるという意味で、いろいろな人と触れ合える環境はとても大事だと改めて感じました。

店舗内部。週2回、手話の茶話会が開催される。

注文窓口。指差しと筆談で注文。

ありがとうの種

障害者は人に対して「ありがとう」と言う事はあっても、人から「ありがとう」と言われることは少ないのです。しかし、能力発揮できる環境(店)をつくることで、「ありがとう」をたくさんもらえるようになります。福祉的発想の「自立」ではなく、ビジネス的発想の「自律」で自ら考え動くことで、「ありがとう」は得られる。それが「ありがとうの種」という会社の名前をつけた理由でもあります。

sns ソーシャルメディアアカウント

Facebookもチェック

誰にでも優しく、
どこへでも行ける 東京。

観光は誰にとっても自由で、どこへだって行けるはず。
「行きたいところを旅する」ということは
人生を豊かにしてくれます。

東京は、あなたが訪れてくれることを歓迎します。
伝統・歴史・文化・自然・テクノロジー、
そしてなにより笑顔に出会えることでしょう。

アクセシブル・ツーリズムを
もっと身近に、もっと楽しく。

tokyo is fit for all.