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肥田文の取組み 東京都新島村式根島9番地

女将 肥田光代さん

式根島で初のバリアフリールームを設置

東京から高速ジェット船で3時間。透明度の高い海と温泉、海水浴や釣り人達にも人気の式根島で入口と一部の客室をバリアフリーに改修した民宿があります。
「バリアフリー化したことで、いろいろな効果を感じている」という民宿 肥田文の女将 肥田光代さんにバリアフリー化の取組みについてお話しを伺いました。

女将 肥田光代さん

宿泊施設バリアフリー化アドバイザーがきっかけ

式根島は外周約12kmの小さな島です。島には、大型のホテルなどはなく、アットホームな民宿や旅館があります。建物は常に潮風に晒されているため、いろいろとメンテナンスが必要であり、普段畳の生活をしないというお客様も増えてきて、このような民宿は時代に合っているのか、と自分達の宿の改修について考えていました。
そのような時に、商工会の声かけで東京都宿泊施設バリアフリー化のアドバイザーが来島するという話を聞きました。
「この宿がバリアフリー化なんてできるわけがない」と思っていたのですが、見てもらうのは無料だし、どこか改修できるところがあればアドバイスしてもらおう、と軽い気持ちで申し込んだのがきっかけです。

入り口前のスロープ

玄関の段差解消

宿泊施設バリアフリー化支援補助金を活用

式根島の建物は、風通しが良いように床が高くなっています。当館も入口は、段差が30cm程度あります。
アドバイザーより、「この高さであれば玄関前にスロープを作って解消できる」というアドバイスがあり、東京都の宿泊施設バリアフリー化支援補助金が活用できる可能性が出てきました。
建物の1階の一部にあまり稼働していない部屋があったのですが、その部屋をバリアフリーの部屋にしようということになりました。

話が進むうちに、1階の一角を全てバリアフリーの部屋にしてベッドを置き、1階のトイレと洗面所、浴室もバリアフリーにすることになりました。
結果、1階は合計4室が車いすでも入れるベッド2台の洋室になり、うち3室はトイレや洗面所がついていないので共用のバリアフリートイレと浴室を利用いただきますが、1室はバリアフリーのトイレとシャワー付きの部屋です。
民宿ですと、浴室は男性用と女性用で、時にはお客様同士が一緒に入浴することになりますが、ユニットバスやシャワールームを設置することで、プライベートで使っていただけるようになりました。部屋単位で入浴ができるため、子供連れをはじめ、年頃の世代などに喜ばれています。
入り口前はスロープを付けてバリアフリー化できたのですが、玄関の段差をなくすのは難しいため簡易スロープを用意することで段差を解消しています。

入り口前のスロープ

玄関の段差解消

公共の浴室と従業員スペースへの扉

従業員にとってもアクセシブルに

当館の従業員スペースからお客様が使う浴室まで壁一枚なのですが、食堂をぐるっと回って行かなければいけず、掃除などで頻繁に行くことが多いため、この距離を億劫に思っていました。
この点についてもアドバイザーに相談したところ、「高さは十分取れないが、台所と繋がる扉をつけることができる。」というアドバイスをもらい、扉を設置しました。
これは、従業員にとってアクセシブルを実感するもので、浴室へのアクセスがとても良くなりストレスが解消されました。

また、入り口前のスロープも、私たちが荷物を運ぶ時や、お客様がスーツケースや釣り道具などを運ぶ時など、車いすやベビーカーを使っている人だけでなく、いろいろな人に使い勝手が良くなったと感じています。
私たちもこれから年を取っていくわけですから、働きやすい環境やアクセスは仕事を続けて行く上でもとても重要だと思いました。

公共の浴室と従業員スペースへの扉

トイレとシャワー付きバリアフリールーム

バリアフリールームの水回り

部屋や食事の選択ができることで、お客様の層が広がる

バリアフリー化したことで一番感じていることは、お客様の層が広がったということです。
2階は、元々の民宿の要素を残し、相部屋のドミトリーや和室があります。長期滞在プランもあり、ドミトリーだと1か月60,000円程度で宿泊できます。当館はWi-Fiも完備していますし、共用のキッチンやダイニングもあります。若い人だと、安い部屋に泊まってワーケーションなどしたり、宿で一緒になった人たちと自分達で作った料理を囲んだり暮らすように過ごしています。1階のバリアフリーに改装した部屋は、年配や家族連れなど食事付きにしてプライベートな旅行を楽しんでいただけることが多くなりました。
バリアフリー化にしたことで、「島に行きたいけれどバリアフリーの宿なんてないと思ってあきらめていたら、式根島にあるのを知って来た」という車いす利用者の方や、ベッドでないと寝起きできないという方が他の宿から紹介されて当館に宿泊したということもありました。

自分達の懐具合や目的によって、いろいろな選択ができるようになったことで、今までは若い方がメインだったのが、年齢層が高い方やプライベート感があるならある程度の出金を惜しまないという方がいらっしゃるようになりました。
洋室はドミトリーと比較すると値段設定は高いため、「このような民宿で高価な部屋は選んでもらえないのでは」と当初は心配していましたが、今は洋室を選ばれる方が多く、稼働率の心配は杞憂に終わりました。
思い切ってバリアフリー化して、本当に良かったと言えます。私たちの使い勝手も良くなったということと、いろいろなお客様をお迎えすることができることになったのは本当に効果が出たと言えます。
式根島は人口も少なく、東京都とは思えないほどのんびりとした雰囲気の場所です。是非、海水浴や釣りだけでなく、リフレッシュも目的として来島してください。

トイレとシャワー付きバリアフリールーム

バリアフリールームの水回り

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