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黄八丈めゆ工房の取組み 東京都八丈島八丈町中之郷2542

「日本のハワイ」八丈島

羽田空港からジェット機で約50分、八丈島は、都心から約285km南にあります。温暖な気候、海の透明度、自然が織りなす風景から「日本のハワイ」と呼ばれ、かつては新婚旅行の人気観光地でしたが、ハワイに気軽に行かれるようになってから観光客は減少してしまいました。ですが、今でも訪れた人を魅了する東京が誇る観光地です。八丈島には美しい自然だけでなく、独自の文化や食文化が育まれています。東京都産業労働局の「東京の伝統工芸品41品目」に「本場黄八丈」という草木染の絹織物が指定されています。この黄八丈の染と織を今も伝えている、黄八丈めゆ工房の山下芙美子さんにお話しを伺いました。

伝統と柔軟さ

昔から染め物工房を営んでおりましたが、私の祖母に当たる山下め由が、事業所として登記したのが大正6年ですので、めゆ工房としては創業103年を数えます。祖母、母、私と3代揃って日本民藝協会の「日本民藝館賞」を受賞しました。この賞は伝統的な手仕事と、新しい生活工芸の発展をはかるために、暮らしに役立つ健やかな工芸品の普及を目指すものです。伝統を大切にしているので、織機も年期の入ったものを使っていると思われがちですが、古いものは織手のクセがついてしまっていて使いづらいことが多い。使いづらいものを無理して使う必要はない、今の自分が使いやすいものを使うという柔軟な発想です。この仕事は、自分のペースで仕事ができます。定時に来なくてはいけないこともないですし、時間に追わることもないので女性にとってはとても働きやすい仕事です。このように無理をせず続けることが結果として、仕事が好きになり伝統を繋いでいける秘訣ではないかと思います。

バリアがあっても上がりたくなる古民家

工房の建物は、平成8年に改修しました。来た人が機織りの様子が見やすいように土間から床を高くしたり、一部は畳にして子供が飽きないように絵本を置いたりして休めるスペースにしています。トイレも男女別に車いすが入れる個室があります。古くから観光バスの受入れも行っており、特に八丈島は高齢のお客様も多いのですが、島民も高齢者が多いので、普段接する中から「こうしたら良いのではないか」ということを改修の際に取り入れました。バリアフリーという考えもなかったですし、何もできていないと思っていたら東京都相談員派遣事業で「全てアクセシブル・ツーリズムに繋がる取組なので、そういう情報を発信してください」と言われ、「これで良いの?」と驚いたとともに情報の発信は大事だ、と改めて感じました。工房の隣に工芸館という古民家があります。ここは築300年近い建物で、玄関からは車いすはおろか、足が弱いと上がることも難しいくらい上がりが高くなっています。それでも、多くの高齢の方は無理をしてでも上がり、囲炉裏の周りに座って懐かしい話に花を咲かせています。せめて座りやすいようにと、座椅子は用意しました。使い勝手のよいものばかりに変えていくのではなく、居心地の良さを提供することも大事だと感じます。



八丈島へおじゃれ

観光協会の会長も務めていますので、旅行に行っても「八丈島でもこれができるぞ」といつも考えてしまうくらい観光振興には力を入れていますが、同時に婦人会会長でもありますので八丈島の高齢化問題も考えています。八丈島は花き産業も盛んで、高齢者が切花や葉切といった仕事をしています。そこで、仲間と話をしたり、自分でお金を稼いだりと自立している高齢者が八丈島には多いのです。八丈島には、近年、クルーズ船が立ち寄ったり、毎年1月に開催される八丈島パブリック・ロードレースのマラソン大会には年々参加者が増えたり、冬場にはクジラも見られるようになるなど観光客が来島する要素が増えてきました。イベントや観光客が増えれば、おもてなしの策を練ったり、地元の食材を使った料理のレシピを考えたり、今、問題になっている古民家を再生させて泊まれるようにしたりと高齢者が活躍できる場が益々増えると思います。皆さん、八丈島におじゃれ(いらっしゃい)!

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