人気老舗旅館がAIを導入!混雑情報の発信でお客様に「安心」を提供

公開日:2020/10/30

人気老舗旅館がAIを導入!混雑情報の発信でお客様に「安心」を提供

静岡県熱海市の「古屋旅館」が新型コロナウイルス対策で人口知能(AI)を導入した。200年以上の歴史を持つ老舗旅館は大浴場やフロントなどの状況を人工知能(AI)で解析し、混雑情報をリアルタイムで発信することで、宿泊客に「安心」を提供している。

先の見えない不安が続く中で最悪のケースも想定していた

創業1806年、多くの常連客に愛される人気老舗旅館にとっても、新型コロナウイルスの影響は暗い影を落とした。4月上旬から5月下旬にかけ、約2ヵ月間の休館を余儀なくされ、この期間の売り上げはゼロ。資金面にもまだ余力があり、雇用調整助成金で従業員の雇用を守ることはできたが「この騒動は、まだまだ長引くのではないかと、最悪のケースも想定した。」と、17代目として旅館を切り盛りする社長の内田氏は振り返る。

人気老舗旅館がAIを導入!混雑情報の発信でお客様に「安心」を提供 先の見えない不安が続く中で最悪のケースも想定していた

大手デパートのトイレに導入されていた混雑回避システムに着目

それでも、「戦争中も生き残った旅館。何とかなる。いや、何とかしなければいけない。」と、前を向いた内田氏。インターネットを使った情報収集で策を練った。たとえば、大浴場は「密閉・密集・密接」の三密の状態になりやすい場所。医療現場でも使われている紫外線空間殺菌装置も導入したが、それだけでは安心感を与えることはできない。そこで目を付けたのが、大手デパートが女性トイレの混雑状況を伝えるために取り入れていたシステムだった。

人気老舗旅館がAIを導入!混雑情報の発信でお客様に「安心」を提供 大手デパートのトイレに導入されていた混雑回避システムに着目

大浴場・フロントなど4ヶ所の混雑状況を可視化

このシステムは、センサーやカメラで人工知能(AI)が人の出入りを解析し、各所の混雑状況を「空」「やや混雑」「混雑」の3段階で宿泊客にリアルタイムで伝えるもの。宿泊客は入館時に配布されるQRコードを読み込むだけで、手元のスマートフォンで混雑状況を確認することができる。設置したのは、大浴場の脱衣所入口、フロント、ロビー、コーヒーコーナーの4ヶ所。そもそも、宿泊施設では導入実績が少なく、4ヶ所の混雑状況を可視化したのは県内初。徐々に話題になり、メディアの注目も集めた。

人気老舗旅館がAIを導入!混雑情報の発信でお客様に「安心」を提供 大浴場・フロントなど4ヶ所の混雑状況を可視化

お客様から頂く「安心」の声とともに売り上げも回復

7月末から導入したこのシステムの効果もあり、8月は前年と同程度まで売り上げを戻すことができ、9月からは前年比超。「Go To トラベルキャンペーン」の効果も大きいが、「安心して利用できました」という宿泊客からのクチコミが明らかに増えたという。「クチコミの2件に1件は“安心”という言葉が使われており、効果は大きかった。」と内田氏は導入したことによるメリットを振り返る。また、「チェックアウト時のフロント混雑が解消し、従業員の接客にも余裕が生まれ、それがサービスの質の向上につながったことも大きい。」と、二次的な効果にも言及する。導入費用の130万円とランニングコストの5万円以上に大きな効果があった。

人気老舗旅館がAIを導入!混雑情報の発信でお客様に「安心」を提供 お客様から頂く「安心」の声とともに売り上げも回復

秘訣は設備導入後の情報発信

ほかにも、全客室に紫外線空間殺菌装置を設置し、室内のモノや壁などすべてに抗菌コーティングを施すなど、「空間」の安全対策を徹底。また、清掃時には、ハンディタイプの紫外線ライトと殺菌効果の高い消毒液使い分けながら、お客様が手に触れやすい箇所を徹底的に除菌。さらに、高品質の除菌スプレーも全客室に設置した。これらの機器や殺菌剤は医療現場などで使われてきたもので、その効果の高さに内田氏がいち早く目を付け、すぐに導入した。また、導入後は自身のブログを通じて情報を発信したことでメディアの注目を集め、世間の認知にもつながった。設備投資のみならず、その情報を詳細に発信したことが、お客様への多くの安心の提供につながったのだ。

人気老舗旅館がAIを導入!混雑情報の発信でお客様に「安心」を提供 秘訣は設備導入後の情報発信

質の高い衛生環境は宿泊業界のスダンダードに

これまでは、「いつ来ても変わらない、なじみがあって落ち着く」という声を大切にしながら、「奇をてらわず半歩遅れて歩む」という姿勢を大切にしてきた古屋旅館。だが、新型コロナウイルス対策に関しては常に先手を打ってきた。そこには、客室・食事などの従来のサービスに加えて、質の高い衛生環境の提供が宿泊業界の新たなスタンダードになるという確信があるからだ。「お客様の声を常に感じる距離に身を置きながら、必要な設備投資は続けていきたい。」と、内田氏は力強く語った。

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