“非接触チェックイン”で省人化。人件費約50%の削減を実現

公開日:2020/12/23

 “非接触チェックイン”で省人化。人件費約50%の削減を実現

2019年10月、大阪市西成区にオープンした「なんば戎ホテル」。関西国際空港から電車で1本、特急も停車する好立地を活かし、中国を中心としたアジア圏や長期滞在を希望するヨーロッパ圏からの外国人観光客をメインターゲットに好調なスタートを切った。しかし、直後に襲い掛かった新型コロナウイルス。タブレットチェックインシステムによる非接触型の接客やオペレーションの改革など、苦境を乗り切るための取組について話を伺った。

緊急事態宣言で売り上げ90%ダウン。2週間の休業も

事態が一変したのはオープンからわずか3か月後の2020年1月24日、中国政府から中国系旅行会社に対して発せられた進行中の訪日ツアーのキャンセルと新規ツアーの販売中止の通達だった。開業月は50%、翌11月は90%以上と好調をだった稼働率もその大半が中国からの旅行者であったこともあり、通達後の2月・3月は90%以上の減となり大きな影響を受けた。このままでは立ち行かなくなると判断し、国内顧客の獲得を目指した経営方針に大きくシフトするものの、緊急事態が発令されたことで更に事態は悪化。2020年7月には売り上げがほぼ0まで落ち込んだ。

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タブレットチェックインをフルに活用。 徹底した省人化オペレーションを可能に

当ホテルでは、2019年の開業時から「タブレットチェックイン」を導入していた。これは、予約受付から部屋割り、予約確認メッセージ送信、チェックイン受付、鍵の受け渡し、そしてチェックアウトまでの一連の業務が自動化し、顧客名簿や売上管理も一元化できるセルフチェックインシステムだ。これにより利用者はフロントで煩雑な手続きをすることなく、指定の暗証番号キーで解錠できるため、鍵を持たずに自由に部屋やホテルに出入りできる。また、22時以降はフロントを含め、無人化にすることで大幅な人件費の削減を行っていた。これらの取組は、奇しくもウィズコロナに求められる「非接触」「非対面」に見事にマッチした形となりホテルには追い風となったが、戎ホテルではコロナ禍を乗り切るために更なる省人化を目指した。1日3名の体制のシフトを1日1名~2名体制に変更し、22時以降から午前中にかけては完全無人で運営。「お客さまはチェックイン時にタブレットや操作方法について理解されてますので、フロントスタッフがいなくてもチェックアウト時は迷うことなく操作することができます。またチェックアウト状況を遠隔で確認するなど非接触・非対面でもお客さまをフォローできる体制を整えていたので、無人化運営は特に問題がありませんでした。」と経営企画部長の山川氏は語る。

 “非接触チェックイン”で省人化。人件費約50%の削減を実現 タブレットチェックインをフルに活用。
徹底した省人化オペレーションを可能に

省人化と同時に従業員の安心・安全も確保

さらに、アウトソーシングしていた業務の見直しも実施。清掃などの外注業務を内製化するとともに、一部のシステム管理を一時解約するなど、可能な限りコスト抑制を行った。同時に、従業員の雇用を守り抜くために2か月間、コロナ軽症患者向けの施設としての借り上げ要請を受け入れた。感染を懸念する声も多く上がったが、会社として従業員の雇用・給与の補償を約束するとともに、スタッフの安全・安心を守るための体調管理や定期的な館内換気はもちろん、宿泊者への無料マスクの配布や、チェックアウト後3日間は客室への入室と旅行者への販売禁止とするなど従業員の安全・安心を守るための策も徹底した。

 “非接触チェックイン”で省人化。人件費約50%の削減を実現 省人化と同時に従業員の安心・安全も確保

コロナは「中長期的な視点で持続可能な構造変革」をする転換期

同社は、不要なコストは徹底的に削り、必要なコストは惜しまない。その取組方針により、緊急事態宣言下でも経営を維持し、また従業員とお客様への安全・安心を提供することでコロナ禍のホテル経営に必要なポイントを両立することできた。
山川氏は「これまでの常識では宿泊施設の経営は立ち行きません。新型コロナウイルスがきっかけではありますが、日本の観光業における常識や慣習を見直し、持続可能な業務改善・改革が求められていると思います」と話す。

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新型コロナウイルスをきっかけに、ホテル業界全体の改革に貢献したい

業界の構造改革のチャレンジとして導入した「タブレットチェックインシステム」だが、新型コロナウイルスの影響で更なるコストの見直しや体制の変化が求められた。「この苦しい時に培ったノウハウを活かして、ホテル業界全体の収益構造や接客の在り方を改革し、日本の新たな観光産業を構築したい。」と語る山川氏。同社が取り組むウィズコロナ、アフターコロナを見据えたグレート・リセットに期待が高まる。

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