「約5分で車内の空気は入れ替わる」という業界では“当たり前”の情報を発信し、バスの安全性をアピール

公開日:2021/1/29

「約5分で車内の空気は入れ替わる」という業界では“当たり前”の情報を発信し、バスの安全性をアピール

緊急事態宣言による移動制限や団体旅行などの延期・中止により、大きなダメージを受けた貸切バス業界。一般社団法人東京バス協会(東京都渋谷区)に所属する企業も例外ではなく、大幅な減収を余儀なくされた。このような状況下で、バスのコロナへの安全性を多くの方に伝えるために協会が取り組んだのが「自分たちの中では当たり前であった情報を周知する活動」だ。今回は、その内容とバス業界を取り巻く現状と未来を理事長である上田氏に伺った。

感染拡大と緊急事態宣言の影響で、売り上げが前年比9割減

新型コロナウイルス対策への意識が徐々に高まり始めた2020年1月末。海外からのツアー客を乗せた貸切バスの運転手が、日本人初の国内感染者となった。このニュースは衝撃度も高く、多くの人に広まる結果となったが、この報道によるダメージはすぐには現れず、2月までの貸切バス関連の収入は前年比1割減程度だった。ところが感染拡大が本格化するにつれ、状況は急速に深刻となり、3月には7割減、緊急事態宣言が発令された4月以降には9割以上減にまで落ち込んだ。そのため協会では利用者の間にある「バスは換気が不十分で、密閉された危険な空間である」という誤ったイメージを払しょくし、利用の促進をするために、様々な角度からその安全・安心のアピールをスタートした。

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感染症予防の専門家も加わり、新型コロナウイルス対策ガイドラインを作成

業界として最初に取り組んだのが「新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」の作成だ。日本バス協会・日本旅行業協会・全国旅行業協会の3社が連携し、感染症予防の専門家にも監修を依頼。日帰りや宿泊でのバス旅行、修学旅行、社員旅行など、貸切バスを利用した旅行のスタイルに即し、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る上で必要となる対策を例示した。安心・安全な空間維持を最優先するためカラオケ、飲酒、大声での会話を禁止とした他、乗務員のマスク・使い捨て手袋の着用に関する規定や車内の消毒を行うポイントを定めたり、始業前の運行管理者によるチェックも強化した。さらに、協会が所属するバス会社に、リーフレットや動画を以ってガイドラインの周知・徹底を図るなど、安全安心の確保に力を注いだ。

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業界の常識“5分で換気”を周知し、安全性をアピール

貸切バスでは窓が開かないタイプが増えているため密閉空間だと思われがちだが、実はほとんど全ての車両で外気換気が可能であり、約5分で車内のすべての空気を入れ替えられる。「業界内では周知の事実でしたが、お客様の誤解を解くためにアピールする必要があると考えました。」と、上田氏。そこで、「3密空間」にあたらないことを伝えるための実車によるデモンストレーションを実施。車内に充満したスモークがみるみるうちに外に排出される様子を報道陣に公開することで、新聞やテレビでの報道を通じて広く利用者へのアピールに全力を傾けた。また、同時にラッピングバスのデモ走行も実施し、「新幹線同様の換気能力があること」や「医療従事者への感謝」といったメッセージを多くの人に訴えた。

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関係者へのデモンストレーションを通じ利用回復を

密閉空間ではないことのアピールと「Go To トラベルキャンペーン」の効果もあって、11月には6~7割減と回復のきざしもうかがえるようになった。しかし、年末からの感染者の急増やGo Toキャンペーンの一時停止、さらに緊急事態宣言の再発出により、再び先行不透明な日々が続いている。「先行きは予断を許しませんが、私たちがすべきなのは新型コロナウイルスへの安全性の周知。今後は、学校関係者や旅行会社の方など主な利用者に対してもデモンストレーションを見てもらうなどして、修学旅行や観光で安心してバスをご利用していただける機会を増やしたいです。その結果、コロナ禍でどこにも行けない方や子どもたちの思い出づくりもサポートできたらいいですね。」と上田氏は語る。今後も貸切バスの安全性を今まで以上に多くの方に知っていただくことが何よりも重要だ。

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