スーパーフードの「青パパイヤ」を、プロダクト化!ECサイトの開設により、販路を約10席から全国へ!
公開日:2020/10/30
「SOM TUM CAFFE(ソムタムカフェ)」(東京都港区)は、青パパイヤを使ったタイ発祥のサラダ「ソムタム」を扱う専門店。あらゆる食物の中で唯一と言われるほど豊富な分解酵素が含まれている青パパイヤ。デトックス効果や免疫力向上などを期待できる注目のスーパーフードである。健康意識の高いお客様からのリピート率が高く、2019年9月のオープン以来、オフィス街の東京・田町で順調に営業を続けてきた。
経営が軌道に乗ったところに、緊急事態宣言発令。オフィス街から人が消えた。
お昼時の田町は、ランチ難民が出るほど多くの人で賑わっている。他のお店は行列ができているのに、自分のお店はガラガラだった。それでも自分たちの商品の魅力“おいしく食べて腸をきれいに”を信じてやってきた結果、徐々にその効果に共感していただける方が増え始め、少しずつだがお客様が増えた。その後も新聞やテレビなど様々なメディアで紹介され、客足はさらに伸びた。ランチタイムは満席になることもめずらしくなくなり、ようやく軌道に乗った。そんな折に、新型コロナウイルスの感染が拡大。テレワークが浸透し、オフィス街から人が消え、客数はほとんどゼロになった。
休業補償金を全額2ヵ月間の家賃に。心に余裕を持ちながら、次の一手に集中。
緊急事態宣言発令後の売り上げは約70%減。仕込みをしても廃棄せざるを得ないことも多く、休業を決めた。休業中は「東京都感染拡大防止協力金」に申請。結果として休業していた4・5月の2ヵ月分の家賃はこの協力金で全額支払うことができた。ソムタムカフェのような個人経営の店舗では固定費の支払いが大きな負担になるが、休業補償金があったからこそステイホーム期間中は家族と過ごしながら英気を養いつつ、心に余裕を持った状態で打開策を練ることができたという。様々なアイデアを考えながらたどり着いたのは、冷凍ソムタムを作ってECサイトで販売すること。ヒントは「通販には対応していますか?」というお客様の声だった。
青パパイヤの加工機材の購入やECサイトの構築費用は「小規模事業者持続補助金」で。
やると決めたら行動は早い。さっそく冷凍ソムタムを作る準備にとりかかったが、すぐに問題に直面した。量産できる設備が整っていなかったのだ。特に青パパイヤの仕込みが大変で、石で叩いて柔らかくする作業に労力がかかる。ひとりでは5時間仕込みをしても50食が限界で、現在の環境では発注が増えたらパンクしてしまう。そこで目を付けたのが業務用の餅つき機。メーカーに「青パパイヤを柔らかくするために圧力調整したものが欲しい」とお願いした。機材に130万円、さらにECサイト開設に100万円が必要だったため、中小企業支援アドバイザーのサポートや「小規模事業者持続補助金」を活用することで、費用負担を最小限に抑えることができた。

営業再開後の売り上げは約30%増。ECサイト販売(=「プロダクト化」)の成功で視界良好に。
計画は順調に進み、店舗で冷凍ソムタムを作れる環境が整った。さらに、鹿児島県の加工工場を併設している青パパイヤ農家さんとも提携することで量産体制も整い、ECサイトをオープン。すると、ほとんど宣伝をしていないにも関わらず、反応は上々で、結果としてコロナ禍以前の対面販売の時と比べても、売り上げは約30%増加した。これまではフランチャイズ化による収益化を目指していたが、課題も多く二の足を踏んでいた。くしくも今回のコロナ禍により、商品を「プロダクト化」できたことで、商圏を全国に広げることができるようになったのだ。
強みを信じてブレずに突き進む。これがコロナ禍を生き抜く上で大切なこと。
コロナ禍でも売り上げを伸ばすことができた理由は、「青パパイヤの強みを信じて、ブレない心を持つことができたから」だという。オープン当初は客足が伸びず、思い悩むこともあった。そんな時は、「ソムタムは必ず需要がある。必ず世間に受け入れられる。だからやる価値があるんだ」と自分に言い聞かせ、乗り越えてきた。世の中に数多くあふれる飲食店。どんなお店にも強みはあるはずだ。その強みを信じてブレずに突き進むことが、コロナ禍を生き抜く上で大切なことだとオーナーの杁山氏は語る。
ECサイトの滑り出しが順調だった理由は、常連さんを抱えていたことも大きかったが、今回のコロナ禍により世の中の「食」に対する意識が大きく変わったことがポイントだと感じている。「新しい日常」で人々の食生活や健康への意識がさらに高まり、今後の売り上げは1000~2000%増を見込んでいる。「大手企業からプロモーション活動サポートなどもあり、この数字は決して夢ではないと感じている。」と、経営者としての次の目標を杁山氏は語ってくれた。