日々のリモートワークに刺激を!遊園地として新たなワーケーションを提案。

公開日:2021/2/26

日々のリモートワークに刺激を!遊園地として新たなワーケーションを提案。

コンセプトは「遊びを、まん中に」。衣・食・住と同じくらい“遊び”を大切にした生活を提案するよみうりランド(東京都稲城市)が立ち上げたコロナ禍での取り組みが注目を集めた。その名も、「アミューズメントワーケーション」。プールサイドや観覧車内をワークスペースとして開放するという前例のない取組の背景を、広報部長の山田氏と係長の奥谷氏に話を伺った。(本ワーケーションは2020年12月23日をもって終了。再開日程は現在未定。)

コロナ禍の逆境を跳ね返す“自社企画力”に期待し、アイデアを募った。

2020年4月の緊急事態宣言中は閉園を余儀なくされ、宣言解除後も自粛ムードが高まる中、同遊園地に課せられていた命題の一つに「コロナ禍での施設の有効利用を検討し、お客さまにきていただく」ということがあった。もちろんこれはコロナ禍において決して簡単なことではないが、これまでも多くの企画を自社内で生み出してきた同遊園地にとっては腕の見せ所でもあった。「昭和39年(1964年)のオープン以来、“日本初”や“日本一”のコンテンツを生み出そうと、常にチャレンジを続けてきました。」と語る山田氏は、社内に脈々と受け継がれてきた企画力を発揮する時が来たと感じていた。

日々のリモートワークに刺激を!遊園地として新たなワーケーションを提案。 コロナ禍の逆境を跳ね返す“自社企画力”に期待し、アイデアを募った。

ひとりの社員のテレワーク中の実体験に基づいたアイデアを採用。

早速、アイデアを募ったところ、数多くの企画が寄せられた。その中で「リモートワーク中に自宅の庭で仕事をしたら気分が変わり、効率的に進みました。たとえば、遊園地で仕事ができたら、もっと楽しく仕事ができるかもしれない」という実体験を交えた面白い提案があった。この企画をさらにブラッシュアップすると、「夏しか使っていないプールサイドのデッキスペースを貸し出すのはどうだろう?」「観覧車の中ならオンラインミーティングにも集中できそうだし盛り上がりそう!」など、次々と具体的なアイデアが出てきた。このアイデアについて山田氏は「ちょうど“リモート疲れ”といった言葉も生まれていた頃だったので、時代のニーズにマッチしていると思いました。」と振り返る。プールシーズン終了後の10月からスタートできるように準備を進めた。

日々のリモートワークに刺激を!遊園地として新たなワーケーションを提案。 ひとりの社員のテレワーク中の実体験に基づいたアイデアを採用。

快適に仕事ができる“ワークスペース”を大切に

プールサイドのデッキスペースと観覧車内をワークスペースとして貸し出すにあたり、まず準備を始めたのはWi-Fi環境の整備と電源の確保。椅子やテーブルはプールの設備をそのまま流用することができたので、費用は50万円ほどに抑えることができた。用意したブース数は11席。まだスペースに余裕はあったが、あえて増やさなかった。「ソーシャルディスタンスに配慮したこともありますが、あくまでワークスペースなので、隣の人の声が聞こえないように集中できる環境を作ることを目指しました。」と奥谷氏はその理由を語る。

日々のリモートワークに刺激を!遊園地として新たなワーケーションを提案。 快適に仕事ができる“ワークスペース”を大切に

破格の値段設定の中に込めた“世の中を元気にしたい”という想い。

さらにこだわったのは、平日は1,900円、土日祝は2,000円というギリギリまで抑えた値段設定と、ブースの利用を9時~16時、園内の利用を閉園の20時まで(閉園時間は日により変動)とした利用時間。「単純にワークスペースのみ貸し出すのではなく、仕事と遊びを同時に実現できる“ワーケーション”というコンセプトを、コロナ禍でよみうりランドが提案することに意義があると思いました。自社の収益のみを考えるのであれば、ブース数を増やしたり、時間貸しにすることもできましたが、この暗い世の中を元気にしたいという想いが上回りました。」と奥谷氏は続ける。結果として、10月のサービス開始時には一気に数十件ほどの予約が埋まり、国内外のメディアから多くの取材を受ける反響ぶりだった。

日々のリモートワークに刺激を!遊園地として新たなワーケーションを提案。 破格の値段設定の中に込めた“世の中を元気にしたい”という想い。

困難な状況でチャレンジを成功させた自信を今後につなげていく。

このサービスは、季節や天候の影響を受けてしまうというデメリットもあり、現状では通年を通して提供できないが、屋根付きの場所など、プール以外のスペースを開放するといった対策を練りながら、今後もサービスを継続していくつもりだ。「利用して頂いた方は、20代~30代の若い方だけではなく、40代~60代の方もいらっしゃいました。当初は世の中に受け入れて頂けるかという不安がありましたが、多くの方に利用して頂いたことが自信になりました。」と手応えを語る山田氏。その言葉を受けて、奥谷氏は「依然として苦しい業績が続いていますが、このような状況下でもチャレンジをしていいんだというメッセージを社員に発信できたことも大きいと思います。」と相乗効果があったことにも言及する。今後も時代のニーズを汲み取りながら、よみうりランドらしいチャレンジを続けていく。

日々のリモートワークに刺激を!遊園地として新たなワーケーションを提案。 困難な状況でチャレンジを成功させた自信を今後につなげていく。