自宅で本格焼き鳥体験ができる「ベランディング鳥幸」を開発。

公開日:2021/2/26

自宅で本格焼き鳥体験ができる「ベランディング鳥幸」を開発。

居酒屋「鳥幸」を展開する東京レストランツファクトリー株式会社(東京都目黒区)。コロナ禍で客足が遠のく中、自宅で本格焼き鳥を楽しめる「焼鳥ミールキット」と「専用焼台」の通販に取り組み、2021年1月には1万台を突破した。今回は同社の新たな取組について、通販事業部の高原正弘氏に話を伺った。

首都圏やNYで11店舗を展開する「鳥幸」。コロナの影響で客足が減少。

「鳥幸」は、同社が首都圏やNYで展開する飲食ブランド。焼き鳥=大衆という従来のイメージを覆し、「高級焼き鳥×世界のワイン」という新しいシーンを創出したことで、国内外から高い評価を得ていた。コロナの影響で同店から客足が鈍り始めたのは2月頃。4月から完全休業に入ったが、当初は一時的な影響で「それほど重くは受け止めていませんでした。むしろ販路を失ってしまった各地の生産者の方の活動のほうが気がかりでした。」と同氏は振り返る。

自宅で本格焼き鳥体験ができる「ベランディング鳥幸」を開発。 首都圏やNYで11店舗を展開する「鳥幸」。コロナの影響で客足が減少。

生産者支援の一環として、通販事業に着手。焼き鳥だけでなく、焼き台にまでこだわった

日本各地の地鶏・銘柄鶏の生産者と、お店に来たくても足を運ぶことのできない一般のお客様。双方のために何かできることはないか。考えた末に同社が企画したのが、自宅のベランダで焼き鳥を焼いて食べられるようにする「ベランディング鳥幸」だった。「焼き鳥を提供するだけでしたら目新しさはないかもしれませんが、店舗と同じように焼き鳥体験ができるのは、当社ならではの魅力だと思っています。」と同氏は語る。実現にあたっては、無料の動画サービスサイト上で焼き師による焼き方動画を配信したり、炭火の香ばしさを再現するために炭の香りをまとわせた「特製チャコールオイル」を開発した。さらには、熱の電動効率が高く、煙を極力発生させない小型の焼き台を家電メーカーと共同開発するなど、商品の細部まで徹底してこだわった。

自宅で本格焼き鳥体験ができる「ベランディング鳥幸」を開発。 生産者支援の一環として、通販事業に着手。焼き鳥だけでなく、焼き台にまでこだわった

クチコミだけで、販売開始から8日間で1,000セット、2カ月目には4,000セット突破!

購入者がSNSに「#ベランディング鳥幸」とタグつけして焼き鳥を焼く楽しげな様子をアップしたところ、その投稿が拡散され、大掛かりなPRをしていないにも関わらず予想以上の反響が出た。2020年6月1日に販売開始後、8日間で1,000セット、2カ月目には4,000セット突破し、その後もコンスタントにひと月あたり約1,500台程度売れ続け、2021年1月には1万台を突破。北は北海道、南は沖縄まで日本全国から注文が来ている状態で、急遽、発送元を店舗から物流センターに切り替えて出荷体制を整えた。食べ終わった後も焼き台が家に残るため、2回目からは焼き鳥のみを注文するだけよく、注文者の約3割がリピーターになっているという。

自宅で本格焼き鳥体験ができる「ベランディング鳥幸」を開発。 クチコミだけで、販売開始から8日間で1,000セット、2カ月目には4,000セット突破!

今後は取り扱う地鶏・銘柄鶏を増やすとともに、焼き鳥以外の商品も充実させていきたい。

当初、通販で取り扱うのは「伊達鶏」と「はかた地どり」だけだったが、現在では比内地鶏、丹波黒どり、土佐はちきん地鶏、川俣シャモなど多くの地鶏・銘柄鶏を扱うようになっている。10月からは希少な地鶏・銘柄鶏を6か月間楽しめるサブスクリプションプランもスタートさせた。日本全国には地鶏・銘柄鶏が100種類近く存在すると言われており「今後も取り扱い数を増やしていきたいです。」と同氏は語る。また、通販では焼き鳥以外にも「親子丼」「からあげカレー」「ピザ」など他業態の商品も積極的に取り入れて販売を行っている。「お客様が自宅で過ごす時間を楽しめるように今後も通販ラインナップの拡充に力を入れていきたいですね。」とさらなる進化を目指している。

自宅で本格焼き鳥体験ができる「ベランディング鳥幸」を開発。 今後は取り扱う地鶏・銘柄鶏を増やすとともに、焼き鳥以外の商品も充実させていきたい。

今は数字よりも、アフターコロナ向けた認知度アップを。

以前は国内外に多くの店舗を展開していた同社だが、コロナが感染拡大した今は、その多くが休業・閉店に追い込まれる厳しい状況が続いている。通販事業は「ベランディング鳥幸」を中心に好調な業績をあげているが、店舗の売上減少を補填するには至っていない。その点について「生産者の支援を重きに置いており、利益は二の次でした。あくまでも生産者支援の一環であり、同時に一人でも多くの人に鳥幸のファンになってもらい、ゆくゆく、コロナが落ち着いた時にお店に足を運んでもらえるようにしたいと思っています。」と同氏は語る。また、「アフターコロナにおいて、今まで通りいつでも外食が出来ることに戻ることも大事ですが、その一方でこの一年のステイホーム、おうちで楽しむことが新たなライフスタイルになりつつあると思います。今後、私達はその新しいライフスタイルを提案していければと考えております。」と続けた。なお、当初はSNS上でしか見かけなかった「ベランディング鳥幸」だが、今では多くのメディアから取材依頼を受けるなど多くの注目を集めている。

自宅で本格焼き鳥体験ができる「ベランディング鳥幸」を開発。 今は数字よりも、アフターコロナ向けた認知度アップを。