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東京トラベルパートナーズの取組み 東京都渋谷区代々木3-22-7 新宿文化クイントビル14階

お話を伺った栗原さんと川口さん

新型コロナウイルスの感染拡大は観光関連事業者に大きなダメージを与えました。会社をたたむ旅行業者が増えている中、新たな旅行のビジネスモデルである「オンラインツアー」でお客様に「旅」を提供している会社があります。介護施設向けに旅行サービスを提供する東京トラベルパートナーズです。具体的な取組みについて代表取締役の栗原茂行さんとマネージャーの川口徹也さんにお伺いしました。

お話を伺った栗原さんと川口さん

スタートは介護旅行

東京トラベルパートナーズは、不動産・介護事業を手掛けるシマダグループの一員として、2016年に創業しました。グループ会社の介護施設からご入居者様を旅行にお連れできないかという相談がきっかけで、ご入居者様にアンケートをとったところ、「旅行に行きたい」と回答した方は約7割でしたが、「ここ1年以内に旅行に行ったか」という質問に「行った」と回答した方はわずかに1割だったのです。この「行きたい」という気持ちを何とか叶えようと始めたのが「旅介(タビスケ)」という介護旅行のサービスです。

最初の介護施設向けの募集旅行で選んだ行先は江の島です。どこに行きたいかお客様に伺ったところ、「海が見たい」という声が一番多かったため、近場で海がある江の島にしました。江の島には水族館もあり、万が一悪天候でも催行でき、施設内はバリアフリーであるという理由から選びました。参加者の方からは、「施設に入ってからも旅行できるとは思わなかった。」「楽しかった。次はうなぎを食べに行きたい」というお声を笑顔とともにいただきました。

介護旅行の課題と解決

介護旅行の課題は、リフト付きバスを用意しなくてはいけないことと、お手伝いのスタッフが必要になることにより、参加人数が少人数であればあるほど旅行代金が高くなることです。また、リフト付きバスを使用した団体ツアーでは、行程途中のお手洗い休憩だけでも40~50分の時間がかかることや、バス駐車場から目的の観光地までの歩く距離が長くなってしまうことなど、オペレーション上の問題も出てきました。そこで、自社で福祉車両を調達し、介護タクシー登録をすることで、少人数でも気軽に旅行に参加してもらえる仕組みを作りました。自社で介護タクシーを持つメリットは、仕入れにかかる費用負担が少なく、どうしても高額になってしまう介護旅行を安価に提供できることです。また、小回りの利く車両であれば、目的地のなるべく近くで乗降していただくことができ、お客様にとってもメリットがあります。

今は、お客様の旅行ニーズに合わせて、100種類程度のバリアフリーツアーを準備しています。これは、既存のツアーなどをバリアフリーにアレンジしながら蓄積していったものです。ツアーの内容は自社スタッフの理学療法士や介護福祉士などの有資格者たちで議論したうえで決定し、手配をしています。

介護施設でオンラインツアーを視聴する参加者

オンラインツアーの撮影の様子

撮影中の専属レポーター

オンラインツアーへのモデル転換

お客様の旅行ニーズで最も多かったのが「桜が見たい」でした。桜のシーズンは毎年、早い段階から予約でいっぱいになるのですが、2020年は新型コロナウイルスの影響で桜のシーズン前にキャンセルが続出しました。そこで、桜を楽しみにしていた人達に、コロナ禍でも桜を見せてあげたいと思いついたのが、オンラインツアーです。
第1回目のオンラインツアーは思うような映像をお届けすることができませんでした。オンラインミーティングツールを利用し、生中継をしたのですが、電波の状況が不安定だったことと画質が悪かったために、桜の美しさが伝わらず、当然、お客様の満足度は上がりませんでした。しかし、楽しみにしているお客様は確かにいるので、「旅する喜びを届けられるクオリティの高いオンラインツアーを目指そう」となりました 。

現在は生中継で綺麗な映像を届けるために、テレビ局でも使用している本格的な中継機材を購入し、フルハイビジョン映像で生中継配信を行っています。撮影にもこだわり、カメラはプロカメラマンに依頼しています。サービス開始当初は、介護施設・医療従事者の方へは無料でお届けしていましたが、2021年9月から「旅介ちゃんねる」として無料会員・有料会員向けに会員制サービスとしてオンラインツアーを行っています。お客様は介護施設に留まらず、在宅のご高齢者や、そのご家族など多岐に渡ります。現在は全国の特別支援学校向けにも無料でオンラインツアーを行い、学校の授業の一環としてご視聴していただいています。

今では、専属のレポーターも数名います。中でも車いすユーザーの女性レポーターは、特別支援学校向け配信に出演してもらっています。高知でイルカと一緒に泳いだり、カヌーに乗ったりと、車いすユーザーでも様々なチャレンジをする姿を見て「いつか自分も」と、生徒達に夢を与えるレポートを行っています。そんな姿にまるで「おねえさん」のような親近感を持って見ているようです。

介護施設でオンラインツアーを視聴する参加者

オンラインツアーの撮影の様子

撮影中の専属レポーター

介護旅行の会社として

私達は「全ての人が気軽に旅行を楽しめる社会を目指す」をミッションとして介護旅行事業を行っています。現在はオンラインツアーのサービスで旅行をお楽しみいただいていますが、「やっぱり早く実際に旅行したい」というお声も多く寄せられます。今後、実際の旅行が再開することを想定して今は準備をしています。具体的には、これまで弊社のツアープランはパンフレットやチラシなどの紙媒体でしか知ることができませんでしたが、ホームページからもツアープランを見て、お申込みができるシステムを構築しています。旅行したい、と思ったら旅介のホームページを見れば数十種類のバリアフリーツアープランを見ることができて気軽に申込もできる、そんなシステムを目指しています。

介護施設に入居している方は、すぐには旅行に行きにくいでしょうから、これからもオンラインツアーを中心に、旅する喜びをお届けしていきますが、実際に旅行できるようになってからもリアルな旅行とオンラインツアーの両方のサービスに力を入れていきたいと思っています。

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観光は誰にとっても自由で、どこへだって行けるはず。
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