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おはようトラベル株式会社の取組み 東京都稲城市東長沼568-11 HPビル2F

お客様の「行きたい!」を全力でサポートする旅行会社として

代表取締役社長 野村国康さん

おはようトラベル株式会社は、高齢のため日常生活に介助が必要な方、または病気や障がいなどで旅行をするために何らかのサポートが必要な方のための旅行会社として2018年に創立されました。主に介護施設や障がいがある方からの旅の相談やオーダーメイドの旅の企画・手配を行っています。また、訪日外国人旅行者向けのサービスとして、アクセシブルツアーの企画や手配、旅行用福祉用具の貸し出しの他、人材養成を目的とした、旅行介助の基本と街歩きガイドのコツを学ぶ「ユニバーサルおもてなし研修」なども実施しています。更に、地方創生SDGs官民連携プラットフォーム「高齢者・障がい者の旅行の環境整備宣言によるユニバーサルツーリズムの推進と地域振興分科会」を主催し、ユニバーサルツーリズムに取り組む地域を増やすために「ユニバーサルおもてなし宣言普及活動」を行っています。お客様の「行きたい!」を全力でサポートするおはようトラベル株式会社 代表取締役社長の野村国康さんにお話を伺いました。

代表取締役社長 野村国康さん

創業の思い

「誰もが好んで歳を取るわけではない。誰もが健常者として生まれてくるわけでもない。いま元気な私たちもいつの日か必ず思うように歩けなくなったり、立てなくなったりすることもある。誰もが高齢者・障がい者になる可能性がある。今サポートが必要な人たちの役に立つことが、いま元気に動ける人たちの仕事である。」尊敬する師がそう話をしたとき、今の自分にできること、やるべきことは何だろうかと考えました。様々な想いを巡らす中で頭に浮かんできたことは、大好きだった祖父が亡くなる少し前に言った「富士山が見たい」という一言でした。

二度目の大腿骨の骨折でベッドから起き上がることもできない状態の97歳の祖父に「何かほしいものはないか?」と不用意に聞きました。返ってきたのは、「もう一度、富士山が見たい」という言葉でした。私はその言葉に応えることができませんでした。この状態の祖父には難しいと思い込んでしまい、その先に考えを進めることが出来ませんでした。そうしたことがずっと私の心の中に残っていました。 その時の後悔を振り払うため、40代後半でそれまで勤務していた会社を辞めて、今の仕事を始めたのが51歳の時でした。小鳥のさえずりや窓から差し込む陽光で目覚める旅の朝のワクワクする「おはよう!」をすべての人に届けたいという思いを込めて「おはようトラベル」という社名にしました。

訪日外国人のアクセシブ・ツーリズムにおける取組み

インバウンドのお客様を浅草にご案内

以前から日本を訪問したいと考えている海外の人にも旅行サービスを提供したいとも考えていました。そこで英語版のホームページを作成したり、ヨーロッパでアクセシブル・ツーリズムの普及に取り組むENAT(European Network for Accessible Tourism)の会合に参加して海外のメンバーと情報交換をしたり、海外のアクセシブル・ツーリズム関連のイベントに参加しては日本の高齢者・障がい者の旅の受入れ環境について情報発信を行ってきています。そんなことから、当初は僅かだった日本のアクセシブルルームや介護タクシーに関する問い合わせ、手配依頼が2023年春以降から欧米を中心に徐々に増え、現在ではおはようトラベルの主要な業務となっています。

具体的なサービス提供の内容は①問い合わせに対する詳細のヒアリングと回答②具体的な旅程の提案と費用の算出③お申し込み後の手配④日本滞在中の支援です。いずれもミスの許されない細かな業務ですが、その中でも特にヒアリングと滞在中の支援には力を入れています。ヒアリングは障害状況(どのような症状で何に困っているのか)や、旅の目的(どんなことをしたいのか)を確認することでカスタマイズされたサービス提供が可能になります。滞在中の支援については、何か困りごとがあれば24時間可能な限りサポートすることで旅行中の不安を解消し、心から日本での旅行を楽しんでもらうよう心掛けています。

しかしながら課題もあります。観光地や主要な交通機関、宿泊施設の情報はある程度持ってはいますが、最新の状況や現場を確認しないとその方が本当に楽しめる環境なのかどうか判断できないため、観光地の提案には細心の注意を払っています。また、観光地によってはアクセシブルな環境が整っていないエリアも少なからずあるので、お客様の要望との調整に多くの時間がかかることもあります。

そんな課題をクリアすることによるベネフィットもあります。訪日外国人旅行者のアクセシブル・ツーリズムはカスタマイズ化された旅であり、通常の旅行手配業務よりも業務量は増えますが、旅行日数も長く、費用面でもフレキシブルなお客様が多いという特徴があります。そして何よりも、日本を離れる際に「あなたのおかげでとても楽しい旅だった」「また日本に来たい」といった言葉をいただい時が何よりの喜びでもあります。

インバウンドのお客様を浅草にご案内

アクセシブル・ツーリズムの環境整備として―旅行用福祉用具レンタルと人材養成

レンタル用品1 電動車いす(画像提供:アビリティーズ・ケアネット株式会社)

レンタル用品2 走行リフト(画像提供:アビリティーズ・ケアネット株式会社)

ユニバーサルおもてなし研修のひとこま

訪日外国人から日本滞在中に車いすを借りたいという声があり、貸し出し事業を開始しました。これは福祉用具レンタル事業者と連携したサービスで、手動車いす・電動車いすのレンタルがメインですが、それと合わせてホテルのベッドに車いすから移乗する際に利用する走行リフトも取り扱っています。走行リフトによるスムーズな車いすからベッドへの移乗というニーズはこれからも増えていくと考えています。

また観光地のガイドをしながら高齢者・障がい者を旅先で介助できる「おもてなし人材」の養成が必要と考え、「ユニバーサルおもてなし研修」を2020年から毎月1回開催しており、これまでに30回近く行い、受講生は延べ200名以上となっています。車いすユーザーなど、障がい当事者を実際にサポートしながら「東京観光バリアフー情報ガイド」に掲載されている東京都の人気スポットを巡ります。①安全安心の旅行介助②旅を楽しくするガイディングのテクニック③用意周到な準備と臨機応変な行程管理の3つのスキルを身に着けてもらうことを目的にユニバーサルツーリズムの専門家が研修を行っています。座学講習と違い、実際の現場でサポート技術を学ぶことで実体験に基づく自信が身についていきます。

レンタル用品1 電動車いす(画像提供:アビリティーズ・ケアネット株式会社)

レンタル用品2 走行リフト(画像提供:アビリティーズ・ケアネット株式会社)

ユニバーサルおもてなし研修のひとこま

日本ユニバーサルツーリズム推進ネットワークの一員として

高齢者・障がい者の旅の取り組み拡大のためには、国内・海外のアクセシブル・ツーリズムに関する実績や意欲がある事業者・団体との連携が必要不可欠と考えています。国内における団体では日本全国で32の組織が加盟している日本ユニバーサルツーリズム推進ネットワークという団体があります。加盟組織がお互いに綿密な連携を図りながら、旅先でのアクセシブル情報や介助支援が受けられるサービスを全国的に構築したいと考え活動している組織です。このネットワークは高齢者・障がい者の各観光地の旅行相談窓口としての機能を持つもので、当社も東京・多摩エリアの窓口となっています。アクセシブル・ツーリズムの環境整備としてこのような相談窓口は必須であり、今後はメンバーの一員として更なるネットワークの拡大と提供サービスの質の向上を図っていきたいと考えています。

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