貸金業者と契約する時に

  • 登録貸金業者かどうかは各登録行政庁で確認できます。
  • 登録されている貸金業者に融資の申込みをする場合でも、慎重に手続をする必要があります。
  • 契約に際しては、借入額や金利、返済期間、担保の提供などの契約内容を事前に書面で十分確認し、納得の上、契約に臨むことが重要です。
  • 貸金業者との契約の手続は、法律で定められています。契約内容や契約手続が法律に基づいて適正に行われているのか疑問を感じたら、一人で悩まず各登録行政庁や日本貸金業協会の窓口にご相談下さい。

1.店舗(営業所)に行ったら確認しよう!

貸金業法では、貸金業者に対して、営業所または事務所ごとに、公衆の見やすい場所に標識(登録票)を掲示することを義務づけています。
店舗では、正規の貸金業者かどうか、登録票を必ず確認しましょう。

重要!貸金業者の登録票を確認しよう

貸金業者登録票

また、店舗では、顧客の見やすい場所(カウンターの脇や現金自動設備(ATM)の横)などに、貸付条件等を掲示することが義務づけられています。

ただし、現金自動設備(ATM)が設置された営業所等の場合、あらかじめ定める条件により継続して貸付けを行う契約(包括契約)に基づく金銭の交付または回収のみを行うものであるときは掲示が行われていないことがあります。

法令知識貸付条件表を確認しよう

  • 貸付けの利率(実質年率の少なくとも小数点以下一位まで)
  • 返済の方式
  • 返済期間および返済回数
  • 貸金業務取扱主任者の氏名
  • 賠償額の予定(違約金を含む)に関する定めをする場合、その元本に対する割合
  • 担保を供する必要がある場合、担保に関する事項
  • 主な返済の例
  • 媒介手数料の計算方法(媒介手数料の割合を含む)

2.契約手続は、慎重に行おう!

貸金業法で定められている契約手続を紹介します。

(1)返済能力調査の実施

個人の借り手が貸金業者に融資を申込んだ場合、貸金業者は契約をする前に、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)が保有する信用情報を利用して、返済能力調査を行う義務があります。その結果、当該貸付契約により、借り手の借入残高が年収の3分の1を超える場合には、総量規制により貸付契約を結ぶことはできません。(ただし、不動産や自動車の購入など、一定の場合に、総量規制の対象とならない契約があります。)
なお、ご自身の信用情報は開示請求することができます。詳しくは、下記HPをご覧ください。

(2)収入証明書の提出

当該貸金業者からの借入金額が50万円を超える場合(既存の借入がある場合は、その残高を含む)や、他の貸金業者を含めた既存の借入金額との合計金額が100万円を超える借入の場合には、貸金業者から収入証明書の提出が求められます。

収入証明書 源泉徴収票、確定申告書、所得証明書、給与明細書(直近2ヶ月分以上)など

(3)契約締結前の書面の交付

申込み後、融資が可能になると、貸金業者は契約書を締結する前に、借り手に対して契約の内容を説明する書面を交付する義務があります。事前に書面が交付されない場合には、貸金業者に対して請求してください。
書面には、契約条件等の法律で定められた項目を記載する必要がありますので、実際に契約を締結する前に、必ず内容を確認しましょう。
なお、金利は、借入額に応じて上限金利(年利)が利息制限法で定められていますので、上限金利以下であることを確認して下さい。

法令知識契約締結前書面に記載が必要である事項

  • 貸金業者の商号、名称または氏名および住所
  • 貸付けの金額(極度方式基本契約の場合は、極度額)
  • 貸付けの利率
  • 返済の方式
  • 返済期間および返済回数(極度方式基本契約の場合は、なし)
  • 賠償額の予定に関する定めがあるときは、その内容
  • その他、内閣府令で定める事項(※)

重要!「その他、内閣府令で定める事項」とは?

※その他、内閣府令で定める事項には、債務者が負担すべき元本及び利息以外の金銭に関する事項があり、その具体例として、事務手数料や調査料などがあります。

法令知識貸金業者の上限金利(利息制限法)

元本が10万円未満 年利20%
元本が10万円以上100万円未満 年利18%
元本が100万円以上 年利15%

利息制限法では、消費貸借上の利息の最高限度を規定し、これを超えるときは超過部分について無効としています。

金利(年利:%)の計算方法

利息の計算方法

利息(円)の計算方法

利息の計算方法

※閏年の場合は、366(日)

重要!利息の計算にチャレンジ!

例:20万円(元金)を実質年率18%で1ヶ月(30日)借りた場合の利息は?

利息の計算方法

※利息は2,958円、返済総額は元本を加えた20万2,958円です。

法令知識みなし利息についてのご注意

出資法および利息制限法では、債権者が金銭消費貸借契約に関して債務者からの金銭を受領したときは、当該金銭は、原則として利息とみなされ(「みなし利息」)、上限金利の規制の対象となります。
例えば、みなし利息と契約上の利息とを合算して年利を算出し、それが上限金利を超えていれば、違法になります。
ただし、債務者が金銭の受領・弁済のために利用する現金自動設備(ATM)の利用料などは、みなし利息から除外されます。

(4)契約締結時の書面の交付

貸金業者は、融資の契約を締結する際、契約内容を明らかにする書面を交付する義務があります。
後々トラブルにならないよう、必ず契約書面の交付を受け、内容をきちんと確認し、納得した上で契約を締結しましょう。

法令知識契約に際して貸金業者から交付される書面(契約内容に応じて交付されます)

  • 極度方式基本を除く貸付けに係る契約締結時の交付書面···①
  • 極度方式基本契約締結時の交付書面···②
  • 保証人に対する保証契約時の交付書面(保証契約に関するもの)
  • 保証人に対する保証契約時の交付書面(貸付に係る契約に関するもの)
  • 保証契約に係る貸付けに係る契約が締結されるつどの保証人に対する交付書面
  • 極度方式保証契約締結時の極度方式基本契約の内容を明らかにする書面

法令知識契約書面に記載が必要である事項(上記書面の①と②の書面に該当)

  • 貸金業者の商号、名称または氏名および住所
  • 契約年月日
  • 貸付けの金額(極度方式基本契約の場合は、極度額)
  • 貸付けの利率
  • 返済の方式
  • 返済期間および返済回数(極度方式基本契約の場合は、なし)
  • 賠償額の予定に関する定めがあるときは、その内容
  • その他、内閣府令で定める事項(※)
    (利息の計算方法、将来支払う返済金額の合計額 など)

重要!「その他、内閣府令で定める事項」とは?

※その他、内閣府令で定める事項には、債務者が負担すべき元本及び利息以外の金銭に関する事項があり、その具体例として、事務手数料や調査料、繰上げ返済手数料などがあります。

なお、契約締結後、契約書面の記載事項のうち貸付けの利率や返済方式などの重要事項を変更した場合には、貸金業者は、改めて契約書面を交付する義務があります。
貸金業者から書面が交付されない場合には、貸金業者に対し請求してください。

(5)保証人に対する書面の交付

保証債務は、債権者と保証人との間の保証契約によって発生します。
保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときは、その履行をする責任を負います。
貸金業者は、主たる債務者に対する場合と同様に、保証人になろうとする者に対し、契約の締結前及び締結時に、貸金業者の商号や保証期間、保証金額などが記載された書面を交付する義務があります。
保証人になる場合は、後々トラブルにならないよう、必ず書面の交付を受け、内容をきちんと確認し、納得した上で契約を締結しましょう。

(6)貸金業者における禁止行為例

貸金業法では、貸金業者が貸付けを行うにあたり、偽りその他不正または著しく不当な行為を行うことが禁止されています。
貸金業者において次のような行為が見られた場合は、登録行政庁や日本貸金業協会にご相談下さい。

  • 契約締結時または変更時における禁止行為
    • 白地委任状およびこれに類する書面を徴求すること
    • 白地手形および白地小切手を徴求すること
    • 印鑑、預金通帳・証書、キャッシングカード、運転免許証、健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活上必要な証明書等を徴求すること
    • 貸付金額に比し、合理的な理由がないのに、過大な担保または保証人を徴求すること
    • クレジットカードを担保として徴求すること
    • 資金需要者に対し、借入申込書等に年収、資金使途、家計状況等の重要な事項について虚偽の内容を記入するなど虚偽申告を勧めること
  • 人の金融機関等の口座に無断で金銭を振り込み、当該金銭の返済に加えて、当該金銭に係る利息その他の一切の金銭の支払いを要求すること
  • 顧客の債務整理に際して、帳簿に記載されている内容と異なった貸付けの金額や貸付日などを基に残存債務の額を水増しし、和解契約を締結すること
  • 貸金業者が、架空名義もしくは借名で金融機関等に口座を開設しまたは金融機関等の口座を譲り受け、債務の弁済に際して当該口座に振り込みを行うよう要求すること
  • 資金需要者等が身体的・精神的な障害等により契約の内容が理解困難なことを認識しながら、契約を締結すること
  • 資金逼迫状況にある資金需要者等の弱みにつけ込み、資金需要者等に一方的に不利となる契約の締結を強要すること

貸金業者と契約する時に