新規就農者育成総合対策
1 新規就農者育成総合対策の実施
国は、農業従事者の減少・高齢化が進む中、青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図る観点から、就農前後の所得確保を目的とした資金面での支援を実施してきました。※
令和4年度からは、新規就農者育成総合対策として、就農前の研修を後押しする資金(就農準備資金)及び就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始資金)を交付する資金面の支援に加えて、新規就農者の経営発展に向けた補助事業(経営発展支援事業)を実施しています。
都内でも、最近、農業後継者だけでなく、農外からの就農も増えてきており、東京農業の力強い展開のための新しい状況が生まれてきています。このため、本事業を活用し、東京都内の新規就農者を支援していきます。
なお、本事業の資金及び補助金は、国が都道府県に配分した予算の範囲内で交付されるものですので、審査会等にて交付対象として採択された者に対して交付します。
※国は、平成24年度から青年就農給付金事業を開始しました。平成29年度に農業次世代人材投資事業に名称変
更、令和3年度で新規採択を終了し、令和4年度から新規就農者育成総合対策に移行しています。
2 新規就農者育成総合対策の内容
(1)「就農準備資金」・・・就農前の研修期間(2年以内)
• 次世代を担う農業者となることを志向し、就農に向けて、農業大学校等の農業経営者育成教育機関、先進
農家又は先進農業法人において研修を受ける者に対して資金を交付
(2)「経営開始資金」・・・経営が不安定な就農直後(3年以内)
• 次世代を担う農業者となることを志向する経営開始直後の新規就農者に対し資金を交付
(3)「経営発展支援事業」・・・新規就農者の経営発展を支援(令和4年度に経営を開始した者)
• 新規就農者の経営開始直後の農業機械・施設の整備等に補助金を交付
(1)就農準備資金
交付主体
- 東京都
主な要件・留意事項
-
① 就農予定時の年齢が、原則50歳未満であり、次世代を担う農業経営者となることについての強い意欲を有
-
していること
② 独立・自営就農又は雇用就農又は親元就農を目指すこと
・独立・自営就農を目指す者については、就農後5年以内に認定就農者又は認定新規就農者となること
・親元就農を目指す者については、家族経営協定等により交付対象者の責任及び役割を明確化すること並び -
に就農後5年以内に経営を継承するか又は農業法人の共同経営者になること
③ 都が認めた研修機関等で概ね1年以上(1年につき概ね1,200時間以上)研修すること
④ 常勤の雇用契約を締結していないこと⑤ 生活保護、求職者支援制度など、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でないこと
⑥ 研修中の事故による怪我等に備えて傷害保険に加入していること
⑦ 前年の世帯所得が600万円以下であること
詳細は、補助金交付要綱をご確認いただき、東京都担当窓口までお問い合わせください。
以下の事項に該当する場合などは、交付停止や返還の対象となります
-
① 研修状況報告を定められた期間内に行わなかった場合
② 適切な研修を行っていない場合
・都が、研修計画に則して必要な技能を習得することができないと判断した場合
③ 研修終了後1年以内に、原則50歳未満で独立・自営就農又は雇用就農又は親元しなかった場合
④ 親元就農者について、就農後5年以内に経営継承しなかった場合又は農業法人の共同経営者にならなかっ -
た場合
⑤ 独立・自営就農者について、就農後5年以内に認定農業者又は認定新規就農者にならなかった場合
⑥ 交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、独立・自営就農又は雇用就農を継続しない場合又はその間の農業 -
従事日数が一定期間(年間150日かつ年間1,200時間)に満たない場合
交付額及び交付期間
-
① 交付額 交付期間1月につき1人あたり12.5万円(年間最大150万円)
② 交付期間 最長2年間
審査会
-
・資金は、国が都道府県に配分した予算の範囲内で交付されるものであるため、審査会を開催して交付対象者
-
を決定します。
・就農準備資金の交付を希望する者は都に必要書類を添えた申込書(補助金交付要綱で指定している様式)を -
提出してください。
・審査会は、「東京都担い手育成総合支援協議会」の協力の下で行われます。交付対象者は、書類審査と面接 -
により、総合的に判断して決定します。
(2)経営開始資金
交付主体
- 区市町村
主な要件・留意事項
-
① 独立・自営就農時の年齢が原則50歳未満の認定新規就農者であり、次世代を担う農業者となることについ
-
ての強い意欲を有していること
-
② 独立・自営就農であること
・ 自ら作成した青年等就農計画に即して主体的に農業経営を行っている状態を指し、具体的には、以下の -
要件を満たしていること
-
-
ア.農地の所有権又は利用権を交付対象者が有していること
イ.主要な機械・施設を交付対象者が所有又は借りていること
ウ.生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷取引していること
エ.交付対象者の農産物等の売上や経費の支出などの経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管 -
理すること
オ.交付対象者が農業経営に関する主宰権を有していること
-
-
③ 親元就農する場合であっても、親の経営から独立した部門経営を行う場合や、就農後5年以内に経営継承
-
して農業経営を開始し、かつ交付対象期間中に新規作目の導入、経営の多角化等経営発展に向けた取組を
-
行い、新規参入者と同等の経営リスクを負っていると認められる場合は対象とする
-
④ 青年等就農計画等が経営開始5年後には農業で生計が成り立つ実現可能な計画であること
⑤ 人・農地プラン(※※)への位置づけ等 -
・区市町村が作成する人・農地プランに中心となる経営体として位置付けられていること(もしくは位置付
-
けられることが確実であること)
・または、農地中間管理機構から農地を借り受けていること
⑥ 生活保護等、生活費を支給する国の他の事業と重複受給でなく、かつ、原則として農の雇用事業による助 -
成を受けたことがある農業法人等でないこと
⑦ 園芸施設共済の引き受け対象となる施設を有している場合は、園芸施設共済等に加入していること(加入 -
することが確実と見込まれること)
⑧ 前年の世帯所得が600万円以下であること
⑨ 就農する地域における将来の農業の担い手として、地域のコミュニティへの積極的な参加に努め、地域の -
農業の維持・発展に向けた活動に協力する意思があること
詳細は、補助金交付要綱をご確認いただき、東京都担当窓口までお問い合わせください。
以下の事項に該当する場合などは、交付停止や返還の対象となります
-
① 農業経営を中止又は休止した場合
② 就農状況報告を定められた期間内に行わなかった場合
③ 就農状況の現地確認等において、適切な農業経営を行っていないと交付主体が判断した場合
④ 前年の世帯所得が600万円を超えた場合
⑤ 交付期間終了後、交付期間と同期間以上、営農を継続をしなかった場合 など
※※「人・農地プラン」の必要性
国は、農業が厳しい状況に直面している中で、持続可能な力強い農業を実現するためには、基本となる人と農地の問題を一体的に解決していく必要があるとしています。このため、それぞれの集落・地域において徹底的な話し合いを行い、集落・地域が抱える人と農地の問題を解決するための「未来の設計図」となる「人・農地プラン」を作成することを促しています。 経営開始資金の資金の交付を受ける者は、当該区市町村のプランの中で、その地域の中心となる経営体(農業者)として位置づけられることが望ましいです。
交付額及び交付期間
-
① 交付額 交付期間1月につき1人あたり12.5万円(年間最大150万円)
・夫婦で経営を開始し、家族経営協定を締結、主要な経営資産を夫婦で所有、夫婦とも人・農地プランに位 -
置づけられた者等となっている場合の交付額は1.5倍
② 交付期間 最長3年間(経営開始後3年目分まで)
審査会
-
・資金は、国が都道府県に配分した予算の範囲内で交付されるものであるため、区市町村の審査会を経たうえ
-
で都が交付対象者を決定します。
・経営開始資金の交付を希望する新規就農者は区市町村に必要書類を添えた申込書(補助金交付要綱で指定し -
ている様式)を提出してください。
・交付対象者は、書類審査と面接により、総合的に判断して決定します。
(3)経営発展支援事業
交付主体
- 区市町村
主な要件・留意事項
-
① 独立・自営就農時の年齢が原則50歳未満の認定新規就農者であり、次世代を担う農業者となることについ
-
ての強い意欲を有していること
② 令和4年度中に、以下の要件を満たす独立・自営就農者であること -
-
ア.農地の所有権又は利用権を交付対象者が有していること
イ.主要な機械・施設を交付対象者が所有又は借りていること
ウ.生産物や生産資材等を交付対象者の名義で出荷取引していること
エ.交付対象者の農産物等の売上や経費の支出などの経営収支を交付対象者の名義の通帳及び帳簿で管 -
理すること
-
オ.交付対象者が農業経営に関する主宰権を有していること
-
-
③ 認定新規就農者として認定されていること
④ 青年等就農計画等が経営開始5年後までに農業で生計が成り立つ実現可能な計画であること⑤ 経営の全部又は一部を継承する場合は、継承する農業経営に従事してから5年以内に継承して農業経営を
-
開始する者であり、継承する農業経営の現状の所得、売上又は付加価値を10%以上増加させる、又は生産
-
コストを10%以上減少させる事業計画と事業実施主体に認められること
-
⑥ 人・農地プラン(※※)への位置づけ等
-
・区市町村が作成する人・農地プランに中心となる経営体として位置付けられていること(もしくは位置
-
付けられることが確実であること)
・または、農地中間管理機構から農地を借り受けていること
⑦ 雇用就農資金による助成を受けたことがある農業法人等でないこと
⑧ 機械・施設の取得費用等について、交付対象者本人が金融機関から融資を受けていること
⑨ 就農する地域における将来の農業の担い手として、地域のコミュニティへの積極的な参加に努め、地域の -
農業の維持・発展に向けた活動に協力する意思があること
-
詳細は、補助金交付要綱をご確認いただき、東京都担当窓口までお問い合わせください。
補助対象等
- ① 事業内容
- ア.機械・施設等の取得、改良又はリース
- イ.家畜の導入
- ウ.果樹・茶の新植・改植
- エ.農地等の造成、改良又は復旧
- ② 国の他の助成事業の対象として整備するものではないこと(融資に関する利子の助成措置を除く)
- ③ ①の個々の事業内容ごとに以下の基準を満たすこと
-
ア.事業費が整備等内容ごとに50万円以上であること
- イ.機械・施設等の購入先の選定を一般競争入札の実施又は農業資材比較サービスの活用等による複数の
- 見積もり徴収等により事業費の減収に向けた取組を行うこと
- ウ.事業対象となる機械・施設等は、法定耐用年数がおおむね5年以上20年以下のものであること(中
- 古機械・施設等の場合は、耐用年数が2年以上あること)
- エ.運搬用トラック、パソコン、倉庫、バックホー等農業経営の用途以外に容易に供されるような汎用性
- の高いものではないこと
- オ.整備を予定している機械・施設等が経営発展支援事業計画等の成果目標の達成に直結するものである
- こと
- カ.園芸施設共済、農機具共済、民間事業者が提供する保険又は施工業者による保証等の加入等、気象災
- 害等による被害に備えた措置がなされるものであること
- キ.「農業分野におけるAI・データに関する契約ガイドライン」で対象とするデータ等を取得する場合
- は、そのデータ等の保管について取り決めた契約がガイドラインに準拠していること
- ク.導入した機械・施設等について財産管理台帳を作成し、耐用年数が経過するまでの間保管すること
助成額等
-
① 補助率 3/4以内(国:1/2以内、都:1/4以内)
② 補助対象事業費の上限 1,000万円(経営開始資金の交付対象者は500万円以内)
・夫婦で経営を開始し、家族経営協定を締結、主要な経営資産を夫婦で所有、夫婦とも人・農地プランに位 -
置づけられた者等となっている場合は補助対象事業費の上限は1.5倍
補助対象者の決定方法
-
・経営発展支援事業の助成を受けようとする者は、区市町村に経営発展支援事業計画書等(補助金交付要綱で
-
指定している様式)を提出してください。
・都は、申請された経営発展支援事業計画書の取組ごとに、東京都新規就農者育成方針に基づきポイントを付 -
与した都道府県経営発展支援事業計画書を国に提出します。
・国は、経営発展支援事業の助成を受けようとする者の取組をポイント順に予算の範囲内で採択します。
3 関係要綱等
国の実施要綱
-
(令和4年3月29日付け3経営第3142号農林水産事務次官依命通知)
-
o 新規就農者育成総合対策実施要綱 別記1(経営発展支援事業).pdf
o 新規就農者育成総合対策実施要綱 別記2(就農準備資金・経営開始資金).pdf
都の補助金交付要綱等
-
o 新規就農者育成総合対策(就農準備資金)費補助金交付要綱(令和4年4月1日付4産労農振第154号)
-
o 新規就農者育成総合対策(経営開始資金)費補助金交付要綱(令和4年4月1日付4産労農振第155号)
-
o 経営発展支援事業費補助金交付要綱(令和4年4月1日付4産労農振第156号)
-
o 東京都新規就農者育成方針(令和4年5月23日)
4 新規就農者育成総合対策に関する問い合わせ先
農林水産省 経営局 就農・女性課 就農促進グループ(国の事業に関する相談)
電話:03-3502-8111(代) 内線5195
東京都 産業労働局 農林水産部 農業振興課(東京都内に関すること)
電話:03-5000-7185
電話:03-5320-4814
東京都農業振興事務所 農務課(島しょ地域を除く)
電話:042-548-4862
※島しょ地域は、各支庁にお問い合わせ下さい。
5 新規就農者育成総合対策に関係する情報(農林水産省)
事業に関する情報は、以下をご参照ください。
お問い合わせ
- 産業労働局 農林水産部 農業振興課 普及担当
- 電話:03-5000-7185
- 電話:03-5320-4814