労働情勢(2024年2月29日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和5年分結果確報

 厚生労働省は2月27日、「毎月勤労統計調査(令和5年分結果確報)」を公表した。
 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比1.2%増の32万9,778円となった。総実労働時間は前年比0.1%増の136.3時間となり、このうち所定外労働時間は前年比0.9%減の10.0時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年比2.5%減となった。

毎月勤労統計調査 令和5年12月分結果確報

 厚生労働省は2月27日、「毎月勤労統計調査(令和5年12月分結果確報)」を公表した。 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比0.8%増の57万2,334円となった。総実労働時間は前年同月比0.9%減の136.1時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比3.8%減の10.1時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比2.1%減となった。

1月の完全失業率は2.4%で前月から0.1ポイント低下―総務省労働力調査

 総務省統計局は3月1日、「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)1月分」を公表した。
 1月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,714万人で前年同月に比べ25万人増加し、18か月連続の増加となった。完全失業者数は163万人で、前年同月に比べ1万人減少し、2か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「情報通信業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「製造業」などが増加となった。

1月の有効求人倍率は1.27倍で前月と同水準― 一般職業紹介状況

 厚生労働省は3月1日、「一般職業紹介状況(令和6年1月分)」を公表した。
 1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.27倍(正社員1.00倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.03ポイント低下し、1.74倍であった。

「企業の賃金決定に係る調査」の結果を公表<労働政策研究・研修機構>

 労働政策研究・研修機構は2月16日、「企業の賃金決定に係る調査」の結果を公表した。この調査は、2023年1月から2月にかけて、全国の従業員数30人以上の企業を対象に実施された(有効回収数2,530件)。
 2022年に賃上げを実施した企業を対象に、その効果を尋ね、各項目の該当割合(「そう思う」、「ややそう思う」の合計)を集計すると、「既存の社員のやる気が高まった」が32.3%と最も多く、次いで「社員の離職率が低下した」(17.6%)、「企業イメージが向上した」(12.0%)となった。
 2022年の賃金改定の決定の際に、企業全体として最も重視した要素を尋ねると、「企業の業績」が37.9%と最も多く、次いで「労働力の確保・定着」(21.4%)、「雇用の維持」(15.3%)となった。

2024年度「賃上げに関するアンケート」調査の結果を公表<東京商工リサーチ>

 東京商工リサーチは2月20日、2024年度「賃上げに関するアンケート」調査の結果を公表した。この調査は2024年2月に企業を対象に実施された(有効回答4,527社)。
 調査結果によると、2024年度に賃上げを「実施する」と回答した企業は85.6%であった。2023年度に賃上げを「実施した」企業の84.8%を0.8ポイント上回り、定期的な調査を開始した2016年度以降の最高を更新した。
 2024年度に賃上げを「実施する」と回答した企業に賃上げ率を尋ねると、レンジ別で最も多かったのが「3%以上4%未満」(32.7%)、次いで「5%以上6%未満」(19.6%)、「2%以上3%未満」(19.5%)となった。

「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を公表<帝国データバンク>

 帝国データバンクは2月21日、「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を公表した。この調査は2024年1月に全国の企業を対象に実施された(有効回答企業1万1,431社)。
 2024年度の賃金動向について尋ねると、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある」と見込む企業は59.7%と3年連続で増加し、2006 年の調査開始以降で最高を更新した。
 2024年度に賃金改善が「ある」と見込む企業にその理由(複数回答)を尋ねると、「労働力の定着・確保」が 75.3%と最も多く、次いで「従業員の生活を支えるため」(63.7%)、「物価動向」(51.6%)となった。

「人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)」の結果を公表<帝国データバンク>

 帝国データバンクは2月26日、「人手不足に対する企業の動向調査(2024年1月)」の結果を公表した。この調査は2024年1月に全国の企業を対象に実施された(有効回答企業1万1,431社)。
 2024年1月時点における従業員の過不足状況について尋ねると、正社員が「不足」と感じている企業は52.6%と、前年同月から0.9ポイント上昇した。非正社員が「不足」と感じている企業は29.9%と、前年同月から1.1ポイント減少した。
 正社員の人手不足割合を業種別にみると、「情報サービス」が77.0%と最も多く、次いで「建設」(69.2%)、「旅館・ホテル」(68.6%)となった。

「中小企業の雇用・賃金に関する調査」の結果を公表<日本政策金融公庫>

 日本政策金融公庫は2月28日、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」の結果を公表した。この調査は、2023年12月に、同公庫の取引先(中小企業事業)を対象に実施された(有効回答数4,861社)
 調査結果によると、2023年12月の正社員数の増減について、「増加」と回答した企業は25.3%(前年23.6%)、「減少」と回答した企業は24.7%(同25.8%)となった。業種別にみると、情報通信業(38.1%)、宿泊・飲食サービス業(31.9%)、倉庫業(31.0%)などで「増加」の割合が高い。
 2023年12月の正社員の給与水準について、「上昇」と回答した企業は68.0%と、前年から14.9ポイント上昇した。「上昇」と回答した企業にその背景を尋ねると、「物価の上昇」が25.2%と最も多く、次いで「自社の業績が改善」(21.6%)、「最低賃金の動向」(19.7%)となった。

「令和5年度企業行動に関するアンケート調査」の結果を公表<内閣府>

 内閣府は2月29日、「令和5年度企業行動に関するアンケート調査」の結果を公表した。この調査は、2024年1月に、東京証券取引所及び名古屋証券取引所の上場企業を対象に実施された(回答企業数1,439社)。
 調査結果によると、今後3年間(令和6~8年度平均)に雇用者を増やす見通しの企業の割合(全産業)は75.8%(前年度調査73.6%)で、雇用者を減らす見通しの企業の割合は9.9%(同11.2%)となった。
 雇用者数を増やす見通しの企業の割合を産業別にみると、製造業では73.8%(同68.8%)、非製造業では77.4%(同77.4%)となった。

「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定<厚生労働省>

 厚生労働省は2月8日、「家事使用人の雇用ガイドライン」を策定し、公表した。
 個人宅に出向き、家庭と直接労働契約を結び、その指示のもと家事一般に従事する家事使用人には労働基準法が適用されず、労働政策研究・研修機構が実施した「家事使用人の実態把握のためのアンケート調査」(2023年9月公表)では、業務内容や就業時間などが不明確であるため契約をめぐるトラブルが発生する、就業中のケガに対する補償が十分ではないといった問題があることが指摘された。こうした状況を踏まえ、本ガイドラインにおいては、家事使用人の就業環境の改善に向けて、雇用主である家庭が、家事使用人と労働契約を結ぶ際や就業中に留意すべき事項が示されている。

技能実習制度及び特定技能制度の見直しに関する政府の対応を決定<外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議>

 政府は2月9日、第17回「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」を開催し、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書を踏まえた政府の対応を決定した。
 決定された方針では、現行の技能実習制度を発展的に解消し、人手不足分野における人材確保及び人材育成を目的とする育成就労制度を創設することとされ、基本的には3年間の就労を通じた育成期間において特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指すものとされた。特定技能制度については、適正化を図った上で存続させる。
 本人の意向による転籍については、同一業務区分内に限り、「同一の受入れ機関において就労した期間が一定の期間を超えていること」や「技能検定試験基礎級等及び一定の水準以上の日本語能力に係る試験に合格していること」などの要件を満たした場合には認められるものとされ、「一定の期間」については、当分の間、受入れ対象分野ごとに1年から2年までの範囲内で設定するものとされた。

「2024年問題」に対応するための物流関連2法の改正案を閣議決定 

 働き方改革に関する法律が4月から適用されることに伴って物流の停滞が懸念される「2024年問題」に対応し、物流の持続的成長を図ることを目的に、2月13日、「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案」が閣議決定された。
 法律案は、荷主(発荷主・着荷主)や物流事業者(トラック、鉄道、港湾運送、航空運送、倉庫)に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定するとし、その取組状況について、国が判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施するとしている。
 また、一定規模以上の事業者を特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、中長期計画に基づく取組の実施状況が不十分の場合、勧告・命令を実施することとしている。
 一方、トラック事業者の取引については、元請事業者に実運送体制管理簿の作成を義務付け、荷主・トラック事業者・利用運送事業者に対しては、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む。)等について記載した書面による交付等を義務付ける。

「2030年度に向けた政府の中長期計画」をとりまとめ<我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議>

 政府は2月16日、第4回「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」を開催し、「2030年度に向けた政府の中長期計画」をとりまとめた。2023年6月に決定した「物流革新に向けた政策パッケージ」に盛り込まれた各種施策について2030年度までのロードマップを作成し、荷待ち・荷役の削減、積載率向上、モーダルシフト、再配達削減等を図り、2030年度に不足する輸送力を補うことを目指すものである。
 中長期計画では、荷主や物流事業者における自動化・機械化設備・システム投資を支援することによって、2030年度までにトラックドライバー1人当たりの荷待ち・荷役作業等時間を2019年度比で年間125時間以上削減することを目指すこととされた。「標準的運賃」の8%引上げを通じて波及する運賃改定の効果等により2024年度に10%前後の賃上げ効果があると推計されている。
 同日、首相官邸において「物流革新・賃上げに関する意見交換会」が開催され、岸田首相は、昨年実施した点検において道路貨物運送業では価格転嫁を十分に受け入れていない発注者の割合が半数を超えたことに触れ、「この結果を重く受け止め、労務費等の適正な価格転嫁により、物流に関わる中小零細事業者の賃金を大幅に引き上げていく必要がある」と述べた。

「2024年度診療報酬改定に関する談話」を公表<連合>

 連合は2月14日、「2024年度診療報酬改定に関する談話」を公表した。
 談話は、「医療従事者の賃上げに向けた診療報酬上の評価や、切れ目のない医療の確保に向けた入院・外来医療の機能分化・連携強化、介護サービスなどとの連携推進、小児・周産期医療への支援充実、明細書の無料発行義務の免除規定廃止などが盛り込まれたことについては、概ね評価できる」としている。全ての医療従事者の処遇改善に資する改定となるよう意見反映に努めてきた結果、「診療報酬全体の改定率+0.88%のうち0.61%は『看護職員や病院薬剤師などの処遇改善』対応分とされるなど、賃上げを重点に置いた改定が行われることとなった」と評している。

共同声明「訪問介護の基本報酬引き下げの撤回を 介護従事者も利用者も自分らしく生きられる介護保険サービスに」を公表<全労連等>

 全労連、全日本民医連、中央社会保障推進協議会等は2月29日、共同声明「訪問介護の基本報酬引き下げの撤回を 介護従事者も利用者も自分らしく生きられる介護保険サービスに」を公表した。
 声明では、4月から施行される報酬改定において、訪問介護の基本報酬が引き下げられたことについて、「国がどこまで介護人材不足に向き合っているかに疑問を持たざるを得ません」と批判した上で、改定案の撤回を求めている。
 その上で、行き届いた介護を実現するためには、「公費負担割合の引上げなど、社会保障費を大幅に増やし、介護従事者の大幅な処遇改善と増員を図ることが何よりも必要」との意見を表明している。

「博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に向けた提言」を公表<経団連>

 経団連は2月20日、「博士人材と女性理工系人材の育成・活躍に向けた提言」を公表した。国際的な人材獲得競争が激化するなか、ビジネスモデルの変革や新規事業の創出に取り組むうえで、企業がイノベーションを起こす高度専門人材の育成・獲得・活用に注力することが極めて重要との認識のもと、高度専門人材に焦点をあて、博士人材と女性理工系人材の育成・活躍について、提言を取りまとめたものである。
 提言は、博士人材の育成・活躍に向けて、企業において、「高度専門人材の育成・活用の一環として、自社が求める人材像に見合った博士人材の採用に取り組むとともに、従業員による修士号・博士号の取得を促進・支援することを検討すべき」としている。
 また、「企業、教育機関、政府は連携して、初等中等教育段階から、女性理工系人材の育成・活躍に取り組む必要がある」としている。

「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」の結果を公表<日本商工会議所・東京商工会議所>

 日本商工会議所及び東京商工会議所は2月14日、「中小企業の人手不足、賃金・最低賃金に関する調査」の結果を公表した。この調査は、2024年1月に、全国の中小企業を対象に実施された(回答企業数2,988社)。
 2024年の賃上げについて尋ねると、「業績が好調・改善しているため賃上げを実施予定」が24.4%(前年度から2.4ポイント増加)、「業績の改善がみられないが賃上げを実施予定」が36.9%(前年度から0.7ポイント増加)となった。
 また、2023年10月の最低賃金引上げを受け、「最低賃金を下回ったため、賃金を引上げた」企業は38.4%、「最低賃金を上回っていたが、賃金を引上げた」企業は29.8%となった。

「仕事と育児・介護の両立支援対策についての報告書に対する意見書」を公表<日本労働弁護団>

 日本労働弁護団は2月2日、「仕事と育児・介護の両立支援対策についての報告書に対する意見書」を公表した。2023年12月に厚生労働省が公表した労働政策審議会建議「仕事と育児・介護の両立支援対策の充実について」の問題点を指摘し、弁護団として、さらなる改善点等についての意見を述べたものである。
 意見書は、労働政策審議会の建議について、長時間労働の是正の観点が希薄である点や、転居を伴う配置転換命令に対する規制の検討が不十分である点を批判している。
 また、「柔軟な働き方を実施するための措置」、所定外労働及び深夜業の制限、子の看護休暇制度について、対象となる子の年齢を小学校6年生まで引き上げるべきだと主張している。

「『ライドシェア』解禁に反対する緊急声明」を公表<日本労働弁護団>

 日本労働弁護団は2月26日、「『ライドシェア』解禁に反対する緊急声明」を公表した。
 声明では、「あらゆる『ライドシェア』解禁は、これまでのタクシー事業の適正化に対する政策に対して逆行し、『白タク』によりタクシーの供給過剰を招いてタクシー労働者の労働条件を悪化させるものであり、断じて容認できない」との姿勢が表明されている。
 また、東京都内で、普通第二種運転免許を持たなくても、普通第一種運転免許を取得して1年以上の運転者であれば、タクシー事業者との間で雇用契約を締結することで、自家用車を用いて有償旅客運送が可能となる旨が報じられている点について、声明は、「よりによって交通量の多い都内で、二種免許を持たぬ   一般の運転者に有償旅客運送を許すことは、利用者の利益の安全(道路運送法1条)を減殺させ、これによって確保されてきた公共交通の安全性を脅かすものである」と批判している。

2 主要労働統計



※( )内は前月

労働力状態<全国・1月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,877万人(6,910万人)
就業者数 6,714万人(6,754万人) 前年同月比25万人の増加
完全失業者数 163万人(156万人) 前年同月比1万人の減少
完全失業率【季節調整値】 2.4%(2.4%)

労働市場<東京都・1月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 130,983人(127,818人)
月間有効求人数 208,701人(210,133人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.74倍(1.74倍)<全国:1.27倍(1.27倍)>
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・12月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額 760,534円(370,614円)
定期給与 346,436円(346,789円)
特別給与 414,098円(23,825円)
総実労働時間数 138.7時間(141.3時間)
所定内労働時間数 127.2時間(129.5時間)
所定外労働時間数 11.5時間(11.8時間)

倒産状況<東京都・2月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 122件(131件)<全国:712件(701件)>
負債総額 36,117百万円(22,130百万円)<全国:139,596百万円(79,123百万円)>

 倒産件数は、122件(前年同月比38.6%増)と、18か月連続で前年同月を上回った。負債総額は、361億1,700万円(前年同月比25.7%増)となった。負債額10億円以上の倒産は4件(前年同月5件)となった。業種別件数ではサービス業(24件)、卸売業(21件)、建設業(18件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は90件となり、倒産件数における構成比は73.8%となった。倒産企業総従業員数は551人となり、前年同月の500人と比べ10.2%増となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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