労働情勢(2024年7月31日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
毎月勤労統計調査 令和6年5月分結果確報
厚生労働省は7月25日、「毎月勤労統計調査(令和6年5月分結果確報)」を公表した。
事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比2.0%増の29万7,162円となった。総実労働時間は前年同月比1.0%増の136.8時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比2.0%減の9.8時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比1.3%減となった。
6月の完全失業率は2.5%で前月から0.1ポイント低下ー総務省労働力調査
総務省統計局は7月30日、「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)6月分」を公表した。
6月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,822万人で前年同月に比べ37万人増加し、23か月連続の増加となった。完全失業者数は181万人で、前年同月に比べ2万人増加し、3か月連続の増加となった。産業別就業者では、前年同月比で「卸売業,小売業」、「学術研究,専門・技術サービス業」などが増加となった。
6月の有効求人倍率は1.23倍で前月から0.01ポイント低下ー一般職業紹介状況
厚生労働省は7月30日、「一般職業紹介状況(令和6年6月分)」を公表した。
6月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.01ポイント低下し、1.23倍(正社員1.00倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.07ポイント上昇し、1.82倍であった。
「令和5年度雇用均等基本調査」の結果を公表ー厚生労働省
厚生労働省は7月31日、「令和5年度雇用均等基本調査」の結果を公表した。この調査は、男女の均等な取扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的に実施されている。
係長相当職以上の女性管理職等を有する企業割合を役職別にみると、部長相当職ありの企業は12.1%(令和4年度12.0%)、課長相当職ありの企業は21.5%(同22.3%)、係長相当職ありの企業は23.9%(同22.9%)となった。管理職等に占める女性の割合は、部長相当職では7.9%(令和4年度8.0%)、課長相当職では12.0%(同11.6%)、係長相当職では19.5%(同18.7%)となった。
育児休業取得者の割合については、女性が84.1%(令和4年度80.2%)、男性が30.1%(令和4年度17.13%)となった。
「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を公表ー厚生労働省
厚生労働省は7月25日、「令和5年労働安全衛生調査(実態調査)」の結果を公表した。
事業所調査の結果によると、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1か月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%(令和4年調査13.3%)となった。
個人調査の結果によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者の割合は82.7%(令和4年調査82.2%)となった。その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の失敗、責任の発生等」が39.7%と最も多く、次いで「仕事の量」(39.4%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」(29.6%)となった。
各府省におけるハラスメント相談に関する調査結果を公表ー人事院
人事院は7月5日、各省庁におけるハラスメント相談に関するアンケート調査結果を公表した。(常勤及び非常勤の一般職の国家公務員職3千人を対象とし、令和5年12月から令和6年1月までに実施。)
ハラスメントを受けたと感じたことがある職員は約3割、ハラスメントと思われる行為を見かけたことがある職員は約4割、両者ともハラスメントの内容はパワハラ(暴言)が最も多かった。
また、ハラスメントを受けたと感じたことがある職員のうち、相談した職員約4割で、相談先は上司が68.4%と最も多く、同僚が44.4%、公務内の相談窓口が16.8%となった。ハラスメントと思われる行為を見かけたことがある職員にうち、相談をした職員は約3割、相談先は上司が71.6%と最も多く、同僚が42.2%、人事担当部局が13.8%となった。
相談先として公務内相談窓口を選択しなかった理由は、「相談窓口より身近な人の方が相談しやすいから」が約6割で最も多かった
2024年上半期の倒産集計を公表ー帝国データバンク
帝国データバンクは7月5日、2024年上半期(1~6月)の倒産集計(負債額1,000万円上)を公表した。倒産件数は4,887件で、前年同期4,006件の22.0%増となり、2年連続で前年同期を上回った。
業種別では、サービス業が1,228件(前年同期比28.2%増)で最も多く、小売業が1,029件(同23.4%増)、建設業917件(同15.3%増)となった。
また、道路貨物運送業の倒産件数は186件(前年同期比39.8%)となり、4年連続で増加した。倒産要因として多く見られたのが、燃料価格の高騰と人件費負担だった。
さらに、人手不足が理由で倒産した件数は182件(前年同期比65.5%)となり、通年で過去最多となっている。
長時間労働が疑われる事業場に対する令和5年度の監督指導結果を公表ー厚生労働省
厚生労働省は7月25日、令和5年度に労働基準監督署が長時間労働が疑われる事業場に対して実施した監督指導の結果を公表した。この監督指導は、各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場や、長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場を対象としている。
令和5年4月から令和6年3月までに26,117事業場に対し監督指導が実施され、21,201事業場(81.2%)で労働基準関係法令違反が認められたという。主な法違反は、違法な時間外労働があったものが11,610事業場(44.5%)、賃金不払残業があったものが1,821事業場(7.0%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが5,848事業場(22.4%)であった。
外国人技能実習生の実習実施者に対する令和5年の監督指導、送検等の状況を公表ー厚生労働省
厚生労働省は7月31日、全国の労働局や労働基準監督署が令和5年に外国人技能実習生の実習実施者(技能実習生が在籍している事業場)に対して行った監督指導や送検等の状況について公表した。
令和5年には、労働基準関係法令違反が疑われる実習実施者に対して10,378件の監督指導が実施され、その73.3%に当たる7,602件で同法令違反が認められたという。主な違反事項は、多い順に、使用する機械等の安全基準(23.6%)、割増賃金の支払(16.5%)、健康診断結果についての医師等からの意見聴取(16.2%)となった。
一方、技能実習生から労働基準監督署に対して労働基準関係法令違反の是正を求めてなされた申告の件数は141件であり、主な申告内容は、多い順に、賃金・割増賃金の不払(114件)、解雇手続の不備(35件)、支払われる賃金額が最低賃金額未満(6件)となった。
自動車運転者を使用する事業場に対する令和5年の監督指導、送検等の状況を公表ー厚生労働省
厚生労働省は7月30日、全国の労働局や労働基準監督署が、令和5年にトラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導や送検等の状況について取りまとめ、公表した。
監督指導を実施した事業場は3,711事業場であり、このうち、労働基準関係法令違反が認められたのは3,049事業場(82.2%)であった。また、改善基準告示違反が認められたのは1,999事業場(53.9%)であった。
主な労働基準関係法令違反事項は、多い順に、労働時間(46.9%)、割増賃金の支払(21.2%)、時間把握(8.0%)であった。主な改善基準告示違反事項は、多い順に、最大拘束時間(39.2%)、総拘束時間(30.7%)、休息期間(28.1%)であった。
令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について答申ー中央最低賃金審議会
厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月25日、令和6年度地域別最低賃金額改定の目安について答申した。この答申は、6月25日に開催された第68回中央最低賃金審議会で、厚生労働大臣から今年度の目安についての諮問を受け、同日に「中央最低賃金審議会目安に関する小委員会」を設置し、5回にわたる審議を重ねて取りまとめた「目安に関する公益委員見解」等を、地方最低賃金審議会に提示するものである。
各都道府県の引上げ額の目安については、Aランクが50円、Bランクが50円、Cランクが50円とされた。仮に目安どおりに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,054円となる。この場合、全国加重平均の上昇額は50円(昨年度は43円)となり、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となる。引上げ率に換算すると、5.0%(昨年度は4.5%)となる。
今後は、各地方最低賃金審議会で、この答申を参考にしつつ、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議の上、答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなる。
2024春季生活闘争まとめを確認ー日本労働組合総連合会
連合は7月19日、2024春季生活闘争まとめを確認した。
公表された「2024春季生活闘争まとめ~評価と課題~」では、連合が賃上げに改めて取り組んだ 2014 年以降では最も高く、1991 年以来となる定昇込み 5%台の賃上げが実現した。定昇除く賃上げ分は過年度物価上昇率を上回った。デフレマインドを払しょくし、わが国経済社会のステージ転換をはかる正念場であるとの時代認識を労使で共有するとともに、物価高による家計への影響、人手不足による現場の負担増などを踏まえ、産業・企業、さらには日本経済の成長につながる「人への投資」の 重要性について、中長期的視点を持って粘り強く真摯に交渉し、主体的に大きな流れを作った結果と言える。ステージ転換に向けた大きな一歩として受け止める」との評価がなされている。
一方で、「人材確保のために初任給を大幅に引き上げる一方、中高年層への配分を相対的に抑制するなどの傾向もあるものと推測される。人材の定着やモチベーションの維持・向上などの観点も含めて、賃上げ後の賃金カーブを点検する必要がある」としている。
「2024年度地域別最低賃金改定の目安に関する談話」を公表ー日本労働組合総連合会
連合は7月25日、「2024年度地域別最低賃金改定の目安に関する談話」を公表した。
談話は、「最低賃金近傍で働く労働者の暮らしを重視しつつ、公労使で真摯な議論を尽くした結果として受け止める。今次の春季生活闘争の成果を未組織の労働者へと波及させ、社会全体の賃金底上げにつながり得る点は評価できる」としている。
一方で、「中期的には一般労働者の賃金中央値の6割水準をめざし、最低賃金の着実な引き上げを継続する必要がある」としている。
談話「物価高騰から暮らしを守り、さらに生活改善をはかるため 地方最賃審議会で目安を大幅に上回る引き上げを勝ちとろう」を公表ー全国労働組合総連合
全労連は7月26日、談話「物価高騰から暮らしを守り、さらに生活改善をはかるため 地方最賃審議会で目安を大幅に上回る引き上げを勝ちとろう」を公表した。
談話は、「現在の最低賃金は絶対額として最低生計費を賄えていない(労働者側見解)との指摘がされている。労働者の賃上げによる経済の活性化にもつながらない、一桁足りない目安と言わざるを得ない」と批判している。また、「日本の最低賃金の水準は欧米の水準に届いていない。全労連は、政府に対し、「2030年代半ば」を多少早めるのではなく、全国一律制の最低賃金制度へ転換し、ただちに1500円以上にすることへの決断を求める。「価格転嫁の遅れ」を指摘するならば、まず全国一律制度を実現し、最低賃金を大幅に引き上げ、価格転嫁を促し、必要な中小企業支援をすべきだ。」としている。
その上で、「組合員の総力をあげて、目安額を上回る大幅な引き上げで、地域間格差の解消に全力をあげる。同時に、全国一律最低賃金制度の確立に向けていっそう奮闘する決意である」としている。
地域別最低賃金額改定の目安に対するコメントを公表ー日本商工会議所
日本商工会議所は7月24日、「地域別最低賃金額改定の目安に対する小林会頭コメント」を公表した。
コメントでは、「中小企業・小規模事業者の賃上げへの対応は二極化し、労務費を含む価格転嫁も未だ十分進んでいない。また、同じ都道府県でも地域や業種によって状況が異なる。地方最低賃金審議会の審議では、隣県との競争を過度に意識することなく、企業の実態を十分に踏まえた明確な根拠に基づく審議決定を求める」との考えが示され、政府に対し、「中小企業・小規模事業者の自発的かつ持続的な賃上げに向け、生産性向上の支援と価格転嫁の商習慣化に向けた取組みをより強力に進めるとともに、最低賃金の大幅な引上げが企業経営や地域の雇用に与える影響について必要な調査・研究を行われたい」との要請がなされている。
「2024年6月(第149回)景気定点観測アンケート調査」の結果を公表ー経済同友会
経済同友会は7月11日、会員の経営トップマネジメント等を対象に実施した「2024年6月(第149回)景気定点観測アンケート調査結果」を公表した。
調査結果によると、景気の現状について「拡大している」(2.1%←前回4.3%)、「緩やかに拡大している」(56.9%←同67.6%)の割合が減少し、「緩やかに後退している」(6.9%←同4.9%)、「後退している」(1.1%←同0.0%)の割合が増加したことから、景気判断指数は大幅に低下(26.0←同35.7)となった。
また、2025年の賃上げ予定について、「実施予定」(67.6%←前年同期46.0%)、「実施予定はない」(5.0%)、「その他」(27.4%)となった。賃上げの方法(内容)(複数回答)として「定期昇給」(64.5%)、「ベースアップ」(60.3%)、「初任給引き上げ」(33.9%)、「一時金の支給・増額」(26.4%)となった。
24国民春闘共闘賃上げ第8回(最終)集計の結果を公表ー国民春闘共闘委員会
国民春闘共闘委員会は7月19日、24国民春闘共闘賃上げ第8回(最終)集計の結果を公表した。
有額回答を得た761労働組合の単純平均額は8,503円と前年同期を2,020円上回り、率は3.23%と前年同期を0.64ポイント上回った。前年実績と比較可能な組合の単純平均額は8,749円と、前年実績を1,964円上回り、率は3.29%と前年実績を0.65ポイント上回った。
賃上げ(月例賃金)の平均妥結額は1万5,670円 賃上げ率4.78%ー東京都
東京都は7月1日、2024年春季賃上げ要求・妥結状況の最終集計結果を公表した。この調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。
既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な354組合の平均妥結額は1万5,670円で、これは平均賃金(32万7,828円・41.1歳)の4.78%に相当する。同一労組の前年妥結額との比較では4,669円増加(42.44%増)となった。
夏季一時金の平均妥結額は83万5,640円(2.55か月分相当)ー東京都
東京都は7月22日、2024年夏季一時金要求・妥結状況の最終集計結果を公表した。この調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。
既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な378組合の平均妥結額は83万5,640円(加重平均)で、平均賃金(32万7,707円・30.8歳)の2.55か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(81万1,646円)との比較では、2万3,994円増加(2.96%増)となった。
2 主要労働統計
※( )内は前月
労働力状態<全国・6月>
資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」
労働力人口 | 7,003万人(6,959万人) |
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就業者数 | 6,822万人(6,766万人) 前年同月比37万人の増加 |
完全失業者数 | 181万人(193万人) 前年同月比2万人の増加 |
完全失業率【季節調整値】 | 2.5%(2.6%) |
労働市場<東京都・6月>
資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」
月間有効求職者数 | 137,986人(139,880人) |
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月間有効求人数 | 219,281人(211,495人) |
有効求人倍率【季節調整値】 | 1.82倍(1.75倍)<全国:1.23倍(1.24倍)> |
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。
常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・5月・事業所規模5人以上>
資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」
現金給与総額 | 384,871円(381,880円) |
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定期給与 | 353,652円(357,363円) |
特別給与 | 31,219円(24,517円) |
総実労働時間数 | 140.9時間(144.6時間) |
所定内労働時間数 | 129.5時間(132.4時間) |
所定外労働時間数 | 11.4時間(12.2時間) |
倒産状況<東京都・7月>
資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)
件数 | 140件(146件)<全国:953件(820件)> |
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負債総額 | 23,559百万円(14,953百万円)<全国:781,206百万円(109,879百万円)> |
倒産件数は、140件(前年同月比6.0%減)で、23か月ぶりに前年同月を下回った。負債額10億円以上の倒産は3件(前年同月7件)となった。業種別件数では卸売業(24件)、建設業(23件)、サービス業(22件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は114件となり、倒産 件数における構成比は81.4%となった。倒産企業総従業員数は360人となり、前年同月の673人と比べ46.5%減となった。
お問い合わせ
雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654