労働情勢(2024年10月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 主要労働統計

毎月勤労統計調査 令和6年8月分結果確報

 厚生労働省は10月24日、「毎月勤労統計調査(令和6年8月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比2.8%増の29万6,154円となった。総実労働時間は前年同月比1.1%減の132.2時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比3.1%減の9.3時間となった。
 

9月の完全失業率は2.4%で前月から0.1ポイント低下ー総務省労働力調査

 総務省統計局は10月29日、「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)9月分」を公表した。
 
 9月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,814万人で前年同月に比べ27万人増加し、26か月連続の増加となった。完全失業者数は173万人で、前年同月に比べ9万人減少し、2か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「情報通信業」、「製造業」などが増加となった。

9月の有効求人倍率は1.24倍で前月と比べて0.01ポイント上昇―一般職業紹介状況

 厚生労働省は10月29日、「一般職業紹介状況(令和6年9月分)」を公表した。

   9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準の1.24倍(正社員1.01倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.04ポイント低下し、1.72倍であった。

 「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)」の結果を公表ー公正取引委員会・厚生労働省

 公正取引委員会と厚生労働省は10月18日、「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)」の結果を公表した。この調査は5月27日から6月19日にかけて委託者側、フリーランス側双方を対象に実施された(有効回答:委託者1,090人、フリーランス:728人)。

 本法の認知度を確認したところ、「内容はよく知らないが、名前は知っている」「知らない」と回答した割合は、委託者で54.5%、フリーランスで76.3%となった。業種別にみると、委託者側では「建設業」、医療、福祉」、「農業・林業」の順で多く、フリーランス側では「医療、福祉」、「建設業」、「学術研究、専門技術サービス業」の順となった。

新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は、令和3年3月に卒業した新規学卒就職者の離職状況を取りまとめ、10月25日に公表した。
 
 就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が38.4%(前年度と比較して1.4ポイント上昇)、新規大学卒就職者が34.9%(同2.6ポイント上昇)となった。

令和6年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は10月28日、令和6年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表した。この調査は、全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的に、7月から8月にかけて常用労働者 100 人以上を雇用する会社組織の民営企業3,622 社を抽出し1,783社から有効回答を得た。

 令和6年中に賃金の改定を実施した又は予定し、額も決定している企業及び賃金の改定を実施しない企業について、「1人平均賃金の改定額」は11,961円(前年9,437円)、「1人平均賃金の改定率」は4.1%(3.2%)となった。

 企業規模別にみると、「1人平均賃金の改定額」、「1人平均賃金の改定率」ともに全ての企業規模において前年を上回っている。

 労働組合の有無別にみると、労働組合ありでは「1人平均賃金の改定額」は13,668円(同10,650円)、「1人平均賃金の改定率」は4.5%(同3.4%)、労働組合なしでは10,170円(同8,302円)、3.6%(同3.1%)となっている。

「最低賃金と採用時の最低時給に関する企業の実態調査」の結果を公表ー帝国データバンク

 帝国データバンクは10月23日、「最低賃金と採用時の最低時給に関する企業の実態調査」の結果を公表した。この調査は、令和6年9月13日から30日まで行われ、調査対象は全国2万7,093社で、有効回答企業数は1万1,188社(回答率41.3%)、TDB景気動向調査2024年9月調査とともに行われた。
 
 正社員、非正規社員を問わず、従業員を採用するときの最も低い時給を尋ねたところ、全体平均は1,167円となり、改定後の最低賃金の全国加重平均1,055円を112円上回った。
 
 産業別では、「金融」「不動産」がともに1,261円でトップとなった。また、正社員、非正規社員を問わず、採用時の最低時給を都道府県別で比較すると、最も高かったのは「東京」の1,340円で、全国で唯一1,300円を超えた。続いて「神奈川」(1,277円)、「大阪」(1,269円)、「愛知」(1,208円)となっている。

「賃金のデジタル払い対応状況アンケート」の結果を公表ー帝国データバンク

 帝国データバンクは10月16日、「賃金のデジタル払い対応状況アンケート」の結果を公表した。この調査は、令和6年10月4日から10月10日まで行われ、有効回答企業数は1,479社だった。

 自社における賃金のデジタル払いへの対応について尋ねたところ、「導入に前向き」が3.9%で、「導入予定はない」が88.8%となった。

 賃金デジタル払いの「導入予定はない」と回答した理由は、「業務負担の増加」が61.8%、「制度やサービスに対する理解が十分ではない」が45.0%、「セキュリティ上のリスクを懸念」が43.3%だった。

労働者協同組合の設立状況を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は10月2日、労働者協同組合の設立状況を公表した。労働者協同組合は、労働者が組合員として出資し、その意見を反映して、自らその事業に従事することを基本原理とする組織である。

 令和4年10月1日に労働者協同組合法が施行されてから2年が経過し、これまでに計110法人が全国各地に設立された(10月1日時点で厚生労働省が把握しているものに限る。)。設立された労働者協同組合では、高齢者や障害者の支援、子育て支援、荒廃山林を整備したキャンプ場の経営、葬祭業、成年後見支援、家事代行、給食づくりなど様々な事業が行われている。

「労働者性に疑義がある方の労働基準法等違反相談窓口」を設置ー厚生労働省

 厚生労働省は10月25日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行される11月1日に合わせて、全国の労働基準監督署に、自らの働き方が労働者に該当する可能性があると考えるフリーランス(業務委託を受ける事業者)からの労働基準法等の違反に関する相談窓口を設置した。
 
 近年、フリーランスとしての新しい働き方が拡大する一方で、実態としては労働基準法上の労働者に該当するような働き方をしているにもかかわらず、名目上は自営業者として扱われ、労働基準法等に基づく保護が受けられていないといった問題が指摘されている。

 厚生労働省は、この取組をとおしてフリーランスとして契約しながら実態は労働者となっている方々の労働環境整備に努めるとしている。

「令和6年版 過労死等防止対策白書」を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は10月11日、「令和6年版 過労死等防止対策白書」を公表した。同白書は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書である。
 
 全業種の就業者を対象に実施されたアンケート調査の結果によると、労働時間が長くなるほど翌朝に前日の疲労を持ちこす頻度が多く、翌朝に前日の疲労を持ちこす頻度が多いほどうつ傾向・不安を有する者等の割合が多い傾向がみられた。また、労働時間が長いほど理想の睡眠時間と実際の睡眠時間の乖離が大きく、その乖離が大きいほどうつ傾向・不安を有する者等の割合が多く、主観的幸福感は低い傾向がみられた。

 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を改正ー厚生労働省

 厚生労働省は10月18日、令和6年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」が施行されることから、令和3年3月26日に策定した「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」について、本法の施行に伴って構成を整理するとともに、本法及び本法の関係政令等の内容を追記するなどの形式的な改定を行った。

 特定業務委託事業者に求められる事項として、報酬の支払期日等や募集情報の的確な表示、一定の期間以上の業務委託を行う特定業務委託事業者の禁止行為及び義務として、妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮、解除等の予告が盛り込まれている。

2025春季生活闘争基本構想を確認ー連合

 連合は、10月18日に開催した第13回中央執行委員会において、2025春季生活闘争の闘争方針策定に向けた「基本構想」を確認した。

 基本構想は、2025春季生活闘争で「四半世紀に及ぶ慢性デフレに終止符を打ち、動き始めた賃金、経済、物価を安定した巡航軌道2に乗せる年としなければならない」とし、「連合は、すべての働く人の持続的な生活向上をはかり、新たなステージをわが国に定着させることをめざす」としている。具体的な要求目標の目安については、「賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上とし、その実現を目指す」としている。

「連合・賃金レポート2024(サマリー版)」を公表ー連合

 連合は10月29日、「連合・賃金レポート2024(サマリー版)」を公表した。

 このレポートは、厚生労働省が2024年3月27日に公表した「令和5年賃金構造基本統計調査」を分析したものであり、賃金水準が底を打った2013年以降の10年間の動向等についての分析が行われている。また、中途採用者や60歳台労働者の賃金についても分析がなされている。

2024年の「国民春闘方針構想」を確立ー全労連

 国民春闘共闘委員会は10月18日、2025年度年次総会を開き、2025年の「国民春闘方針構想」を確立し、要求基準案として、「大幅賃上げ」と「労働時間、働き方に関わる4つの要求」を挙げた。

 4つの要求では、①人間らしい生活と豊かな職場・地域をつくるために、労働組合主導のたたかいで、すべての労働者の大幅賃上げ・底上げを実現し、この日本を賃金が上がる国に転換させること、②労働時間短縮の実現、長時間労働者や人手不足の解消をはかり、安定した雇用のもとで誇りとやりがいをもって働き続けられる職場・地域をつくること、③市場原理で歪められた脆弱化した公共と社会保障を再生・拡充させること、④「武力や抑止でなく、対話で平和を」と声を上げ、戦争をやめさせ、平和憲法の改悪を止めること、を掲げている。

「企業・経営者によるカスタマーハラスメント対応強化に向けて」を公表ー経済同友会

 経済同友会は10月1日、「企業・経営者によるカスタマーハラスメント対応強化に向けて」を公表した。
 
 経営者等の取組として、カスハラへの対応を経営問題として認識し、放置せずに組織として適切に対応することや、カスハラの定義の明確化、顧客対応研修の強化等が提言された。

 政府に求めることとしては、法律や自治体の条例においてカスハラ対応の取組を事業者の雇用管理上の措置義務とすることには同意するが、罰則は設けるべきでないとしつつ、事業者と顧客等が共通認識を持てるように、具体的な事例やガイドラインを示すこと等が提言された。

「景気定点観測アンケート調査」結果を公表ー経済同友会

 経済同友会は10月10日、「景気定点観測アンケート調査」の結果を公表した。

 2025年の賃上げについて「実施予定」と回答したのは68.3%(前年同期54.3%)、「実施予定はない」は7.7%だった。賃上げの方法については、「定期昇給」が66.1%、「ベースアップ」が54.0%、「初任給の引き上げ」が37.1%だった。

 実施予定企業の賃上げ率は「3~4%未満」(33.3%)が最も多く、「2~3%未満」は(28.1%)、「4~5%未満」(14.0%)だった。

「大企業で働く若手・中堅社員のキャリア形成に関する意識調査」の結果を公表ー産業雇用安定センター

 産業雇用安定センターは10月18日、「大企業で働く若手・中堅社員のキャリア形成に関する意識調査」の結果を公表した。今回調査は、令和6年7月に大企業(従業員 300 人以上)に勤務する 26歳から35 歳までの総合職採用社員を対象に行い、800人から回答を得た。

 転職等に対する考え方については、「今の会社に定年までいたい」が 51.4%、「他社に転職したい」が 42.4%、「起業/独立したい」が 3.6%だった。年齢別にみると、26歳から30歳層では「今の会社に定年までいたい」(48%)と「他社に転職したい」(46.3%)がほぼ同率だった。31歳から35歳層では「今の会社に定年までいたい」(54.8%)が「他社に転職したい」(38.5%)を約 16 ポイント上回った。

 希望する働き方については、「昇進等にこだわらずに働きたい」(49.4%)が最も多く、次いで「専門職・スペシャリストとして活躍したい」(28.3%)、「役員・管理職まで昇進したい」(22.1%)となった。

「2024年度上半期(4~9月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)状況」を公表ー東京商工リサーチ

 東京商工リサーチは10月8日、「2024年度上半期(4~9月)の全国企業倒産(負債額1,000万円以上)状況」を公表した。

 全国の企業倒産件数は5,095件(前年同期比17.8%増)となり、負債総額は1兆3,754億100万円(同13.8%減)だった。

 倒産件数は、年度上半期では3年連続で前年同期を上回り、2014年度同期(5,049件)以来、10年ぶりに5,000件台に乗せた。

 負債総額は、3年連続で1兆円を超えたが、2022年度同期をピークに2年連続で前年同期を下回った。

 産業別では、金融・保険業を除く9産業で前年同期を上回った。


「世界標準のハラスメント防止法制の実現を求める声明」を公表ー日本労働弁護団

 日本労働弁護団は10月31日、「世界標準のハラスメント防止法制の実現を求める声明」を公表した。
 
 声明は、厚生労働省が公表した、「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」の報告書について、「国はハラスメント対策に総合的に取り組む必要があるとして、4種類のハラスメント(セクシャルハラスメント、妊娠出産等に関するハラスメント、育児休業等に関するハラスメント、パワーハラスメント)に係る規定とは別に、一般に職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨を法律で明確にすることが考えられるとしている。職場でのハラスメントは、多様な方法・関係性の中で起こり得るのもであり、あらゆる類型のハラスメントを対象とした立法がなされるのであれば前進であるが、理念的な規定にとどまるのであれば、実効性がなく意味がない」と批判した上で、ハラスメント包括禁止法を制定し、その目的規定として「職場のハラスメントは許されるものではないという趣旨」を定めることを、改めて強く求めると意見している。

 

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・8月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,990万人(6,983万人)
就業者数 6,815万人(6,795万人) 前年同月比42万人の増加
完全失業者数 175万人(188万人) 前年同月比22万人の減少
完全失業率【季節調整値】 2.5%(2.7%)

労働市場<東京都・8月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 136,458人(138,211人)
月間有効求人数 218,606人(227,227人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.76倍(1.84倍)<全国:1.23倍(1.24倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・7月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額 486,899円(695,609円)
定期給与 356,246円(353,964円)
特別給与 130,653円(341,645円)
総実労働時間数 144.7時間(142.2時間)
所定内労働時間数 133.0時間(130.7時間)
所定外労働時間数 11.7時間(11.5時間)

倒産状況<東京都・9月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 159件(143件)<全国:807件(723件)>
負債総額 50,967百万円(15,385百万円)<全国:132,754百万円(101,370百万円)>

 倒産件数は159件(前年同月比30.3%増)と、3か月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は509億6,700万円(前年同月比76.5%増)となった。負債額10億円以上の倒産は7件(前年同月6件)となった。業種別件数では、サービス業(43件)、卸売業(22件)、情報通信業(21件)の順となった。不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は122件となり、倒産件数における構成比は76.7%となった。倒産企業総従業員数は560人となり、前年同月の965人と比べ42.0%減となった。 

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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