労働情勢(2024年5月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和6年3月分結果確報

 厚生労働省は5月23日、「毎月勤労統計調査(令和6年3月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.0%増の30万2,060円となった。総実労働時間は前年同月比2.6%減の136.3時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比2.8%減の10.5時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比2.1%減となった。

4月の完全失業率は2.6%で前月と同率ー総務省労働力調査

 総務省統計局は5月31日、「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)4月分」を公表した。

 4月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月と同率となった。就業者数は6,750万人で前年同月に比べ9万人増加し、21か月連続の増加となった。完全失業者数は193万人で、前年同月に比べ3万人増加し、2か月ぶりの増加となった。産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「情報通信業」、「教育,学習支援業」などが増加となった。

4月の有効求人倍率は1.26倍で前月に比べて0.02ポイント低下ー一般職業紹介状況

 厚生労働省は5月31日、「一般職業紹介状況(令和6年4月分)」を公表した。

 4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.02ポイント低下し、1.26倍(正社員1.02倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.03ポイント低下し、1.73倍であった。

「職場のハラスメントに関する実態調査」報告書を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は5月17日、「職場のハラスメントに関する実態調査」報告書を公表した。この調査は、前回調査から3年が経過し、企業におけるハラスメントの発生状況や企業の対策の進捗、労働者の意識等を把握し、今後の諸施策に反映させることを目的に行われた。

 過去 3 年間のハラスメント相談件数を種別ごとにみると、パワハラが64.2%で最も多く、セクハラが39.5%、顧客等からの迷惑行為が27.9%となっている。

 また、ハラスメントの種類を問わず、予防・解決のために実施している取組として、「相談窓口の設置と周知」の割合が最も高く、次いで「ハラスメントの内容、職場におけるハラスメントをなくす旨の方針の明確化と周知・啓発」であった。

「令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」を公表ー厚生労働省・文部科学省

 厚生労働省と文部科学省は5月24日、「令和6年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」を公表した。

 大学(学部)の就職率は前年同期比0.8ポイント上昇して98.1%となり、調査開始以降、同時期で過去最高となった。短期大学は前年同期比0.7ポイント低下して97.4%となった。

 男女別では、男子は97.9%(同0.6ポイント上昇)、女子は98.3%(同1.0ポイント上昇)となった。

令和6年3月高等学校卒業予定者の就職状況(令和6年3月末現在)を公表ー文部科学省

 文部科学省は5月24日、「令和6年3月高等学校卒業予定者の就職状況(令和6年3月末現在)」を公表した。就職率は98.0%で、前年同期と同率となった。

 男女別では男子が98.4%で前年同期と変わらず、女子が0.1ポイント減少して97.2%となり。学科別では、内定率の高い順に、工業99.5%、水産99.2%、商業及び福祉98.9%、情報98.8%、農業98.7%となった。

令和5年の労働災害発生状況を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は5月27日、令和5年の労働災害発生状況を公表した。新型コロナ感染症のり患によるものを除いた、労働災害による死亡者数は前年から2.5%減少して755人となり過去最少となった。

 また、休業4日以上の死傷者数は前年から2.3%増加して13万5,371人となり3年連続で増加した。業種別では、製造業が2万7,194人(1.9%増)で最も多く、続いて、商業2万1,673人(0.1%減)、保健衛生業1万8,786人(9.0%増)、陸上貨物運送事業1万6,215人(2.2%減)となった。

「人手不足」関連倒産についての調査結果を公表ー東京商工リサーチ

 東京商工リサーチは5月9日、令和6年1から4月までの「人手不足」関連倒産件数を発表した。「人手不足」関連倒産は、前年同期比104.5%増加の90件で前年同期の44件から約2倍となり、調査を開始した2013年以降では最多を更新した。

 内訳は、「求人難」が38件(前年同期比153.3%増)で最も多く、次いで「人件費高騰」が27件(同50.0%増)、「従業員退職」が25件(同127.2%増)と続いている。産業別では、サービス業他の27件(前年同期比92.8%増、前年同期14件)で最も多く、建設業(前年同期比250.0%増)、運輸業(同90.9%増)が各21件となり、3産業が20件以上だった。

「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」の解説動画を公開ー公正取引委員会

 公正取引委員会は、令和6年11月1日に施行される「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の解説動画を公開した。同法は令和5年5月12日に公布され、個人として業務委託を受けるフリーランス(事業者)と企業などの発注事業者の間の取引の適正化や、フリーランスの就業環境の整備を図ることを目的としている。

フリーランスの就業環境の整備について報告書案を提示ー厚生労働省検討会

 厚生労働省の「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」は5月20日、報告書案を提示した。「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)の施行に向け、法第3章特定受託事業者の就業環境の整備に関し、政令、省令及び告示において定めることとされている事項の検討結果を取りまとめたものである。募集情報の的確な表示の対象事項(第12条関係)、妊娠・出産、育児・介護に対する配慮(第13条関係)、ハラスメント対策に係る体制整備(法第14条関係)、中途解除等の事前予告・理由開示(法第16条関係)等について、具体的に定めるべき内容を示している。

「女性活躍に関する調査」報告書を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は17日に「女性活躍に関する調査」報告書を公表した。

 この調査は、女性活躍推進法の浸透状況と課題を明らかにすることを目的に、全国の常用労働者30人以上の15,000社を対象に行われた。前回調査に比べて劇的変化はないとしつつ、単純な比較は難しいが、特に「300人以上」の規模においては、女性の昇進者がいるという割合がこの5年間で増加しているとしている。

「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を閣議決定

 政府は5月31日、「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を閣議 決定した。製造業の就業者数は、2022年は1,044万人、2023年は1,055万人と増加した。中小企業の人手不足感は、新型コロナウイルスの感染拡大以前よりも強くなった 。

 製造業における人材育成の問題では、6割以上の事業所が「指導する人材が不足」と回答し、ものづくり企業においてデジタル技術を活用している企業は、8割超(2019年は5割弱)となった。

賃金と物価の好循環に向けた懇談

 政府は5月31日、賃金と物価の好循環に向けた懇談を行った。

 首相は、「来年以降、物価上昇を上回る賃上げを定着させていくためには、賃上げの原資となる企業の稼ぐ力を強化すること、重層的な取引構造となっている。業種を含め、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁が行われるようにすることが必要」とし「デジタル化や省力化投資の支援とともに、強化した賃上げ促進税制等によって、賃上げを後押ししていく。また、労務費の転嫁を円滑化する観点から、業種・事業分野の状況に応じた商慣行の見直しを含め、価格転嫁対策を強化していく。」と述べた。

2024年版中小企業白書・小規模企業白書が閣議決定

 中小企業庁は5月10日、「令和5年度中小企業の動向」及び「令和6年度中小企業施策」(中小企業白書)、並びに「令和5年度小規模企業の動向」及び「令和6年度小規模企業施策」(小規模企業白書)を取りまとめた。

 事業者が直面している課題については、「売上高が新型コロナウイルス感染症による落ち込みから回復し、企業の人手不足が深刻化していることが挙げられる」としている。

 また、今後の展望としては、「就業者数の増加が見込めない中で、日本の国際競争力を維持するためには、省力化投資や単価の引上げを通じて、中小企業の生産性を向上させていくことが期待される」としている。

令和6年の労働災害発生状況(5月速報値)を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は5月20日、令和6年の労働災害発生状況(5月速報値)を公表した。

 死亡災害は、死亡者数は前年同期から0.5%減少して187人となった。業種別では、建設業は16.4%増加して64人、製造業で10.8%増加して41人、陸上貨物運送事業では20.0%減少して28人となった。

 休業4日以上の死傷者数は、前年同期から0.8%増加して3万1,849人であった。業種別では、第三次産業で2.1%増加して15,676人、陸上貨物運送事業で1.3%増加して4,149人、建設業では2.1%減少して3,379人となった。(公表数値は、新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除いたもの。)

「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は5月28日、「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン」を公表した。個人事業者等が健康に就業するために、個人事業者等が自身で行うべき事項、個人事業者等に仕事を注文する注文者又は注文者ではないものの、個人事業者等が受注した仕事に関し、注文者等が行うべき事項や配慮すべき事項等を周知し、それぞれに自主的な取組の実施を促すものである。

「年金に関する調査2024」を発表ー日本労働組合総連合会

 東京商工リサーチは4月8日、令和5年度の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)件数が前年同月から31.5%増加して9,053件と発表した。倒産件数は、2年連続で前年度を上回った。

 産業別では、10産業全てで前年度を上回り、「サービス業他」が前年から34.8%増加して3,028件となった。続いて、「建設業」で39.4%増加の1,777件、「卸売業」では27.0%増加して1,048件、「製造業」では25.4%増加の1,006件となった。

 また、「運輸業」は25.6%増加の441件となり3年連続で前年度を上回った

「4月の中小企業月次景況調査(令和6年4月末現在)」を公表ー全国中小企業団体中央会

 全国中小企業団体中央会は5月27日、「4月の中小企業月次景況調査(令和6年4月末現在)」を公表した。多くの指標で前月比から上昇し、主要3指標は、景況が0.4ポイント、売上高が5.1ポイント、収益状況が4.0ポイントといずれも上昇した。インバウンドの増加に加え、春休みやゴールデンウィークの人出の増加から、非製造業を中心に景況感は上昇した。 一方で、人手不足・人材確保の問題が、多くの業種で収益力の足かせとなっていると伝えている。

第5回 若者のワークスタイル調査結果―労働政策研究・研修機構

 この調査は、20年間の若者の働き方や意識の変化について把握することを目的とし、無作為に抽出された東京都の若者8,000人に対して行ったものである。

雇用状況の良さを反映して、大学等卒業後に正社員ではない状態の者の割合は減少したが、非正規雇用を継続している者の職業意識をみると、やりたい仕事なら正社員でもフリーターでもこだわらないとする者や、うつや障害などで働きづらさを感じたことがあるという割合が高くなった。

 また、男女ともに「今の世の中、定職に就かなくても暮らしていける」「若いうちは自分のやりたいことを優先させたい」といわゆるフリーターへの共感意識は増加傾向にある。さらに、「できれば仕事はしたくない」との回答が増加している。

TDB景気動向調査(2024年4月調査)結果を発表ー帝国データバンク

 帝国データバンクは5月7日、TDB景気動向調査(2024年4月調査)結果を発表した。

 景気DIは前月比0.3ポイント減の44.1となり、2か月ぶりに悪化した。国内景気は、急速な円安の進行やコスト負担の高まりが収益環境を悪化させ、2か月ぶりに後退した。

 業界別では、原材料価の高止まり、不十分な価格転嫁などが影響し製造を中心に10業界中6業界で悪化となり、小売などの2業界が改善となった。規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」が2か月ぶりに悪化となった。

2024春季生活闘争 第5回回答集計結果を公表ー日本労働組合総連合会

 連合は5月8日、2024春季生活闘争第5回回答集計結果を公表した。

 平均賃金方式で回答を得た3,733組合の「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で1万5,616円・5.17%(昨年同時期比4,693円増・1.50ポイント増)となった。比較可能な2013闘争以降で額・率とも最も高いという。

 このうち、組合員300人未満の中小組合(2,480組合)では、加重平均で1万1,889円・4.66%(昨年同時期比3,561円増・1.31ポイント増)となった。

2024年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況(第1回集計)を発表ー日本経済団体連合会会

 経団連は20日、2024年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況(第1回集計)を発表した。

 従業員500人以上の主要22業種大手244社に調査を行い、21業種151社(61.9%)から回答が示された。そのうち、平均金額不明などの62社を除いた89社の賃上げ妥結水準は、加重平均で1万9,480円(前年同期1万3,122円)で、5.58%(同3.88%)上昇した。

賃上げ(月例賃金)の平均妥結額は1万6,179円 賃上げ率4.93%ー東京都

 東京都は5月20日、2024年春季賃上げ要求・妥結状況の中間集計結果を公表した。この調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。

 既に妥結した労働組合のうち、前年の妥結額と比較可能な263組合の平均妥結額は1万6,179円で、これは平均賃金(32万7,847円・41.2歳)の4.93%に相当する。同一労組の前年妥結額との比較では4,975円増加(44.4%増)となった。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・4月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,943万人(6,911万人)
就業者数 6,750万人(6,726万人) 前年同月比9万人の増加
完全失業者数 193万人(185万人) 前年同月比3万人の増加
完全失業率【季節調整値】 2.6%(2.6%)

労働市場<東京都・4月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 138,386人(133,195人)
月間有効求人数 205,001人(212,076人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.73倍(1.76倍)<全国:1.26倍(1.28倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・3月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額 394,532円(354,629円)
定期給与 351,716円(344,703円)
特別給与 42,816円(9,926円)
総実労働時間数 138.1時間(134.9時間)
所定内労働時間数 125.8時間(123.4時間)
所定外労働時間数 12.3時間(11.5時間)

倒産状況<東京都・5月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 191件(148件)<全国:1009件(783件)>
負債総額 33,839百万円(28,975百万円)<全国:136,769百万円(113,423百万円)>

 倒産件数は、191件と21か月連続で前年同月を上回った。負債総額は、338億3,900万円(前年同月比7.1%増)となった。 負債額10億円以上の倒産は7件(前年同月8件)となった。業種別件数ではサービス業(47件)、卸売業(44件)、建設業(19件)、小売業(19件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は150件となり、倒産 件数における構成比は78.5%となった。倒産企業総従業員数は2,431人となり、前年同月の672人と比べ261.8%増となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

記事ID:029-001-20241025-010167