労働情勢(2024年4月30日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
毎月勤労統計調査 令和6年2月分結果確報
厚生労働省は4月23日、「毎月勤労統計調査(令和6年2月分結果確報)」を公表した。
事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.4%増の281,087円となった。総実労働時間は前年比0.5%減の134.6時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比2.0%減の10.1時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は、前年同月比1.8%減となった。
3月の完全失業率は2.6%で前月と同率―総務省労働力調査
総務省統計局「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)3月分(284.7KB)」
総務省統計局は4月30日、「労働力調査(基本調査)2024年(令和6年)3月分」を公表した。
3月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月と同率になった。就業者数は6726万人で前年同月に比べて27万人増加し、20か月連続の増加となった。完全失業者数は185万人で、前年同月に比べて8万人減少し、2か月ぶりの減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「医療,福祉」、「サービス業(他に分類されないもの)」などが増加した。
3月の有効求人倍率は1.28倍で前月に比べて0.02ポイント上昇― 一般職業紹介状況
厚生労働省は4月30日、「一般職業紹介状況(令和6年3月分)」を公表した。
3月の有効求人倍率(季節調整値)は前年に比べて0.02ポイント上昇し、1.28倍(正社員1.01倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別、季節調整値)は、前年と同率で1.76倍であった。
令和5年度平均の有効求人倍率は1.29倍となり、前年度に比べて0.02ポイント低下した。また、令和5年度平均の有効求人は前年度に比べ1.6%減となり、有効求職者は0.1増となった。
全国財務局管内経済情勢報告概要及び特別調査を公表―財務省
財務省は4月22日、令和6年4月の「全国財務局管内経済情勢報告概要」及び特別調査を公表した。
「全国財務局管内経済情勢報告概要」の全局総括判断は、「一部に弱さがみられるものの、緩やかに回復しつつある」となり、前回の令和6年1月から判断を「据え置き」とした。雇用情勢の総括判断は、前回の「緩やかに改善しつつある」に「企業の人手不足感は強まっている」を追記した。地域別では、北海道、中国、沖縄の3地域で「上方修正」となり、その他の8地域では「据え置き」となった。
特別調査「地域企業における賃上げ等の動向について」によると、2024年度のベアまたは定期昇給を実施する企業の割合は、ベアが70.7%、定期昇給が81.9%となった。規模別では大企業が81.1%(前年度調査77.9%)、中堅・中小企業等は63.1%(前年度調査54.3%)となった。
人口推計(令和6年4月概算値及び令和5年11月の確定値)を公表―総務省
総務省「人口推計(令和6年4月概算値及び令和5年11月の確定値)」
総務省は4月22日、人口推計の令和6年4月の概算値及び令和5年11月の確定値を公表した。
令和6年4月1日現在の総人口(概算値)は、前年同月から55万人(0.44%)減少して1億2,400万人となった。また、令和5年11月1日現在の総人口(確定値)は、前年同月から57万1千人(0.46%)減少して1億2,434万2千人となった。
年齢階層別(確定値)では「15歳未満」が2.30%、「15~64歳」が0.32%の減少となった。また「65歳以上」は0.01%増加となり、そのうち「75歳以上」の人口は3.61%増加した(年齢階層別増減率は前年同月比)。
労働災害発生状況(4月速報値)を公表-厚生労働省
厚生労働省は4月18日、令和6年の労働災害発生状況(4月速報値)を公表した。
死亡災害は、死亡者数は前年同期から18.4%減少して124人となった。
業種別では、陸上貨物運送事業が前年同期から37.0%減少して17人、第三次産業が13.3%減少して26人、建設業が12.2%の減少で43人などとなった。
休業4日以上の死傷者数は、前年同期から1.0%減して2万1,655人であった。
業種別では、建設業が2.2%減少して2,311人、製造業が1.7%減少して4,548人、陸上貨物運送事業が0.3%増加して2,840人となった。(公表数値は、新型コロナウイルス感染症のり患による労働災害を除く。)
2023年「賃金事情等総合調査」を公表-中央労働委員会
中央労働委員会は4月30日、令和5年度「賃金事情等総合調査」を公表した。
賃金事情調査によると、所定内賃金は2022年調査から6,700円増の38万1,300円、所定外賃金は1,700円増の6万5,300円となった。(男女計・産業計平均)
出向制度があるのは、77.6%の125社で、うち手当制度があるのは63.2%の79社だった。
別居(単身赴任)手当制度があるのは92.5%149社で、うち配偶者との別居条件を問わず支給すると回答したのは35.6%の53社だった。
また、退職金、年金及び定年制事情調査によると、定年後再雇用の労働条件について定年退職時の労働条件と比較すると、所定労働時間は「定年退職時と同じ」と回答した企業は77.1%の115社、「50%以上80%未満」が8社となっている。 基本給の時間単価は「50%以上80%未満」が63.8%で95社、「50%未満」が18.8%の28社となっている。
「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)(素案)を公表-文部科学省中央教育審議会
文部科学省中央教育審議会「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)(素案)」
文部科学省中央教育審議会の特別部会は4月19日、「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)(素案)を公表した。
審議のまとめ(素案)では、教師の処遇改善の在り方についても検討され、教師の職務と勤務態様の特殊性を踏まえ、教職調整額を本給相当として支給するという仕組みは現在においても合理性を有するとの見解が出されたが、その率については、少なくとも10%以上とすることが必要であり、その水準を目指すべきとされた。
女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチームの会合を開催-政府
政府「第1回女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」
政府は4月24日、女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム(第1回)を開催した。
このチームは、各業所管含め省庁横断的に取組を更に加速するための方策を検討するとともに、女性の活躍の推進に向けた中長期的な論点を整理するため設置されたものであり、主な検討課題として「男女間の賃金格差」、「非正規雇用労働者の問題(「年収の壁」にとらわれない働き方、不本意非正規雇用労働者の正社員への転換促進、同一労働同一賃金の一層の推進)」が挙げられている。
2024年度の「地方労働行政運営方針」を公表-厚生労働省
厚生労働省は、2024年度の「地方労働行政運営方針」を公表した。
「最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、非正規雇用労働者の処遇改善等」では、同一労働同一賃金の遵守のため、監督署の定期監督と雇均部室による事業主からの報告徴収や是正指導との連携をあげている。「リ・スキリング、労働移動の円滑化等の推進」では職務給の導入・配偶者手当の見直し促進、成長分野等への労働移動の円滑化など、「多様な人材の活躍と魅力ある職場づくり」ではフリーランスの就業環境の整備、仕事と育児・介護の両立支援など、課題ごとの運営方針を示している。
雇用環境・均等、労働基準等の都道府県労働局の各行政分野が一体となって推進する課題を掲げ、政府の方針である人手不足の克服、継続的な賃上げ、多様な働き方を実現する。
「これまでの議論の整理」を提示(労働基準関係法制研究会)-厚生労働省
厚労省は4月23日、労働基準関係法制研究会を開催し、「これまでの議論の整理」を提示した。「労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇」、「労働基準法の「事業」について」、「労働基準法の「労働者」について」、 「労使コミュニケーションについて」として、各論点の考え方と議論の方向性に関する意見を整理している。
「取引の適正化」実現に向けた要請を公表-日本労働組合総連合会
連合は4月22日、中小企業庁に対して取引の適正化実現に向けた要請を行った。要請内容は、労務費の転嫁のための価格交渉に関する指針の周知徹底と順守状況の調査、価格転嫁に関する踏み込んだ実態調査と取引慣行の改善、中小企業等への各種支援策の検証と見直し、取引適正化のためのルール作りを要請した。
「最低賃金に関する要望」の提出を公表-日商ほか
日商・東商、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会は4月18日、厚生労働省に「最低賃金に関する要望」を提出した。
地方最低賃金審議においては、法定三要素に関するデータに基づく明確な根拠のもとに行う審議決定、最低賃金引上げが中小企業・小規模事業者の経営や地域の雇用に与える影響を注視、中小企業等が自発的・持続的に賃上げできる環境整備の推進、人手不足につながる「年収の壁」問題の解消、改定後の最低賃金に対応するための十分な準備期間の確保、産業別に定める特定最低賃金制度の適切な運用の6項目を要望した。
最低賃金行政等に関する要請を公表-日本労働組合総連合会
連合は4月16日、厚生労働省に対して最低賃金行政等に関する要請を行い、中期的に大幅な水準引き上げを目指すことを求めた。
また、全労働者の利益となる最低賃金の早期発効へ配慮、労務費上昇分の適切な価格転嫁に向けた環境整備等についても要請のポイントとした。
景気定点観測アンケート調査の結果を公表-経済同友会
経済同友会は4月11日、2024年3月経営トップ等を対象に実施した「景気定点観測アンケート調査」結果を公表した。景気の現状について、「拡大している」としたのが4.3%、「緩やかに拡大している」が67.6%となった。
2024年に賃上げを「実施予定」と回答したのは86.8%、「実施予定なし」と回答したのは4.9%であった。
2024年度賃上げ実績と初任給の実態アンケート結果を公表-帝国データバンク
帝国データバンク「2024年度賃上げ実績と初任給の実態アンケート結果」
帝国データバンクは4月18日、緊急調査「2024年度賃上げ実績と初任給の実態アンケート」の結果を公表した。
2024年4月の正社員給与の前年同月からの変化(見込み含む)を尋ねたところ、「賃上げする(した)」と回答した企業は77.0%であった。内訳は、「3%増加」と回答した企業が22.0%で最も多く、次に「5%増加」が15.0%、「2%増加」と回答した企業が12.4%となった。
一方、「据え置き」と回答した企業は16.6%で、「賃下げ」と回答した企業は0.6%で、連合の目標である「賃上げ率5%以上」を実現した企業割合は26.5%であった。
規模別に「賃上げする(した)」企業の割合をみると、大企業は77.7%、中小企業は77.0%とほぼ同水準となったが、小規模企業は65.2%であった。
2023年度の全国企業倒産件数を公表-東京商工リサーチ
東京商工リサーチは4月8日、令和5年度の全国企業倒産(負債総額1,000万円以上)件数が前年同月から31.5%増加して9,053件と発表した。倒産件数は、2年連続で前年度を上回った。
産業別では、10産業全てで前年度を上回り、「サービス業他」が前年から34.8%増加して3,028件となった。続いて、「建設業」で39.4%増加の1,777件、「卸売業」では27.0%増加して1,048件、「製造業」では25.4%増加の1,006件となった。
また、「運輸業」は25.6%増加の441件となり3年連続で前年度を上回った
「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」の提言を公表-日本経済団体連合会
経団連は4月16日、「高齢社員のさらなる活躍推進に向けて」を発表した。
企業における高齢社員の活躍は、深刻化している労働力問題への対応の鍵であり、企業はこれまで以上に高齢社員の活躍推進を図り、能力や知識等に適した職務・役割を割り当て、成果・貢献度を評価して適切に処遇に反映するなど、検討・見直しを進めていくことが必要としている。
また、政府に対しても、ハローワークや産業雇用安定センター等による取組・支援を更に強化し充実させるよう提言した。
「人手不足」に関するアンケート調査結果を発表-東京商工リサーチ
東京商工リサーチは4月17日、「人手不足」に関するアンケート調査の結果を発表した。「正社員不足」と回答した企業は69.3%で、大企業では77.6%に達している。
産業別では「建設業」が84.4%で最も多く、次に「運輸業」が77.9%と続いている。業種別では「道路旅客運送業」が100%となり、「宿泊業」では92.8%となった。
「非正規社員不足」と回答した企業は全体で38.7%となり、業種別では「宿泊業」が100%となり、「道路旅客運送業」で90.0%、「飲食店」では88.0%となった。
金属労協(JCM)賃上げ回答状況(3月末時点)を公表-金属労協(JCM)
自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5つの産別労組でつくる金属労協(JCM、金子晃浩議長)は4月2日、3月29日現在の賃上げの回答状況を公表した。
獲得したベースアップや賃金改善などの賃上げ額の単純平均は9,593円となり、産別ごとでは、自動車総連が1日現在で賃金カーブ維持分と賃金改善分を合わせた引き上げ額が1万2,211円となった。
2024春季生活闘争 第4回回答集計結果を公表-日本労働組合総連合会
日本労働組合総連合会「2024春季生活闘争 第4回回答集計結果」
連合は4月18日、2024春季生活闘争 第4回回答集計結果を公表した。
平均賃金方式で回答を得た3,283組合の定昇相当込み賃上げ計は、加重平均で1万5,787円(昨年同時期から1.51ポイント上昇の5.20%、4,765円増加)となった。このうち、組合員300人未満の中小組合2,123組合の加重平均では1万2,170円(昨年同時期から1.36ポイント上昇の4.75%、3,714円増加)となった。
2 主要労働統計
※( )内は前月
労働力状態<全国・3月>
資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」
労働力人口 | 6,911万人(6,905万人) |
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就業者数 | 6,726万人(6,728万人) 前年同月比27万人の増加 |
完全失業者数 | 185万人(177万人) 前年同月比8万人の減少 |
完全失業率【季節調整値】 | 2.6%(2.6%) |
労働市場<東京都・3月>
資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」
月間有効求職者数 | 133,195人(131,892人) |
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月間有効求人数 | 212,076人(213,860人) |
有効求人倍率【季節調整値】 | 1.76倍(1.76倍)<全国:1.28倍(1.26倍)> |
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。
常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・2月・事業所規模5人以上>
資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」
現金給与総額 | 354,629円(367,844円) |
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定期給与 | 344,703円(346,767円) |
特別給与 | 9,926円(21,077円) |
総実労働時間数 | 134.9時間(131.3時間) |
所定内労働時間数 | 123.4時間(120.3時間) |
所定外労働時間数 | 11.5時間(11.0時間) |
倒産状況<東京都・4月>
資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)
件数 | 148件(163件)<全国:783件(712件)> |
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負債総額 | 28,975百万円(24,584百万円)<全国:113,423百万円(142,252百万円)> |
倒産件数は、148件と20か月連続で前年同月を上回った。負負債総額は、289億7,500万円(前年同月比79.3%減)となった。 負債額10億円以上の倒産は9件(前年同月4件)となった。業種別件数ではサービス業(31件)、卸売業(29件)、情報通信業(19件)、小売業(19件)の順 となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は118件となり、倒産件数における構成比は79.7%となった。倒産企業総従業員数は623人となり、前年同月の415人と比べ50.1%増となった。
お問い合わせ
- 雇用就業部労働環境課
- 電話:03-5320-4654