労働情勢(2025年4月30日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 主要労働統計

毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果確報

 厚生労働省は4月23日、「毎月勤労統計調査(令和7年2月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比2.7%増の288,697円となった。総実労働時間は前年同月比2.8%減の130.8時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比3.0%減の9.8時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比1.2%減となった。

3月の完全失業率は2.5%で前月から0.1ポイント上昇―総務省労働力調査

 総務省統計局は5月2日、「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)3月分」を公表した。

 3月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月に比べ0.1ポイントの上昇となった。就業者数は6,770万人で前年同月に比べ44万人増加し、32か月連続の増加となった。完全失業者数は180万人で、前年同月に比べ5万人減少し、2か月ぶりの減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「教育,学習支援業」「サービス業(他に分類されないもの)」「不動産業,物品賃貸業」などが増加となった。

 3月の有効求人倍率は1.32倍で前月から0.02ポイント低下―一般職業紹介状況

 厚生労働省は5月2日、「一般職業紹介状況(令和7年3月分)」を公表した。

 3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.02ポイント上昇し、1.26倍(正社員1.05倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.02ポイント上昇し、1.76倍であった。
 令和6年度平均の有効求人倍率は1.25倍となり、前年度に比べて0.04ポイント低下した。令和6年度平均の有効求人は前年度に比べ3.0%減となり、有効求職者は0.2%増となった。

 2024年度「教職員団体への加入状況に関する調査」の結果を公表ー文部科学省

 文部科学省は3月4日、2024年度「教職員団体への加入状況に関する調査」結果を公表した。この調査は、教職員が組織する職員団体への加入数や新規に採用された教職員の職員団体への加入状況を調査し、各都道府県における教職員の人事行政の円滑かつ適正な運営に資することを目的に、毎年10月1日現在で実施している。

 教職員団体全体の加入率は26.8%(前年度27.7%)で 前年度から0.9ポイント減少し、昭和51年以降49年連続の減少となった。日本教職員組合(日教組)への加入率は18.8%(前年度19.2%)で 前年度から0.4ポイント減少し、昭和52年以降48年連続の減少となった。

 また、教職員団体全体の新採用教職員の加入率は20.8%(前年度21.3%)で、前年度から0.5ポイント減少し4年連続の減少となった。日教組への新採用教職員の加入率は16.8%(前年度17.0%) で、昨年度から0.2ポイント減少し3年連続の減少となった。

 2024年度「人手不足」関連倒産の結果を公表ー東京商工リサーチ

 東京商工リサーチは4月8日、「2024年度『人手不足』関連倒産」の結果を公表した。
2024年度の「人手不足」関連倒産は前年度の1.6倍となり、309件(前年度比60.9%増)で過去最多となった。資本金1千万円未満が65.0%を占め、小・零細企業の苦境が表れているとしている。

 また、「人件費高騰」が110件(同69.2%増)で、「従業員退職」が77件(同57.1%増)、「求人難」が122件(同56.4%増)となり、すべての要因で過去最多を記録している。

「倒産集計 2024年度報(2024年4月~2025年3月)」を公表ー帝国データバンク

 帝国データバンクは4月8日、「倒産集計 2024年度報(2024年4月~2025年3月)」を公表した。倒産件数は1万70件で前年度比13.4%増加し、3年連続で前年度を上回り、11年ぶりに1万件を超えた。

 業種別では、「サービス業」が2,638件(同20.6%増)で最も多く、次いで「小売業」が2,109件(同12.5%増)、「建設業」が1,932件(同10.5%増)となり全業種で前年度を上回った。「人手不足」が理由の倒産は350件で、昨年度の313件に続き2年連続で300件を超え、「物価高」が理由の倒産は925件といずれも過去最多となった。

「2025年度の業績見通しに関する企業の意識調査」の結果を公表ー帝国データバンク

 帝国データバンクは4月23日、「2025年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果を発表した。この調査は、2025年3月17日から31日の15日間、全国2万6,674社にインターネット調査行った。(有効回答企業数は1万716社:回答率40.2%)

 2025年度の業績見通し(売上高及び経常利益)について「増収増益」を見込んでいる企業の割合は24.6%となり、2024年度の前回調査から1.7ポイント減少し2年連続で減少となった。また、「減収減益」を見込む企業は21.2%(同0.2ポイント増)で2年連続の増加となり、「前年度並み」とした企業は22.1%(同0.8ポイント増)だった。

「女性と健康」に関する調査結果を公表ー経団連

 経団連は4月10日、女性特有の健康上の課題やライフイベントに関する企業の取組等についての調査結果を公表した。
 企業がサポート可能と考える女性の健康課題は「月経にまつわる不調」が83.3%で最も多く、次いで「女性特有のがん」59.4%、「更年期関連の不調」(53.1%)となった。

 また、女性のQOLや満足度の向上によるメリットとしては、「女性社員の生産性向上」が52.1%で最も多く、次いで「女性社員の定着率の向上」(22.9%) となった。
 女性への健康支援に関する具体的な取組について、「実施している」と回答した企業は95.8%でほとんどの企業が女性の支援に取り組んでいる。

 

「政労会見」を開催

 政府は4月14日、総理大臣官邸で16年ぶりに政労会見を開催した。会議では、2025春季生活闘争における賃上げの状況等について意見交換が行われた。

 会見で総理は、「 『賃上げこそが成長戦略の要』との認識を持ち、物価上昇に負けない賃上げを早急に実現・定着させていきたいと考えている。連合の第3回集計(4月3日)では、全体で5.42パーセントの賃上げ、中小組合では5.00パーセントの賃上げと、いずれも前年の第3回回答の水準を上回る結果となった。この間の取組によって、機運の醸成、官民の連携が進むなど、着実に施策が実を結んできている」とし、「現在、賃上げに向けた取組は、よりきめ細かく、より丁寧に進めていく段階にあり、地方、中小企業、課題のある業種、職場や地域、あるいは組織労働者についても、いろんな御意見を聞かせていただきたい、現状について御教示賜りたい」と述べた。
 

「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(職場における熱中症対策の強化関係)」を公布ー厚生労働省

 厚生労働省は4月15日、「労働安全衛生規則の一部を改正する省令(職場における熱中症対策の強化関係)」を公布した。
 
 改正では、熱中症の重篤化による死亡災害を防止するため、熱中症のおそれがある作業者を早期に見つけ、その状況に応じて迅速かつ適切に対処することが可能となるよう、事業者に対し「早期発見のための体制整備」、「重篤化を防止するための措置の実施手順の作成」、「関係作業者への周知」を義務付けるとしている。

企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)を公表
ー経済産業省

 経済産業省は4月7日、「企業の競争力強化のためのダイバーシティ経営(ダイバーシティレポート)」を公表した。

 本レポートは、「多様性を競争力につなげる企業経営研究会」における議論を踏まえ、イノベーション創出を目指す企業や国際競争力を高めていきたい企業に向けて、企業価値向上につながるダイバーシティ経営の考え方や、具体的取組についてまとめたものとしている。

 また、イノベーション創出を目指す企業や国際競争力を高めていきたい企業の取締役会、社長・CEOら経営陣及びダイバーシティ経営の担当者を主な読者として想定し、「企業の競争力強化のための手段としての多様性」という観点で、企業がダイバーシティ経営に取り組む際に直面する課題と、その解決につながるアクションを提示している。
 

第33回新しい資本主義実現会議を開催ー政府

 政府は4月23日、第33回新しい資本主義実現会議を開催した。会議では、人への投資・多様な人材の活躍及びスタートアップ、科学技術・イノベーションについて議論が行われた。

 総理は、議論を踏まえ「職業情報提供の充実、リ・スキリングへの支援を強化によるアドバンスト・エッセンシャルワーカー・企業の幹部候補人材の計画的な育成の促進、地域の経営人材の確保・育成へ取組む」とした。

 また、「『スタートアップ育成5か年計画』を強化し、AI(人工知能)やロボット等の多様な技術に強みを持つ全国58の高等専門学校における起業家教育の充実やスタートアップの創出・成長を強力に後押しする」などと述べた。

 「第31回新しい資本主義実現会議」へ意見書を提出ー連合

 連合は4月23日、政府が開催した「第33回新しい資本主義実現会議」へ意見書を提出した。

 人への投資・多様な人材の活躍、スタートアップ、科学技術・イノベーションついての意見交換に対して、副業・兼業の推進、最低賃金、女性の活躍推進、スタートアップ支援、AIの活用について意見書を提出し、意見表明を行った。

「企業の人材育成担当者による新入社員・若手社員・中堅社員に対する意識調査」の結果を公表ー東京商工会議所

 東京商工会議所は4月21日、「企業の人材育成担当者による新入社員・若手社員・中堅社員に対する意識調査」の結果を公表した。この調査は、企業の人材育成担当者による新入社員・若手社員・中堅社員に対する期待や指導・成長に関する事項を調査し把握することで、事業運営の参考とすることを目的に行われた。

 調査結果によると、管理職候補の中堅社員の管理職への育成に関する企業としての課題は「管理職になることを希望する中堅社員が少ない、以前よりも減った」が34.5%で最も多く、「上長の育成力・指導意欲が不足している」が32.1%、「管理職候補になる人材が育っていない・対象者がいない」が29.7%だった。

 管理職候補の中堅社員が管理職になるに当たり特に身につけて欲しいスキルや知識については、「後輩・チームメンバーの指導・育成力」が47.7%で最も多く、「業務管理・進捗管理能力」が46.4%、「課題解決力・問題解決力」が36.9%だった。
 

「2025年度 新入社員意識調査」の集計結果を公表ー東京商工会議所

 東京商工会議所は4月21日、「2025年度 新入社員意識調査」の集計結果を公表した。
 
 調査結果によると、就職先の会社でいつまで働きたいかについては、「定年まで」と回答したのは24.4%で、2015年度調査(36.3%)と比べて11.9ポイント減少した。また、「チャンスがあれば転職」と回答したのは25.7%で、2015年度調査(11.6%)と比べて14.1ポイント増加した。

 就職先の会社を決める際に重視したことは、「社風、職場の雰囲気」58.8%が最も多く、「処遇面」52.7%、「福利厚生」44.9%となった。

 また、入社後、管理職を目指したいと思うかでは、「管理職を目指したい」が59.0%、「管理職を目指したくない」41.0%となった。管理職を目指したいと回答した理由は、「仕事を通じて、自分自身を成長させたい」が最も多かった。

「最低賃金に関する要望」を公表ー日本商工会議所、東京商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会

 日本商工会議所、東京商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会の4団体は4月17日、「最低賃金に関する要望」を公表した。

 要望事項として、最低賃金に関する政府方針を示す場合には、中小企業・小規模事業者を含む労使双方参加の場での議論すること、中小企業・小規模事業者が自発的・持続的に賃上げできる環境整備の推進をすること、産業別に定める特定最低賃金制度の適切な運用をすることなど6つの要望が掲げられている。

2025春季生活闘争 第4回回答集計結果を公表ー連合

 連合は4月17日、2025春季生活闘争第4回回答集計結果を公表した。
 
 平均賃金方式で回答を得た3,115組合について、「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で17,015円・5.37%(昨年同時期比1,228円増・0.17ポイント増)となった。

 このうち、組合員300人未満の中小組合(1,958組合)は加重平均で13,283円・4.97%(昨年同時期比1,113円増・0.22ポイント増)となった。

25国民春闘共闘賃上げ第5回集計を公表ー国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は4月30日、25国民春闘共闘賃上げ第5回集計の結果を公表した。
 
 有額回答を得た458労働組合について、回答額の単純平均は8,551円・3.16%となり、前年同期から597円増加(0.15ポイント増)となった。前年実績と比較可能な組合の単純平均額は8,657円と前年実績を199円上回り、賃上げ率は3.28%と前年実績を0.22ポイント上回った。
 

 

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・3月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,949万人(6,933万人)
就業者数 6,770万人(6,768万人) 前年同月比44万人の増加
完全失業者数 180万人(165万人) 前年同月比5万人の減少
完全失業率【季節調整値】 2.5%(2.4%)

労働市場<東京都・3月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 134,386人(132,748人)
月間有効求人数 219,641人(218,747人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.63倍(1.65倍)<全国:1.26倍(1.24倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・2月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額 374,417円(370,689円)
定期給与 352,347円(355,122円)
特別給与 22,070円(15,567円)
総実労働時間数 132.5時間(132.0時間)
所定内労働時間数 120.8時間(120.9時間)
所定外労働時間数 11.7時間(11.1時間)

倒産状況<東京都・4月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 129件(137件)<全国:828件(853件)>
負債総額 19,746百万円(19,440百万円)<全国:102,802百万円(98,586百万円)>

 倒産件数は、129件(前年同月比12.8%減)と、2か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、197億4,600万円(前年同月比31.9%減)となった。負債額10億円以上の倒産は4件(前年同月9件)となった。業種別件数ではサービス業(29件)、卸売業(25件)、情報通信業(15件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は108件となり、倒産件数における構成比は83.7%となった。倒産企業総従業員数は339人となり、前年同月の623人と比べ45.6%減となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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