労働情勢(2024年6月30日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
毎月勤労統計調査 令和6年4月分結果確報
厚生労働省は6月24日、「毎月勤労統計調査(令和6年4月分結果確報)」を公表した。
事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.6%増の29万5,709円となった。総実労働時間は前年同月比0.9%減の141.5時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比2.8%減の10.5時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比1.2%減となった。
5月の完全失業率は2.6%で前月と同率ー総務省労働力調査
総務省統計局は6月28日、「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)5月分」を公表した。
5月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月と同率となった。就業者数は6,766万人で前年同月に比べ21万人増加し、22か月連続の増加となった。完全失業者数は193万人で、前年同月に比べ5万人増加し、2か月連続の増加となった。産業別就業者では、前年同月比で「卸売業,小売業」「教育,学習支援業」「宿泊業,飲食サービス業」などが増加となった。
5月の有効求人倍率は1.26倍で前月に比べて0.02ポイント低下ー一般職業紹介状況
厚生労働省は6月28日、「一般職業紹介状況(令和6年6月分)」を公表した。
5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.02ポイント低下し、1.24倍(正社員1.00倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.02ポイント上昇し、1.75倍であった。
カスタマーハラスメント対策アンケート調査結果を公表ーUAゼンセン
UAゼンセンは6月5日、カスタマーハラスメント対策アンケート調査結果を発表した。調査対象はサービス業に従事するUAゼンセン所属210組合の組合員で、 回答件数 33,133件である。
「直近2年以内に迷惑行為被害にあったか」との問いに対して、「あった」は46.8%で前回調査よりも減少した(2020年調査・56.7%)。「最も印象に残る迷惑行為は何か」との問いに対して、「暴言」が39.8%がと最も多く、次に「威嚇・脅迫」14.7%、「同じ内容を繰り返すクレーム」13.8%となった。
中小企業の賃金改定に関する調査結果を公表ー東京商工会議所・日本商工会議所
東京商工会議所および日本商工会議所は6月5日、「中小企業の賃金改定に関する調査」結果を発表した。本調査は、全国商工会議所を通じ1,979社から回答を得たものである。
令和6年度に賃上げ実施予定の企業は74.3%で、1月調査(61.3%)から13.0ポイント増加した。そのうち「業績の改善は見られないが賃上げを予定」と回答したのは59.1%となり、約6割が防衛的賃上げとなっている。
従業員数20人以下の企業では、「賃上げ実施(予定)」は63.3%となり、そのうち「防衛的賃上げ」は64.1%であった。正社員の賃上げ額(月給)は、加重平均で9,662円、賃上げ率は3.62%であった。また、5%以上の賃上げは2割程度となった。パート・アルバイト等の賃上げ額(時給)は、加重平均37.6円、賃上げ率は3.43%であった。また、5%以上の賃上げは3割程度、4%以上の賃上げは4割超となった。
「2024年夏季賞与の動向アンケート」結果を公表ー帝国データバンク
帝国データバンクは6月13日、「2024年夏季賞与の動向アンケート」結果を発表した。
令和6年夏季賞与の支給状況について、「賞与あり・増加する」と回答したのが39.5%(前年比2.1ポイント増)、「賞与あり・変わらない」が34.2%(同2.2ポイント減)、「賞与あり・減少する」が11.3%(同2ポイント増)だった。また、「賞与なし」と回答した企業は10.3%(同0.9ポイント減)となった。
企業の規模別にみると、「賞与あり・増加する」の割合は、大企業は47.2%(前年比4.9ポイント増)、中小企業は38.2%(同1.7ポイント増)、小規模企業は29.2%(同1.9ポイント増)となった。
労働経済動向調査(2024年5月)結果を公表ー厚生労働省
厚生労働省は6月25日、「労働経済動向調査(2024年5月)」結果を公表した。
労働者の過不足判断DI(不足-過剰)は、正社員等がプラス45ポイントとなり、産業別にみると、特に「建設業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「運輸業,郵便業」で人手不足感が高くなった。
また、パートタイム労働者ではプラス29ポイントとなり、産業別にみると「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」で人手不足感が高くなっている。
令和7年新規学卒者の採用予定者数を令和6年新規学卒者の採用予定数に比べて「増加」とする事業所割合は、高校卒3%、大学卒(文科系)21%、大学卒(理科系)22%、大学院卒12%となった。
※「労働者過不足判断 D.I.」は、調査時点において、労働者が「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値である。この判断 D.I.がプラスであれば、人手不足と感じている事業所が多いことを示す。
「労働組合活動等に関する実態調査」結果を公表ー厚生労働省
厚生労働省は6月26日、2023年労働組合活動等に関する実態調査の結果を公表した。
労使関係の維持の認識について「安定的に維持されている」が52.4%、「おおむね安定的に維持されている」が38.6%となり、安定的と認識している労働組合は9割を超えた。
また、組合員数については、3年前と比べ「減少した」が54.5%(21年調査42.7%)となり、「増加した」は23%(同31.4%)、「変わらない」が22.3%(同25.8%)だった。組合員数が増加した理由(複数回答)は、「新卒・中途採用の正社員の組合加入」が89.9%(同84.4%)、「正社員以外の労働者の組合加入」が10.0%、「在席する正社員の組合加入」が8.6%だった。
重点課題としての組織拡大への取組をみると、「取り組んでいる」は28.4%(21年調査26.7%)、「取り組んでいない」は71.3%(同73.3%)となった。取り組まない理由(複数回答)は、「ほぼ十分な組織化が行われているため」が5割を超えた。
「人材確保・退職代行」に関する企業アンケート調査結果を発表ー東京商工リサーチ
東京商工リサーチは6月19日、「人材確保・退職代行」に関する企業アンケート調査結果を発表した。調査は6月3日から10日までインターネットにより実施され、有効回答5,149社である。
退職代行業者を使った従業員の退職があった企業は、全体で9.3%となり、規模別にみると大企業は18.4%、中小企業は8.3%であった。
新規採用や離職防止の人材確保の取組として、「賃上げをした」が73.5%となり、「休暇日数を増やした」が24.4%となった。規模別にみると、「賃上げをした」と回答した大企業は84.9%、中小企業は72.2%だった。
令和6年版「高齢社会白書」を公表ー内閣府
内閣府は6月21日、令和6年版「高齢社会白書」を公表した。2023年時点の65歳以上人口が占める割合は29.1%、65歳以上の就業者数は20年連続で上昇して就業率も「65~69歳」が52.0%、「70~74歳」が34.0%となっている。現在収入のある仕事をしている60歳以上の人の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答している。
令和6年版「障害者白書」を公表ー内閣府
内閣府は6月21日、令和6年版「障害者白書」を公表した。第3章の「雇用・就労の促進施策」において、民間企業や国・地方公共団体等の障害者の雇用・在籍状況、障害のある人の雇用対策や障害者雇用に関する優良な中小事業主に対する認定制度(もにす認定制度)、また障害特性に応じた雇用支援策として在宅就業への支援等を挙げ、テレワークによる障害のある人の雇用の事例を紹介している。
「令和6年版男女共同参画白書」ー内閣府
内閣府は6月14日、令和6年版男女共同参画白書を公表した。この白書は、男女ともに、一人一人が希望に応じて、自らの個性と能力を最大限に発揮し、持続的に活躍していくためには、まずは健康であること、健康課題と上手に付き合っていくことが必要として、「仕事と健康の両立」を特集している。
令和6年版「観光白書」を公表ー観光庁
観光庁は6月18日、令和6年版観光白書を公表した。
宿泊業の売上高は、緩やかな増加傾向となっているが、観光需要が回復する一方で観光地や観光産業における人材不足等による供給面に課題があるとしている。
宿泊業における雇用者数の動向をみると、回復傾向で推移しているが、賃金(年間賃金総支給額)においては、2019 年から 2023 年にかけてほぼ横ばいで推移しており、全産業の水準を一貫して下回っている。回復傾向にあるが、2022 年度においても、宿泊業の労働生産性は全産業の水準を依然下回っている。
「選択肢のある社会の実現を目指して~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える~」を公表ー日本経済団体連合会
経団連は6月10日、提言「選択肢のある社会の実現を目指して~女性活躍に対する制度の壁を乗り越える~」を公表した。公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても通称使用は定着しているが、通称は法律上の姓ではなく、旧姓併記拡大では解決できない課題もあり、女性活躍が進めば進むほど通称使用による弊害が顕在化するようになった。
時代とともに変化し多様化していく価値観や考え方、社会実態に合わせて、一人ひとりの「選択肢」を増やす観点からも見直しが必要であることを政府に提言している。
「なんでも労働相談ダイヤル」2024年5月分集計結果を公表ー日本労働組合総連合会
連合は6月20日、「なんでも労働相談ダイヤル」2024年5月分集計結果を発表した。
受付件数は1,195件で相談の内容は、「パワハラ・嫌がらせ」20.3%が最も多く、「雇用契約・就業規則」が9.2%、「退職手続」が8.5%となった。
また、業種別では「医療・福祉」が21.9%で最も多く、「サービス業(他に分類されないもの)」が18.4%、「製造業」が12.2%となった。
「2024年問題に関するアンケート」調査結果を公表ー東京商工リサーチ
東京商工リサーチは6月17日、「2024年問題に関するアンケート」調査結果を発表した。
「2024年問題」が会社の経営に「マイナス」の影響と回答した企業が55.3%となり、前回調査(令和5年10月・61.9%)から6.6ポイント改善したが、依然として企業経営に影響を及ぼしている。規模別では、大企業が62.9%(同68.0%)、中小企業が54.4%(同60.9%)となった。産業別では、卸売業が65.8%で最も多く、建設業が64.1%、製造業が60.7%となった。
2024春季生活闘争 第6回回答集計結果を公表ー日本労働組合総連合会
連合は6月5日、2024春季生活闘争第6回回答集計結果を公表した。
平均賃金方式で回答を得た4,938組合の「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で1万5,236円・5.08%(昨年同時期比4,429円増・1.42ポイント増)となった。比較可能な2013闘争以降で額・率とも最も高いという。
このうち、組合員300人未満の中小組合(3,516組合)では、加重平均で1万1,361円・4.45%(昨年同時期比3,033円増・1.09ポイント増)となった。
2024年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況(第1回集計)を公表ー日本経済団体連合会
経団連は6月13日、2024年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況(第1回集計)を発表した。
従業員500人以上の主要17業種大手754社に調査を行い、17業種238社(31.6%)から回答が示された。そのうち、平均金額不明などの12社を除いた226社の賃上げ妥結水準は、加重平均で1万420円(前年同期7,864円)で、3.92%(同2.94%)上昇した。
夏季一時金第2回集計の結果を公表ー国民春闘共闘委員会
国民春闘共闘委員会は6月17日、夏季一時金第2回集計の結果を公表した。
回答金額が判明している352組合の単純平均は62万9,596円となり、前年同期を2万2,811円上回った。回答月数が判明している583組合の単純平均は1.95か月となり、前年同期を0.02か月上回った。
夏季一時金の平均妥結額は818,331円(2.57か月分相当)ー東京都
東京都は6月12日、2024年夏季一時金要求・妥結状況の中間集計結果を公表した。この調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。
既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な194組合の平均妥結額は81万9,696円(加重平均)で、平均賃金(32万7,306円・40.9歳)の2.50か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(81万8,136円)との比較では、1,560円増加(0.19%増)となった。
2 主要労働統計
※( )内は前月
労働力状態<全国・5月>
資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」
労働力人口 | 6,959万人(6,943万人) |
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就業者数 | 6,766万人(6,750万人) 前年同月比21万人の増加 |
完全失業者数 | 193万人(193万人) 前年同月比5万人の増加 |
完全失業率【季節調整値】 | 2.6%(2.6%) |
労働市場<東京都・5月>
資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」
月間有効求職者数 | 139,880人(138,386人) |
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月間有効求人数 | 211,495人(205,001人) |
有効求人倍率【季節調整値】 | 1.75倍(1.73倍)<全国:1.24倍(1.26倍)> |
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。
常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・4月・事業所規模5人以上>
資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」
現金給与総額 | 381,880円(394,532円) |
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定期給与 | 357,363円(351,716円) |
特別給与 | 24,517円(42,816円) |
総実労働時間数 | 144.6時間(138.1時間) |
所定内労働時間数 | 132.4時間(125.8時間) |
所定外労働時間数 | 12.2時間(12.3時間) |
倒産状況<東京都・6月>
資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)
件数 | 146件(191件)<全国:820件(1,009件)> |
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負債総額 | 14,953百万円(33,839百万円)<全国:109,879百万円(136,769百万円)> |
倒産件数は、146件(前年同月比10.6%増)と、22か月連続で前年同月を上回った。負債額10億円以上の倒産は2件(前年同月7件)となった。業種別件数ではサービス業(40件)、情報通信業(26件)、卸売業(21件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は112件となり、倒産件数における構成比は76.7%となった。倒産企業総従業員数は471人となり、前年同月の553人と比べ14.8%減となった。
お問い合わせ
雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654