労働情勢(2025年3月31日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 主要労働統計
毎月勤労統計調査 令和7年1月分結果確報
厚生労働省は4月7日、「毎月勤労統計調査(令和7年1月分結果確報)」を公表した。
事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.8%増の29万2,468円となった。総実労働時間は前年同月比0.2%減の128.5時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比1.0%減の9.5時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比2.8%減となった。
2月の完全失業率は2.4%で前月から0.1ポイント低下―総務省労働力調査
総務省統計局は4月1日、「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)2月分」を公表した。
2月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,768万人で前年同月に比べ40万人増加し、31か月連続の増加となった。完全失業者数は165万人で、前年同月に比べ12万人減少し、2か月ぶりの減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「医療,福祉」、「宿泊業,飲食サービス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などが増加となった。
2月の有効求人倍率は1.24倍で前月に比べて0.02ポイント低下―一般職業紹介状況
厚生労働省は3月4日、「一般職業紹介状況(令和7年2月分)」を公表した。
1月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と比べ0.01ポイント増加し、1.26倍(正社員1.03倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.02ポイント増加し、1.78倍であった。
2024年度「教職員団体への加入状況に関する調査」の結果を公表ー文部科学省
文部科学省は3月4日、2024年度「教職員団体への加入状況に関する調査」結果を公表した。この調査は、教職員が組織する職員団体への加入数や新規に採用された教職員の職員団体への加入状況を調査し、各都道府県における教職員の人事行政の円滑かつ適正な運営に資することを目的に、毎年10月1日現在で実施している。
教職員団体全体の加入率は26.8%(前年度27.7%)で 前年度から0.9ポイント減少し、昭和51年以降49年連続の減少となった。日本教職員組合(日教組)への加入率は18.8%(前年度19.2%)で 前年度から0.4ポイント減少し、昭和52年以降48年連続の減少となった。
また、教職員団体全体の新採用教職員の加入率は20.8%(前年度21.3%)で、前年度から0.5ポイント減少し4年連続の減少となった。日教組への新採用教職員の加入率は16.8%(前年度17.0%) で、昨年度から0.2ポイント減少し3年連続の減少となった。
令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(2月1日現在)を公表ー厚生労働省・文部科学省
厚生労働省と文部科学省は3月14日、令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(2月1日現在)を公表した。
大学(学部)の就職内定率は92.6%(前年同期比1.0ポイント上昇)、短期大学は84.9%(同0.8ポイント低下)となった。
「2025年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果を公表ー帝国データバンク
帝国データバンクは3月25日、「2025年度の雇用動向に関する企業の意識調査」の結果を公表した。この調査は2025年2月に全国の企業を対象に実施されたものである(有効回答企業数は2万6,815社)。
調査結果によると、2025年度(2025年4月~2026年3月入社)に正社員の採用予定がある企業は58.8%(前年度比2.7ポイント減)と2年連続で前年度を下回った。採用状況を採用形態別に尋ねたところ、「新卒新入社員」で37.1%、「中途社員」で51.0%となった。
また、非正社員の採用予定がある企業も41.7%(前年度比4.2ポイント減)と2年連続で低下した。
「旧姓の通称使用に関する企業の実態アンケート」の結果を公表ー帝国データバンク
帝国データバンクは3月14日、「旧姓の通称使用に関する企業の実態アンケート」の結果を公表した。この調査は2024年3月にインターネット調査で行われ、有効回答企業数は1万1,267社だった。
調査結果によると、「認めている」企業の割合は 63.6%、「認めていないが使用について検討中」が6.9%、「認めていない」は 9.2%だった。「認めている」、「認めていないが使用について検討中」と回答した企業の割合を規模別にみると、「大企業」では 78.7%、「中小企業」は 69.2%、「小規模企業」は 64.0%と規模の大きい企業ほど旧姓の通称使用が進んでいた。
認めている企業からは、「取引先に覚えてもらっている旧姓をそのまま使用した方がスムーズ」などの回答がある一方で、認めていない企業からは「免許や資格証は旧姓かどうかの確認が必要となるほか、申請書類などの誤記が懸念される」など、旧姓・現姓両方の管理にともなう事務負担や煩雑さが理由としてあがった。
労働経済動向調査(令和7年2月)の結果を公表ー厚生労働省
厚生労働省は3月25日、「労働経済動向調査(令和7年2月)」の結果を公表した。この調査は四半期ごとに実施されており、今回は特別項目として、「令和7年新規学卒者の採用内定状況」及び「正社員以外の労働者から正社員への登用の状況」についても調査が行われている。
調査結果によると、令和7年2月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス48ポイントであり、平成23年8月調査から55期連続して不足超過となった。特に、「学術研究,専門・技術サービス業」、「建設業」、「情報通信業」で人手不足感が高い。
令和7年2月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス30ポイントであり、平成21年11月調査から62期連続して不足超過となった。特に、「宿泊業,飲食サービス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「生活関連サービス業,娯楽業」、で人手不足感が高い。
※「労働者過不足判断 D.I.」は、調査時点において、労働者が「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した事業所の割合を差し引いた値である。この判断 D.I.がプラスであれば、人手不足と感じている事業所が多いことを示す。
「第32回新しい資本主義実現会議」を開催ー政府会議
政府は3月28日、「第32回新しい資本主義実現会議」を開催した。会議では、価格転嫁・官公需、生産性向上、事業継承・M&A(買収と合併)等の経営基盤の強化について議論が行われ、総理は、「我が国の雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者が、『コストカット型』の経営から、積極的な賃上げにより人材を確保し、投資を通じて生産性の向上を実現し、それにより企業収益を拡大するという『成長型』の経営へと変革を進めることができるよう、その後押しに集中的に取り組む」と述べた。
また、この会議での議論を踏まえ、①価格転嫁・官公需等の取引適正化の徹底②中小企業・小規模事業者の生産性向上、③事業承継・M&Aといった選択肢も含め、先々の経営判断を計画的に行うことができる環境を整備へ取り組むとし、6月の新しい資本主義実行計画の改訂に向けて議論を加速するとした。
特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律に基づく指導について公表ー公正取引委員会
公正取引委員会は3月28日、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号。以下「フリーランス・事業者間取引適正化等法」という。)の施行後、フリーランス・事業者間取引適正化等法第22条の規定に基づき、45名の事業者に対して、契約書や発注書の記載、発注方法、支払期日の定め方等の是正を求める指導を行ったことを公表した。同法に違反する疑いのある行為を行っている事業者やその業種に関する情報収集を積極的に行い、得た情報を踏まえ、フリーランスとの取引が多い業種であるゲームソフトウェア業、アニメーション制作業、リラクゼーション業及びフィットネスクラブの事業者について集中的に調査を行った結果としている。
令和6年末現在における在留外国人数について公表ー出入国在留管理庁
出入国在留管理庁は3月14日、令和6年末現在における在留外国人数について公表した。令和6年末の在留外国人数は、376万8,977人(前年末比35万7,985人、10.5%増)で、過去最高を更新した。
在留資格別では、「永住者」が918,116人(+26,547人)で最も多く、次いで、「技能実習」が456,595人(52,039人増)、「技術・人文知識・国際業務」が418,706人(56,360人増)、「家族滞在」が305,598人(39,578人増)となっている。
また、在留カード及び特別永住者証明書上に表記された国籍・地域の数は、195(無国籍を除く。)で、「中国」873,286人(51,448人増)、「ベトナム」634,361人(69,335人増)、「韓国」409,238人 (918人減)の順となった。
特定技能制度における地域の共生施策に関する連携について公表ー出入国在留管理庁
出入国在留管理庁は3月6日、特定技能基準省令の一部を改正する省令の施行に伴い、特定技能制度における地域の共生施策に関する連携について公表した。
4月1日に施行された特定技能基準省令の一部を改正する省令に規定されている特定技能所機関が取り組む4つのポイント等が示されている。
「早期事業再生法案の閣議決定に対する談話」を公表ー連合
連合は3月7日、政府は3月4日、「円滑な事業再生を図るための事業者の金融機関等に対する債務の調整の手続等に関する法律案」を閣議決定したことを受けて、「早期事業再生法案の閣議決定に対する談話」を公表した。
談話は、「本制度は、あくまでも金融債務に限定しているものの、これまでの他の手続による事業再生で人員整理や労働条件の引き下げなどが頻発している実態があることからすれば、労働者保護の観点で懸念がある」とし、「事業の維持・発展には労働者による理解と協力が不可欠であるが、実際の事業再編時には、整理解雇や希望退職、賃金の切り下げなどが行われることが少なくないため、労働組合等の手続関与の保障などを通じ、労働者の雇用などの保護をはかることが極めて重要である」としている。
「高額療養費制度の見直し実施の見送りに対する談話」を公表ー連合
連合は3月11日、政府が高額療養費制度について、本年2025年8月に予定していた見直し全体の実施を見送るとともに、本年秋までに制度の在り方を再検討することを決定したことを受けて、「高額療養費制度の見直し実施の見送りに対する談話」を公表した。
談話は、「政府は、国民の声や実態を踏まえつつ、『上手な医療のかかり方』を啓発するとともに、患者の状態像に応じた入院医療の在り方などもあわせて検討し、医療費の伸びを抑制していくことが重要である」としている。
特定技能制度および育成就労制度の基本方針などの閣議決定に対する談話」を公表ー連合
連合は3月12日、政府が「新たな特定技能制度および育成就労制度の基本方針と、既存の特定技能制度における分野別運用方針の一部変更」について閣議決定したことを受けて、「特定技能制度および育成就労制度の基本方針などの閣議決定に対する談話」を公表した。
談話は、「基本方針は、昨年6月に成立した『入管難民法及び技能実習法改正法』における制度の適正化という趣旨を一定反映するものだが、労働者保護や議論のプロセスなどに懸念が残る」と指摘し、基本方針の内容について、「労使などが参画する有識者会議で議論されたことは透明性確保の観点から一歩前進であるが、特定技能制度において雇用責任が曖昧になりやすい『在籍型出向』を例外的に認めることも含め、極めて短い期間で議論が行われた。両制度の適正化を果たすためにも、十分に議論を尽くすべきである」としている。
「給特法改正法案に反対する幹事長声明」を公表ー日本労働弁護団
日本労働弁護団は3月7日、「給特法改正法案に反対する幹事長声明」を公表した。
声明では、「公立学校教員をめぐる最大の課題は、多数の休職者や離職者を生じさせ、教員志願者数の減少や教員不足等を引き起こす原因にもなっている長時間労働の是正であり、その長時間労働を是正するためには、給特法の廃止又は抜本的な改正が必要不可欠」としている。
また、「改正法案による教職調整額の増額は一定の処遇改善につながりつつも、長時間労働の是正にはつながらないため、現行の給特法の枠組みを固定化し、教員の労働環境改善にとっては悪影響となりかねず到底容認できない」との立場が表明されている。
「ワークルール教育推進法の早期成立を求める声明を公表ー日本労働弁護団
日本労働弁護団は3月10日、「ワークルール教育推進法の早期成立を求める声明」を公表した。
声明では、「労働法制に関する適切な知識は、労働者だけでなく、使用者も有するべきであり、ワークルール教育の実践が労働者自らの権利の擁護及び増進のためであること、また事業者の健全な事業活動の促進に資することは共通の認識といえる」とし、さらに「労働条件の改善や労働者の権利向上のためにも労働組合の組織率向上は喫緊の課題」と主張している。
ワークルール教育は個別の労使関係を超えて求められ、またその機会は幅広く提供されるべきであり、ワークルール教育推進法を制定してその教育を受けることができる体制を整備するよう求めている。
2025春季生活闘争 第3回回答集計結果を公表ー連合
連合は4月3日、2025春季生活闘争第3回回答集計結果を公表した。
平均賃金方式で回答を得た2,485組合の「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で1万7,358円・5.42%(昨年同時期比1,321円増・0.18ポイント増)となった。比較可能な2015闘争以降で額・率とも最も高いという。
このうち、組合員300人未満の中小組合(1441組合)では、加重平均で1万3,360円・5.0%(昨年同時期比1,321円増・0.18ポイント増)となった。
25国民春闘共闘賃上げ第3回集計の結果を公表ー国民春闘共闘委員会
国民春闘共闘委員会は4月1日、25国民春闘共闘賃上げ第3回集計の結果を公表した。
有額回答を得た415労働組合の単純平均額は8,337円と前年同期を433円上回り、率は3.10%と前年同期を0.23ポイント上回った。前年実績と比較可能な組合の単純平均額は8,469円と前年実績を166円上回り、率は3.19%と前年実績と同率だった。
賃上げ(月例賃金)の平均妥結額は1万7,985円 賃上げ率5.13%ー東京都
東京都は3月27日、2025年春季賃上げ要求・妥結状況の中間集計結果を公表した。この調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。
既に妥結した労働組合のうち、前年の妥結額と比較可能な34組合の平均妥結額は1万7,985円で、これは平均賃金(35万474円・41.1歳)の5.13%に相当する。同一労組の前年妥結額との比較では685円増加(3.96%増)となった。
2 主要労働統計
※( )内は前月
労働力状態<全国・12月>
資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」
労働力人口 | 6,965万人(6,978万人) |
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就業者数 | 6,811万人(6,814万人) 前年同月比57万人の増加 |
完全失業者数 | 154万人(164万人) 前年同月比2万人の減少 |
完全失業率【季節調整値】 | 2.4%(2.5%) |
労働市場<東京都・12月>
資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」
月間有効求職者数 | 130,872人(135,360人) |
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月間有効求人数 | 220,640人(219,095人) |
有効求人倍率【季節調整値】 | 1.69倍(1.76倍)<全国:1.25倍(1.25倍)> |
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。
常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・11月・事業所規模5人以上>
資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」
現金給与総額 | 393,566円(373,032円) |
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定期給与 | 359,380円(358,881円) |
特別給与 | 34,186円(14,151円) |
総実労働時間数 | 143.0時間(143.3時間) |
所定内労働時間数 | 131.0時間(131.1時間) |
所定外労働時間数 | 12.0時間(12.2時間) |
倒産状況<東京都・1月>
資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)
件数 | 131件(146件)<全国:701件(842件)> |
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負債総額 | 22,130百万円(113,026百万円)<全国:79,123百万円(194,030百万円)> |
倒産件数は、131件(前年同月比40.9%増)と、17か月連続で前年同月を上回った負債総額は、221億3,000万円(前年同月比172.1%増)となった。負債額10億円以上の倒産は3件(前年同月2件)となった。業種別件数ではサービス業(33件)、卸売業(19件)、建設業(17件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は106件となり、倒産件数における構成比は80.9%となった。倒産企業総従業員数は439人となり、前年同月の347人と比べ26.5%増となった。
お問い合わせ
雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654