労働情勢(2024年9月30日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 主要労働統計

毎月勤労統計調査 令和6年7月分結果確報

 厚生労働省は9月26日、「毎月勤労統計調査(令和6年7月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比3.4%増の40万3,090円となった。総実労働時間は前年同月比0.6%増の141.5時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比2.0%減の10.1時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比0.3%増となった。

8月の完全失業率は2.5%で前月から0.2ポイント低下ー総務省労働力調査

 総務省統計局は10月1日、「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)8月分」を公表した。

 8月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月から0.2ポイント低下した。就業者数は6,815万人で前年同月に比べ42万人増加し、25か月連続の増加となった。完全失業者数は175万人で、前年同月に比べ11万人減少し、2か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「情報通信業」、「学術研究,専門・技術サービス」などが増加となった。

8月の有効求人倍率は1.23倍で前月から0.01ポイント低下ー一般職業紹介状況

 厚生労働省は10月1日、「一般職業紹介状況(令和6年8月分)」を公表した。
 
 8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.01ポイント低下の1.23倍(正社員1.01倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.08ポイント低下し、1.76倍であった。

令和5年「若年者雇用実態調査」の結果を公表ー厚生労働省

 文部科学省は9月25日、令和5年「若年者雇用実態調査」の結果を公表した。

 この調査は、事業所における若年労働者の雇用状況、若年労働者の就業に関する意識など若年者の雇用実態について把握することを目的とし、5人以上の常用労働者を雇用する事業所約 17,000 か所と、そこで働く若年労働者(満 15~34 歳の労働者)約23,000 人を対象として令和5年 10 月1日現在の状況について調査を実施された。(有効回答率は事業所調査45.3%、個人調査で57.6%)

 調査結果によると、全労働者に占める若年労働者の割合は 23.7%(前回調査27.3%)正社員に占める若年労働者の割合は25.4%(同27.7%)正社員以外の労働者に占める若年労働者の割合は20.8%(同26.8%)だった。

 若年正社員の「定着のための対策を行っている」事業所は 73.7%、正社員以外の若年労働者の「定着のための対策を行っている」事業所は 60.1%となっており、若年労働者の定着のために実施している対策(複数回答)をみると、「職場での意思疎通の向上」が若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに最も高くなっている。また、若年正社員、正社員以外の若年労働者ともに、前回調査より「労働時間の短縮・有給休暇の積極的な取得奨励」を実施する事業所割合が大きく増加している。

令和6年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況」を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は、令和7年3月に高校や中学を卒業する生徒について、令和6年7月末現在のハローワーク求人における求人・求職状況を取りまとめ公表した。対象は、学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒である。

 高校新卒者の求人数は約46万5千人で前年同期比4.8%の増、求職者数は約12万6千人で同0.1%の減となった。求人倍率は3.70倍で同0.18ポイントの上昇となり、統計を取り始めた昭和60年以降最も高くなった。

 中学新卒者の求人数は618人で前年同期比12.5%の減、求職者数は751人で同10.9%の増となった。求人倍率は0.82倍で同0.22ポイントの低下となった。

都道府県別の女性の就業状況等を公表ー政府・女性活躍推進PT

 政府の「女性の職業生活における活躍推進プロジェクトチーム」は9月2日、第6回会議を開催した。

厚生労働省の資料「都道府県別の女性の就業状況等について」によると、都道府県別の男女間賃金格差が大きいのは栃木県(71.0)、茨城県(72.1)、長野県(72.8)、東京都(73.0)の順だった。また、格差が小さいのは高知県(80.4)、岩手県(80.3)、長崎県(80.2)、秋田県(79.9)などの順だった。(男女間賃金格差とは、一般労働者について、男性の所定内給与額を100としたときの女性の所定内給与額の値をいう)

 資料では、男女間の賃金格差が、若い女性の地方からの流出につながっている可能性を指摘し、男女間賃金格差への対応も含め、女性が地域で活躍しやすい環境をつくることが、地域経済の長期的な持続性を高める上でも重要としている。

労働経済動向調査(令和6年8月)の結果を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は9月24日、「労働経済動向調査(令和6年8月)」の結果を公表した。

この調査は、景気の変動が雇用などに及ぼしている影響や今後の見通しについて調査し、労働経済の変化や問題等を把握することを目的に、四半期ごとに実施されている(有効回答2,929事業所)。今回は特別項目として、「労働者不足の対処方法」及び「令和5年度新規学卒者の採用枠での募集」についても調査が行われている。

 調査結果によると、令和6年8月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス46ポイントとなった。特に、「学術研究,専門・技術サービス業」、「医療,福祉」、「建設業」、「運輸業,郵便業」で人手不足感が高い。

   令和6年8月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス29ポイントとなった。特に、「宿泊業,飲食サービス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「生活関連サービス業,娯楽業」で人手不足感が高い。

令和5年分民間給与実態統計調査の結果を公表ー国税庁

 国税庁は9月25日、令和5年分民間給与実態統計調査の結果を公表した。

この調査は、民間の事業所における年間の給与の実態を、給与階級別、事業所規模別、企業規模別等に明らかにし、併せて、租税収入の見積り、租税負担の検討、税務行政運営等の基本資料とすることを目的としたサンプル調査である。

   調査結果によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は460万円で、3年連続の増加となった。

雇用形態別にみると、正社員は530万円(前年比1.3%増)、正社員以外は202万円(同0.7%増)となった。男女別にみると、男性は569万円(前年比0.9%増)、女性は316万円(同0.7%増)となった。

「令和5年民間企業の勤務条件制度等調査」の結果を公表ー人事院

 人事院は9月30日、令和5年民間企業の勤務条件制度等調査の結果を公表した。

この調査は、国家公務員の勤務条件を検討するに当たっての基礎資料を得ることを目的に、全国の常勤従業員数50人以上の民間企業を対象に、令和5年10月1日現在における労働時間、休業・休暇、福利厚生、災害補償法定外給付及び退職管理等の諸制度を調査したものである。

 調査結果によると、定年制がある企業のうち、定年制の「変更予定がある」企業の割合は14.7%で、そのうち変更予定年齢を「65歳」とする企業の割合が58.2%と最も高く、次いで「検討中・未定」とする企業が31.0%となっている。定年制がある企業のうち、定年後の「継続雇用制度がある」企業の割合は93.6%で、そのうち一旦定年退職した従業員を再び雇用する「再雇用制度がある」企業の割合は91.2%、定年年齢に達した従業員を退職させることなく引き続き常勤の従業員として雇用する「勤務延長制度がある」企業の割合は12.2%、「特殊関係事業主(子会社・関連会社等)での継続雇用制度がある」企業の割合は1.2%となっている。

 再雇用制度がある企業における上限年齢をみると、「65歳」とする企業の割合が71.5%と最も高く、次いで「70歳」が15.3%、「上限なし」が9.2%となっている。また、勤務延長制度がある企業における上限年齢をみると、「上限なし」とする企業の割合が45.2%と最も高く、次いで「65歳」が35.9%、「70歳」が12.6%となっている。

令和7年度予算概算要求の概要を公表ー厚生労働省・国土交通省

 厚生労働省・国土交通省は9月2日、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため、令和7年度予算概算要求の概要を公表した。

「人材確保」、「人材育成」、「魅力ある職場づくり」の3つの重点事項で厚生労働省と国土交通省の予算を取りまとめている。

 建設業の技能者のうち、60歳以上の割合が約4分の1を占め、29歳以下は全体の約12%となり、建設業が引き続き「地域の守り手」として役割を果たしていくためには、将来の建設業を支える担い手の確保が急務である。特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、担い手の処遇改善、働き方改革、生産性向上を一体として進めていくことが重要とし、両省は連携して関係施策を実施し、建設業の人材の確保・育成に一層取り組むとしている。

「高齢社会対策大綱」を閣議決定

 政府は9月5日、「高齢社会対策大綱」を公表した。

 就業・所得の分野では、 年齢に関わりなく希望に応じて働くことができる環境の整備として、高齢期を見据えたスキルアップやリ・スキリングの推進、 企業等における高齢期の就業の促進、 高齢期のニーズに応じた多様な就業等の機会の提供などを示している。また公的年金制度の安定的運営や高齢期に向けた資産形成等の支援を図るとしている。 

「令和5年度使用者による障害者虐待の状況等」の取りまとめ結果を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は9月4日、「令和5年度使用者による障害者虐待の状況等」を公表した。

この資料は、障害者虐待防止法第28条に基づいて都道府県労働局が把握した、使用者による障害者虐待の状況等を取りまとめたものである。

   虐待が認められた事業所数は447事業所で、前年度と比べ4.0%増加し、虐待が認められた障害者数は761人で、前年度と比べ16.0%増加した。また、認められた虐待の種別では、経済的虐待が659人(80.6%)と最も多く、次いで心理的虐待が71人(8.7%)、放置等による虐待が42人(5.1%)となった。

「令和5年版 労働経済の分析」(労働経済白書)を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は9月29日、「令和5年版 労働経済の分析」(労働経済白書)を閣議で報告し、公表した。
 
   今回の白書では、「人手不足への対応」をテーマに、雇用情勢や賃金、経済等の動きをまとめ、また、我が国の人手不足の動向やその背景を分析し、人手不足への対応に向けた方向性等を示している。

   こうした人手不足に対応するためには、労働生産性の向上に引き続き取り組んでいくとともに、誰もが活躍できる社会の実現に向けて、女性、高齢者、外国人等の多様な人材が活躍できる職場づくりが重要である。

さらに、介護や小売・サービス等の人手不足が深刻な分野においては、離職率を下げることが重要であり、賃金水準をはじめ労働環境、労働条件の整備・改善が求められるほか、人手不足の程度に応じて、ICTの活用や機械化の対応も効果的であるとしている。

「次期年金制度改正に向けた基本的見解」を公表ー日本経済団体連合会

 経団連は9月30日、次期年金制度改正に向けた基本的見解を公表した。

この提言は昨年 10 月にとりまとめた「中長期視点での全世代型社会保障の議論を求める」を踏まえ、次期年金制度改正に特化して経団連の考え方を示すものである。

   公的年金制度については、企業規模要件の撤廃や個人事業所の非適用業種の解消等により被用者保険のさらなる適用拡大を図ること、女性の就業促進に向けた取組を行い第③号被保険者制度の在り方を検討すること、年齢に関わりなく高齢者が就業できる環境整備に向けて、在職老齢年金の将来的に廃止を検討することとしている。

また、私的年金については、iDeCoと企業型確定拠出年金の拠出限度額引上げや確定給付企業年金の給付減額の判定基準の見直しなどを提起している。

「2024年度規制改革要望」を公表ー日本経済団体連合会

 経団連は9月17日、「2024年度規制改革要望」を公表した。

この提言は、会員企業・団体からの提案を踏まえ、今年度の規制改革要望を「デジタル」、「環境」、「人の活躍」、「新産業の成長」の4つの柱に沿って取りまとめたものである。

   「人の活躍」については、建設業における専任技術者の営業所兼務において、一定の条件を設けた上で、建設業における営業所専任技術者の複数営業所での兼務を容認し、専任技術者の担い手不足解消と建設業界の生産性向上に寄与することなどを求めている。

「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」の結果を公表ー日本商工会議所・東京商工会議所

 日本商工会議所・東京商工会議所は9月5日、「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」結果の概要を公表した。

この調査は、中小企業における人手不足の状況と対策、シニア人材の活躍推進、女性の活躍推進・仕事と育児の両立、外国人材の活躍推進、障害者の活躍推進について、中小企業の実態を把握し意見・要望活動に活かすことを目的に行われた。(回答企業数は2,392社)

   調査結果によると、人手が「不足している」と回答した企業が63.0%、そのうちの65.5%が事業運営への影響について、「非常に深刻(廃業のおそれ)」(4.2%)または「深刻(事業継続に支障が出るおそれ)」(61.3%)と回答している。人手が「不足している」と回答企業を業種別にみると、運輸業が83.3%、建設業が79.2%で約8割に達し、とりわけ厳しい状況になっている。

    人手不足への対策としては、「採用活動の強化(非正規含む)」(78.4%)で最も多く、「採用活動」以外の対策としては、事業のスリム化、能力開発、デジタル活用など生産性向上や、女性・シニア・外国人材など多様な人材の活躍推進の取組は、いずれも約3割から4割にとどまっている。

2024年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(最終集計)を公表ー日本経済団体連合会

 経団連は8月30日、2024年春季労使交渉における中小企業の業種別妥結結果(原則従業員500人未満、組合員数による加重平均)の最終集計を公表した。

   集計可能な17業種375社の月例賃金の平均引き上げ額は1万712円、アップ率は4.01%となり、前年の最終集計から2,000円増加、アップ率は1.01ポイント増加となった。妥結額、アップ率共に1992年(1万1418円、5.00%)以来の高い水準だという。

令和6年 民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は9月13日、令和6年民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表した。

  妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業326社の平均妥結額は89万8,754円(加重平均)となり、前年から5万3,197円の増加(6.29%増)となった。

 

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・8月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,990万人(6,983万人)
就業者数 6,815万人(6,795万人) 前年同月比42万人の増加
完全失業者数 175万人(188万人) 前年同月比11万人の減少
完全失業率【季節調整値】 2.5%(2.7%)

労働市場<東京都・8月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 136,458人(138,211人)
月間有効求人数 218,606人(227,227人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.76倍(1.84倍)<全国:1.23倍(1.24倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・7月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額 486,899円(695,609円)
定期給与 356,246円(353,964円)
特別給与 130,653円(341,645円)
総実労働時間数 144.7時間(142.2時間)
所定内労働時間数 133.0時間(130.7時間)
所定外労働時間数 11.7時間(11.5時間)

倒産状況<東京都・9月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 159件(143件)<全国:807件(723件)>
負債総額 50,967百万円(15,385百万円)<全国:132,754百万円(101,370百万円)>

 倒産件数は、159件(前年同月比30.3%増)と、3か月ぶりに前年同月を上回った。負債額10億円以上の倒産は7件(前年同月6件)となった。業種別件数ではサービス業(43件)、卸売業(22件)、情報通信業(21件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は122件となり、倒産件数における構成比は76.7%となった。倒産企業総従業員数は560人となり、前年同月の965人と比べ42.0%減となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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