労働情勢(2025年5月31日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 主要労働統計
毎月勤労統計調査 令和7年3月分結果確報
厚生労働省は5月22日、「毎月勤労統計調査(令和7年3月分結果確報)」を公表した。
事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比2.3%増の30万9,059円となった。総実労働時間は前年同月比2.7%減の132.7時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比2.8%減の10.2時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金(持家の貴族家賃を除く総合)は前年同月比1.8%減となった。
4月の完全失業率は2.5%で前月と同率―総務省労働力調査
総務省統計局は5月30日、「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)4月分」を公表した。
4月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月と同率となった。就業者数は6,796万人で前年同月に比べ46万人増加し、38か月連続の増加となった。完全失業者数は188万人で、前年同月に比べ5万人増加し、3か月ぶりの減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「医療,福祉」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「教育,学習支援業」などが増加となった。
4月の有効求人倍率は1.26倍で前月と同水準―一般職業紹介状況
厚生労働省は5月30日、「一般職業紹介状況(令和7年4月分)」を公表した。
4月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準で1.26倍(正社員1.05倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.03ポイント上昇し、1.79倍であった。
「令和7年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」を公表ー厚生労働省・文部科学省
厚生労働省と文部科学省は5月23日、「令和7年3月大学等卒業者の就職状況(4月1日現在)」を公表した。
大学(学部)の就職率は前年同期比0.1ポイント低下して98.0%となった。短期大学は前年同期比0.4ポイント低下して97.0%となった。
男女別では、男子は97.6%(同0.3ポイント低下)、女子は98.5%(同0.2ポイント上昇)となった。
令和7年3月高等学校卒業予定者の就職状況(令和7年3月末現在)を公表ー文部科学省
文部科学省は5月23日、「令和7年3月高等学校卒業予定者の就職状況(令和7年3月末現在)」を公表した。就職率は98.0%で、前年同期と同率となった。
男女別では男子が98.4%で前年同期と変わらず、女子が0.1ポイント増加して97.3%となり、
学科別では、内定率の高い順に、工業99.4%、水産98.9%、看護及び商業98.8%、福祉98.6%、農業98.6%、情報98.5%となった。
令和6年の労働災害発生状況を公表ー厚生労働省
厚生労働省は5月30日、令和6年の労働災害発生状況を公表した。新型コロナ感染症のり患によるものを除いた、労働災害による死亡者数は前年から9人減少して746人となり過去最少となった。
また、休業4日以上の死傷者数は13万5,718人(前年比347人増)となり、4年連続で増加した。年齢別では、60歳以上が全死傷者の約3割を占め、4万654人(前年比952人増)となった。
令和6年「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を公表ー厚生労働省
厚生労働省は5月30日、令和6年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を取りまとめ、公表した。
令和6年における職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は1,257人(前年比151人・14%増)で、全体の約4割が建設業と製造業で発生している。熱中症による死亡者数は31人(前年と同数)で、建設業(10人)や製造業(5人)で多く発生している。
人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)の調査結果を公表ー帝国データバンク
帝国データバンクは5月19日、「人手不足に対する企業の動向調査(2025年4月)」の調査結果を公表した。
正社員の人手不足を感じている企業の割合は51.4%となった。毎年4月は新卒新入社員などの入社によって人手不足割合が緩和する傾向にあるが、半数を超える結果となり、4月としては2023年と同水準で過去最高となった。また、非正社員の人手不足割合は30.0%で4月としては2年連続で低下しているが、3割台の水準で推移している。
正社員の人手不足割合を業種別にみると、「情報サービス」で69.9%、「メンテナンス・警備・検査」で69.4%、「建設業」で68.9%となった。非正社員では「飲食店」が65.3%となったが、前年同月(2024年4月・74.8%)と比較すると低下傾向にある。同様の傾向にある「旅館・ホテル」(51.8%)も含め、就業者数の多くを占める非正規の職員・従業員の数が回復していることやスポットワークなどの普及が背景にあるとみられると分析している。
「労働政策審議会労働政策基本部会報告書~急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方」を公表ー厚生労働省
厚生労働省は5月8日、「労働政策審議会労働政策基本部会報告書~急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方」を公表した。AIの進化による社会構造の変化や人口減少社会を見据えた、地方や中小企業における課題や労働政策等について議論し、「地方・中小企業における現状と課題」、「地方・中小企業の課題の解消に向けて、目指すべき施策の方向性」、「地方・中小企業の魅力の向上に資する労働政策」などについて報告書をまとめている。労使において課題が共有され、労働政策審議会の関係分科会や部会等において速やかに施策が検討されることを求めたいとしている。
政労使の意見交換ー政府
政府は5月22日、2025年春季労使交渉、「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の施策パッケージ案及び最低賃金の引上げ方針について意見交換を行った。
総理は、「今年の春季労使交渉での賃上げは、2年連続で5パーセントを上回る水準となっており、この賃上げが我が国の雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者、地方で働く皆様方にも行き渡ることが重要」としつつ、「2029年度までの5年間で、実質賃金で1パーセント程度の上昇を我が国に定着をさせ、中小企業・小規模事業者の経営変革の後押しと賃上げ環境の整備に政策資源を総動員する」と述べた。
年金改革関連法案を閣議決定ー政府
政府は5月16日、年金制度改革関連法案を閣議決定した。働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定及び所得再分配機能の強化を図るための公的年金制度の見直しとしている。
主な改正内容は、①被用者保険の適用拡大等、②在職老齢年金制度の見直し、③遺族年金の見直し、④厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ、⑤将来の基礎年金の給付水準の底上げなどとなっている。
地方創生2.0に関する経済団体との意見交換ー政府
政府は5月16日、地方創生2.0に関する経済団体との意見交換を行った。
首相はあいさつで、「人口減少が進み、従来の経済システムが機能しなくなっている。中長期的に信頼していただける持続可能なシステムに変更していかなければならない。地方の魅力づくり、産業のスマート化、AI・データセンター、GX・DXインフラの整備を進めて地方の強みである各種産業の潜在能力を最大化することが重要」と述べた。
また、「官民連携の下にハードだけではないソフトの魅力で新たな人の流れ生み出す、この新しい技術を徹底的に活用して、多極分散型の多様な経済社会を構築したい」と述べた。
経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会を開催ー厚生労働省
厚生労働省は5月16日、第4回経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会を開催し、中間とりまとめ骨子(案)について議論した。
経済社会情勢が激しく変化する中で、労働者が生涯にわたり充実した職業人生を送るためには、労働者が自身の将来のキャリアについて考えるなどの「キャリア自律」に取り組むことが不可欠になっており、支援するキャリアコンサルタントに対する期待はますます高まっているとしている。
また、キャリアコンサルタントには、それぞれの活動領域に応じた専門性が求められ、キャリア形成やマッチングの支援を的確に行うためには、労働市場の状況や様々な職種の業務内容と必要とされるスキル、教育訓練、各種支援措置等について、最新の情報を把握した上で、その情報を活用した適切なキャリアコンサルティングを行える能力が必要であるとしている。
「2025年度 連合の重点政策」を要請ー連合
連合は5月26日、「2025年度 連合の重点政策」を要請した。
要請内容は、「雇用の安定と公正労働条件の確保」、「ジェンダー平等で多様性を認め合う社会の実現」、「すべての世代が安心できる社会保障制度の確立」、「公平・連帯・納得の税制改革の実現」など、誰もが公正な労働条件のもと、多様な働き方を通じて社会に参加でき、自己実現に挑戦できるセーフティネットが組み込まれている活力あふれる参加型社会であり、多様性を受け入れ、互いに認め支え合い、誰一人取り残されることのない「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた政策提言としている。
「年金制度改正法案の閣議決定に対する事務局長談話」を発表ー連合
連合は5月16日、「年金制度改正法案の閣議決定に対する事務局長談話」を発表した。
年金制度改正法案の閣議決定については、少子高齢化の進行により年金制度の持続性と基礎年金の給付水準の確保が求められる中、国民が安心できる年金制度の構築に向けた国会での熟議が必要であるとしている。
また、法案では、基礎年金の給付水準底上げについては、被用者保険の適用拡大や、国民年金の改革としての保険料拠出期間の延長、底上げに必要となる国庫負担財源の確保が不可欠とし、被用者保険の適用拡大については、企業規模要件の撤廃、新規・既存に関わらず個人事業所への適用を行い、被用者保険の適用拡大を着実に進めるべきとしている。
第3号被保険者制度は、将来的な廃止に向けた検討会の設置を確認するなど、今後の道筋をつけるべきとしている。
最低生計費試算調査の結果を公表ー全労連
全労連は5月16日、最低生計費試算調査の結果を公表した。この調査は、全労連とその地域組織により27都道府県で実施され、約4万9000人の生活実態、持ち物をアンケート調査で収集し、商品・サービスの価格調査、生活スタイルのヒアリングなどを行い試算している。
最低賃金の最も高い東京1,163円と最も低い秋田951円では、212円(約22%)の差があったが、最低生計費は東京で1,664円、秋田では1,691円とほぼ同じだった(月150時間労働換算)。
地方と都市部の最低生計費に差はない結果だとして、最低生計費をまかなえる全国一律の最低賃金制度が求められるとしている。
政策提言「目指すべき外国人材との共生社会とステークホルダーの果たすべき役割~外国人材の人口1割時代に向けて~」を公表ー経済同友会
経済同友会は5月8日、「目指すべき外国人材との共生社会とステークホルダーの果たすべき役割~外国人材の人口1割時代に向けて~」を公表した。
今回の提言では、特にエッセンシャル領域における外国人材の活躍促進を視野に入れ、就労支援だけでなく教育・生活支援を含めた包括的な支援の在り方について検討し、支援主体となるべき国・自治体・企業等が共通の方向を持てるよう、「外国人材とのあるべき共生社会」を定義し、それに基づく施策検討の指針を示すとともに、国・自治体・企業等の役割と具体的な方策を提示している。
「給特法の抜本的な改正等を求める声明」を公表ー日本労働弁護団
日本労働弁護団は5月29日、「給特法の抜本的な改正等を求める声明」を公表した。
声明は、14日に衆議院文部科学委員会において附帯決議とともに採決され、同月15日に衆議院本会議で可決された、公立の義務教育諸学校等における教育職員の給与等に関する特別措置法(以下、「給特法」という。)等の一部を改正する法律案(以下、「改正法案」という。)について、「教員の業務量削減のための必要な措置が具体的に明記されたことは一定評価できるが、その具体的な工程や施策・数値等は示されず、どれほどの実効性を持つのかは疑問である」としている。
また、「在校等時間」という労働時間とは異なる概念(本改正により法文にも明示)が、教員の勤務時間を把握管理するという給特法特有の枠組みとして、維持・固定化されたことが更なる問題とし、教員を持続的に続けられる労働環境を整備するという観点から、給特法の枠組みを根本的に変える抜本的な対策を行うことが何よりも重要としている。
25国民春闘共闘賃上げ第6回集計を公表ー国民春闘共闘委員会
国民春闘共闘委員会は5月19日、25国民春闘共闘賃上げ第6回集計の結果を公表した。
有額回答を得た634労働組合について、回答額の単純平均は8,603円・3.19%となり、前年同期から646円増加(0.17ポイント増)となった。前年実績と比較可能な組合の単純平均額は8,678円と前年実績を303円上回り、賃上げ率は3.32%と前年実績を0.24ポイント上回った。
2025年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況(第1回集計)を発表ー日本経済団体連合会
経団連は5月22日、2025年春季労使交渉・大手企業業種別回答状況(第1回集計)を発表した。
集計可能な21業種97社の月例賃金の平均引き上げ額は1万9,342円、アップ率は5.38ポイント増加となった。同一企業の前年実績から493円の減少、アップ率は0.37ポイント減少している。
賃上げ(月例賃金)の平均妥結額は1万5,598円 賃上げ率4.66%ー東京都
東京都は5月19日、2025年春季賃上げ要求・妥結状況の中間集計結果を公表した。この調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。
既に妥結した労働組合のうち、前年の妥結額と比較可能な237組合の平均妥結額は1万5,598円で、これは平均賃金(33万4,739円・40.8歳)の4.66%に相当する。同一労組の前年妥結額との比較では465円増加(3.07%増)となった。
2 主要労働統計
※( )内は前月
労働力状態<全国・4月>
資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」
労働力人口 | 6,984万人(6,949万人) |
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就業者数 | 6,796万人(6,770万人) 前年同月比46万人の増加 |
完全失業者数 | 188万人(180万人) 前年同月比5万人の減少 |
完全失業率【季節調整値】 | 2.5%(2.5%) |
労働市場<東京都・4月>
資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」
月間有効求職者数 | 140,313人(134,386人) |
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月間有効求人数 | 219,296人(219,641人) |
有効求人倍率【季節調整値】 | 1.56倍(1.63倍)<全国:1.26倍(1.26倍)> |
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。
常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・3月・事業所規模5人以上>
資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」
現金給与総額 | 392,442円(407,851円) |
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定期給与 | 366,498円(355,583円) |
特別給与 | 25,944円(52,268円) |
総実労働時間数 | 143.0時間(135.3時間) |
所定内労働時間数 | 131.9時間(123.2時間) |
所定外労働時間数 | 12.1時間(12.1時間) |
倒産状況<東京都・5月>
資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)
件数 | 160件(146件)<全国:857件(842件)> |
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負債総額 | 11,150百万円(113,026百万円)<全国:90,389百万円(194,030百万円)> |
倒産件数は、160件(前年同月比16.2%減)と、3か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、111億5,000万円(前年同月比67.0%減)となった。負債額10億円以上の倒産は1件(前年同月7件)となった。業種別件数ではサービス業(50件)、建設業(20件)、情報通信業(20件)、卸売業(19件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は140件となり、倒産件数における構成比は87.5%となった。倒産企業総従業員数は421人となり、前年同月の2,431人と比べ82.7%減となった。
お問い合わせ
雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654