労働情勢(2025年1月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 主要労働統計

毎月勤労統計調査 令和6年11月分結果確報

 厚生労働省は1月24日、「毎月勤労統計調査(令和6年11月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比0.7%増の28万9,905円となった。総実労働時間は前年同月比0.3%減の138.3時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比1.8%減の10.3時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比0.5%増となった。

12月の完全失業率は2.4%で前月から0.1ポイント低下―総務省労働力調査

 総務省統計局は1月31日、「労働力調査(基本集計)2024年(令和6年)12月分」を公表した。

 12月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,811万人で前年同月に比べ57万人増加し、29か月連続の増加となった。完全失業者数は154万人で、前年同月に比べ2万人減少し、5か月ぶりの減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「医療,福祉」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「教育,学習支援業」などが増加となった。

 令和6年平均の有効求人倍率は1.25倍で、前年に比べて0.06ポイント上昇―一般職業紹介状況

 厚生労働省は1月31日、「一般職業紹介状況(令和6年12月分及び令和6年分)」を公表した。

 12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月と同水準で、1.25倍(正社員1.03倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と同水準で1.76倍であった。

 また、令和6年平均の有効求人倍率は、前年と比べて0.06ポイント低下し、1.25倍であった。


令和6年賃金構造基本統計調査の結果(速報)を公表ー厚生労働省

  厚生労働省は12月26日、令和6年賃金構造基本統計調査の結果(速報)を公表した。令和6年6月分として支払われた所定内給与額について調査したものであり、速報では10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所の数値が集計されている。

 調査結果によると、一般労働者(短時間労働者以外の労働者)の月額賃金は33万200円で、前年と比べ3.7%増となった。これは、平成6年に2.6%増となって以来30年ぶりの水準である。前年と比較すると、ほとんどの年齢階級で前年を上回っており、相対的に39歳以下の若年層で高い伸びとなっている。

令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況を公表ー厚生労働省

 厚生労働省と文部科学省は1月24日、令和7年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(令和6年12月1日現在)を公表した。

 大学(学部)の就職内定率は84.3%(前年同期比1.7ポイント低下)、短期大学は65.2%(同1.5ポイント低下)となった。

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末現在)を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は1月31日、令和6年10月末現在の外国人雇用についての届出状況を取りまとめ、公表した。

 外国人労働者数は230万2,587人で、前年から25万3,912人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新し、対前年増加率は12.4%前年と同率となった。

 国籍別では、ベトナム(57万708人、外国人労働者数全体の24.8%)が最も多く、次いで中国(40万8,805人、同17.8%)、フィリピン(24万5,565人、同10.7%)となった。

 在留資格別では、多い順に、「専門的・技術的分野の在留資格」が71万8,812人(前年から122,908人増加)、「身分に基づく在留資格」62万9,117人(前年から1万3,183人増加)、「技能実習」が47万725人(前年から5万8,224人増加)となった。

令和6年毎月勤労統計調査特別調査の結果を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は、1月8日、令和6年「毎月勤労統計調査特別調査」を公表した。 この調査は、全国の主要産業の小規模事業所(常用労働者1~4人規模)を対象とし、令和6年7月の状況等について 22,761 事業所に調査を行い、有効回答数は19,321 事業所、有効回答率は 84.9%だった。

 きまって支給する現金給与額は、209,086 円(前年比 2.5%増)で過去最高額となった。男女別にみると、男性が282,371 円(前年比 2.3%増)、 女性が156,787 円(前年比 2.8%増)でともに過去最高額となった。

 また、1年間に賞与など特別に支払われた現金給与額は、273,380 円(前年比 4.6%増)で、男女別では 男性394,957 円(前年比 3.2%増)、女性184,356 円(前年比 7.0%増)だった。

労働政策審議会建議「今後の労働安全衛生対策について」を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は1月17日、「今後の労働安全衛生対策について」を建議した。

 報告書では、個人事業者に対する安全対策の推進、職場のメンタルヘルス対策の推進、一般健康診断の検査項目等の検討など7つの事項が示された。

 個人事業者等に対する安全対策の推進では、既存の労働災害防止対策に個人事業者等をも取り込み、労働者のみならず個人事業者等による災害の防止を図るため。個人事業者等自身や注文者等が講じるべき措置を定めるなどの対策が示された。

 また、一般健康診断の検査項目等の検討では、女性特有の健康課題について、一健康診断問診票に質問を追加することが適当としている。

 厚生労働省は、この建議の内容を踏まえて法律案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定としている。


労働政策審議会安全衛生分科会報告「今後の労働安全衛生対策についての対する談話」を公表ー連合

 連合は1月17日、労働政策審議会安全衛生分科会報告「今後の労働安全衛生対策についての対する談話」を公表した。

 談話は、「個人事業者等に対する災害防止対策や、メンタルヘルス対策、高年齢労働者対策など、喫緊の課題に関する対応策が盛り込まれ、これらは連合が取り組む『誰もが安全かつ安心して働くことができる社会の実現』や『曖昧な雇用』で働く就業者の保護に資するものと受け止める」としつつ、「対策の実効性を担保するためには、中小企業を中心に支援の充実が不可欠であり関係機関の体制強化が求められる」としている。

「カスタマーハラスメントの防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」を開催

 厚生労働省など関係省庁は1月17日、「カスタマーハラスメントの防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」を開催した。この会議は、カスタマーハラスメントの防止対策を総合的かつ効果的に推進するため、昨年12月26日の厚労大臣宛て建議で、カスハラ対策について「雇用管理上の措置義務とすることや関係省庁と連携することが適当」とされたことにより設置されたものである。

 会議では、対策の方向性に関する申し合わせや、各業界の取組事例について説明が行われた。

「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査(令和5年度)」結果を公表ー人事院

 人事院は1月28日、「仕事と家庭の両立支援関係制度の利用状況調査(令和5年度)」結果を公表した。常勤職員の育児休業取得率は、男性80.9%(前年度72.6%)、女性104.7%(前年度99.1%)だった。また、非常勤職員の育児休業の取得率は、男性55.1%(前年度87.0%)、女性110.3%(前年度100.0%)となった。

 最初の育児休業を取得した常勤職員の休業期間の平均は6.9月(前年6.8月)で、男性は2.4月(前年度2.0月)となり、女性は16.5月(前年度16.7月)だった。

 最初の育児休業を取得した常勤職員の休業期間について、男性は「2週間以上1月以下」の職員が46.3%(前年度48.5%)と最も多く、次いで「1月超3月以下」が24.8%(前年度22.5%)、2週間以上が91.3%(前年度87.6%)だった。女性は「9月超12月以下」が33.9%(前年度31.2%)と最も多かった。

「女性国家公務員の登用状況のフォローアップ」の調査結果を公表ー人事院

 内閣人事局は1月28日、「女性国家公務員の登用状況のフォローアップ」の調査結果を公表した。

 令和6年7月現在において、国家公務員の各役職段階に占める女性の割合は指定職相当で5.2%(前年同期4.7%)、本省課室長相当職で8.3%(同7.5%)などとなった。

 登用状況は、各役職段階において、女性の占める割合が調査開始以降最高数値となり、女性国家公務員の登用の拡大に向けて引き続き採用した女性の計画的な育成お行ない、男女ともに働きやすい職場環境の整備などの取組を強化するとしている。

25国民春闘方針を確認ー国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は1月19日、第1回単産・地方代表者会議を開催し、25国民春闘方針を確認した。

 確認された方針では、「賃金が下がり続ける国から上がる国への転換」を図ることが25国民春闘の大目標であるとされ、賃上げ要求については「月32,000円以上、時給200円以上、10%以上」が掲げられている。

 最低賃金に関する要求については、「全国一律1,500円、めざせ1,700円」が掲げられている。

 また、「非正規春闘」を掲げてたたかうとともに、ケア労働者の大幅な賃上げを実現し、春闘全体をけん引する役割を果たすことをめざすとしている。

「令和7年度 東京都予算案に対する事務局長談話」を公表ー連合東京

 連合東京は2月3日、東京都が「令和7年度東京都予算案の概要」を公表したことを受け、「令和7年度東京都予算案に対する事務局長談話」を公表した。

 談話は、都民が安心して暮らし活躍するための施策や人への投資となる予算方針を評価するとともに、「昨年11月に東京都が行った令和7年度予算に関する団体ヒアリングにおいて、連合東京が要望した施策に多くの予算が計上された」としている。その上で、「今後、課題解決に向けた施策の進捗と効果を把握し、必要な対応を求めていく」としている。

◆参考 令和7年度東京都予算案の概要

2025年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)を発表ー経団連

 経団連は1月21日、春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンスや雇用・労働分野に関する経団連の基本的な考え方を示す「2025年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表した。

 報告書序文において「2025年は賃金引上げと総合的な処遇改善を『人への投資』の両輪として明確に位置付けた『賃金・処遇決定の大原則』に則りながら、『ベースアップを念頭に置いた検討』を呼びかけ、賃金引上げの力強いモメンタムを定着させる年としたい」と呼びかけ、「描くのは、適度な物価上昇と生産性の改善・向上、これらに対する賃金水準引上げによる構造的な賃金引上げの定着」であり、「デフレからの完全脱却と成長と配分の好循環を確かなものにする正念場」との認識を示している。

「経団連『2025年版 経営労働政策特別委員会報告』に対する連合見解」を公表ー連合

 連合は1月22日、経団連が「2025年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表したことを受けて、連合見解を公表した。

 示された見解では、「2025年はベースアップを念頭に置いた検討を呼びかけ、2023年を起点に醸成されてきた賃金引上げの力強いモメンタムの定着をはかる」としていることについて、「連合方針では、『2023闘争で転換点をつくり、2024闘争ではステージ転換に向けた大きな一歩を踏み出した。2025闘争では、四半世紀に及ぶ慢性デフレに終止符を打ち、動き始めた賃金、経済、物価を安定した巡航軌道に乗せる年としなければならない。連合はすべての働く人の持続的な生活向上をはかり、新たなステージをわが国に定着させることをめざす』としており、2025春季生活闘争の歴史的な意味について基本的に共通している」と評価している。

 一方で、見解の相違点の一つに「多様な方法による賃金引上げの検討」という従来型の表現について、「将来の生活設計を左右する月例賃金を継続的に引上げることが重要であり、規模間、雇用形態間、男女間などで大きな賃金格差がある現状や人材の確保・定着のためにも、魅力ある労働条件の整備が急務であることなどの観点から、月例賃金の改善を最優先して日本社会全体の賃金の底上げを進めるべきである」としている。


談話「経団連『2025年版経営労働政策特別委員会報告』について」を公表ー全労連

 全労連は1月22日、経団連が「2024年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表したことを受けて、談話を公表した。

 談話は、2025年春季労使交渉をめぐる経労委報告の記述について、「働き手の7割を雇用する中小企業における構造的な賃金引き上げが必要だとしながら、中小企業自身による生産性の改革・向上をせまるとともに大企業は中小企業における適正な価格転嫁に対応できる収益力の確保が必要だとするなど、自己矛盾に満ちた身勝手な姿勢としか言いようのない方針である」と評している。

 その上で、「今春闘において『たたかう労働組合のバージョンアップ』をさらにすすめ、大幅賃上げや1,500円以上の最低賃金と全国一律制の実現、労働時間の短縮、人手不足解消など職場の切実な要求の実現に向けて奮闘する。大企業がその存在にふさわしい社会的責任を果たすよう求める」としている。

「スポットワークに関する調査2025」の調査結果を公表ー連合

 連合は1月23日、「スポットワークに関する調査2025」の調査結果を公表した。この調査は、短期間や単発の仕事を受発注する、いわゆる「スポットワーク」「スキマバイト」等といった働き方が増加する中、その実態を把握するため15歳以上のスポットワークで働いている人またはスポットワークで働いたことがある1,000人を対象に、2024年12月2日から3日間インターネット調査を実施した。

 スポットワークで働こうと思った理由を聞いたところ、「生活のために収入を得たいから」(27.1%)が最も高くなり、次いで「空いている時間を有効活用したいから」(24.5%)、「賃金がすぐに受け取れるから」(18.4%)などとなった。

 世代別にみると、10 代では「面接などがなく簡単に働けるから」が18.0%、「様々な仕事にチャレンジしたいから」が18.5%、40 代では「空いている時間を有効活用したいから」が30.5%で、全体と比べて 5 ポイント以上高くなりました。

「社会全体における「価格転嫁の商習慣」の定着に向けて~構造的な賃上げによる成長型経済の実現へ~」を公表ー経団連・日本商工会議所・経済同友会

 経団連、日本商工会議所及び経済同友会は1月16日、「社会全体における「価格転嫁の商習慣」の定着に向けて~構造的な賃上げによる成長型経済の実現へ~」を公表した。この提言は、賃上げの原資を安定的に確保するために必要な価格転嫁の恩恵が、全ての中小企業者に届いていない状況において、会員企業に対して「パートナーシップ構築宣言」の趣旨の徹底と実行を強力に進めることを求めるとともに、未宣言企業に対して宣言への参画を呼びかけるものである。

 提言は、経営者自らが先頭に立って取引適正化に向けた取組を強化することや、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に示された「12の行動指針」に沿った行為を徹底することなどを求めている。

「ハラスメント防止対策に関するアンケート」調査結果を公表ー日本経済団体連合

 日本経済団体連合は1月21日、会員企業1621社を対象とした「ハラスメント防止対策に関するアンケート調査結果」を発表した。(回答企業数222社、回答率13.7%)

 カスタマーハラスメントについて、対策を「取りまとめて実施」する企業は24.3%、「取りまとめを検討中」とした企業は18.9%となり、43.2%の企業が積極的に対策を推進しているとしている。

 カスタマーハラスメント防止のために実施している取組は、「従業員を対象とした相談窓口の設置」が73.3%で最も多く、次に「社内向けの対応マニュアルの策定」が61.7%、「顧問弁護士や警察等との連携」が60.0%、「カスハラ発生時の社内体制の構築」が58.3%と続いている

 令和6年民間主要企業年末一時金妥結状況を公表ー厚生労働省

 厚生労働省は1月17日、令6年の民間主要企業年末一時金妥結状況を公表した。集計対象は、妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業324社である。

 集計結果によると、平均妥結額は89万1,460円で、前年から41,915円(4.93%)の増加となった。平均要求額は93万3,804円で、前年から5万1,687円(5.86%)の増加となった。

 

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・10月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,984万人(6,987万人)
就業者数 6,813万人(6,814万人) 前年同月比42万人の増加
完全失業者数 170万人(173万人) 前年同月比5万人の減少
完全失業率【季節調整値】 2.5%(2.4%)

労働市場<東京都・10月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 137,564人(135,974人)
月間有効求人数 218,898人(213,704人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.77倍(1.72倍)<全国:1.25倍(1.24倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・9月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額 377,722円(372,944円)
定期給与 355,861円(356,059円)
特別給与 21,861円(16,885円)
総実労働時間数 135.6時間(138.0時間)
所定内労働時間数 124.3時間(126.9時間)
所定外労働時間数 11.3時間(11.1時間)

倒産状況<東京都・11月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 140件(153件)<全国:841件(909件)>
負債総額 54,625百万円(120,862百万円)<全国:160,223百万円(252,913百万円)>

 倒産件数は140件(前年同月比5.4%減)と、2か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、546億2,500万円(前年同月比122.3%増)となった。負債額10億円以上の倒産は11件(前年同月7件)となった。業種別件数では、はサービス業(39件)、卸売業(25件)、建設業(19件)の順となった。不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は119件となり、倒産
件数における構成比は85.0%となった。倒産企業総従業員数は390人となり、前年同月の878人と比べ55.6%減となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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