労働情勢(2025年2月28日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 主要労働統計

毎月勤労統計調査 令和6年分結果確報

 厚生労働省は2月25日、「毎月勤労統計調査(令和6年分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比2.8%増の34万7,994円となった。総実労働時間は前年比1.0%増の136.9時間となり、このうち所定外労働時間は前年比2.7%減の10.0時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年比0.3%減となった。

毎月勤労統計調査 令和6年12月分結果確報

 厚生労働省は2月25日、「毎月勤労統計調査(令和6年12月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比4.4%増の61万7,375円となった。総実労働時間は前年同月比1.1%減の136.7時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比2.8%減の10.1時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比0.3%増となった。

1月の完全失業率は2.5%で前月と同率―総務省労働力調査

 総務省統計局は3月4日、「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)1月分」を公表した。

 1月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月と同率となった。就業者数は6,779万人で前年同月に比べ65万人増加し、30か月連続の増加となった。完全失業者数は163万人で、前年同月と同数となった。産業別就業者では、前年同月比で「医療,福祉」、「宿泊業,飲食サービス業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などが増加となった。

1月の有効求人倍率は1.26倍で前月から0.01ポイント増加― 一般職業紹介状況

 厚生労働省は3月4日、「一般職業紹介状況(令和7年1月分)」を公表した。

 1月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と比べ0.01ポイント増加し、1.26倍(正社員1.03倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.02ポイント増加し、1.78倍であった。

「2025年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を公表ー帝国データバンク

 帝国データバンクは2月20日、「2024年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を公表した。この調査は2025年1月に全国の企業を対象に実施された(有効回答企業1万1,014社)。

 2025年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員のベースアップや賞与等の賃金改善が「ある」と見込む企業は61.9%となり、調査を開始して以降で初めて6割を超えた。

 一方で、「ない」とする企業は13.3%となり、前回調査から0.6ポイント低下して過去最低となった。

 また、賃金改善を実施しない割合は従業員数が5人以下の企業で30.2%と突出して高くなっており、「賃金改善を行う環境が厳しくなっている様子」としている。

「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」の結果を公表ー帝国データバンク

 帝国データバンクは2月21日、「人手不足に対する企業の動向調査(2025年1月)」の結果を公表した。この調査は2025年1月に全国の企業を対象に実施された(有効回答企業1万1,014社)。

 2024年1月時点における従業員の過不足状況について尋ねると、正社員が「不足」と感じている企業は53.4%だった。非正社員が「不足」と感じている企業は30.6%で、正社員においては人手不足が一層深刻になりつつあるとともに、非正社員の不足感も高止まりで推移している。

 正社員の人手不足割合を業種別にみると、「情報サービス」が72.5%で最も多く、次いで「建設」(70.4%)、「メンテナンス・警備・検査」(66.5%)となった。

「中小企業の雇用・賃金に関する調査」の結果を公表ー日本政策金融公庫

 日本政策金融公庫は2月17日、「中小企業の雇用・賃金に関する調査」の結果を公表した。この調査は、2024年12月に、同公庫の取引先(中小企業事業)を対象に実施された(有効回答数4,976社)

 調査結果によると、2024年12月の正社員数の増減について、「増加」と回答した企業は23.6%(前年25.3%)、「減少」と回答した企業は24.7%(前年同率)となった。業種別にみると、情報通信業(33.6%)、宿泊・飲食サービス業(29.7%)、運送業(除水運)(28.3%)などで「増加」の割合が高い。

 2024年12月の正社員の給与水準について、「上昇」と回答した企業は75.2%と、前年から7.2ポイント上昇した。「上昇」と回答した企業にその背景を尋ねると、「最低賃金の動向」が24.9%と最も多く、次いで「物価の上昇」(24.8%)、「自社の業績が改善」(17.3%)、となった。

「令和6年度企業行動に関するアンケート調査」の結果を公表ー内閣府

 内閣府は2月28日、「令和6年度企業行動に関するアンケート調査」の結果を公表した。この調査は、2025年1月に東京証券取引所及び名古屋証券取引所の上場企業を対象に実施された(回答企業数1,373社)。

 調査結果によると、今後3年間(令和7~9年度平均)に雇用者を増やす見通しの企業の割合(全産業)は75.2%(前年度調査75.8%)で、雇用者を減らす見通しの企業の割合は11.5%(同9.9%)となった。

 雇用者数を増やす見通しの企業の割合を産業別にみると、製造業では71.0%(同73.8%)、非製造業では78.3%(同77.4%)となった。

労働基準関係法制に関する検討を開始ー厚生労働省

 厚生労働省は2月28日、労働政策審議会労働条件分科会を開催し、今後の議論の進め方(案)を提示した。

 1月8日公表の労働基準関係法制研究会報告書において柱とされた、①労働基準関係法制に共通する総論的課題として、労働基準法における「労働者」、「事業」、「労使コミュニケーションの在り方」、②労働時間法制の具体的課題(各労働時間制度)を参考に、大括りのテーマ設定をした上で、報告書の内容やその他の必要な内容について議論を行う。今夏を目途に中間的に整理して、その後の進め方を確認し、年内に議論の取りまとめを目指すとしている。

「令和7年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(令和6年12月末現在)に関する調査」の結果を公表ー文部科学省

 文部科学省は2月28日、「令和7年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(令和6年12月末現在)に関する調査」の結果を公表した。

 就職希望者に対する就職内定者の割合は、91.3%(前年同月比0.2ポイント増)となり、男子が92.0%(前年同月比0.2ポイント増)、女子は90.2%(前年同月比 0.4ポイント増)だった。

 学科別にみると、就職内定率が高い順に「工業」96.8%、「商業」95.0%、「看護」93.2%、「農業」92.6%などとなっている。

 また、就職内定率の高い県は、順に「富山県」97.0%、「福島県」96.7%、「岐阜県」95.8%、「福井県」95.6%、 「岩手県」95.5%、「山口県」95.5%、就職内定率の低い県は、「沖縄県」71.1%、「神奈川県」83.5%、「東京都」84.0%、「千葉県」85.9%、「大阪府」86.2%、「福岡県」86.8%であった。

「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果」を公表ー東京労働局

 東京労働局は2月18日、「メンタルヘルス対策等自主点検実施結果」を公表した。自主点検は、東京労働局管内の事業場のうち、常時使用する労働者10人以上の事業場から約2,900事業場を無作為抽出し、有効回答579 事業場である。

 メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合は 91.7%(前年度89.4%)で、第14次労働災害防止計画(全国計画)で定めたアウトプット指標である80%を上回っている。

 取組内容(複数回答)については、「メンタルヘルス不調者の相談体制を整備している」が 83.8%と最も多く、次いで、「ストレスチェックを実施している」が 74.3%、「メンタルヘルス不調者を医療機関等へ取り次ぐ体制の整備」が73.9%となっているが、「心の健康づくり計画を策定している」は38.9%となっている。

 また、ストレスチェックを実施している事業場の割合は全体で 74.3%で、そのうち「50人未満の小規模事業場におけるストレスチェックの実施の割合」は 51.2%であり、第14次防のアウトプット指標である 50%を上回っている。

「第31回新しい資本主義実現会議」を開催ー政府会議

 政府は2月27日、「第31回新しい資本主義実現会議」を開催した。会議では、国内投資と輸出の促進について議論が行われ、総理は、「我が国経済は、現在、『賃上げと投資が牽引(けんいん)する成長型経済』へと移行できるか否かの分岐点にある。我が国のものづくりの強みをいかして、アジアなど成長市場を取り込み、進化した製造業が勝ち筋を追求するとともに、地方においてサービス業等の生産性向上を実現するといった課題の克服が必要である」と述べた。

 また、この会議での議論を踏まえ、①中堅企業の創出・成長加速、②新たな勝ち筋となる分野における挑戦の後押し、③産業用地と産業人材の不足への対応、④AI・デジタル技術等がもたらすゲームチェンジ・産業構造転換の主導権確保の4つに取り組むとしている。

「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果を公表ー内閣府

 政府は2月27日、「男女共同参画社会に関する世論調査」の結果を公表した。この調査は、全国18歳以上の日本国籍を有する者5,000人に行った。(有効回収数2,673人)

 職場における男女の地位の平等感について、「男性の方が非常に優遇されている」「どちらかといえば男性の方が優遇されている」(以下、合わせて「男性の方が優遇されている」とする。)と回答したのは63.8%、「どちらかといえば女性の方が優遇されている」「女性の方が非常に優遇されている」(以下、「女性の方が優遇されている」とする。)は9.2%、「平等」と答えたのは、25.8%だった。

 大都市(東京都区部・政令指定都市)では、「男性の方が優遇されている」61.5%、「女性の方が優遇されている」8.3%、「平等」と答えたのは28.9%だった。

「第31回新しい資本主義実現会議」へ意見書を提出ー連合

 連合は2月27日、政府が開催した「第31回新しい資本主義実現会議」へ意見書を提出した。
国内投資と輸出の促進に関する論点についての意見交換に対して、意見書では、①中小企業の賃上げ実現にむけた経営基盤強化及び取引環境の整備、②コンテンツ産業の就業環境改善と取引適正化にむけた取り組み、③「従業員の企業価値向上への意欲を高める方策としての株式報酬」について述べている。

 また、「中小企業の賃上げ実現には、中小企業の経営基盤の強化と取引環境の整備が何よりも重要であり、『適切な価格転嫁』と『適正取引』の実現にむけて、官公需も含めたサプライチェーン全体で取り組むことが重要だ。「労務費の適切な価格転嫁のための価格交渉に関する指針」が公表されたにもかかわらず、昨年9月の調査でもコスト全般の価格転嫁率は5割程度に留まっており、指針のさらなる周知・徹底を求める。」としている。

「なんでも労働相談ダイヤル」2025年1月分集計結果を発表ー連合

 連合は2月20日、「なんでも労働相談ダイヤル」2025年1月分集計結果を発表した。受付件数は前年同月から87件増加して1,063件となった。相談の内容は、「パワハラ・嫌がらせ」が17.5%と最も多く、次いで「雇用契約・就業規則」(9.8%)、「解雇・退職強要・契約打切」(8.5%)、「退職手続」(6.8%)となった。業種別では「医療・福祉」が23.1%で最も多く、次いで「サービス業(他に分類されないもの)(19.4%)、「卸売・小売業」(10.9%)、「製造業」(10.8%)などだった。

「2040 年を見据えた教育改革~個の主体性を活かし持続可能な未来を築く~」を公表ー経団連

 経団連は2月18日、「2040年を見据えた教育改革」を公表した。2035年以降は18歳人口が激減、労働人口は減少し、またAI技術等の発展に伴いって社会が必要とする職種・能力が変化する中、人口構成の変化や社会のニーズの変化を踏まえ、全体の能力強化が急がれるとし提言を取りまとめている。

 提言では、「18 歳人口の減少を踏まえ、将来を見据えた高等教育機関の改革を直ちに断行すべきである。同時に、出生数の減少に伴う生産年齢人口の減少を見据え、初等中等教育から高等教育、リスキリングを含むリカレント教育に至るまで、生涯にわたり一人ひとりが自らのキャリアを主体的に築き、磨き続けることのできる教育体系を築くことが求められている。」としている。

 さらに、社会変革に向け一気通貫で教育改革を実施し、わが国の国際競争力を高めるべく、「最先端技術立国」「無形資産立国」「貿易・投資立国」の実現とともに「全世代型教育システム」の構築を目指すべきと提言している。


2024年の「人手不足」関連倒産件数を公表ー東京商工リサーチ

 東京商工リサーチは2月3日、2024年の「人手不足」関連倒産件数を公表した。本調査は、2024年の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「人手不足」関連倒産(求人難・従業員退職・人件費高騰)を抽出し、分析したものである。(後継者難は対象から除く)

 2024年に「人手不足」が一因となった倒産は、前年から81.7%増加して289件となり、2013年以降で最多となった。要因では、「求人難」が114件(前年比96.5%増)と最も多く、次に「人件費高騰」が104件(同76.2%増)、「従業員退職」が71件(同69.0%増)となり、いずれも最多を更新した。「特に、無理な賃上げで人件費上昇に耐えきれなくなった倒産が増えており、適正な価格転嫁など収益強化への投資・支援が急務になっている。」と分析している。

 また、形態別では、「破産」が268件(同77.4%増)と全体の9割超(92.7%)を占めており、資本金別では、1千万円未満が186件(前年比91.7%増)で、小・零細企業が大半を占める状況となっている。

「労働基準関係法制研究会『報告書』を受け、実効性ある労働者保護規制と労働組合活性化の具体化を求める声明」を公表ー日本労働弁護団

 日本労働弁護団は2月3日、「労働基準関係法制研究会『報告書』を受け、実効性ある労働者保護規制と労働組合活性化の具体化を求める声明」を公表した。

 声明では、厚生労働省に設置されている「労働基準関係法制研究会」が令和7年1月8日に公表した「労働基準関係法制研究会報告書」(以下「報告書」という。)を踏まえ、「当弁護団は、報告書を踏まえ、実効性ある労働者保護規制、及び労働組合活性化の具体的施策の実現を求める」と表明している。

 また、家事使用人について、家事使用人のみを特別視して労働基準法を適用除外すべき事情に乏しくなったとし、家事使用人に対して労働基準法を全面的に適用除外する現行の規定を見直すことを指摘していることについて、「当弁護団は、これまでも、家事使用人について速やかに労働基準法の規定を適用する改正が行われるべきである旨を述べてきたところであり、早急な法改正が求められる。」としている。

「経団連による『労働法制見直し』施策に対する反対声明」を公表ー日本労働弁護団

 日本労働弁護団は2月3日、「経団連による『労働法制見直し』施策に対する反対声明」を公表した。

 声明では、経団連が12月に発表した「FUTURE DESIGN 2040『成長と分配の好循環』~公正・公平で持続可能な社会を目指して~」(以下「提言」という。)において掲げた5つの施策について、特に「労働法制の見直し」(施策⑤)を中心に、この提言が前提とする「現状認識」の誤り及び各施策の危険性を指摘し、反対するものである。」と表明している。

 また、「過去に経団連や政府が導入を試みてきたホワイトカラーエグゼンプション制度の焼き直しに他ならない。健康被害の防止措置の面でも過去の議論状況から進歩がない中、エグゼンプションの対象を徒に拡大しようとする同制度は、時代錯誤と言わざるを得ない。労働者を人としてではなく単なる労働力としてしか見ない「新制度」には、断固として反対するものである。」と批判している。

 

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・11月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,978万人(6,984万人)
就業者数 6,814万人(6,813万人) 前年同月比34万人の増加
完全失業者数 164万人(170万人) 前年同月比5万人の減少
完全失業率【季節調整値】 2.5%(2.5%)

労働市場<東京都・11月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 135,360人(137,564人)
月間有効求人数 219,095人(218,898人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.76倍(1.77倍)<全国:1.25倍(1.25倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・10月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額 373,032円(377,722円)
定期給与 358,881円(355,861円)
特別給与 14,151円(21,861円)
総実労働時間数 143.3時間(135.6時間)
所定内労働時間数 131.1時間(124.3時間)
所定外労働時間数 12.2時間(11.3時間)

倒産状況<東京都・12月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 146件(140件)<全国:842件(841件)>
負債総額 113,026百万円(54,625百万円)<全国:194,030百万円(160,223百万円)>

 倒産件数は、146件(前年同月比4.3%増)と、3か月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は、1,130億2,600万円(前年同月比381.5%増)となった。負債額10億円以上の倒産は7件(前年同月3件)となった。業種別件数ではサービス業(33件)、卸売業(22件)、小売業(20件)の順となった。不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は107件となり、倒産件数における構成比は73.3%となった。倒産企業総従業員数は2,188人となり、前年同月の940人と比べ132.8%増となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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