労働情勢(2021年10月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和3年8月分結果確報

 厚生労働省は10月22日、「毎月勤労統計調査(令和3年8月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比0.6%増の274,671円となった。また、総実労働時間は前年比0.7%増の129.7時間となり、このうち所定外労働時間は前年比7.0%増の9.1時間となった。

9月完全失業率は2.8%-総務省労働力調査

 総務省統計局は10月29日、「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)9月分」を発表した。9月の完全失業率(季節調整値)は2.8%で前月と同率となった。就業者数は6,679万人で、前年同月に比べ10万人減少し、6か月ぶりの減少。また、完全失業者数は192万人で、前年同月に比べ18万人減少し、3ヶ月連続の減少となった。
 産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「建設業」などが減少となった。

一般職業紹介状況(令和3年9月分)

 厚生労働省は10月29日、「一般職業紹介状況(令和3年9月分)」を発表した。
 その発表によると、9月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月に比べて0.02ポイント上昇し、1.16倍(正社員0.91倍)であった。
 また、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月と比べ0.02ポイント上昇し、1.20倍であった。

令和2年度外国人技能実習機構業務統計を公表<外国人技能実習機構>

 外国人技能実習機構は10月1日、令和2年度外国人技能実習機構業務統計を公表した。
 同統計によると、令和2年度に認定を受けた技能実習計画件数は256,408件(令和元年度:366,167件)となった。年齢別の構成をみると、20~24歳の範囲が最も多く41.6%(39.7%)、次いで25~29歳が24.4%(24.8%)、30~34歳が13.6%(13.6%)となった。また、男女別では、男性が57.5%(58.0%)、女性が42.5%(42.0%)となった。

新規学卒就職者の離職状況を公表

 厚生労働省は10月22日、新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況について取りまとめ、公表した。
調査結果によると、令和2年度における新規学卒就職者の離職率は、学歴別、卒業年別とも、例年に比べ低下した。その結果、新規学卒就職者(平成30年3月卒業者)の就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者で約4割(36.9%)、新規大卒就職者で約3割(31.2%)となった。
厚生労働省では、新卒応援ハローワーク※などで、引き続き離職した学生生徒に対する相談・支援を行っていくとしている。

令和3年版 過労死等防止対策白書を公表

 厚生労働省は10月26日、過労死等防止対策推進法に基づき、「令和2年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」(令和3年版過労死等防止対策白書)を公表した。「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法の第6条に基づき、国会に毎年報告を行う年次報告書で、6回目の公表となる。
 白書の中では、①週労働時間60時間以上の雇用者の割合は減少傾向、②肉体的負担が大きいと回答した労働者の割合は男性より女性が高くかつ全ての属性で緩やかに上昇、③過労死の認定件数は近年、脳・心臓疾患は減少傾向である一方で、精神障害は増加傾向、④自殺事案では、自殺の時期を曜日別にみると「月曜日」が最も多く、発病から死亡までの日数別にみると「6日以下」が47.3%等が挙げられている。
厚生労働省では、「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会」の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいくとしている。

「雇用保険マルチジョブホルダー制度に関するQ&A」を公表

 厚生労働省は10月、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」に関するQ&Aを公開している。
同制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうちの2つの事業所での勤務を合計して下記の加入要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から、特例的に雇用保険の被保険者となることができる制度であり、2022年1月1日に新設されるとしている

<適用要件>
・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間
 を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込みが31日以上であること

労働相談自動会話プログラム「ゆにボ」の運用を開始<連合>

 連合は10月7日、電話相談、メール相談、LINE、facebook、ホームページ等の活用に加えて、新たな労働相談自動会話プログラム「ゆにボ」の運用を開始したことを公表した。
「ゆにボ」は、相談内容の分析に人工知能(AI)を活用し、あらかじめ用意された回答を行うチャットボットと呼ばれるシステムであり、これによって、24時間、365日、15言語[日本語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、ベトナム語、韓国語、フィリピノ語(タガログ語)、ポルトガル語、ネパール語、インドネシア語、英語、タイ語、スペイン語、ミャンマー語、カンボジア語(クメール語)、モンゴル語]による労働相談への対応が可能となったとしている。

【談話】最低賃金改定にあたって<全労連>

 全労連は10月1日、中央最低賃金審議会の答申を受けて談話を発表した。
 全労連は、「全国各地で最低生計費試算調査を行い、現在の最低賃金の水準では最低限度の生活が営めないことを明らかにし、生計費に地域間格差が存在しないことも実証してきた。この調査結果をふまえ、全国どこでも誰もが8時間働けば人間らしく暮らせる賃金水準として『1時間あたり1,500円以上』を求めてきた」とし、「最低賃金の地域別ランク制度は、制度的に限界にきていることは明らかだ。最低賃金が労働人口の都市部集中、地域の過疎・高齢化、地域経済の疲弊、さらに、日本の低賃金の温床にもなっている。全労連は、1989年の結成時に定めた行動綱領で『全国一律最低賃金制の実現』を掲げ、世論に訴え、社会的合意を拡げてきた。現行方式は業者間の公正競争の阻害要因との指摘もなされている。厚生労働省は、われわれの指摘を真摯に受け止めなければならない」と述べた。

「東京都の雇用就業施策に関する要望」を発表<東京商工会議所>

 東京商工会議所は10月14日、「東京都の雇用就業施策に関する要望」を取りまとめ、公表した。
要望では、「東京版ニューディール~TVA作戦」の着実な推進と雇用創出目標2万人の早期実現、「テレワーク東京ルール」宣言企業による先進事例動画公開、「東京テレワーク推進センター」による業種別事例紹介など、テレワーク好事例紹介の取組強化、「女性の活躍推進加速化事業」の予算拡充、来年度からの男性の育児休業取得促進に向けた新たな枠組み創設にあわせ、社内体制の整備など企業が行うべき対応の周知等が挙げられている。

「解雇の金銭解決制度」導入に反対する声明を発表<日本労働弁護団>

 日本労働弁護団は10月21日、「解雇の金銭解決制度」導入に反対する声明を発表した。
 声明では、「解雇について金銭の支払いにより労働契約を終了させて解決することは、民事訴訟制度の和解手続き及び労働審判制度の調停(和解)・審判手続きとして定着しており、新たな制度を導入する必要は全くない」とし、「真に労働者の泣き寝入り防止を目指すのであれば、解雇の金銭解決制度導入ではなく、裁判手続きを通じて不当解雇された労働者が職場復帰できる可能性を広げる法制度(労働者に就労請求権を認めること、ハラスメントに対する実効的な対策を設けること)を拡充すべきである。また、法的手段をとる上で障壁となっている弁護士費用や訴訟費用を公的に支援する制度や、その間の生活費などの心配がないように失業保険の拡充などを充実させることが有益である」と述べた。
 日本労働弁護団は、解雇の金銭解決制度に強く反対するとともに、労政審において同制度に関する議論を進めないことを求めるとしている。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・9月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査報告」

労働力人口 6,872万人 ( 6,886万人 )
就業者数

6,679万人 ( 6,693万人 )前年同月比10万人の減少。

完全失業者数

192万人 ( 193万人 )前年同月比18万人の減少。

完全失業率【季節調整値】

2.8% ( 2.8% )

労働市場<東京都・9月>

資料出所:東京労働局「職業安定業務統計」

月間有効求職者数 144,200人 ( 143,755人 )
月間有効求人者数 157,704人 ( 155,642人 )
有効求人倍率【季節調整値】 1.20倍 (1.18倍 ) <全国:1.16倍(1.14倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・8月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「毎月勤労統計調査」

現金給与総額 342,907円( 452,863円 )
定期給与 329,492円( 333,470円 )
特別給与 13,415円( 119,393円 )
総実労働時間数 131.9時間 ( 142.0時間 )
所定内労働時間数 121.5時間 ( 130.7時間 )
所定外労働時間数 10.4時間 ( 11.3時間 )

倒産状況<東京都・9月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 92件 ( 86件 ) <全国:505件(466件)>
負債総額 22,484百万円 ( 24,052百万円 ) <全国:90,860百万円(90,973百万円)>

 倒産件数は、92件(前年同月比13.2%減)と、4か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、224億8,400万円(前年同月比54.6%増)となった。負債額10億円以上の倒産は3件(前年同月2件)となった。業種別件数ではサービス業(24件)、卸売業(15件)、情報通信業(10件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は69件となり、倒産件数における構成比は75.0%となった。倒産企業総従業員数は383人となり、前年同月の355人と比べ7.9%増となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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