労働情勢(2022年7月31日現在)

 東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和4年5月分結果確報

 厚生労働省は7月26日、「毎月勤労統計調査(令和4年5月分結果確報)」を公表した。
 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.0%増の277,026円となった。総実労働時間は前年同月比0.8%増の131.1時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比5.2%増の9.7時間となった。

6月の完全失業率は2.6%―総務省労働力調査

 総務省統計局は7月29日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)6月分」を公表した。
 6月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月と同率となった。就業者数は6,759万人で前年同月に比べ21万人増加し、3か月連続の増加となった。完全失業者数は186万人で、前年同月に比べ21万人減少し、12か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「医療,福祉」、「情報通信業」、「学術研究,専門・技術サービス業」などが増加となった。

6月の有効求人倍率は1.27倍と前月から0.03ポイント上昇―一般職業紹介状況

 厚生労働省は7月29日、「一般職業紹介状況(令和4年6月分)」を公表した。
 6月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.03ポイント上昇の1.27倍(正社員0.99倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と同率の1.44倍であった。

「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表―厚労省

 厚生労働省は7月1日、「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表した。

 総合労働相談件数は124万2,579件(前年度比3.7%減)で、14年連続で100万件を超えた。都道府県労働局長による助言・指導の申出件数は8,484件(前年度比7.1%減)、紛争調整委員会によるあっせんの申請件数は3,760件(前年度比11.6%減)であった。

 内容別の内訳では、民事上の個別労働紛争相談件数、助言・指導申出件数、あっせん申請件数の全項目で、「いじめ・嫌がらせ」の件数が引き続き最多となった。

令和3年「労働安全衛生調査(実態調査)」の概況を公表ー厚労省

 厚生労働省は7月5日、「令和3年『労働安全衛生調査(実態調査)』の概況」を公表した。この調査は、事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス、受動喫煙等の実態について把握し、今後の労働安全衛生行政を推進するための基礎資料とすることを目的としている。
 調査結果によると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安やストレス(以下「ストレス」という。)となっていると感じる事柄がある労働者の割合は53.3%であった。ストレスとなっていると感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)をみると、「仕事の量」が43.2%と最も多く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」が33.7%、「仕事の質」が33.6%であった。

育児休業取得者の割合は女性85.1%、男性13.97%―厚労省

 厚生労働省は7月29日、「令和3年度雇用均等基本調査」の結果を公表した。この調査は、男女の均等な取扱いや仕事と家庭の両立などに関する雇用管理の実態把握を目的としている。
 調査結果によると、企業の課長相当職以上の管理職に占める女性の割合は12.3%と前年度より0.1ポイント低下し、係長相当職以上の管理職に占める女性の割合は14.5%と前年度より0.1ポイント低下した。
 育児休業取得者の割合については、女性が85.1%(前年度に比べ3.5ポイント上昇)、男性が13.97%(前年度に比べ1.32ポイント上昇)であった。
 また、女性の育児休業期間については、「12か月~18か月未満」が34.0%と最も高く、次いで「10か月~12か月未満」が30.0%、「18か月~24か月未満」が11.1%の順となった。
 一方、男性の育児休業期間については、「5日~2週間未満」が26.5%と最も高く、次いで「5日未満」が25.0%、「1か月~3か月未満」が24.5%と、2週間未満が5割を超えた。

長時間労働が疑われる事業場に対する令和3年度の監督指導結果を公表―厚労省

 厚生労働省は7月29日、令和3年度に労働基準監督署が長時間労働が疑われる事業場に対して実施した監督指導の結果を公表した。
 これによると、令和3年4月から令和4年3月までに監督指導の対象となった32,025事業場のうち、23,686事業場(74.0%)で労働基準関係法令違反が認められた。主な法違反は、違法な時間外労働があったものが10,986事業場(34.3%)、賃金不払残業があったものが2,652事業場(8.3%)、過重労働による健康障害防止措置が未実施のものが6,020事業場(18.8%)であった。

「生理休暇と更年期障害に関するアンケート」の結果を公表―連合東京

 連合東京男女平等局は、「生理休暇と更年期障害に関するアンケート」の調査報告書を公表した。

 調査結果によると、生理(月経)痛の有無については、「ある・あった」が57.0%と最も多く、これに「時々ある・あった」(33.4%)を合わせた<ある・あった>は9割にのぼった。生理痛が<ある・あった>と回答した者の対処方法(複数選択)をみると、「通院、薬の服用のみ」が61.9%と最も多く、また、「有給休暇」が13.5%と1割強を占めるが、「生理休暇」は6.2%と1割に満たなかった。

 また、40代以上を対象とした更年期に関する調査では、更年期障害と思われる症状について、「とくにない」(24.1%)と無回答(1.8%)が2割台半ばを占め、それ以外の4分の3(74.1%)の回答者には何らかの症状がみられた。それぞれの症状の比率をみると、「疲れやすい」(41.5%)が4割強と最も多く、これに「肩こり・頭痛」(37.0%)、「イライラする」(34.1%)、「頭痛・めまいがする」(30.3%)、「やる気がおきない」(30.2%)が続いた。更年期障害の症状がある者を対象に、症状がつらい時の対処(複数選択)について尋ねると、「何もしない」(50.0%)が半数を占め、「通院、薬の服用のみ」(38.8%)、「休暇取得(有給)」(17.2%)と続いた。

2022年度雇用政策研究会「議論の整理」を公表―厚労省

 厚生労働省は7月7日、雇用政策研究会において取りまとめた「議論の整理」を公表した。雇用政策研究会は、職業安定局長が学識経験者の参集を求めて開催するものであり、様々な経済構造の変化等の下で生じている雇用問題に関して、効果的な雇用政策の実施に資するよう、現状の分析を行うとともに、雇用政策のあり方を検討することを目的として開催されている。今回公表された「議論の整理」は、2022年4月より計3回にわたって行われた議論を踏まえ、中長期的な観点も含めたアフターコロナを見据えた今後の政策の具体的な方向性について整理したものである。
 「議論の整理」では、不確実性に対応できるしなやかな労働市場を構築するために、「労働者のワーク・エンゲージメントを高め、労働生産性と企業業績の向上につなげる経済の仕組み」、「多様なチャネルを活用した労働者のキャリア形成と企業の人材育成を促進する仕組み」、「ウェル・ビーイング向上への取組が人材確保と労働供給の増加につながる仕組み」、「労働市場の基盤強化と多様性に即したセーフティネットの構築を通じ最適な資源配分を実現する仕組み」という4つの仕組み作りが必要であるとされ、その内容と、それを進めていくための具体的な政策の方向性が示されている。

大企業に男女の賃金の差異の情報公表を義務化―厚労省

 厚生労働省は7月8日、女性活躍推進法の省令・告示を改正し、同日に施行した旨を発表し、賃金差異の計算方法や公表に当たっての留意点などをまとめたパンフレットやリーフレットなどをウェブページで公表した。
 今回の施行に伴い、常用労働者301人以上の事業主には、施行後に終了する事業年度の次の事業年度の開始日からおおむね3か月以内に、直近の「男女の賃金の差異」の実績を公表することが義務づけられる。

「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定―厚労省

 厚生労働省は7月8日、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の改定版を公表した。
 改定されたガイドラインには「副業・兼業に関する情報の公表について」という項目が追加され、「企業は、労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件について、自社のホームページ等において公表することが望ましい」と記載された。

「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書を公表―厚労省

 厚生労働省は7月15日、「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書を公表した。同検討会においては、裁量労働制実態調査において把握した実態を踏まえ、裁量労働制の制度改革案等について検討がなされてきた。
 報告書では、裁量労働制について、「裁量をもって自律的・主体的に働くにふさわしい業務に従事する労働者に適切に適用され、制度の趣旨に沿った適正な運用が行われれば、労使双方にとってメリットのある働き方が実現できるものと考えられる」との認識が示され、具体的な対応の方向性が示されている。
 対象業務の範囲については、「経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて、その必要に応じて検討することが適当」としている。
 また、労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保のための対応として、制度適用に当たって本人同意を得ることや、一定の基準に該当した場合に裁量労働制の適用を解除する措置等を講ずるような制度とすること、企画型の対象労働者について職務経験等の具体的な要件を定めることなどを挙げている。

「これからの労働時間制度に関する検討会」報告に対する談話を発表―連合

 連合は7月19日、「これからの労働時間制度に関する検討会」報告に対する談話を発表した。
 談話では、「これからの労働時間制度に関する検討会」の報告書について、「労働時間制度は確実な健康確保が土台であるという基本的考え方や、裁量労働制の制度趣旨に沿った運用の見直し・改善に関する提言は、労働者保護につながるものと受け止める」との認識が示されているが、一方で、裁量労働制の対象業務範囲の拡大については、「長時間労働是正の流れに逆行するものであり、行うべきでない」と、反対の姿勢が表明されている。

「労働時間規制の緩和・裁量労働制の適用拡大に反対する声明」を発表―日本労働弁護団

 日本労働弁護団は7月21日、「労働時間規制の緩和・裁量労働制の適用拡大に反対する声明」を発表した。

 声明では、「労働基準法が実労働時間管理を前提とした労働時間規制を大原則としているのは、それが労働者の健康・生活時間を確保するために実効的であるからであり、これに対する例外は限定的でなければならない」との認識が示され、裁量労働制の対象範囲拡大をはじめとする、労働時間規制の緩和を進める議論に反対する姿勢が表明されている。

公務員賃金と最低賃金の引き上げを求めて人事院前行動を実施―東京地評・東京春闘共闘会議

 東京地評や東京春闘共闘会議は7月22日、公務員および民間労働者の賃金の大幅引き上げ・底上げの勧告を求めて要請行動と人事院前行動を実施した。。
 東京地評のホームページによれば、人事院前行動には87人が参加し、荻原東京春闘共闘代表による主催者挨拶では、「公務員賃金と最賃は、制度に基づく賃金であり、すべての民間労働者に波及する。人事院は公正・中立な第3者機関であり、公正な勧告を」との訴えがなされたという。

賃上げ(月例賃金)の平均妥結額は6,866円 賃上げ率2.16%―東京都

 東京都は7月4日、2022年春季賃上げ要求・妥結状況の最終集計結果を公表した。本調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。
 集計結果によると、既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な368組合の平均妥結額は6,866円で、平均賃金(317,760円・40.1歳)の2.16%に相当する。同一労組の前年妥結額との比較では1,168円増加(20.50%増)となった。

22国民春闘賃上げ第8回(最終)集計―国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は7月11日、22国民春闘賃上げ第8回(最終)集計の結果を公表した。
 有額回答を得た885労働組合について、回答額の単純平均は5,960円・2.06%となり、前年の最終集計値から1,074円増加(0.22ポイント増)となった。同一組合で昨年実績との対比が可能な組合の単純平均額は前年実績を500円上回り、賃上げ率でも前年実績を0.19ポイント上回った。

2022年春季労使交渉・大手企業業種別妥結結果(最終集計)―経団連

 経団連は7月27日、2022年春季労使交渉の大手企業業種別妥結結果(加重平均)の最終集計を公表した。本調査は、原則として従業員数500人以上の大手企業を対象に実施されている。
 集計可能な16業種135社の引き上げ額の平均は7,562円・2.27%となり、前年の最終集計値から1,438円増加(0.43ポイント増)となった。額・率ともに前年を大きく上回り、2019年から続いていた低下傾向から反転した。

夏季一時金第3回集計―国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は7月5日、夏季一時金第3回集計の結果を公表した。
 回答金額が判明している435組合の単純平均は573,602円となり、前年同期(552,803円)を20,799円上回った。回答月数が判明している801組合の単純平均は1.86か月となり、前年同期を0.03か月上回った。

夏季一時金の平均妥結額は763,283円(2.38か月分相当)―東京都

 東京都は7月25日、2022年夏季一時金要求・妥結状況の最終集計結果を公表した。
 既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な448組合の平均妥結額は763,283円で、平均賃金(321,376円・40.0歳)の2.38か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(736,848円)との比較では、26,435円増加(3.59%増)となった。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・6月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,945万人(6,921万人)
就業者数

6,759万人(6,730万人) 前年同月比21万人の増加

完全失業者数

186万人(191万人) 前年同月比21万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.6%(2.6%)

労働市場<東京都・6月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 142,597人(145,220人)
月間有効求人数 184,284人(184,003人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.44倍(1.44倍)<全国:1.27倍(1.24倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・5月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額 361,099円(367,092円)
定期給与 336,159円(342,535円)
特別給与 24,940円(24,557円)
総実労働時間数 133.6時間(143.8時間)
所定内労働時間数 122.4時間(131.4時間)
所定外労働時間数 11.2時間(12.4時間)

倒産状況<東京都・6月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 116件(100件)<全国:546件(524件)>
負債総額 12,376百万円(13,780百万円)<全国:1,232,583百万円(87,380百万円)>

 倒産件数は116件(前年同月比13.7%増)と、5か月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は123億7,600万円(前年同月比8.7%増)となった。負債額10億円以上の倒産は2件(前年同月1件)となった。業種別件数ではサービス業(33件)、卸売業(20件)、小売業(15件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は89件となり、倒産件数における構成比は76.7%となった。倒産企業総従業員数は427人となり、前年同月の317人と比べ34.7%増となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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