労働情勢(2022年8月31日現在)

 東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和4年6月分結果確報

 厚生労働省は8月26日、「毎月勤労統計調査(令和4年6月分結果確報)」を公表した。
 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比2.0%増の451,763円となった。総実労働時間は前年同月比1.2%増の142.2時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比5.0%増の10.0時間となった。

7月の完全失業率は2.6%―総務省労働力調査

 総務省統計局は8月30日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)7月分」を公表した。
 7月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月と同率となった。就業者数は6,755万人で前年同月に比べ2万人減少し、4か月ぶりの減少となった。完全失業者数は176万人で、前年同月に比べ17万人減少し、13か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「卸売業、小売業」、「製造業」、「建設業」などが減少となった。

7月の有効求人倍率は1.29倍と前月から0.02ポイント上昇―一般職業紹介状況

 厚生労働省は8月30日、「一般職業紹介状況(令和4年7月分)」を公表した。
 7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02ポイント上昇の1.29倍(正社員1.01倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.09ポイント上昇し、1.53倍であった。

令和3年労働争議統計調査の結果を公表―厚労省

 厚生労働省は8月2日、令和3年「労働争議統計調査」の結果を公表した。この調査は、労働争議の発生状況、争議行為の形態や参加人員、要求事項などを調査することで、国内の労働争議の実態を明らかにすることを目的としている。
 調査結果によると、令和3年の総争議件数は297件(前年303件)で、令和元年に次いで過去2番目に低く、減少傾向となっている。争議の主な要求事項(複数回答)については、「賃金」に関するものが150件と最も多く、次いで「組合保障及び労働協約」に関するもの(137件)、「経営・雇用・人事」に関するもの(96件)となった。この中で、令和3年中に解決した労働争議は223件(前年248件)で、総争議件数の75.1%であった。そのうち「労使直接交渉による解決」は63件(前年61件)、「第三者関与による解決」は77件(前年79件)であった。

2022年度に賃上げを実施した企業は82.5%に上昇ー東京商工リサーチ

 東京商工リサーチは8月23日、2022年度「賃上げに関するアンケート」調査の結果を公表した。
 調査結果によると、2022年度に賃上げを実施した企業(予定含む)は82.5%で、コロナ禍で落ち込んだ2021年度の70.4%から12.1ポイント上昇した。集計を開始した2016年度以降、2017年度の82.7%に次いで2番目に高い水準となった。

 実施率を産業別にみると、製造業が87.2%と最も高く、卸売業84.5%、建設業83.7%と続いた。

 賃上げを実施したと回答した企業に賃上げ項目(複数回答)を尋ねると、「定期昇給」が81.0%と最も多く、次いで、「賞与(一時金)の増額」44.2%、「ベースアップ」42.0%、「新卒者の初任給の増額」18.2%の順となった。

人手不足の企業は47.7% 2年前から17.3ポイントの大幅上昇―帝国データバンク

 帝国データバンクは8月29日、「人手不足に対する企業の動向調査(2022年7月)」の結果を公表した。
 調査結果によると、正社員が「不足」している企業は47.7%で、前年同月から7.0ポイントの上昇、2年前から17.3ポイントの大幅上昇となった。業種別にみると、「旅館・ホテル」が66.7%と最も高く、「情報サービス」(64.9%)、「建設」(62.7%)と続いた。

 非正社員が「不足」している企業は28.5%で、前年同月から6.0ポイントの上昇となった。業種別にみると、「飲食店」が73.0%と最も高く、「各種商品小売」(56.5%)、「人材派遣・紹介」( 55.4 % )と続いた。
 一方、正社員の人手が不足している企業における賃上げの動向についてみると、人手不足企業のうち72.5%が2022年度に賃上げを実施していた。正社員が不足している企業のうち3社に2社が「今後、賃上げを実施」するとしていることから、「引き続き人手不足とともに賃上げに向けた動きが広がる可能性が示唆される」との分析がなされている。

令和3年雇用動向調査の結果を公表―厚労省

 厚生労働省は8月31日、令和3年「雇用動向調査」の結果を公表した。この調査は、全国の主要産業の事業所における入職者数・離職者数、入職者・離職者の性・年齢階級、離職理由等の状況を明らかにすることを目的として年に2回実施されているものである。今回公表されたのは、年2回の調査結果を合算し、年計として取りまとめたものである。
 調査結果によると、常用労働者全体の入職率は14.0%(前年比0.1ポイント上昇)、離職率は13.9%(前年比0.3ポイント低下)で、入職超過率0.1ポイントとなった。
 就業形態別にみると、一般労働者は入職率10.9%(前年比0.2ポイント上昇)、離職率11.1%(前年比0.4ポイント上昇)、パートタイム労働者は入職率22.0%(前年比0.2ポイント低下)、離職率21.3%(前年比2.0ポイント低下)となった。
 産業別にみると、入職者数については「宿泊業,飲食サービス業」が最も多く、次いで「卸売業,小売業」、「医療,福祉」の順となった。離職者数については「宿泊業,飲食サービス業」が最も多く、次いで「卸売業,小売業」、「医療,福祉」の順となった。

地方最低賃金審議会が答申した令和4年度の地域別最低賃金の改定額を公表―厚労省

 厚生労働省は8月23日、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和4年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめ、公表した。
 答申された改定額をみると、47都道府県で30円~33円の引上げ(引上げ額が30円は11県、31円は20都道府県、32円は11県、33円は5県)となり、全国加重平均額は961円(昨年度930円)となった。全国加重平均額31円の引上げは昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額である。また、47都道府県のうち、最高額(1,072円)に対する最低額(853円)の比率は79.6%(昨年度78.8%)で、8年連続の改善となった。

監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和3年度)の公表―厚労省

 厚生労働省は8月30日、令和3年度の監督指導による賃金不払残業の是正結果を公表した。不払となっていた割増賃金が支払われた事案のうち、支払額が1企業で合計100万円以上であるものを取りまとめたものである。
 令和3年度の是正企業数1,069企業(前年度比7企業の増)のうち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは115企業(同3企業の増)であった。支払われた割増賃金の合計額は65億781万円(同4億7,833万円の減)で、その平均額は1企業当たり609万円、労働者1人当たり10万円であった。

令和4年10月以降の雇用調整助成金の特例措置等及び産業雇用安定助成金の拡充についての方針を表明―厚労省

 厚生労働省は8月31日、新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金(以下「雇用調整助成金等」という。)、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金(以下「休業支援金等」という。)の特例措置及び産業雇用安定助成金の拡充について、令和4年10月以降の方針を表明した。
 雇用調整助成金等については、助成率は据置きだが、原則的な特例措置の日額上限を9,000円から8,355円へ、地域・業況特例の日額上限を15,000円から12,000円へ引き下げる予定となっている。
 休業支援金等については、助成率と原則的な措置の日額上限は据置きだが、地域特例の日額上限を11,000円から8,800円へ引き下げる予定となっている。
 一方、産業雇用安定助成金については、支給対象期間を1年間から2年間へと延長するとともに、出向元について支給対象労働者数の上限を撤廃し、また、出向復帰後の訓練(off-JT)に対する助成を新設する方針が示されている。

東京都最低賃金を1,072円に引上げ―東京労働局

 東京労働局長は、東京都最低賃金を31円引上げ時間額1,072円に改正することを決定し、9月1日に公示を行った。
 引上げ額は過去最大であり、引上げ率2.98%は前年度より0.22ポイント高い。
 なお、効力発生日は令和4年10月1日であり、東京都内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に、常用・臨時・パートタイマー・アルバイト等の属性、性、国籍及び年齢の区別なく適用される。

「2022年度地域別最低賃金改定の目安に関する談話」を発表―連合

 連合は8月2日、「2022年度地域別最低賃金改定の目安に関する談話」を発表した。
 談話は、中央最低賃金審議会が取りまとめた今年度の地域別最低賃金額改定の目安について、「現下の情勢をしっかりと踏まえ公労使三者が真摯に議論を尽くした結果と受け止める。また、過去最高となる目安の水準については、最低賃金近傍で働く者の労働条件改善に資するものと評価したい」としつつも、「依然としてナショナルミニマム水準として十分とは言えず、今後もさらなる、かつ継続的な引き上げが必要である」としている。また、最低賃金の地域間格差について、「目安段階では、最高額に対する最低額の割合の改善が見込めるものの、『額差』改善の目安を示すには至らなかった」とし、「今後行われる地方最低賃金審議会の審議において、『額差』改善に向けた真摯な議論が行われることを強く期待する」としている。

「東京都最低賃金の改正決定にあたり、審議の再考を強く求める」声明を発表―東京春闘共闘会議・東京地評

 東京春闘共闘会議と東京地評は8月5日、東京都最低賃金を31円引き上げて、時間給1,072円に改正するのが適当であるとした東京地方最低賃金審議会の答申について、審議の再考を求める声明を発表した。同日、東京労働局前では宣伝行動が実施された。
 声明は、答申で示された引上げ幅は過去最大となったものの、「相次ぐ物価高に到底及ぶものではなく、目標の1500円への接近にも大きな隔たりがあり、極めて不十分な額」であると指摘し、再度審議をし直し、大幅に引き上げることを求めている。

「夫婦別姓と職場の制度に関する調査2022」の結果を公表―連合

 連合は8月25日、「夫婦別姓と職場の制度に関する調査2022」の結果を公表した。この調査は「選択的夫婦別氏制度」に対する意識や職場の制度の実態を把握することを目的として実施されたものである。  調査結果によると、職場で旧姓(結婚前の名字)の通称使用が認められているかについては、「認められている」が42.3%、「認められていない」が11.9%となった。職場で旧姓の通称使用が認められている人に通称使用が認められているものを尋ねると、「名札や名刺」(83.2%)が最も高く、「社内名簿」(57.7%)、「印鑑」「社員証」(いずれも48.5%)、「メールアドレス」(46.3%)、「給与明細」(33.1%)と続いた。

 旧姓の通称使用(戸籍名とは別に、通称として旧姓を使うこと)についてどう思うかについては、「通称として旧姓を使うことができれば、不便・不利益がなくなると思う」が57.9%、「通称として旧姓を使うことができても、それだけでは、対処しきれない不便・不利益があると思う」が25.8%となった。

令和4年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表―厚生労働省

 厚生労働省は8月5日、令和4年の民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況の集計結果を公表した。
 妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業358社の平均妥結額は6,898円(賃上げ率2.20%)で、前年から1,044円増加(0.34ポイント増)となった。賃上げ額、賃上げ率はともに昨年を上回り、コロナ禍前の令和元年をわずかに上回る結果となった。

2022年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(最終集計)―経団連

 経団連は8月9日、2022年春季労使交渉・中小企業業種別妥結結果(加重平均)の最終集計を公表した。本調査は、原則として、従業員数500人未満の中小企業を対象に実施されている。
 集計可能な17業種377社の平均妥結額は5,036円(アップ率1.92%)で、前年から660円増加(0.24ポイント増)となり、額・率ともに2000年以降での最高値を記録した。

 業種別にみると、製造業(239社)の平均妥結額は5,312円(アップ率1.99%)となり、前年から679円増加(0.24ポイント増)した。非製造業(138社)の平均妥結額は4,571円(アップ率1.80%)となり、前年から600円増加(0.23ポイント増)した。

2022年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(最終集計)―経団連

 経団連は8月5日、2022年夏季賞与・一時金大手企業業種別妥結結果(加重平均)の最終集計を公表した。本調査は、原則として従業員数500人以上の大手企業を対象に実施されている。
 集計可能な18業種159社の平均妥結額は899,163円で、昨年から72,516円増加(8.77%増)となり、4年ぶりにプラスに転じた。製造業128社の平均妥結額は920,393円(9.58%増)、非製造業31社の平均妥結額は829,019円(7.17%増)となった。

夏季一時金最終集計―国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は8月12日、夏季一時金最終集計の結果を公表した。
 回答金額が判明している526組合の単純平均は566,386円となり、前年(515,731円)を50,655円上回った。回答月数が判明している1,143組合の単純平均は1.83か月となり、前年を0.03か月上回った。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・7月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,931万人(6,945万人)
就業者数

6,755万人(6,759万人) 前年同月比2万人の減少

完全失業者数

176万人(186万人) 前年同月比17万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.6%(2.6%)

労働市場<東京都・7月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 138,341人(142,597人)
月間有効求人数 189,521人(184,284人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.53倍(1.44倍)<全国:1.29倍(1.27倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・6月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額 646,136円(361,099円)
定期給与 336,330円(336,159円)
特別給与 309,806円(24,940円)
総実労働時間数 145.2時間(133.6時間)
所定内労働時間数 133.4時間(122.4時間)
所定外労働時間数 11.8時間(11.2時間)

倒産状況<東京都・7月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 98件(116件)<全国:494件(546件)>
負債総額 16,264百万円(12,376百万円)<全国:84,570百万円(1,232,583百万円)>

 倒産件数は98件(前年同月比15.3%増)と、2か月連続で前年同月を上回った。負債総額は162億6,400万円(前年同月比10.7%増)となった。負債額10億円以上の倒産は2件(前年同月3件)となった。業種別件数では、サービス業(21件)、卸売業(16件)、小売業(15件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は72件となり、倒産件数における構成比は73.5%となった。倒産企業総従業員数は495人となり、前年同月の279人と比べ77.4%増となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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