労働情勢(2022年6月30日現在)

 東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和4年4月分結果確報

 厚生労働省は6月24日、「毎月勤労統計調査(令和4年4月分結果確報)」を公表した。
 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.3%増の282,437円となった。総実労働時間は前年同月比1.3%減の141.5時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比5.7%増の10.7時間となった。

5月の完全失業率は2.6%―総務省労働力調査

 総務省統計局は7月1日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)5月分」を公表した。
 5月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月に比べ0.1ポイントの上昇となった。就業者数は6,730万人で前年同月に比べ17万人増加し、2か月連続の増加となった。完全失業者数は191万人で、前年同月に比べ22万人減少し、11か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「医療,福祉」、「情報通信業」、「不動産業,物品賃貸業」などが増加となった。

一般職業紹介状況(令和4年5月分)

 厚生労働省は7月1日、「一般職業紹介状況(令和4年5月分)」を公表した。
 5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇の1.24倍(正社員0.98倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.05ポイント上昇し、1.44倍であった。

「令和3年労働組合活動等に関する実態調査」の結果を公表ー厚労省

 厚生労働省は6月8日、「令和3年労働組合活動等に関する実態調査の概況」を公表した。この調査は、労働環境が変化する中での労働組合の組織及び活動の実態等を明らかにすることを目的としている。
 調査結果によると、使用者側との労使関係の維持に関する認識について、労使関係が「安定的」と認識している労働組合は92.9%(令和2年調査89.9%)となった。
 また、事業所に正社員以外の労働者がいる労働組合について、労働者の種類別に「組合加入資格がある」をみると、「パートタイム労働者」37.3%(令和2年調査38.2%)、「有期契約労働者」41.5%(同41.4%)、「嘱託労働者」39.6%(同37.4%)、「派遣労働者」6.6%(同6.1%)となった。

労働経済動向調査(令和4年5月)の概況を公表―厚労省

 厚生労働省は6月23日、「労働経済動向調査(令和4年5月)」の結果を公表した。この調査は、景気の変動が雇用等に及ぼしている影響や今後の見通し等について調査し、労働経済の変化や問題点を把握するため、四半期ごとに実施しているものである。
 調査結果によると、令和4年5月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.は調査産業計で37ポイントであり、平成23年8月調査から44期連続して不足超過となった。特に、「医療,福祉」、「建設業」、「運輸業,郵便業」で人手不足感が高い。
 令和4年5月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.は調査産業計で28 ポイントであり、平成21年11月調査から51期連続して不足超過となった。特に、「宿泊業,飲食サービス」、「サービス業(他に分類されないもの)」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「医療,福祉」などで人手不足感が高い。

「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和3年度)」を公表―厚労省

 厚生労働省は6月24日、都道府県労働局や公共職業安定所における「雇用の分野における障害者の差別禁止・合理的配慮の提供義務に係る相談等実績(令和3年度)」を公表した。
 ハローワークに寄せられた障害者差別及び合理的配慮の提供に関する相談は244件で、対前年度比 0.8%減と、わずかに減少した。
 一方、労働局長による紛争解決の援助申立受理件数は2件と前年度の12件から減少し、障害者雇用調停会議による調停申請受理件数は10件と前年度の5件から増加した。

令和3年度ハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などの取りまとめを公表―厚労省

 厚生労働省は6月24日、令和3年度のハローワークを通じた障害者の職業紹介状況などを取りまとめ、公表した。
 新規求職申込件数は223,985件で、対前年度比5.7%増と、コロナ禍以前の水準を上回った。就職件数は96,180件で、前年度(89,840件)と比べ7.1%増と、新規求職申込件数の伸びを上回ったが、前々年度の令和元年度(103,163件)と比べると6.8%の減となった。就職率は42.9%で、対前年度差0.5ポイント増となった。
 就職件数の増加要因については、主に精神障害者の求職活動が活発化し、新規求職申込件数が増加するとともに、障害者の就職先として比較的高い割合を占める「医療,福祉」、「製造業」、「サービス業」を中心に多くの産業で求人数が増加したことによるものとの分析が示されている。

令和3年度「能力開発基本調査」の結果を公表―厚労省

 厚生労働省は6月24日、令和3年度「能力開発基本調査」の結果を公表した。この調査は、国内の企業・事業所と労働者の能力開発の実態を明らかにし、今後の人材育成施策のあり方を検討するための基礎資料とすることを目的に実施されているものである。
 調査結果によると、教育訓練費用(OFF-JT費用や自己啓発支援費用)を支出した企業は全体の50.5%と、前年から0.5ポイント上昇した。また、計画的なOJTについて、正社員に対して実施した事業所は59.1%(前年比2.2ポイント増)、正社員以外に対して実施した事業所は25.2%(前年比2.9ポイント増)であった。

令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表―厚労省

 厚生労働省は6月24日、令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表した。この報告は、高年齢者の雇用等に関する措置について、令和3年6月1日時点での企業における実施状況等をまとめたものである。
 全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業232,059社のうち、65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は231,402社(99.7%)、70 歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は 59,377 社(25.6%)であった。

令和3年度「過労死等の労災補償状況」を公表―厚労省

 厚生労働省は6月24日、令和3年度の「過労死等の労災補償状況」を公表した。過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスが原因で発病した精神障害の状況について、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数を取りまとめたものである。
 過労死等に関する請求件数は3,099件と前年度から264件増加し、支給決定件数は801件と前年度から1件の減少となった。支給決定件数のうち死亡(自殺未遂を含む)件数は136件で前年度から12件の減少となった。

「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」を閣議決定

 政府は6月7日、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(以下「実行計画」という。)と「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」を閣議決定した。
 「実行計画」は、「新しい資本主義が目指す成長と分配の好循環を生み出すためには、人的資本をはじめとする非財務情報を見える化し、株主との意思疎通を強化していくことが必要である」と、人的資本等の非財務情報の株式市場への開示強化を進める方針を示し、参考となる人的資本可視化指針を本年夏に公表するとしている。
 また、男女間の賃金差異の開示義務化について、「本年夏に、制度(省令)改正を実施し、施行する」方針を示している。

厚生労働大臣に対し、連合の重点政策に関する要請を実施―連合

 連合は6月10日、後藤厚生労働大臣に対し、2022年度連合の重点政策に関する要請を実施した。
 要請書では、「コロナ禍における雇用・生活対策」として、コロナ禍によりとりわけ大きな打撃を受けた非正規雇用で働く女性、DV等により困窮した女性、就職活動中の学生に対し、公的相談・支援体制を強化することなどを求めている。また、「雇用の安定と公正労働条件の確保」として、解雇の金銭解決制度を導入しないことなどを要請している。

東京労働局に対し、最低賃金1500円の実現を要請―東京春闘共闘

 東京春闘共闘は6月23日、東京労働局への要請を行い、「①東京都の最低賃金1500円大幅引き上げ、②審議会での最賃近傍で就労する労働者の意見陳述、③審議会労働委員選任にあたり多様な労働団体から公正な選考」を求めた。
 東京地評のホームページによれば、東京労働局からは賃金課長が応対し、前年度の最賃引上げによる影響調査が報告され、労働者への影響率が15.4%に及んだこと、さらに非正規労働者では32.8%となり、とりわけ男性労働者(20~54歳代)で36.6%と大きな数値となったことなどが示されたという。

2022春季生活闘争 第7回回答集計―連合

 連合は7月5日、2022春季生活闘争第7回(最終)回答集計結果を公表した。
 平均賃金方式で回答を得た4,944組合について、「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で6,004円・2.07%(昨年同時期比824円増・0.29ポイント増)となった。このうち、300人未満の中小組合(3,596組合)は加重平均で4,843円・1.96%(昨年同時期比555円増・0.23ポイント増)となった。

 一時金(夏季)の回答集計では、加重平均で金額が708,319円、月数が2.33か月となった。

2022年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況―経団連

 経団連は6月10日、2022年春季労使交渉・中小企業業種別回答状況(加重平均)第1回集計を公表した。本調査は、原則として従業員数500人未満の中小企業を対象に実施されている。
 集計可能な17業種249社の平均は5,219円・1.97%となり、昨年同時期から775円増加(0.25ポイント増)となった。

夏季一時金第2回集計―国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は6月20日、夏季一時金第2回集計の結果を公表した。
 回答金額が判明している359組合の単純平均は608,245円となり、前年同期(554,413円)を53,832円上回った。回答月数が判明している615組合の単純平均は1.88か月となり、前年同期を0.06か月上回った。

2022年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況 第1回集計―経団連

 経団連は6月21日、2022年夏季賞与・一時金大手企業業種別妥結状況(第1回集計)を公表した。
 集計可能な16業種105社の平均額は929,259円となり、同一企業の前年夏季の平均額を112,759円(13.81%)上回った。

夏季一時金の平均妥結額は776,077円(2.41か月分相当)―東京都

 東京都は6月13日、2022年夏季一時金要求・妥結状況の中間集計結果を公表した。
 既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な228組合の平均妥結額は776,077円で、平均賃金(322,049円・39.8歳)の2.41か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(740,868円)との比較では、35,209円増加(4.75%増)となった。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・5月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,921万人(6,915万人)
就業者数

6,730万人(6,727万人) 前年同月比17万人の増加

完全失業者数

191万人(188万人) 前年同月比22万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.6%(2.5%)

労働市場<東京都・5月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 145,220人(146,584人)
月間有効求人者数 184,003人(182,423人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.44倍(1.39倍)<全国:1.24倍(1.23倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・4月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額 367,092円(380,509円)
定期給与 342,535円(337,607円)
特別給与 24,557円(42,902円)
総実労働時間数 143.8時間(139.4時間)
所定内労働時間数 131.4時間(126.9時間)
所定外労働時間数 12.4時間(12.5時間)

倒産状況<東京都・5月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 100件(73件)<全国:524件(486件)>
負債総額 13,780百万円(14,771百万円)<全国:87,380百万円(81,253百万円)>

 倒産件数は100件(前年同月比2.9%減)と、4か月連続で前年同月を下回った。負債総額は137億8,000万円(前年同月比88.7%減)となった。負債額10億円以上の倒産は3件(前年同月4件)となった。業種別件数では、サービス業(22件)、卸売業(18件)、情報通信業(11件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は86件となり、倒産件数における構成比は86.0%となった。倒産企業総従業員数は336人となり、前年同月の292人と比べ15.1%増となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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