労働情勢(2022年9月30日現在)

 東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和4年7月分結果確報

 厚生労働省は9月27日、「毎月勤労統計調査(令和4年7月分結果確報)」を公表した。
 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.3%増の376,028円となった。総実労働時間は前年同月比0.1%減の139.9時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比3.9%増の10.2時間となった。

8月の完全失業率は2.5%―総務省労働力調査

 総務省統計局は9月30日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)8月分」を公表した。
 8月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,751万人で前年同月に比べ12万人増加し、2か月ぶりの増加となった。完全失業者数は177万人で、前年同月に比べ17万人減少し、14か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」などが増加となった。

8月の有効求人倍率は1.32倍と前月から0.03ポイント上昇―一般職業紹介状況

 厚生労働省は9月30日、「一般職業紹介状況(令和4年8月分)」を公表した。
 8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.03ポイント上昇の1.32倍(正社員1.02倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.06ポイント上昇し、1.59倍であった。

「令和4年版 労働経済の分析」(労働経済白書)を公表―厚労省

 厚生労働省は9月6日、「令和4年版 労働経済の分析」(労働経済白書)を閣議で報告し、公表した。
 労働経済白書は、一般経済や雇用、労働時間などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書で、今回で73回目の公表となる。令和4年版では、今後の労働市場を見据えつつ、労働移動の重要性や、主体的なキャリア形成を行うための環境整備とその課題が分析されている。
 分析結果の主なポイントとして、①「人手不足感が再び高まる中で、転職者数の大幅な減少が続くなど労働市場の動きには課題がみられる」、②「介護・福祉分野やIT分野の人材の需要の高まりなど、労働力需要の変化に対して、外部労働市場を通じた労働力需給の調整が今後重要である」、③「キャリアコンサルティング等を通じた主体的なキャリア形成の意識付けや、自己啓発によるスキルの向上等が、転職などのキャリア形成の希望をかなえる重要な要素である」の3点が挙げられている。

「令和3年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表ー厚労省

 厚生労働省は9月7日、「令和3年度使用者による障害者虐待の状況等」を取りまとめ、公表した。
 この資料は、障害者虐待防止法第28条に基づいて都道府県労働局が把握した、使用者による障害者虐待の状況等を取りまとめたものである。
 通報・届出のあった事業所数は1,230事業所で、前年度と比べ3.7%減少し、通報・届出の対象となった障害者数は1,431人で、前年度と比べ1.6%増加した。虐待が認められた事業所数は392事業所で、前年度と比べ2.2%減少し、虐待が認められた障害者数は502人で、前年度と比べ0.8%増加した。また、認められた虐待の種別では、経済的虐待が420人(77.6%)と最も多く、次いで心理的虐待が61人(11.3%)、身体的虐待が32人(5.9%)となった。

労働経済動向調査(令和4年8月)の結果を公表―厚労省

 厚生労働省は9月16日、「労働経済動向調査(令和4年8月)」の結果を公表した。この調査は、景気の変動、労働力需給の変化等が、雇用、労働時間等に及ぼしている影響や、それらに関する今後の見通し、対応策等について調査し、労働経済の変化の方向、当面の問題等を迅速に把握するため、四半期ごとに実施されているものである。
 調査結果によると、令和4年8月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス41ポイントであり、平成23年8月調査から45期連続して不足超過となった。特に、「建設業」、「運輸業,郵便業」、「医療,福祉」で人手不足感が高い。
 令和4年8月1日現在のパートタイム労働者過不足判断D.I.は調査産業計でプラス28ポイントであり、平成21年11月調査から52期連続して不足超過となった。特に、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などで人手不足感が高い。 

令和4年3月新卒者内定取消し等の状況を公表―厚労省

 厚生労働省は9月16日、令和4年3月新卒者内定取消し等の状況を公表した。この資料は、令和4年3月に大学や高等学校などを卒業して就職を予定していた人のうち、内定取消しとなったり、入職(入社)時期が延期(繰下げ)となった人の状況(令和4年8月末現在)を取りまとめたものである。
 集計結果によると、内定取消しとなった新卒者は50人(27事業所)で、入職時期繰下げとなった新卒者はいなかった。
 なお、内定取消しが「事業活動縮小を余儀なくされているとは明らかに認められない」などの場合に、求職活動をする学生の適切な職業選択に役立つよう、事業所名を公表できることになっているが、令和4年3月新卒者に係る内定取消しについては、公表対象となる事業所はなかった。

「令和4年版厚生労働白書」を公表―厚労省

 厚生労働省は9月16日、「令和4年版厚生労働白書」を公表した。
 「厚生労働白書」は、厚生労働行政の現状や今後の見通しなどについて、広く国民に伝えることを目的に取りまとめたものであり、令和4年版は、平成13年の発刊から数えて21冊目となる。
 令和4年版厚生労働白書は2部構成となっており、その年ごとのテーマを設定している第1部では、「社会保障を支える人材の確保」と題し、現役世代が急減していく人口構造を踏まえ、医療・福祉サービスの提供の在り方、人材確保に関する今後の対応の方向性を提示している。

 第2部「現下の政策課題への対応」では、子育て、雇用、年金、医療・介護など、厚生労働行政の各分野について、最近の施策の動きがまとめられている。労働分野については、第2章「働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など」、第3章「女性、若者、高齢者等の多様な働き手の参画」において、各施策の動向がまとめられている。

「女性、外国人材の活躍に関する調査」の集計結果を公表―日本商工会議所

 日本商工会議所及び東京商工会議所は9月21日、「女性、外国人材の活躍に関する調査」の集計結果を公表した。この調査は、生産年齢人口の減少が進む中、女性・外国人といった多様な人材の活躍に関する状況を把握し、今後の意見・要望活動に活かすことを目的に実施されたものである。
 調査結果によると、「女性の活躍を推進している」と回答した企業の割合は71.6%に達するが、そのうちの半数以上が「課題がある」と回答した。「女性管理職」の比率については、「0%」と回答した企業が43.2%と最も多く、「女性管理職比率30%以上」の企業は10.1%にとどまった。女性の活躍推進における課題(複数回答)については、「家事・育児・介護等の負担が女性に集中している」(45.7%)、「女性社員本人が現状以上の活躍を望まない」(44.7%)を挙げる企業が多くみられた。
 外国人材については、「既に受入れている」と回答した企業は23.1%となり、業種別に「既に受入れている」の割合をみると、「宿泊・飲食業」が35.7%と最も高かった。受入れに係る課題(複数回答)については、 「日本語による円滑なコミュニケーションが困難」(47.8%)、「仕事や人間関係、生活面でのサポート」(38.7%)、「受入れに関する手続きが煩雑」(36.9%)を挙げる企業が多くみられた。

「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況」の集計結果を公表―日本商工会議所

 日本商工会議所及び東京商工会議所は9月28日、「人手不足の状況および新卒採用・インターンシップの実施状況」の集計結果を公表した。この調査は、人手不足の状況と対策、新卒採用とインターンシップの取組状況等を把握し、今後の意見・要望活動に活かすことを目的に実施されたものである。
 調査結果によると、「人手が不足している」と回答した企業の割合は64.9%となり、前回調査(2022年2月)と比べて4.2ポイント増加した。業種別にみると、「建設業」(77.6%)、「運輸業」(76.6%)において「人手が不足している」と回答した企業の割合が高い。コロナによる深刻な影響を受けた「宿泊・飲食業」(73.9%)においても、7割を超える企業が人手不足と回答している。
 一方、2021年度に新卒採用の募集を行った企業は51.0%であった。そのうち、「予定人数を採用できた」と回答した企業は45.6%にとどまり、約2割の企業が「募集したが、全く採用できなかった」(19.9%)と回答した。また、2021年度に新卒採用の募集を行った企業のうち、学生を対象としたインターンシップを実施した企業は48.4%であり、実施した期間については「2日~4日」(44.1%)が最も多かった。

「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(報告)」を公表―厚労省

 厚生労働省は9月27日、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(報告)」を公表した。
 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(以下「改善基準告示」という。)は、自動車運転者について労働時間等の労働条件の向上を図るため、その業務の特性を踏まえ、すべての産業に適用される労働基準法では規制が難しい拘束時間(始業から終業までの時間(休憩時間を含む))、休息期間(勤務と勤務の間の自由な時間)、運転時間等の基準を、平成元年に大臣告示として制定したものである。依然として長時間・過重労働が課題となっている状況を踏まえ、労働政策審議会では、改善基準告示及び関係通達の在り方について検討が進められてきた。
 公表された資料では、休息期間について、ハイヤー・タクシー、トラック、バスのいずれについても、「勤務終了後、継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする」との規定を盛り込むことが適当であるとしている。

「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」に関する意見募集―内閣官房

 内閣官房は9月13日、「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」を公表し、意見募集を開始した。今年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」に、フリーランスの取引適正化のための法制度について検討し、早期に国会に提出する旨が明記されたことを受けたものである。
 示された方向性は、フリーランスの取引を適正化し、個人がフリーランスとして安定的に働くことのできる環境を整備するために、他人を使用する事業者が、フリーランス(業務委託の相手方である事業者で、他人を使用していない者)に業務を委託する際の遵守事項等を定めるというものである。具体的には、業務委託開始時の書面の交付、契約の中途解約・不更新の際の事前予告、報酬の支払に関する義務、フリーランスと取引を行う事業者の禁止行為などが盛り込まれている。

「『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について (とりまとめ)』に対する談話」を発表―連合

 連合は9月27日、「『自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(とりまとめ)』に関する談話」を発表した。
 談話は、労働政策審議会の専門委員会が取りまとめた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準の在り方について(とりまとめ)」について、「いずれの業態でも総拘束時間が一定程度縮減され、休息期間も延長されたことは、自動車運転者の長時間労働の是正に向けた取り組みが一歩前進したものと受け止める」と評価した上で、「トラックについては総拘束時間や休息期間など全体としては改善されたものの、連続運転時間、分割休息や2人乗務の特例の見直しなどに関して一部に緩和となりうる部分もみられる」とし、改善基準告示の実効性確保に向けた監督指導等の徹底を求めている。さらに、「実態把握を行った上で規制水準の検証を行うとともに、早期の一般則適用に向けた検討を進めるべき」と主張している。

「『フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性』についての意見」を公表―全労連

 全労連は9月22日、「『フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性』についての意見」を公表した。
 公表された意見では、「雇用類似のフリーランスについては、取引適正化の実効性を確保するためにも、労働法を適用することを検討する」との記述を追加し、労働者性の指標に一定程度該当する場合には、雇用関係があり労働者であるものとみなし、事業主側が労働者性を否定する根拠を示さない限り、契約を解除できない旨を明記するよう求めている。
 また、フリーランスの「生活保障」(生存権)を視野に入れた法制度構築についての言及が不十分であるとした上で、報酬の支払について、手続面の規制にとどまらず、報酬額の水準の規制が必要であるとし、成果物の一定の単位又は時間を基準とした最低報酬の確立を提起している。

「『フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性』についての声明」を発表―日本労働弁護団

 日本労働弁護団は9月27日、「『フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性』についての声明」を発表した。
 声明は、労働関係諸法令の適用を受けるべき労働者である者が、しばしば「業務委託契約」などの契約名称のもと、「労働者」として扱われないという実情があることに触れた上で、「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」は、本来労働関係諸法令が適用されるべき者までも「フリーランス」と扱って新法の範囲に限定することで、それらの者を労働関係諸法令による保護から遠のかせる危険をはらんでいると指摘している。こうした観点から、「働き方が多様化する中で労働関係諸法令の適用を受けるべき者の範囲を検討して見直すことが重要であるにもかかわらず、これを棚上げしたまま『フリーランス』の取引適正化についてのみ議論を進めることが問題である」と批判している。

令和4年 民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表―厚生労働省

 厚生労働省は9月9日、令和4年民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表した。
 妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業381社の平均妥結額は832,340円となり、前年から58,708円の増加(7.59%増)となった。平均妥結額が前年を上回ったのは4年ぶりである。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・8月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,929万人(6,931万人)
就業者数

6,751万人(6,755万人) 前年同月比12万人の増加

完全失業者数

177万人(176万人) 前年同月比17万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.5%(2.6%)

労働市場<東京都・8月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 136,817人(138,341人)
月間有効求人数 192,757人(189,521人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.59倍(1.53倍)<全国:1.32倍(1.29倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・7月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額 469,766円(646,136円)
定期給与 340,670円(336,330円)
特別給与 129,096円(309,806円)
総実労働時間数 143.2時間(145.2時間)
所定内労働時間数 131.4時間(133.4時間)
所定外労働時間数 11.8時間(11.8時間)

倒産状況<東京都・8月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 80件(98件)<全国:492件(494件)>
負債総額 31,661百万円(16,264百万円)<全国:111,428百万円(84,570百万円)>

 倒産件数は80件(前年同月比7.0%減)と、3か月ぶりに前年同月を下回った。負債総額は316億6,100万円(前年同月比31.6%増)となった。負債額10億円以上の倒産は3件(前年同月7件)となった。業種別件数では、サービス業(14件)、建設業(11件)、製造業(10件)、卸売業(10件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は67件となり、倒産件数における構成比は83.8%となった。倒産企業総従業員数は1,291人となり、前年同月の343人と比べ276.4%増となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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