労働情勢(2021年9月30日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和3年7月分結果確報

 厚生労働省は9月24日、「毎月勤労統計調査(令和3年7月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比0.6%増の371,141円となった。また、総実労働時間は前年比0.1%減の140.1時間となり、このうち所定外労働時間は前年比11.4%増の9.8時間となった。

8月完全失業率は2.8%-総務省労働力調査

 総務省統計局は10月1日、「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)8月分」を発表した。8月の完全失業率(季節調整値)は2.8%で前月と同率となった。就業者数は6,693万人で、前年同月に比べ17万人増加し、5か月連続の増加。また、完全失業者数は193万人で、前年同月に比べ13万人減少し、2か月連続の減少となった。
 産業別就業者では、前年同月比で「学術研究,専門・技術サービス業」、「医療,福祉」、「卸売業,小売業」などが増加となった。

一般職業紹介状況(令和3年8月分)

 厚生労働省は10月1日、「一般職業紹介状況(令和3年8月分)」を発表した。
その発表によると、8月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月に比べて0.01ポイント低下し、1.14倍(正社員0.92倍)であった。
また、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月と比べ0.01ポイント減少し、1.18倍であった。

令和4年3月高校・中学新卒者のハローワーク求人における求人・求職状況を公表(7月末現在)

 厚生労働省は9月9日、令和4年3月に高校・中学校を卒業する生徒について、令和3年7月末現在のハローワーク求人における求人・求職状況を取りまとめ、公表した。
公表結果によると、高校新卒者の求人数は前年同期比2.9%増加し約34万6千人、求職者数は同10.3%減少し約14万5千人、求人倍率は前年同期差0.30ポイント上昇し2.38倍となった。また、中学新卒者の求人数は前年同期比6.6%増加し725人、求職者数は同14.6%減少し776人、求人倍率は前年同期差0.18ポイント上昇し0.93倍となった。

令和3年3月新卒者内定取消し等の状況を公表

 厚生労働省は9月22日、令和3年3月に大学や高等学校などを卒業して就職予定であった者のうち、内定取り消しとなったり、入職(入社)時期が延期(繰下げ)となった者の状況(令和3年8月末現在)を取りまとめ、公表した。
 公表結果によると、令和3年3月に卒業した学生のうち、内定取り消しとなった学生・生徒数は136人(37事業所)、入職時期繰り下げとなった者の数は157人(14事業所)となった

監督指導による賃金不払残業の是正結果(令和2年度)

 厚生労働省は9月22日、令和2年度に時間外労働などに対する割増賃金を支払っていない企業に対して、労働基準法違反で是正指導した結果を取りまとめ、公表した。
公表結果によると、是正企業数は1,062企業(前年度比549企業の減)であった。うち、1,000万円以上の割増賃金を支払ったのは、112企業(同49企業の減)であった。対象労働者数は、6万5,395人(同 13,322人の減)、支払われた割増賃金合計額69億8,614万円(同28億5,454万円の減)、支払われた割増賃金の平均額は、1企業当たり658万円、労働者1人当たり11万円であった。

「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」調査結果<東京商工会議所>

 東京商工会議所は9月13日、「中小企業のテレワーク実施状況に関する調査」調査結果を取りまとめ、公表した。
調査結果のポイントとして、2021年8月の緊急事態宣言下における東京23区内中小企業のテレワークの実施率は39.9%(前回調査⦅2021年5月⦆に比べ、1.5ポイント増加)となったこと、テレワークを実施している社員の割合は、20%以下が50.8%と最も多く、81~100%は5.8%となったこと、テレワークを実施する上での課題は、「情報セキュリティ」が課題と答えた企業が59.7%と最も多く、次いで「社内コミュニケーション」が58.1%、「PCや通信環境の整備状況」が56.2%となったこと等が挙げられている

労働協約の地域的拡張適用について厚生労働大臣が決定

 厚生労働省は9月、労働組合法第18条に基づき、労働協約の地域的拡張適用について厚生労働大臣に申立てがあったことを受けて、令和3年9月22日付けで厚生労働大臣が労働協約の地域的拡張適用を決定したことを公表した。
上記を受け、令和4年4月1日から令和5年5月31日までの間、茨城県内全域の「大型家電量販店」に雇用される「無期雇用フルタイム労働者」に対して、以下の労働協約が拡張適用される。
 適用内容は、①適用される労働者のうち、1日の所定労働時間が7時間45分を超える労働者の各年度に付与される所定休日数の最低日数を111日以上とすること、②適用される労働者のうち、1日の所定労働時間が7時間以上7時間45分以下の者の、各年度に付与される所定休日数の最低日数を107日以上とすること、③休日振替を行うことなく所定休日に労働が行われたときには、休日労働割増賃金として、通常労働時間の賃金1時間あたりの額135%に休日労働を行った時間数(8時間未満の場合は8時間とみなす)を乗じた賃金を支払うこと、④付与された所定休日数又は実際に取得できた休日数が所定休日の最低日数に満たない場合、当該年度の最後の日から順にさかのぼって最低日数に達するまでの日数について所定休日とみなして、割増賃金を支払うことが挙げられている。

労働協約の地域的拡張適用に係る厚生労働大臣の決定・公告に対する談話を発表<連合>

 連合は9月22日、労働協約の地域的拡張適用に係る厚生労働大臣の決定・公告を受けて事務局長談話を発表した。
 事務局長談話によると、「今回の決定は全国展開の企業に対して地域的拡張適用を行う初の決定であり、連合を結成して以来、初めてのケースである」とし、「当該制度活用への道を拓き、より多くの働く者の労働条件向上につながるものとして、高く評価する」と述べた。
 また、「公告」は、「協約」の内容を反映し、対象地域内の「大型家電量販店」に雇用される「無期雇用フルタイム労働者」の年間所定休日日数を111日以上とするよう定めた一方で、中央労働委員会の決議により「協約」に関与していない労使への説得性などの観点から、「協約」が定める地域(茨城県全域と隣接県の一部市町村)を修正し、対象地域を茨城県全域とされたことに対しては、「労働組合法第18条は、拡張適用の対象地域の選定を協約当事者の労使自治に委ねていることから、本来は労使の選択が尊重されるべきである」と述べた。さらに、「集団的労使関係の成果を、より多くの働く仲間に波及させる」と述べ、「今般の決定は、個別労使が締結した労働協約が、協約当事者のみならず、未組織労働者の労働条件の維持・向上にも影響を及ぼすことを示すものであり、労働者間、使用者間における公正な競争条件の整備にも資するものである。管轄の労働基準監督署においては、『協約』の遵守に向けて、本件にかかる相談対応および監督指導の徹底が求められる」と述べた。
連合は、「集団的労使関係の成果をより多くの働く仲間に波及させるべく、組織拡大に向けた不断の努力とともに、構成組織等と連携して労働協約の地域的拡張適用に全力で取り組む」としている。

【共同声明】コロナ禍、労働者・市民の命が守られる医療・介護・公衆衛生体制の抜本的な拡充へ国の政策転換を求める<全労連及び全労協>

 全労連及び全労協は9月22日、新型コロナウィルスの感染に備えることを含め、医療・介護・公衆衛生体制の抜本的な拡充を求め、共同声明を発表した。
 共同声明では、①保健所を拡充設置し、医師・看護師・介護職・保健師等を増員する政策に転換すること、②公立・公的病院の再編統合「再検証リスト」を撤回し、感染症病床と公立・公的病院を拡充すること、③速やかに国会を開会し、緊急のコロナ対策を図る議論と十分な予算措置、そして、政策転換に向けた検討を行うことの3点を要求している。
 全労連及び全労協は、コロナ禍から労働者・市民のいのちと生活と雇用と地域を守るために、労働組合所属の違いを超えた共同をすすめていくとしている。

多様化する労働契約のルールに関する検討会に関する意見書<日本労働弁護団>

 日本労働弁護団は9月16日、厚生労働省の多様化する労働契約のルールに関する検討会において、労働契約法18条(無期転換ルール)にかかる見直し検討規定(附則第3項)に基づく規定の見直し等の検討を行っていることをうけて、意見書を公表した。
 意見書の中では、転換権行使に関する労働者への周知徹底及び権利行使の機会確保のために、①労働契約締結段階において、無期転換権の存在及び内容につき、当該有期契約労働者に対して雇用契約書等の書面で説明を行う義務を課すことを、労働基準法15条1項所定の明示すべき事項として追加すること、②対象労働者が権利行使できる段階で、対象労働者に対して無期転換権の存在及び内容につき告知し、無期転換権の行使意向の有無を確認する義務を課すとともに、かかる義務に違反したことにより当該有期契約労働者が無期転換権を行使することができなかった場合には、対象労働者が無期転換権を行使したものと推定する、又は、無期転換権を行使しないまま雇止めされた後も一定期間内は引き続き遡及的に無期転換権を行使できるものとすること等の救済措置を含む立法措置を講じるべき等の内容が提言されている。

令和3年 民間主要企業夏季一時金妥結状況を公表

 厚生労働省は9月10日、令和3年民間主要企業の夏季一時金妥結状況集計結果をとりまとめ、公表した。
 集計結果によると、平均妥結額は773,632円で、前年に比べ54,539円(6.59%)の減であった。平均要求額は808,836円で、前年に比べ111,002円の減であった。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・8月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査報告」

労働力人口 6,886万人 ( 6,902万人 )
就業者数

6,693万人 ( 6,711万人 )前年同月比17万人の増加。

完全失業者数

193万人 ( 191万人 )前年同月比13万人の減少。

完全失業率【季節調整値】

2.8% ( 2.8% )

労働市場<東京都・8月>

資料出所:東京労働局「職業安定業務統計」

月間有効求職者数 143,755人 ( 142,462人 )
月間有効求人者数 155,642人 ( 154,139人 )
有効求人倍率【季節調整値】 1.18倍 (1.19倍 ) <全国:1.14倍(1.15倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・7月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「毎月勤労統計調査」

現金給与総額 452,863円( 623,223円 )
定期給与 333,470円( 330,659円 )
特別給与 119,393円( 292,564円 )
総実労働時間数 142.0時間 ( 142.5時間 )
所定内労働時間数 130.7時間 ( 131.5時間 )
所定外労働時間数 11.3時間 ( 11.0時間 )

倒産状況<東京都・8月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 86件 ( 85件 ) <全国:466件(476件)>
負債総額 24,052百万円 ( 14,689百万円 ) <全国:90,973百万円(71,465百万円)>

 倒産件数は、86件(前年同月比32.3%減)と、3か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、240億5,200万円(前年同月比80.7%増)となった。負債額10億円以上の倒産は7件(前年同月2件)となった。業種別件数では卸売業(17件)、サービス業(14件)、小売業(12件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は68件となり、倒産件数における構成比は79.1%となった。倒産企業総従業員数は343人となり、前年同月の526人と比べ34.8%減となった

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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