労働情勢(2022年3月31日現在)

 東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和4年1月分結果確報

 厚生労働省は4月5日、「毎月勤労統計調査(令和4年1月分結果確報)」を発表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.1%増の274,822円となった。また、総実労働時間は前年比0.7%増の129.4時間となり、このうち所定外労働時間は前年比4.1%増の9.6時間となった。

2月完全失業率は2.7%―総務省労働力調査

 総務省統計局は3月29日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)2月分」を公表した。

 2月の完全失業率(季節調整値)は2.7%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,658万人で前年同月に比べ35万人減少し、5カ月連続の減少。また、完全失業者数は180万人で、前年同月に比べ15万人減少し、8カ月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「卸売業,小売業」、「教育,学習支援業」、「金融業,保険業」などが減少となった。

一般職業紹介状況(令和4年2月分)

 厚生労働省は3月29日、「一般職業紹介状況(令和4年2月分)」を発表した。

 2月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇の1.21倍(正社員0.93倍)であった。また、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.02ポイント上昇し、1.28倍であった。

カスタマーハラスメントポスター追加作成―厚労省

 厚生労働省は3月8日、「カスタマーハラスメント対策ポスター」を追加作成したことを公表した。 
 同年2月25日に発表したカスタマーハラスメント対策ポスターに加えて、新たに4種類作成したほか、業種等に応じて任意のイラストを追加して活用するため、イラストを入れていないポスターに関しても作成したとしている。いずれも厚生労働省ホームページからダウンロード可能であり、活用にあたって厚生労働省への事前申請等は不要としている。

就職活動中の学生等に対するハラスメント防止対策を強化―厚労省

 厚生労働省は3月29日、就職活動中の学生をハラスメントから守り、より安心して就職活動に取り組める環境を整備するため、3月以降、就職活動中の学生等に対するハラスメント防止対策を強化する以下の取組を順次実施していくとしている。
 3月以降実施する取組としては、①大学生に対する出前講座の実施【新規】、②就活ハラスメントの被害にあった学生へのヒアリングの実施【新規】、③就活セクハラを起こした企業に対する指導の徹底【強化】、④大学生等に対する就活ハラスメント関係の周知啓発【継続実施】等が挙げられている。

「多様化する労働契約のルールに関する検討会」の報告書を公表―厚労省

 厚生労働省は3月30日、「多様化する労働契約のルールに関する検討会」の報告書が取りまとめられたことを公表した。
 報告書では、制度活用状況を踏まえると、無期転換ルール(※)の導入目的である有期契約労働者の雇用安定に一定の効果が見られるとし、通算年数などによる更新上限の導入は、無期転換ルール導入前と比べて大きく増加していない一方で、制度の十分な活用への課題や、望ましくない雇止め、権利行使を抑止する事例等も見られるとしている。また、現時点で無期転換ルールを根幹から見直さなければならない問題が生じている状況ではないが、各企業における有期労働契約や無期転換制度について、労使双方が情報を共有し、企業の実情に応じて適切に活用できるようにしていくことが適当とし、今後は制度の更なる活用に伴い、引き続き状況を注視し、必要に応じて改めて検討する機会が設けられることが適当としている。

※ 無期転換ルール:労働契約法に基づき、有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約に転換できるルール

令和2年度 労働者供給事業報告書の集計結果を公表―厚労省

 厚生労働省は3月31日、「令和2年度労働者供給事業報告書」の集計結果を公表した。
 集計結果によると、労働者供給事業を実施している組合等数は103組合で、対前年度比3組合の増であった。供給実人員は1万6,176人で、同45.8%の減であった。

自動車運転者の労働時間等の改善のための基準に関する中間とりまとめ―労政審専門委員会

 厚生労働省は3月28日、第8回「労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会」を開催し、ハイヤー・タクシー及びバスの作業部会の報告を踏まえ、中間とりまとめを行った。
 中間とりまとめ案には、勤務終了後の休息期間について、「継続11時間以上与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする」と改善基準告示を改正する方針などが示されている。今後、トラック作業部会の検討状況を踏まえ、最終的な報告書をとりまとめることが予定されている。

「2021年度 連合の重点政策」(ジェンダー平等政策)に関する内閣府への要請を実施―連合

 連合は3月9日、内閣府に対し「2021年度 連合の重点政策」(ジェンダー平等政策)に関する要請を実施した。
 要請書では、コロナ禍においても労働者が安心して就労できるよう、雇用調整助成金の休業・在籍出向制度及び産業雇用安定助成金を活用できるよう必要な予算措置を講じるとともに、失業者の急増にも耐えうるよう雇用保険特別会計の国庫負担割合を原則に戻すこと、非正規雇用の約7割を占める女性労働者がコロナ禍でより大きな影響を受けていることから、雇用の回復、喪失防止をはかるとともに、質の高い雇用への転換を進めること、雇用・所得の不安定化や配偶者からのDV(ドメスティック・バイオレンス)の激化などにより困窮する女性への支援策として、信頼に足る公的な相談窓口の開設や直接的な支援の充実をはかること等を求めている。
 連合は、女性の人権が尊重され、非正規雇用も含めたすべての女性が活躍できる社会の実現をめざし、引き続きジェンダー平等政策の実現に向けて取り組みを行っていくとしている。

「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」結果を発表―連合

 連合は3月31日、「非正規雇用で働く女性に関する調査2022」の結果を発表した。
 調査結果によると、初職(学校卒業後に初めて就いた仕事)の雇用形態は、「正規雇用」(52.7%)、「非正規雇用」(46.1%)であった。今の就業形態(非正規雇用)を選んだ理由は、「ある程度労働時間・労働日を選べるから」(39.0%)が最多であった。「女性の活躍」について尋ねたところ、「女性だけに働くことと家事・育児の両立を求める風潮に疑問を感じる」が49.9%で、前回調査(2017年調査)と比較すると5.8ポイント上昇している。

【談話】3.8国際女性デーと政府のメッセージについて―全労連

 全労連は3月9日、3.8国際女性デーと政府のメッセージを受けて、談話を発表した。
 談話では、「日本の男女賃金格差は、正規雇用の男性を100としたときに、女性の正規雇用は70、非正規雇用は28(2020年国税庁民間給与実態調査)とジェンダー差別が放置されたまま」であるとし、背景には、日本における性別役割分担、異常な長時間労働、貧困な社会保障等があると指摘している。その上で、真の同一労働同一賃金を徹底すること、最低賃金を国際水準である全国一律1,500円に改善すること、政府としてケア労働者の大幅賃上げを行うことを求めた。さらに、女性の権利を国際水準にするべく「女性差別撤廃条約選択議定書」の批准と、「選択的夫婦別姓制度」の導入、女性に対する暴力を根絶するための刑法改正、ハラスメント禁止法の整備を求め、国内の指導的地位・意思決定機関に占める女性の割合を「まずは30%以上」に引き上げること等を求めた。

2021 年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果―経団連

 経団連は3月15日、「2021年9月度 退職金・年金に関する実態調査結果」を公表した。
 調査結果では、職種別・学歴別のすべての区分において、勤続年数の上昇に伴って退職金額が増加していることが示されている。賃金改定と退職金算定基礎額との関係をみると、「賃金改定額とは関係なく別建て」とする企業割合が、全体の8割強を占めている(82.4%)こと、「退職年金制度」を有している企業においてその種類をみると(複数回答)、「確定拠出年金(企業型)」が7割を上回り(71.2%)、本項目の選択肢に「確定拠出年金」を追加した 2002 年調査以降で最高となったこと等が挙げられている。

2022春季生活闘争第2回回答集計―連合

 連合は3月25日、2022春季生活闘争の第2回回答集計結果を発表した。
 集計結果によると、平均賃金方式で回答を引き出した1,237組合の定期昇給相当分込みの賃上げ額の加重平均は6,452円であった。賃上げ率にすると2.13%で、第1回回答集計結果での賃上げ率(2.14%)をほぼ維持した。

国民春闘共闘委員会 第3回賃上げ集計

 全労連や中立組合などでつくる国民春闘共闘委員会は3月28日、2022春闘の第3回目の賃上げ集計を公表した。

 集計結果によると、24日までに614組合が回答を引き出し、有額回答のあった392組合の単純平均額は6,257円で、率は前回集計と同じ2.08%。加重平均では5,222円、1.90%となった。

賃上げ(月例賃金)の平均妥結額は6,101円 賃上げ率1.82%―東京都

 東京都は3月28日、2022年 春季賃上げ要求・妥結状況(中間集計)をとりまとめ、公表した。本調査は、都内の1,000労働組合を対象としている。
 集計結果によると、既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な48組合の平均妥結額は7,784円で、これは平均賃金(326,194円・40.0歳)の2.39%に相当する。同一労組の前年妥結額(5,981円)との比較では、金額で1,803円、率で30.15%上回っている。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・2月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,838万人(6,830万人)
就業者数

6,658万人(6,646万人) 前年同月比35万人の減少

完全失業者数

180万人(185万人) 前年同月比15万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.7%(2.8%)

労働市場<東京都・2月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 141,152人(143,049人)
月間有効求人者数 176,936人(177,769人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.28倍(1.26倍)<全国:1.21倍(1.20倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・1月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額 346,122円(720,177円)
定期給与 330,804円(331,849円)
特別給与 15,318円(388,328円)
総実労働時間数 131.4時間(139.8時間)
所定内労働時間数 120.2時間(128.1時間)
所定外労働時間数 11.2時間(11.7時間)

倒産状況<東京都・2月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 81件(83件)<全国:459件(452件)>
負債総額 6,314百万円(21,547百万円)<全国:70,989百万円(66,940百万円)>

 倒産件数は、81件(前年同月比22.1%減)と、2か月ぶりに前年同月を下回った。負債総額は、63億1,400万円(前年同月比65.0%減)となった。負債額10億円以上の倒産は1件(前年同月5件)となった。業種別件数ではサービス業(27件)、情報通信業(12件)、卸売業(12件)、宿泊業,飲食サービス業(10件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は69件となり、倒産件数における構成比は85.2%となった。倒産企業総従業員数は193人となり、前年同月の405人と比べ52.3%減となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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