労働情勢(2024年1月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和5年11月分結果確報

 厚生労働省は1月23日、「毎月勤労統計調査(令和5年11月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比0.7%増の28万9,905円となった。総実労働時間は前年同月比0.3%減の138.3時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比1.8%減の10.3時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比2.5%減となった。

12月の完全失業率は2.4%で前月から0.1ポイント低下―総務省労働力調査

 総務省統計局は1月30日、「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)12月分」を公表した。

 12月の完全失業率(季節調整値)は2.4%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,754万人で前年同月に比べ38万人増加し、17か月連続の増加となった。完全失業者数は156万人で、前年同月に比べ2万人減少し、2か月ぶりの減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「製造業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「情報通信業」などが増加となった。

令和5年平均の有効求人倍率は1.31倍で、前年に比べて0.03ポイント上昇―一般職業紹介状況

 厚生労働省は1月30日、「一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)」を公表した。

 12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.01ポイント低下し、1.27倍(正社員1.00倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.03ポイント低下し、1.74倍であった。

 また、令和5年平均の有効求人倍率は、前年と比べて0.03ポイント上昇し、1.31倍であった。

「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」の結果概要を公表<産業雇用安定センター

 産業雇用安定センターは1月15日、「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」の結果概要を公表した。この調査は2023年11月に、現在求職活動中の60代の男女を対象に実施された(回答1,000件)。

 仕事探しで重視するもの(2つまで回答)について尋ねると、「仕事内容や職場の働きやすさ」が40.1%と最も多く、次いで「就業場所・通勤時間」(34.9%)、「就労日数・就業時間」(33.7%)となった。

 希望する就労日数について尋ねると、女性と65~69歳の男性では約7割から8割超が「週4日」以下を希望する一方、60~64 歳の男性では約半数が「週5日」以上を希望し、他の層と傾向の違いがみられた。

令和5年賃金構造基本統計調査の結果(速報)を公表<厚生労働省

 厚生労働省は1月24日、令和5年賃金構造基本統計調査の結果(速報)を公表した。この調査の結果は例年3月頃に公表されているが、今回は、企業における賃金改定に当たっての検討材料とできるようにするため、結果の一部が「速報」として公表された。令和5年6月分として支払われた所定内給与額について調査したものであり、速報では10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所の数値が集計されている。

 調査結果によると、一般労働者(短時間労働者以外の労働者)の月額賃金は31万8,300円で、前年と比べ2.1%増となった。これは、平成6年に2.6%増となって以来30年ぶりの水準である。前年と比較すると、ほとんどの年齢階級で前年を上回っており、相対的に34歳以下の若年層で高い伸びとなっている。

令和6年3月大学等卒業予定者の就職内定率は86.0%、前年同期から1.6ポイント上昇<厚生労働省

 厚生労働省と文部科学省は1月26日、令和6年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(令和5年12月1日現在)を公表した。

 大学(学部)の就職内定率は86.0%(前年同期比1.6ポイント上昇)、短期大学は66.7%(同2.7ポイント低下)となった。

「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)を公表<厚生労働省

 厚生労働省は1月26日、令和5年10月末現在の外国人雇用についての届出状況を取りまとめ、公表した。

 外国人労働者数は204万8,675人で、前年から22万5,950人増加し、届出が義務化された平成19年以降、過去最高を更新し、初の200万人超えとなった。対前年増加率は12.4%であり、前年の5.5%から6.9ポイント上昇した。

 国籍別では、ベトナム(51万8,364人、外国人労働者数全体の25.3%)が最も多く、次いで中国(39万7,918人、同19.4%)、フィリピン(22万6,846人、同11.1%)となった。

 在留資格別では、多い順に、「身分に基づく在留資格」が61万5,934人(前年から2万727人増加)、「専門的・技術的分野の在留資格」が59万5,904人(前年から11万5,955人増加)、「技能実習」が41万2,501人(前年から6万9,247人増加)となった。

「2024年問題に対する企業の意識調査」の結果を公表<帝国データバンク

 帝国データバンクは1月26日、「2024年問題に対する企業の意識調査」の結果を公表した。この調査は2023年12月から2024年1月にかけて実施された(有効回答企業1万1,407社)。

 建設業や運送業、医師などでこれまで猶予されていた時間外労働の上限規制が適用されることにより人手不足や輸送能力の低下などが懸念される、いわゆる「2024年問題」全般について、その影響を尋ねると、「マイナスの影響がある」は59.9%となった。

 「2024年問題」全般による具体的な影響(複数回答)について尋ねると、「物流コストの増加」が66.4%と最も多く、次いで「人件費の増加」(41.0%)、「人手不足の悪化」(40.0%)となった。

派遣元事業主から提出された労使協定書における賃金等の記載状況を集計<厚生労働省

 厚生労働省は、労働者派遣法第23条に基づき派遣元事業主から提出された労使協定書における賃金等の記載状況を集計し、1月31日に公表した。「労働者派遣事業報告書」及び当該報告書に添付された労使協定書(令和5年6月1日時点で有効なもの)から、一部事業所を抽出して集計したものである。

 選択している待遇決定方式については、「労使協定方式」が88.8%(前年度88.6%)、「派遣先均等・均衡方式」が7.9%(同5.2%)、「併用」が3.3%(同6.2%)となった。

 通勤手当の支給状況については、実費支給が92.3%(同86.3%)、定額支給が6.7%(同4.6%)となった。

「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書」を公表<厚生労働省

 厚生労働省は1月10日、「労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会報告書」を公表した。雇用保険制度の見直しの方向性について、雇用保険部会において検討されてきた結果を取りまとめたものである。

 報告書は、雇用保険制度の適用拡大について、「週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して、2028(令和10)年度中に施行することとすべき」としている。

 自己都合離職者の給付制限期間については、「転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにするため、令和7年度から、さらに1箇月へと短縮すべきである」としている。

 また、雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に支給する教育訓練休暇給付金(仮称)や、教育訓練受講のための新たな融資制度については、令和7年度中に創設すべきとしている。

 さらに、子の出生直後の一定期間に14日以上の育児休業を取得する場合に、28日間を限度に休業開始前賃金の13%相当額を給付する出生後休業支援給付金(仮称)や、被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合に各月に支払われた賃金額の10%を給付する育児時短就業給付(仮称)についても、令和7年度から創設すべきとしている。

 厚生労働省は、この報告書の内容を踏まえ、令和6年通常国会への法案提出に向け、法案要綱を作成し、労働政策審議会に諮問する予定としている。

「労働政策審議会職業安定分科会『雇用保険部会報告』に対する談話」を公表<連合

 連合は1月10日、「労働政策審議会職業安定分科会『雇用保険部会報告』に対する談話」を公表した。

 談話は、「週所定労働時間10時間以上の労働者への雇用保険の適用拡大など、雇用のセーフティネットを広げる観点から評価できる」としつつ、「育児休業給付の保険料率の引き上げについて、議論が尽くされない中で示されたことは残念である」としている。

医療・介護・障害福祉関係団体との賃上げに関する意見交換を開催

 政府は1月19日、首相官邸において「医療・介護・障害福祉関係団体との賃上げに関する意見交換」を開催した。

 意見交換においては、厚生労働大臣から、医療・介護・障害福祉の関係団体に対し、報酬改定による上乗せ点数(加算措置)の活用や賃上げ促進税制の活用を組み合わせることにより、令和6年度に2.5%、令和7年度に2.0%のベースアップを実現してほしいとの要請がなされた。

 意見交換を踏まえ、岸田首相は、「是非とも報酬改定に見合う物価に負けない賃上げの実現、それも現場の幅広い職種の方に賃上げを行き渡らせていくことをお願い申し上げる」と述べた。

「特定受託事業者に係る取引の適正化に関する検討会」報告書を公表<公正取引委員会

 公正取引委員会は1月19日、「特定受託事業者に係る取引の適正化に関する検討会」報告書を公表した。令和5年5月に公布された特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下「本法」という。)の施行に向けて、政令又は公正取引委員会規則で定めることとされている事項について検討した結果を取りまとめたものである。

 報告書は、業務委託をした場合に明示しなければならない事項(本法第3条第1項)について、少なくとも下請法第3条の書面の記載事項とされている項目については、本法においても明示事項とすることが適当とし、公正取引委員会規則において明示事項とする項目の案を示している。

 また、本法第5条(特定業務委託事業者の遵守事項)の規定の対象となる業務委託の期間については「1か月」とする方向が適当であるとしている。

労働基準関係法制研究会がスタート<厚生労働省

 厚生労働省は1月23日、第1回労働基準関係法制研究会を開催した。この研究会は、今後の労働基準関係法制について包括的かつ中長期的な検討を行うとともに、働き方改革関連法附則第12条に基づく労働基準法等の見直しについて具体的な検討を行うことを目的としており、主に学識経験者によって構成されている。

 検討事項には、昨年10月に取りまとめられた「新しい時代の働き方に関する研究会」報告書を踏まえた今後の労働基準関係法制の法的論点の整理や、働き方改革関連法の施行状況を踏まえた労働基準法等の検討が挙げられている。

 この日の研究会では、労働時間制度等に関するアンケート調査結果の速報値が紹介された。

建設業の一人親方問題に関する今後の取組の案を提示<国土交通省

 国土交通省は1月31日、建設業の一人親方問題に関する検討会(第7回)を開催し、建設業の一人親方問題に関する今後の取組の案を提示した。

 この検討会は、規制逃れを目的とした一人親方化防止対策、一人親方の処遇改善対策等の諸課題に関し、実効性のある施策を推進することを目的に開催されている。

 今回の会議には「一人親方の働き方に関する調査」等の結果が示され、令和8年度以降に、適正でない一人親方の目安を策定し、策定された目安に基づいて規制逃れを目的とした一人親方化の防止・是正に取り組むなどとする取組の案が提示された。

「政労使の意見交換」を開催

 1月22日、首相官邸において「政労使の意見交換」が開催され、2024年春季労使交渉の開始に先立って意見交換が行われた。

 岸田首相は、意見交換を踏まえ、「経済界の皆さんには、今年の春季労使交渉について、物価動向を重視し、昨年を上回る水準の賃上げをお願いしたい」と要請した。その上で、労務費の価格転嫁対策に全力で取り組む決意を述べるとともに、医療・福祉・障害福祉分野などの公的価格の引上げや非ホワイトカラー職の賃金の引上げに取り組む方針を表明した。

「2024年度介護報酬改定に関する談話」を公表<連合

 連合は1月22日、「2024年度介護報酬改定に関する談話」を公表した。

 談話は、2024年度介護報酬改定に関する厚生労働省社会保障審議会の答申について、「人材不足を背景に人員配置基準などが緩和されたことは、ケアの質の低下や介護労働者の業務負担増などが懸念され、問題である。とりわけ、連合の強い反対にもかかわらず、介護ロボットなどを導入する施設の人員配置基準が一部緩和されたことや、就労開始6カ月未満の技能実習生も人員配置基準の対象に加える要件の見直しが行われたことは、遺憾である」としている。

「令和6年度 東京都予算案に対する事務局長談話」を公表<連合東京

 連合東京は1月30日、東京都が「令和6年度東京都予算案の概要」を公表したことを受け、「令和6年度東京都予算案に対する事務局長談話」を公表した。

 談話は、都民のライフステージに沿った施策や人への投資となる予算方針を評価するとともに、「昨年11月に東京都が行った令和6年度予算に関する団体ヒアリングにおいて、連合東京が要望した施策に多くの予算が計上された」としている。その上で、「今後、課題解決に向けた施策の進捗および効果を踏まえ、必要な対応を求めていく」としている。

◆参考 令和6年度東京都予算案の概要

24国民春闘方針を確認<国民春闘共闘委員会

 国民春闘共闘委員会は1月19日、第1回単産・地方代表者会議を開催し、24国民春闘方針を確認した。

 確認された方針では、「賃金が下がり続ける国から上がる国への転換」を図ることが24国民春闘の大目標であるとされ、賃上げ要求については「月30,000円以上・時給190円以上 10%以上」が掲げられている。

 最低賃金に関する要求については、物価高騰が続くなかで「1500円以上」では不足だという声が広がっていることから、「いますぐ全国一律1500円、めざせ1700円」へと変更された。

 また、「非正規春闘」を掲げ、「非正規労働者やフリーランスで働く仲間の賃上げ・底上げ、雇用を守るたたかいの具体化」を進めるとしている。

「労働協約の地域的拡張適用に関する福岡県知事決定についての談話」を公表<自治労

 自治労は1月5日、福岡県知事が同日に福岡市の時間給制水道検針員に対する労働協約の地域的拡張適用を決定したことを受け、「労働協約の地域的拡張適用に関する福岡県知事決定についての談話」を公表した。

 談話によると、賃金の最低基準に関する地域的拡張適用の決定は1958年以来65年ぶりで、最低賃金法施行(1959年)以降では初めてのことだという。また、公共サービス労働者を対象とした申立て、パート・有期雇用労働者を対象とした申立て、労働保険や社会保険の給付のための措置を求めた申立てのいずれについても、地域的拡張適用が決定されるのは初めてのことであるという。

 自治労は、「地域の公正な労働条件を地域公共サービスにたずさわる多くの仲間に波及させるべく、労働組合の仲間を増やし、労働協約の地域的拡張適用を広げる運動に取り組む」としている。

2024年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)を発表<経団連

 経団連は1月16日、春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンスや雇用・労働分野に関する経団連の基本的な考え方を示す「2024年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表した。

 報告書序文において「今年の春季労使交渉にあたっては、昨年以上の熱量と決意をもって物価上昇に負けない賃金引上げを目指すことが経団連・企業の社会的責務と考えている」との認識が示され、「各企業においては、『賃金決定の大原則』に則った検討の際、特に物価動向を重視し、ベースアップを念頭に置きながら、自社に適した方法でできる限りの賃金引上げの検討・実施を強くお願いしたい」との呼びかけがなされている。

「経団連『2024年版 経営労働政策特別委員会報告』に対する連合見解」を公表<連合

 連合は1月17日、経団連が「2024年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表したことを受けて、連合見解を公表した。

 示された見解では、経団連が今年の春季労使交渉をめぐって「わが国がデフレから完全脱却できるラストチャンスが巡ってきている」などといった認識を示していることについて、「連合方針では、2024年は『経済も賃金も物価も安定的に上昇する経済社会へとステージ転換をはかる正念場』であり、『その最大のカギは、社会全体で問題意識を共有し、持続的な賃上げを実現することにある』としており、2024春季生活闘争の歴史的な意味について基本的に共通している」などと評価している。

 一方で、見解の相違点の一つに「支払い能力偏重からの転換」を挙げ、「企業を取り巻く環境条件がダイナミックに変化している時代の転換点にあって、個別企業の支払い能力の視点に偏重したデフレ下の思考パターンを変えていく必要がある」としている。

談話「経団連『2024年版経営労働政策特別委員会報告』について」を公表<全労連

 全労連は1月18日、経団連が「2024年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を公表したことを受けて、談話を公表した。

 談話は、2023年春季労使交渉をめぐる経労委報告の記述について、「非正規労働者を際限なく拡大し、生産性や人事評価の導入で労働者の要求を押さえつけてきた反省はまったくみられない。歴史的な物価上昇によって苦しむ国民の声に押され、成果主義を基本に企業が許容可能な範囲での賃上げを認めたに過ぎない」と評している。その上で、「24春闘では、昨年との比較や物価高騰を上回るかどうかでなく、およそ30年にわたる実質賃金の低下を取り戻す歴史的な大幅賃上げ・底上げを求める」との姿勢を示している。

「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を公表<経団連>

 経団連は1月16日、「労使自治を軸とした労働法制に関する提言」を公表した。現行の労働基準法による画一的な規制の結果、労使が多様な働き方を実現していくことが難しくなっているといった認識のもと、今後求められる労働法制の方向性等を示したものである。

 今後の法制度に求める基本的な視点として、「①労働者の健康確保は最優先」、「②労使自治を重視/法制度はシンプルに」、「③時代にあった制度見直しを」の三点を掲げ、「①に必要な健康確保措置を法定しつつ、細部は当事者である労使に委ねるべき」としている。

 具体的に見直しを求める事項として、「労働時間規制のデロゲーションの範囲拡大」(過半数労働組合がある企業対象)、「労使協創協議会(選択制)の創設」(過半数労働組合がない企業対象)、「就業規則作成時における意見聴取等の単位の見直し」(全企業対象)の三点を挙げている。

「経団連『労使自治を軸とした労働法制に関する提言』に対する談話」を公表<連合

 連合は1月17日、「経団連『労使自治を軸とした労働法制に関する提言』に対する談話」を公表した。

 談話は、経団連の提言について、「未だに労基法に違反する事業所が後を絶たず、過労死等も多いことを踏まえれば、労使自治の尊重という名の下に労働法制の規制緩和を行うことは許されるものではない」としている。

 同提言が労働時間規制の例外の範囲拡大を提案している点については、「法律等の規制解除を現場の労使に大幅に委ねる仕組みでは、厳然と存在する『労使の力関係の差』により、労働者の命と健康を脅かすことにつながりかねない」とし、「労働者の多様な働き方を実現することは労使協議等を通じて今でも可能であり、強行法規としての労働時間規制のあり方を見直す必要はない」と主張している。

「経団連『労使自治を軸とした労働法制に関する提言』に対する幹事長談話」を公表<日本労働弁護団

 日本労働弁護団は1月19日、「経団連『労使自治を軸とした労働法制に関する提言』に対する幹事長談話」を公表した。

 談話は、経団連の提言の本質は労基法による保護からの逸脱と適用の例外を大規模に拡大することにあるとし、「使用者団体が、現在の労基法による労働者保護制度の規制緩和を正面から求めるものであって、到底容認できない」と批判している。

 特に労働時間規制については逸脱が安易に認められるべきものではなく、「個別合意はもとより集団的な合意によっても、労基法の最も重要な労働時間規制が大幅に緩和(適用除外)されることは、その労基法の強行法規性の放棄につながりかねない極めて危険なものである」と指摘している。

「2023年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」を公表<経団連

 経団連は1月16日、「2023年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」を公表した。この調査は、春季労使交渉・協議の結果や、人事・労務に関するトップ・マネジメントの意識・意見などを調査することを目的に毎年実施されているものである。

 直近1年間程度における物価上昇の対応として実施したもの(複数回答)について尋ねると、「ベースアップ(一律配分のほか、重点配分などを含む)」が70.9%と最も多く、次いで「賞与・一時金(ボーナス)への加算」(18.6%)、「一時金(ボーナス以外)の支給」(15.3%)、「対応していない」(15.3%)となった。

 2023年の賃金改定に当たり、特に考慮した要素(2つを選択)について尋ねると、「物価の動向」が54.0%と最も多く、次いで「人材確保・定着率の向上」(49.7%)、「企業業績」(34.5%)となった。

経済団体が連名で「構造的な賃上げによる経済好循環の実現に向けて」を公表<経団連・日本商工会議所・経済同友会

 経団連、日本商工会議所及び経済同友会は1月17日、「構造的な賃上げによる経済好循環の実現に向けて~価格転嫁など取引適正化の推進~」を公表した。この提言は、持続的な賃上げの原資を確保するために必要な価格転嫁が未だ十分に進んでいるとは言い難い現状があるなかで、会員企業に対して「パートナーシップ構築宣言」の趣旨の徹底と実行を強力に進めることを求めるとともに、未宣言企業に対して宣言への参画を呼びかけるものである。

 提言は、経営者自らが先頭に立って取引適正化に向けた取組を強化することや、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」に示された「12の行動指針」に沿った行為を徹底することなどを求めている。

新卒採用(2024年4月入社)の動向に関する調査結果を公表<日本商工会議所

 日本商工会議所は1月31日、新卒採用(2024年4月入社)の動向に関する調査結果を公表した。調査は2024年1月に全国の商工会議所の会員企業を対象に実施された(有効回答数1,920企業)。

 調査結果によると、新卒採用(2024年4月入社)を「実施した」企業は35.8%と、前年同月調査と比べ、0.9ポイント減少した。

 新卒採用を実施した企業のうち、計画どおり採用できなかった企業(「採用できたが計画した人数には満たなかった」と「募集したが採用できなかった」の合計)は74.0%と、前年同月調査から6.4ポイント増加した。

 また、新卒採用を実施した企業のうち、「初任給の引き上げ」を実施した企業は50.2%と半数を超えた。

令和5年民間主要企業年末一時金妥結状況を公表<厚生労働省

 厚生労働省は1月12日、令和5年の民間主要企業年末一時金妥結状況を公表した。集計対象は、妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業331社である。

 集計結果によると、平均妥結額は84万9,545円で、前年から6,567円(0.78%)の増加となった。平均要求額は88万2,117円で、前年から1万862円(1.25%)の増加となった。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・12月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,910万人(6,949万人)
就業者数

6,754万人(6,780万人) 前年同月比38万人の増加

完全失業者数

156万人(169万人) 前年同月比2万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.4%(2.5%)

労働市場<東京都・12月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数

127,818人(132,069人)

月間有効求人数 210,133人(209,027人)
有効求人倍率【季節調整値】

1.74倍(1.77倍)<全国:1.27倍(1.28倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・11月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動きー毎月勤労統計調査地方調査結果」

現金給与総額

370,614円(356,965円)

定期給与 346,789円(343,376円)
特別給与 23,825円(13,589円)
総実労働時間数 141.3時間(141.0時間)
所定内労働時間数

129.5時間(129.2時間)

所定外労働時間数 11.8時間(11.8時間)

倒産状況<東京都・1月>

資料出所:東京都産業労働局「東京の企業倒産状況」(東京商工リサーチ調べ)

件数 131件(140件)<全国:701件(810件)>
負債総額

22,130百万円(23,473百万円)<全国:79,123百万円(103,228百万円)>

 倒産件数は131件(前年同月比40.9%増)と、17か月連続で前年同月を上回った。負債総額は221億3,000万円(前年同月比172.1%増)となった。負債額10億円以上の倒産は3件(前年同月2件)となった。業種別件数ではサービス業(33件)、卸売業(19件)、建設業(17件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は106件となり、倒産件数における構成比は80.9%となった。倒産企業総従業員数は439人となり、前年同月の347人と比べ26.5%増となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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