労働情勢(2023年11月30日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和5年9月分結果確報

 厚生労働省は11月21日、「毎月勤労統計調査(令和5年9月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比0.6%増の27万7,700円となった。総実労働時間は前年同月比0.6%減の136.5時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比3.0%減の9.9時間となった。現金給与総額指数を消費者物価指数で除した実質賃金は前年同月比2.9%減となった

10月の完全失業率は2.5%で前月から0.1ポイント低下―総務省労働力調査

 総務省統計局は12月1日、「労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)10月分」を公表した。

 10月の完全失業率(季節調整値)は2.5%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,771万人で前年同月に比べ16万人増加し、15か月連続の増加となった。完全失業者数は175万人で、前年同月に比べ3万人減少し、2か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「情報通信業」、「学術研究,専門・技術サービス業」などが増加となった。

10月の有効求人倍率は1.30倍で前月から0.01ポイント上昇―一般職業紹介状況

 厚生労働省は12月1日、「一般職業紹介状況(令和5年10月分)」を公表した。

 10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月に比べて0.01ポイント上昇し、1.30倍(正社員1.01倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.01ポイント上昇し、1.84倍であった。

第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査の結果を公表<日本生産性本部>

 日本生産性本部は11月9日、第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査の結果を公表した。この調査は概ね隔年で実施されており、今回は7月7日から9月4日にかけて郵送及びwebで実施され、上場企業169社の人事担当者から回答を得ている。

 「心の病」が最も多い年齢層について尋ねると、「10~20代」が43.9%と最も多く、前回調査(2021年)から14.9ポイント増加した。

 直近3年間の社内の「心の病」の増減傾向について尋ねると、「増加傾向」が45.0%となり、前回調査(2021年)から22.1ポイント増加した。

令和5年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」(9月末現在)を公表<厚生労働省>

 厚生労働省は、令和6年3月に高校や中学を卒業する生徒について、令和5年9月末現在のハローワーク求人における求人・求職・就職内定状況を取りまとめ、11月17日に公表した。対象は、学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒である。

 高校新卒者の就職内定率は63.0%で前年同期比0.6ポイントの上昇、求人数は約46万5千人で同9.4%の増加、求人倍率は3.79倍で同0.5ポイントの上昇となった。
 中学新卒者の求人数は784人で同3.3%の増加、求人倍率は1.18倍で同0.07ポイントの上昇となった。

令和6年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日時点)を公表<厚生労働省>

 厚生労働省は11月17日、令和6年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日現在)を公表した。

 調査結果によると、大学生の就職内定率は74.8%(前年同期比0.7ポイント上昇)、短期大学の就職内定率は39.9%(同6.0ポイント低下)となった。大学等(大学、短期大学、高等専門学校)全体では72.3%(同増減なし)、大学等に専修学校(専門課程)を含めると70.2%(同0.3ポイント低下)となった。

令和4年「派遣労働者実態調査」の結果を公表<厚生労働省>

 厚生労働省は11月24日、令和4年「派遣労働者実態調査」の結果を公表した。調査対象は、5人以上の常用労働者を雇用する事業所(有効回答8,686事業所)及び当該事業所で就業している派遣労働者(有効回答7,119人)である。

 事業所調査の調査結果によると、令和4年10月1日現在の事業所について、派遣労働者が就業している割合は全体の12.3%となった。派遣労働者が就業している事業所について、派遣労働者の待遇決定方式(複数回答)をみると、労使協定方式の対象となる派遣労働者を受け入れている事業所が 37.0%、派遣先均等・均衡方式の対象となる派遣労働者を受け入れている事業所が29.4%となった。
 派遣労働者調査の結果によると、今後の働き方に対する希望については、「派遣労働者以外の就業形態で働きたい」が37.0%、「派遣労働者として働きたい」が34.2%となった。

令和5年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表<厚生労働省>

 厚生労働省は11月28日、令和5年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表した。調査対象は、常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業である(有効回答1,901社)。

 調査結果によると、令和5年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業の割合は89.1%であり、前年から3.4ポイント上昇した。賃金の改定により1人平均賃金を引き上げた企業の「1人平均賃金の改定額」は9,779円であり、前年を3,951円上回った。
 また、定期昇給制度がある企業(賃金の改定の実施が未定の企業を除く。)におけるベースアップの状況をみると、一般職について「ベアを行った・行う」は49.5%であり、前年から19.6ポイント上昇した。

「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を閣議決定

 政府は11月2日、「デフレ完全脱却のための総合経済対策~日本経済の新たなステージにむけて~」を閣議決定した。

 労働分野では具体的施策として「中堅・中小企業の賃上げの環境整備」、「人手不足対応、生産性向上を通じた賃上げ継続の支援」、「『年収の壁』への対応を含めた所得向上への取組」、「三位一体の労働市場改革の推進」、「多様な働き方の推進」が掲げられている。

教育訓練給付等の見直しの方向性について提示<労働政策審議会>

 厚生労働省は11月13日に開催した第186回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会において、教育訓練給付や育児休業給付の見直しの方向性を提示した。

 教育訓練給付等については、現行制度においてリ・スキリング等のために教育訓練に専念するためには離職せざるを得ない場合があり、基本手当を受給しながら教育訓練を受けることが想定されることを踏まえ、在職中に教育訓練を受けるために休業等を行う場合に、基本手当に相当する給付を支給するという考え方に基づき、新たな給付を創設する方向性が示された。また、教育訓練を受けるに当たって教育訓練費用や生活費用を要する場合の新たな融資制度を創設する方向性が示された。
 育児休業給付等については、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、両親がともに14日以上の育児休業を取得することを要件に、28日間を限度に、給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで10割相当)に引き上げる案が示された。また、時短勤務の活用を促すため、被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をしている場合に賃金の低下を補う育児時短就業給付(仮称)を創設する方向性が示された。

「働き方・人への投資ワーキング・グループ」が初会合<規制改革推進会議>

 政府の規制改革推進会議の「働き方・人への投資ワーキング・グループ」は11月15日、初会合を開き、議論の基本的な方向性について確認した。

 労働分野の改革の方向性として、「労働移動を前提とした労働市場の改革」、「労働者の主体的なキャリア形成の促進」、「多様な人材が活躍できる環境整備・労働者が希望する働き方を実現するための制度整備」の3点を挙げている。
 今回の会合では、自爆営業対策の推進をテーマに議論が行われた。

「育休中等業務代替支援コース」(仮称)の創設について答申<労働政策審議会>

 厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会(雇用環境・均等分科会)は11月20日、両立支援等助成金に新コースを追加することなどを内容とする「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について、「おおむね妥当」との答申を行った。

 改正案の内容は、両立支援等助成金の一部を見直し、育児休業取得時の業務代替支援を独立・拡充させた「育休中等業務代替支援コース」(仮称)を創設するというものである。「育休中等業務代替支援コース」(仮称)では、育児休業や育児短時間勤務の期間の業務体制整備のために、業務を代替する周囲の労働者への手当支給や代替要員の新規雇用(派遣の受入れを含む。)を実施した中小企業に助成を行う。育児休業中の手当支給については最大125万円、育児短時間勤務中の手当支給については最大110万円、育児休業中の新規雇用については最大67万5千円が支給される。施行日は令和6年1月1日とされる。

「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表<内閣官房・公正取引委員会>

 内閣官房及び公正取引委員会は11月29日、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を策定し、公表した。

 本指針は、公正取引委員会が実施した「令和5年度独占禁止法上の『優越的地位の濫用』に係るコスト上昇分の価格転嫁円滑化の取組に関する特別調査」の結果を踏まえ、労務費の転嫁に係る価格交渉について、発注者及び受注者それぞれが採るべき行動/求められる行動を12の行動指針として取りまとめたものである。「発注者が本指針に記載の12の採るべき行動/求められる行動に沿わないような行為をすることにより、公正な競争を阻害するおそれがある場合には、公正取引委員会において独占禁止法及び下請代金法に基づき厳正に対処していく」としている。

「『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』についての談話」を公表<連合>

 連合は11月29日、「『労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針』についての談話」を公表した。

 談話は、政府が取りまとめた「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」が、発注者に対し、受注者からの求めがなくても、定期的に労務費の転嫁について協議の場を設けることや、価格交渉に当たって最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額やその上昇率などの公表資料を合理的な根拠のあるものとして尊重することなどを求めていることについて、「連合が2024春季生活闘争における基盤整備の重要課題の一つとして求めてきたものであり、2023闘争を上回る賃上げ実現に向けた足がかりになるものとして評価できる」としている。

技能実習に代わる新制度について最終報告書を提出<技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議>

 技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議は11月30日、最終報告書を法務大臣に提出した。

 報告書は、現行の技能実習制度を発展的に解消し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度を創設することを求めている。新たな制度は、基本的に3年間の育成期間で、特定技能1号の技能水準の人材に育成することを目指すものとされている。受入れ対象分野については、現行の技能実習制度の職種等を機械的に引き継ぐのではなく、新たに設定し、特定技能制度における「特定産業分野」の設定分野に限定するという。
 新たな制度における転籍については、「人材育成の実効性を確保するための一定の転籍制限は残しつつも、人材確保も目的とする新たな制度の趣旨を踏まえ、外国人の労働者としての権利性をより高める観点から、一定の要件の下での本人の意向による転籍も認める」とし、同一の受入れ機関において就労した期間が1年を超えていることなど、一定の要件を満たす場合には本人の意向による転籍を認めることを提言している。
 一方で、現行制度を利用している外国人や受入れ機関等に不当な不利益が生じないよう、本人の意向による転籍の要件である同一の受入れ機関での就労期間について、当分の間、受入れ対象分野によっては1年を超える期間を設定することを認めるなど、必要な経過措置を設けることについて検討するよう求めている。

「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議『最終報告書』に対する談話」を公表<連合>

 連合は11月30日、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議『最終報告書』に対する談話」を公表した。

 談話は、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議の最終報告書について、「処遇を含めた人材育成モデルの策定を提起しているが、それだけでは技能の適正評価と処遇確保の実効性に欠ける。日本人との同等報酬要件を遵守し、技能の向上に応じた適正な賃金水準を確保する必要がある」と課題を指摘している。
 また、本人の意向による転籍について、当分の間、「1年を超える期間」を認める経過措置が示されたことについて、「『当分の間』の経過措置が恒久化する恐れがあり、労働者保護の観点から問題がある」と指摘している。

「政労使の意見交換」を開催

 11月15日、首相官邸において「政労使の意見交換」が開催され、2024年春季労使交渉に向けた意見交換が行われた。

 岸田首相は、意見交換を踏まえ、「経済界においては、足元の物価動向を踏まえ、来年の春闘に向け、今年を上回る水準の賃上げへの協力をお願いしたい」と要請した。その上で、11月下旬に内閣官房と公正取引委員会連名の「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表し、その周知徹底を図ること等により、中小・小規模企業の賃上げを全力で支援する方針を表明した。

提言「社会構造の変化に対応した持続可能な社会保障制度の構築に向けて」を公表<日本商工会議所・東京商工会議所>

 日本商工会議所及び東京商工会議所は11月20日、提言「社会構造の変化に対応した持続可能な社会保障制度の構築に向けて」を公表した。

 提言は、改革に向けた重要な視点の一つとして「働き方に中立的な制度への見直し」を挙げ、「働く意欲や能力を持つ女性・高齢者等の就業促進を制約する要因を解消し、労働力の確保につなげるべき」との主張を掲げている。具体的には、いわゆる「年収の壁」を要因とする就労調整の解消に向けて中長期的に社会保険における負担の在り方そのものを整理していくことや、働く意欲を持つ高齢者の就業促進を図るために在職老齢年金制度の見直しに向けた丁寧な議論を行うことなどを提言している。

「技能実習制度に替わる新制度において無用な転籍要件を設けることに対して断固として反対する緊急声明」を公表<日本労働弁護団>

 日本労働弁護団は11月16日、「技能実習制度に替わる新制度において無用な転籍要件を設けることに対して断固として反対する緊急声明」を公表した。

 声明は、2023年11月15日に開催された第15回技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議において、一定の場合に、最大2年間、本人の意向による転籍を認めないことを可能とする案が示されたことについて、「第15回会議において示された案は、技能実習制度が技能実習生の転籍を制限してきたために、数々の人権侵害の温床となってきたことを省みない無謀な提案だと言わざるを得ない」と指摘している。その上で、有識者会議事務局に対して、転籍に関する無用な要件を設けないような制度設計をすることを求めている。

2023春季生活闘争 年末一時金(第2回)回答集計結果を公表<連合>

 連合は11月28日、2023春季生活闘争年末一時金(第2回)回答集計結果を公表した。

 回答集計によると、組合員1人あたり加重平均は、月数で2.40月(昨年同時期2.35月)、額で75万9,209円(同70万3,359円)となり、いずれも昨年同時期実績を上回った。

第2回年末一時金集計の結果を公表<国民春闘共闘委員会>

 国民春闘共闘委員会は11月20日、第2回年末一時金集計の結果を公表した。

 回答金額が判明している345組合の単純平均は63万5,640円となり、前年同期を3万8,611円上回った。回答月数が判明している555組合の単純平均は2.05か月となり、前年同期を0.06か月上回った。

年末一時金の平均妥結額は83万5,960円(2.62か月分相当)<東京都>

 東京都は11月13日、2023年年末一時金要求・妥結状況の中間集計結果を公表した。この調査は、都内に所在する1,000の民間労働組合を対象としている。

 既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な206組合の平均妥結額は83万5,960円(加重平均)で、平均賃金(31万9,577円・39.8歳)の2.62か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(81万5,761円)との比較では、2万199円増加(2.48%増)となった。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・10月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,947万人(6,969万人)
就業者数

6,771万人(6,787万人) 前年同月比16万人の増加

完全失業者数

175万人(182万人) 前年同月比3万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.5%(2.6%)

労働市場<東京都・10月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数

134,817人(132,745人)

月間有効求人数 209,110人(206,954人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.83倍(1.83倍)<全国:1.30倍(1.29倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・9月・事業所規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額

363,291円(354,679円)

定期給与 345,180円(344,027円)
特別給与 18,111円(10,652円)
総実労働時間数 139.4時間(137.1時間)
所定内労働時間数

128.1時間(126.2時間)

所定外労働時間数 11.3時間(10.9時間)

倒産状況<東京都・11月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 148件(163件)<全国:807件(793件)>
負債総額

24,571百万円(202,063百万円)<全国:94,871百万円(308,010百万円)>

 倒産件数は148件(前年同月比25.4%増)と、15か月連続で前年同月を上回った。負債総額は245億7,100万円(前年同月比24.6%増)となった。負債額10億円以上の倒産は7件(前年同月2件)となった。業種別件数ではサービス業(40件)情報通信業(19件)、宿泊業,飲食サービス業(19件)、小売業(17件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は120件となり、倒産件数における構成比は81.1%となった。倒産企業総従業員数は878人となり、前年同月の373人と比べ135.4%増となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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