労働情勢(2022年1月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和3年11月分結果確報

 厚生労働省は1月25日、「毎月勤労統計調査(令和3年11月分結果確報)」を発表した。
事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比0.8%増の28万2,749円となった。また、総実労働時間は前年比0.9%増の139.4時間となり、このうち所定外労働時間は前年比5.1%増の10.2時間となった。

12月完全失業率は2.7%-総務省労働力調査

 総務省統計局は2月1日、「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)12月分」を公表した。
 公表結果によると、12月の完全失業率(季節調整値)は2.7%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,659万人で前年同月に比べ7万人減少し、4カ月連続の減少となった。完全失業者数は171万人で、前年同月に比べ23万人減少し、6カ月連続の減少。また、産業別就業者では、前年同月比で「建設業」、「農業,林業」、「生活関連サービス業,娯楽業」などが減少となった。
 同日には2021年10~12月平均、2021年平均結果も公表された。

一般職業紹介状況(令和3年12月分)

 厚生労働省は2月1日、「一般職業紹介状況(令和3年12月分)」を発表した。
 発表によると、12月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇の1.16倍(正社員0.86倍)であった。また、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.02ポイント上昇し、1.25倍であった。同日には2021年平均の結果も公表され、2021年平均の有効求人倍率は1.13倍で、前年比0.05ポイント低下した。

長時間労働・過重労働に関する相談が最多―厚労省

 厚生労働省は1月5日、「過重労働解消キャンペーン」(昨年11月実施)の一環として実施した特別労働相談受付日における相談結果を公表した。
 相談結果によると、相談件数は合計480件であり、主な相談内容は「長時間労働・過重労働」56件(11.7%)、「パワハラ」48件(10.0%)、「解雇・雇止め」47件(9.8%)、「賃金不払残業」46件(9.6%)となっている。また、主な相談者の属性は「労働者」369件(76.9%)、「労働者の家族」54件(11.3%)であり、労働条件に関する常設の相談窓口等も紹介している。

約6割が所得・収入の面で「不満」―内閣府「国民生活に関する世論調査」

 内閣府は1月7日、「国民生活に関する世論調査」結果を公表した。
 調査結果によると、所得・収入の面での満足感については、「満足」(39.7%)、「不満」(59.7%)となった。また、働く目的については、「お金を得るため」(61.1%)、「生きがいをみつけるため」(13.9%)、「社会の一員として務めを果たすため」(12.1%)、「自分の才能や能力を発揮するため」(7.2%)などが挙げられている。

民間主要企業の年末一時金、78万2,198円で対前年比4,262円の減―厚労省調査

 厚生労働省は1月12日、2021年の「民間主要企業年末一時金妥結状況」を公表した。集計対象は、妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業355社である。

  公表結果によると、平均妥結額は78万2,198円、対前年比は4,262円(0.54%)の減である。また、平均要求額は81万3,427円で、同3万4,595円の減となった。

大学生の就職内定率は83.0%、前年同期比0.8ポイント上昇―厚労省・文科省調査

 厚生労働省と文部科学省は1月14日、2022年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(2021年12月1日現在)の結果を公表した。

 公表結果によると、大学(学部)の就職内定率は83.0%(前年同期比0.8ポイント上昇)、短期大学は62.8%(同5.2ポイント上昇)。また、文系・理系別(大学)では、文系は82.1%(同0.8ポイント上昇)、理系は87.3%(同1.3ポイント上昇)。

死傷者数は前年同期比で18%増加―厚労省「労働災害発生状況(2022年1月速報)」

 厚生労働省は1月20日、労働災害発生状況(1月速報値)を公表した。
 公表結果によると、休業4日以上の死傷者数は13万5,358人(前年同期比18.0%増)となり、業種別では第三次産業の7万1,772人(同27.5%増)が最多となった。また、事故の類型別では転倒の3万115人(同9.5%増)が最多、次いで「墜落・転落」1万9,381人(同1.3%増)、その他(主に感染症による労働災害)の1万9,002人(同428.0%増)などが挙げられている。さらに、死亡者数は779人(同8.5%増)、業種別では建設業の274人(同14.2%増)、事故の類型別では墜落・転落の204人(同16.5%増)がそれぞれ最多となっている。

テレワーク実施率、18.5%で過去最低を記録―日本生産性本部「働く人の意識調査」

 日本生産性本部は1月27日、第8回「働く人の意識調査」結果を発表した。
 調査結果によると、テレワーク実施率は、前回(10月)調査比4.2ポイント減の18.5%で、過去最低を記録した。また、首都圏(1都3県)の実施率が、同10.1ポイントの減(36.9%→26.8%)となったのに対して、その他地域では同1.3ポイントの減(14.2%→12.9%)にとどまった。
 現在の景気については、「やや悪い」、「悪い」の合計は66.4%で過去最少となり、「良い」と「やや良い」の合計は6.0%となった。また、今後の景気見通しについては、「良くなる」、「やや良くなる」は16.7%で、前回調査から減少した。一方、「悪くなる」「やや悪くなる」は43.4%で、前回調査から増加しており、オミクロン株の感染拡大が影を落とす結果となったとしている。

「経済見通しと経済財政運営の基本的態度」を閣議了解

 政府は12月23日、「経済見通しと経済財政運営の基本的態度」について閣議了解した。2022年度の経済財政運営の基本的態度では、「成長と分配の好循環」と「コロナ後の新しい社会の開拓」をコンセプトとする新しい資本主義の実現を目指すとし、分配戦略の推進では、賃上げの促進等による働く人への分配機能の強化、看護・介護・保育等に係る公的価格の在り方の抜本的な見直し、少子化対策等を含む全ての世代が支え合う持続可能な全世代型社会保障制度の構築を柱とするとしている。

 また、22年度の経済見通しについて、実質GDP成長率は3.2%程度と見込まれ、労働・雇用に関しては、社会経済活動が正常化に向かう中で、雇用者数は増加し、完全失業率は低下するとしている。

「シフト制」について留意事項を公表―厚労省

 厚生労働省は1月11日、「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項を公表した。「シフト制」とは、労働契約の締結時点では労働日や労働時間を具体的に定めず、一定期間ごとに作成する勤務シフトで労働日などを確定する勤務形態。

 留意事項では、勤務日数労使間の紛争を防ぎ、シフト制を労使双方にとってメリットのあるものにするため、「シフト作成・変更の手続き」、「シフト変更の際のルール」等をまとめている。

多様な正社員の雇用ルールなどについて議論―厚労省検討会

 厚生労働省は1月24日、第11回「多様化する労働契約のルールに関する検討会」を開催した。議題は、無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する論点について。

 検討会の中では、勤務地や職務等の労働条件について範囲や変更の有無を書面で明示すること、無期転換については、転換前の雇止めなどを含むルールの周知、使用者からの通知のあり方などが論点として示された。また、JILPTの「改正労働契約法とその特例への対応状況及び多様な正社員の活用状況に関する調査」、「無期転換ルールへの対応状況等に関する調査」等の結果が資料として活用された。

ベルコ事件札幌高裁和解の成立に関する事務局長談話―連合

 連合は1月26日、冠婚葬祭大手「ベルコ」の代理店で労働組合を結成しようとした従業員2名が実質解雇され、地位確認等を求めてベルコ本社を相手に提訴した裁判において、札幌高裁で和解が成立したことについて、事務局長談話を発表した。
 談話の中で連合は、「ベルコの使用者性を認めた北海道労働委員会命令を前提としたベルコの責任を認めたうえで、和解が成立したことは大きな成果である」とし、原告2名が職場復帰することは全ベルコ労働組合の活性化に確実につながるとしたうえで、「ベルコに健全な集団的労使関係を構築し、ベルコで働く全国の仲間が働きがいや誇りを感じて働くことができる環境づくりに取り組めるよう広く連帯を呼びかけていく」としている。

「2022年版経営労働政策特別委員会報告」を発表―経団連

 経団連は1月18日、春季労使交渉・協議における経営側の基本スタンスなどを示す「2022年版経営労働政策特別委員会報告(経労委報告)」を発表した。
同報告では、「人口減少下での成長を実現するポストコロナを見据えた働き方」としては、働き方改革深化の重要性、ダイバーシティ&インクルージョンの浸透などを挙げた。また、春季労使交渉・協議については、業種や企業で業績がばらつく現状では、一律ではなく、個々の企業に適した対応が現実的とし、収益が高水準で推移・増大した企業では、ベースアップを含めた賃金引き上げが望まれるなどとした。
連合見解
全労連 事務局長談話

2021年1~6月の月例賃金引上げ額、5,887円―経団連調査

 経団連は1月18日、会員企業等を対象にした「2021年1~6月実施分 昇給・ベースアップ実施状況調査結果」を発表した。
 調査結果によると、「昇給・ベアともに実施」した企業は30.9%(前年比8.3ポイントの減少)、「昇給のみ実施」の企業は69.1%(8.3%ポイント増加)であり、すべての回答企業が賃金の増額改定を実施したとしている。また、月例賃金引上げ額・率は5,887円・1.93%で、額・率ともに前年を下回り、2013年以来8年ぶりに6,000円・2%を下回ったとしている。

推進している柔軟な働き方の施策内容、約9割が「テレワーク制度」―経団連調査

 経団連は1月18日、「2021年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」を発表した。
 調査結果の内、推進している柔軟な働き方の施策内容については、「テレワーク制度」(89.8%)、「時差出勤」(76.5%)、「フレックスタイム制」(71.8%)等が挙げられている。また、春季労使交渉・協議の状況では、要求項目で「定期昇給の実施、賃金体系の維持(制度昇給の確認を含む)」が、75.2%と最多となり、要求項目に対する回答状況では、「要求通りの回答」において同項目が91.5%で最多となった。さらに、ベースアップの配分方法は「一律定額配分」(35.1%)、「業績・成果等に応じた査定配分」(26.1%)などが挙げられている。

第18回企業白書「人間及び人間社会の本質的欲求と企業経営」を発表―経済同友会

 経済同友会は1月11日、第18回企業白書「人間及び人間社会の本質的欲求と企業経営」を発表した。 
 白書では、「人間及び人間社会の本質的欲求」を真に理解し、価値創造をすることこそが企業経営の本質であるとの理解に基づき、「人間社会の持続性と企業の継続性」、「人間及び人間社会の本質的欲求と企業の価値創造」、「企業の継続的価値創造力の強化」、「価値創造環境の整備」について提言している。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・12月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査報告」

労働力人口 6,831万人 ( 6,832万人 )
就業者数

6,659万人 ( 6,650万人 )前年同月比7万人の減少。

完全失業者数

171万人 ( 182万人 )前年同月比23万人の減少。

完全失業率【季節調整値】

2.7% ( 2.8% )

労働市場<東京都・12月>

資料出所:東京労働局「職業安定業務統計」

月間有効求職者数 141,023人 ( 145,457人 )
月間有効求人者数 175,823人 ( 171,582人 )
有効求人倍率【季節調整値】 1.25倍 (1.23倍 ) <全国:1.16倍(1.15倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・11月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「毎月勤労統計調査」

現金給与総額 356,415円( 349,777円 )
定期給与 331,074円( 336,447円 )
特別給与 25,341円( 13,330円 )
総実労働時間数 141.1時間 ( 141.3時間 )
所定内労働時間数 129.3時間 ( 129.7時間 )
所定外労働時間数 11.8時間 ( 11.6時間 )

倒産状況<東京都・12月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 85件 ( 86件 ) <全国:504件(510件)>
負債総額 39,312百万円 ( 37,955百万円 ) <全国:93,181百万円(94,101百万円)>

 倒産件数は、85件(前年同月比35.1%減)と、7か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、393億1,200万円(前年同月比150.3%増)となった。負債額10億円以上の倒産は6件(前年同月3件)となった。業種別件数では卸売業(16件)、建設業(15件)、サービス業(14件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は71件となり、倒産件数における構成比は83.5%となった。倒産企業総従業員数は384人となり、前年同月の458人と比べ16.2%減となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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