労働情勢(2022年2月28日現在)

 東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和3年12月分結果確報

 厚生労働省は2月24日、「毎月勤労統計調査(令和3年12月分結果確報)」を公表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比0.4%減の54万5,609円となった。総実労働時間は前年比1.1%増の138.3時間となり、このうち所定外労働時間は前年比5.1%増の10.3時間となった。

 なお、同調査の令和3年分結果確報も同日に公表されている。

1月完全失業率は2.8%-総務省労働力調査

 総務省統計局は3月4日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)1月分」を公表した。
 1月の完全失業率(季節調整値)は2.8%で、前月に比べ0.1ポイントの上昇となった。就業者数は6,646万人で前年同月に比べ32万人減少し、4カ月連続の減少となった。完全失業者数は185万人で、前年同月に比べ14万人減少し、7カ月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「卸売業,小売業」、「教育,学習支援業」、「運輸業,郵便業」などが減少となった。

一般職業紹介状況(令和4年1月分)

 厚生労働省は3月4日、「一般職業紹介状況(令和4年1月分)」を公表した。

 1月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.03ポイント上昇の1.20倍(正社員0.91倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.03ポイント上昇し、1.26倍であった。

令和4年3月高校卒業予定者の12月末現在の就職内定率は91.4% ―文科省調査

 文部科学省は2月18日、「令和4年3月高等学校卒業予定者の就職内定状況(令和3年12月末現在)に関する調査について」を公表した。
 調査結果によると、就職内定率は91.4%で、前年1月比2.0ポイント減となった。男女別では男子92.5%(同2.0ポイント減)、女子89.6%(同2.0ポイント減)となった。学科別では、内定率の高い順に、工業96.7%、商業94.6%、農業93.7%、水産93.0%となり、普通科は84.7%となった。

今後3年間に雇用者を増やす見通しの企業は約7割―内閣府調査

 内閣府は3月1日、令和3年度「企業行動に関するアンケート調査」結果を公表した。
 調査結果によると、今後3年間(令和4~6年度平均)に雇用者を増やす見通しの企業の割合(全産業)は70.1%(前年度調査59.7%)、製造業では67.0%(同51.7%)、非製造業では72.9%(同66.4%)となった。次年度(令和4年度)の実質経済成長率見通し(全産業・実数値平均)は1.5%(前年度調査1.4%)となった。

教職員団体への加入率は約30%、46年連続の低下―文科省調査

 文部科学省は3月1日、「令和3年度 教職員団体への加入状況に関する調査結果について」を公表した。同調査は、大学及び高等専門学校を除く公立学校に勤務する全ての常勤教職員を対象としたものである。
 調査結果によると、教職員団体全体の加入率は30.4%(前年度比1.0ポイント減)で、1976年以降46年連続の低下となった。日本教職員組合への加入率は20.8%(同0.5ポイント減)で、1977年以降45年連続の低下となった。

家事・育児を行うメリット、男性育休取得経験者の半数以上が「仕事の効率化」と回答―21世紀職業財団

 21世紀職業財団は2月2日、「子どものいるミレニアル世代夫婦のキャリア意識に関する調査研究」を公表した。
 調査結果によると、育児休業の取得を経験した男性が、家事・育児を行うことでよかったこととしたのは、回答が多い順に、「効率的に仕事を行うようになった」(55.7%)、「視野が広がり、これまでと違った発想ができるようになった」(32.9%)などであった(複数回答)。また、配偶者(夫)が保育園や幼稚園への「お迎え」を週1回以上行っている女性は、そうではない女性と比べ、自分がキャリアアップできていると思う割合が高いとしている。

2022年度の「賃上げ率」、3%未満が7割超―東京商工リサーチ調査

 東京商工リサーチは2月21日、2022年度「賃上げに関するアンケート」の結果を公表した。
 調査結果によると、2022年度に賃上げ実施を予定する企業は71.6%(対前年度比1.3ポイント増)であり、2年連続で増加したが、コロナ前の実施率80%台の水準には届かなかった。賃上げを「実施する」と回答した企業に賃上げ率を尋ねると、「1%以上2%未満」(36.2%)が最多となり、次いで、前年度最多だった「2%以上3%未満」(33.4%)、「3%以上4%未満」(17.0%)となった。賃上げ率「3%未満」は73.1%(前年度50.8%)であり、賃上げ実施率は上昇したものの、3%以上の賃上げ率の企業は20ポイント以上減少している。

企業の約5割で人手不足―帝国データバンク調査

 帝国データバンクは2月24日、「人手不足に対する企業の動向調査(2022年1月)」の結果を公表した。
 調査結果によると、正社員が不足している企業は47.8%(前年同月比11.9ポイント増)で、感染が拡大し始めた2020年2月と同水準まで上昇した。業種別では、「情報サービス」(65.7%)、「飲食店」(65.1%)、「建設」(62.6%)が高い割合となった。一方で、非正社員が不足している企業は28.0%(前年同月比8.9ポイント増)であった。業種別では、「飲食店」(76.6%)のほか、「娯楽サービス」(50.8%)、「飲食料品小売」(49.4%)、「旅館・ホテル」(47.6%)など、個人消費関連の業種が上位に並んでいる。

第6波での正社員のテレワーク実施率は28.5%、第5波から横ばい―パーソル総合研究所調査

 パーソル総合研究所は3月1日、「第六回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」の結果を公表した。
 調査結果によると、感染が急拡大していた2022年2月4日から7日までの正社員のテレワーク実施率は28.5%で、昨年夏の第5波の27.5%からほぼ横ばいであった。同じ時期の非正規雇用の実施率については、契約社員・嘱託社員が16.9%、派遣社員が22.5%、パート・アルバイトが6.3%であった。

 企業規模別では、最高は従業員1万人以上の46.9%、最低は従業員10人~100人未満の15.4%となった。テレワークに関する企業方針については、テレワークの「推奨」(33.4%)と「命令」(5.2%)の合計が38.6%、「特に案内がない」は57.4%となった。

「日本経済2021-2022―成長と分配の好循環実現に向けて―」を公表―内閣府

 内閣府は2月7日、「日本経済2021-2022―成長と分配の好循環実現に向けて―」を公表した。同報告書は日本経済の現状に関する分析をしたもので、今回は、2021年の日本経済の動向を振り返るとともに、新型コロナウイルス感染症による危機対応から次のステージに向けて変化しつつある企業と家計の動向や課題を分析している。

「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を公表―厚労省

 厚生労働省は2月25日、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」等を公表した。4月1日から全面施行されるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)の指針において、顧客等からの著しい迷惑行為によって雇用する労働者の就業環境が害されないよう事業主が取組を行うことが望ましいとされたことを受けたものである。
 同マニュアルは、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止対策の一環として作成したもので、カスタマーハラスメントを想定した事前の準備、実際に起こった際の対応など、対策の基本的な枠組みについて記載している。なお、マニュアルの他に、概要版であるリーフレット、ポスターも作成されている。

Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022―連合

 連合は3月3日、「Z世代が考える社会を良くするための社会運動調査2022」の結果を公表した。
 調査結果によると、社会課題への関心について87.0%が「ある」と答えており、男性が85.6%、女性が88.4%と女性の方が少し高かった。また、年齢層別では「15~19歳」が92.2%と高く、年齢が上がるにつれて下がっている。一方、何らかの社会運動に参加した経験のある人は36.8%であり、年齢層別ではほとんど差がなかった。さらに、参加経験のない人に理由を聞いたところ、「顔や名前が出てしまうことに抵抗があるから」が22.2%、「参加するには自身に知識が足りないと思うから」が21.6%など(複数回答)であり、参加したくない運動については、「集会やデモ、マーチ、パレードなど」が46.8%と最も多かった(複数回答)。

フリーランスの労働者性判断変更を厚労省に要請―全労連

 全労連は2月16日、厚生労働省などに労働者性に関する判断基準の見直し等を要請した。
 記者会見で伊藤圭一雇用・労働法制局長は、雇用労働者と同じように指揮命令下で働かせながら、使用者責任逃れを図り、個人事業主として契約させる手法が広がっていると報告した。また、「厚労省は『就労の実態を見て(労働者性の有無を)判断する』というが、労働基準監督署に申告しても、契約の形式だけを見て門前払いされるケースが多い。こんな状況のままフリーランスを普及する政策を進めるのは危険だ。労働法があって無きがごとくになる」と述べ、労働者性に関する判断基準の見直しを求めた。

保健所等で働く組合員の2割が過労死ラインの時間外労働を経験―自治労調査

 全日本自治団体労働組合の専門組織として、病院、保健所などで働く組合員で構成されている衛生医療評議会は2月17日、「コロナ禍における保健所等職員の意識・影響調査結果」を公表した。
 調査結果によると、アンケートに答えた保健所等職員の23%が月80時間を超える時間外労働を経験し、35.5%が自身に「うつ的な症状がある」と回答した。自治労は、専門職だけでなく、事務職を含めた職場全体の人員や定数を増やすことが不可欠だと指摘している。

提言「Innovating Migration Policies―2030年に向けた外国人政策のあり方―」を発表―経団連

 経団連は2月15日、「Innovating Migration Policies―2030年に向けた外国人政策のあり方―」を発表した。
 日本の産業競争力の強化と持続的成長に向けて、2030年の外国人政策のあり方と、その実現に向けた具体的施策を提言するものであり、ビジョン実現のための3原則として、(1)単に「受け入れる」国から、必要な外国人材を戦略的・積極的に「誘致する」国への転換、(2)外国人が「活躍できる」国となるための「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」、(3)学ぶ、住む、働く、家族を形成する、引退するという外国人個人のライフサイクルを俯瞰した面的政策の検討・立案・実施をあげている。

文化芸術分野における労働法規の適切な適用等を求める声明―日本労働弁護団

 日本労働弁護団は2月28日、「文化芸術分野における労働法規の適切な適用等を求める声明」を発表した。
 声明の中で弁護団は、文化庁が2021年9月から開催している「文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けた検討会議」において、2022年3月中にガイドラインの公表が予定されていることについて、半年間では十分な審議がされているか極めて疑わしいとし、十分な検討期間を設け、日本における実態の調査を十分に行うとともに、海外事例等を調査・検討したうえで、これらを審議に活かす等、より充実した審議を行うことを求めている。また、労働法規の適用は就労実態から客観的に判断されるものであることから、使用者は労働者と形式上も労働契約書を作成し、使用者として各種の労働法規における義務を遵守すべきことをガイドラインに明記するよう求めている。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・1月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,830万人(6,831万人)
就業者数

6,646万人(6,659万人) 前年同月比32万人の減少

完全失業者数

185万人(171万人) 前年同月比14万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.8%(2.7%)

労働市場<東京都・1月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 143,049人(141,023人)
月間有効求人者数 177,769人(175,823人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.26倍(1.23倍)<全国:1.20倍(1.17倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・12月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額 720,177円(356,415円)
定期給与 331,849円(331,074円)
特別給与 388,328円(25,341円)
総実労働時間数 139.8時間(141.1時間)
所定内労働時間数 128.1時間(129.3時間)
所定外労働時間数 11.7時間(11.8時間)

倒産状況<東京都・1月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 83件(85件)<全国:452件(504件)>
負債総額 21,547百万円(39,312百万円)<全国:66,940百万円(93,181百万円)>

 倒産件数は、83件(前年同月比13.7%増)と、8か月ぶりに前年同月を上回った。負債総額は、215億4,700万円(前年同月比126.2%増)となった。負債額10億円以上の倒産は5件(前年同月3件)となった。業種別件数では卸売業(18件)、サービス業(16件)、情報通信業(8件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は66件となり、倒産件数における構成比は79.5%となった。倒産企業総従業員数は336人となり、前年同月の276人と比べ21.7%増となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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