労働情勢(2022年4月30日現在)

 東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

毎月勤労統計調査 令和4年2月分結果確報

 厚生労働省は4月22日、「毎月勤労統計調査(令和4年2月分結果確報)」を発表した。

 事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比1.2%増の26万8,898円となった。また、総実労働時間は前年同月比0.4%減の130.3時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比5.1%増の9.8時間となった。

3月完全失業率は2.6%―総務省労働力調査

 総務省統計局は4月26日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)3月分」を公表した。

 3月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月に比べ0.1ポイントの低下となった。就業者数は6,684万人で、前年同月に比べ11万人減少し、6か月連続の減少となった。また、完全失業者数は180万人で、前年同月に比べ9万人減少し、9か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「卸売業,小売業」、「建設業」、「生活関連サービス業,娯楽業」などが減少となった。

一般職業紹介状況(令和3年度分)

 厚生労働省は4月26日、「一般職業紹介状況(令和3年度分)」を発表した。

 令和3年度平均の有効求人倍率は1.16倍であり、前年度より0.06ポイント上昇した。また、有効求人は前年度に比べ9.5%増、有効求職者数は3.9%増となった。

一般職業紹介状況(令和4年3月分)

 厚生労働省は4月26日、「一般職業紹介状況(令和4年3月分)」を発表した。

 3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.22倍(正社員0.94倍)であり、前月より0.01ポイント上昇した。また、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は1.34倍であり、前月と比べ0.06ポイント上昇した。

テレワーク実施率は約2割で推移、在宅勤務の満足度は過去最高にー日本生産性本部

 日本生産性本部は4月22日、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響の継続調査(第9 回「働く人の意識調査」)の結果を公表した。
 調査結果によると、テレワーク実施率が約2割で推移する一方、在宅勤務の満足度は過去最高の84.4%を記録し、2年前の調査(57.0%)から大幅に上昇した。一方、今後の景気見通しについては、悲観的な見通し(「悪くなる」と「やや悪くなる」の合計)が 51.4%と、半年前の調査から14.4%増加している。

「パートタイマーに関する実態調査」の結果を公表―東京都

 東京都は4月21日、「パートタイマーに関する実態調査」の結果を公表した。本調査は、都内の事業所及び当該事業所に勤務するパートタイマーを対象に実施された。
 調査結果によると、正社員との間に何らかの不合理な待遇差があると回答したパートタイマーが69.2%、「不合理な待遇の差があるとは思わない」は26.9%であった。不合理な待遇差があると感じる点については、「賞与」が49.6%と最も多く、次いで、「退職金」(33.7%)、「基本給」(27.4%)であった。一方、パートタイマーを雇用している事業所のうち、直近5年間に正社員とパートタイマーとの間の不合理な待遇差をなくすための取組を「実施した」のは 29.6%であり、具体的な取組みについては、回答数が多い順に、「休暇制度の見直し」(44.5%)、「待遇差に関する根拠の明確化」(41.7%)、「正社員への転換制度の導入・見直し」(36.5%)となった。

「令和4年度地方労働行政運営方針」の策定―厚労省

 厚生労働省は4月1日、「令和4年度地方労働行政運営方針」を策定したことを公表した。
 本方針では、「少子高齢化・生産年齢人口の減少という我が国の構造的な課題がある中で、国民一人ひとりが豊かで生き生きと暮らせる社会を作るためには、成長と分配の好循環による持続可能な経済社会の実現が不可欠である」とされ、人材ニーズに柔軟に対応した人材開発、成長分野への労働移動の円滑化支援といった「人への投資」や、賃上げしやすい環境整備などに取り組むことが重要であるとした上で、労働行政の運営方針が示されている。

「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」報告書を公表―厚労省

 厚生労働省は4月12日、「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」報告書を公表した。本報告書は、解雇無効時の金銭救済制度について、仮に制度を導入するとした場合に、法技術的に取り得る仕組みや検討の方向性等に係る選択肢等を示すものである。
 報告書では、「無効な解雇がなされた場合に、労働者の請求によって使用者が一定の金銭を支払い、支払いによって労働契約が終了する仕組み」を念頭に置き、2つの構成(形成権構成及び形成判決構成)について検討がなされている。また、労働契約解消金の算定方法について、給与額、勤続年数、年齢等が考慮要素となることを示す等、法的論点がまとめられている。

新型コロナの影響による労働時間の減少で離職した場合は「特定理由離職者」に―厚労省

 厚生労働省は4月19日、新型コロナウイルス感染症の影響により事業所が休業し、概ね1か月以上にわたり労働時間が週20時間を下回ったことで2022年5月1日以降に離職した場合、雇用保険求職者給付の給付制限がない「特定理由離職者」とすると公表した。

厚生労働省に対し、最低賃金行政に関する要請を実施―連合

 連合は4月20日、厚生労働省に対し、最低賃金行政に関する要請を行った。

 要請書では、地域別最低賃金について労働の対価としてふさわしいナショナルミニマム水準に向けた目安額が決定されるよう努力すること、早期の最低賃金引き上げ発効が全労働者の利益であることを踏まえ、10月1日を軸に、より早期の発効に最大限配慮すること、労務費の上昇分の適切な価格転嫁に向けた対応や業務改善助成金の活用促進をはじめ、最低賃金の引き上げに向けた環境整備を図ることなどが要請されている。

「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」の集計結果―日本・東京商工会議所

 日本商工会議所及び東京商工会議所は4月5日、「最低賃金引上げの影響および中小企業の賃上げに関する調査」の集計結果を公表した。本調査は全国の中小企業を対象に実施され、3,222社が回答している。
 調査結果によると、現在の最低賃金額の負担感について、「負担になっている」( 「大いに負担になっている」、「多少は負担になっている」の合計)と回答した企業の割合は65.4%であった。また、2022 年度に「賃上げを実施予定」と回答した企業の割合は45.8%であり、そのうち約3割が「前向きな賃上げ(業績が好調・改善しているため賃上げを実施予定)」、約7割が「防衛的な賃上げ(業績の改善がみられないが賃上げを実施予定)」と回答した。

「最低賃金に関する要望」を発表―日本商工会議所ほか

 日本商工会議所は4月21日、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会と連名で「最低賃金に関する要望」を発表した。
 要望書においては、最低賃金の引上げを賃上げ政策実現の手段として用いることは適切ではないとの指摘がなされ、政府に対し、「最低賃金が目指す水準等について政府方針を示す場合には、その決定に際し、労使双方の代表が意見を述べる機会を設定し、経済情勢や賃上げの状況などを十分に反映したものとすべき」、「最低賃金の審議においては、中小企業・小規模事業者の経営実態を十分に考慮するとともに、法が定める三要素(生計費、賃金、支払い能力)に基づき、各種指標・データによる明確な根拠のもとで納得感のある水準を決定すべき」との要望がなされている 。

「エンゲージメントと労働生産性の向上に資するテレワークの活用」に関する報告書を公表―経団連

 経団連は4月12日、「エンゲージメントと労働生産性の向上に資するテレワークの活用」に関する報告書を公表した。
 報告書は、テレワークの活用は人口減少下の日本において急務とされている労働生産性の向上につながる施策であるとした上で、ポストコロナを見据えてテレワークの活用に取り組む企業と働き手の参考に資するべく、有識者の講演や企業事例を踏まえ、柔軟な働き方に適した就労環境・支援制度やマネジメントなどについて取りまとめている。
 その上で、企業と働き手は、コロナ禍によって急速に進んだテレワークの広がりを好機ととらえ、デジタル化に対応した人間中心の創造社会・Society 5.0にふさわしい働き方を検討・実現していくことが望まれるとしている。

「『解雇の金銭解決制度』の導入に反対する声明」を発表―日本労働弁護団

 日本労働弁護団は4月21日、「『解雇の金銭解決制度』の導入に反対する声明」を発表した。
 声明では、4月12日に公表された「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」の報告書について、「使用者側において労働者を解雇した場合において当該解雇が無効と判断されたときの経済的負担の予見可能性を高めてしまい、これにより柔軟な解決が阻害されたり使用者による不当解雇を誘発したりすることになる」などと批判した上で、解雇の金銭解決制度が不要であって導入に反対することを表明している。

「多様化する労働契約のルールに関する検討会報告書に対する意見書」を発表―日本労働弁護団

 日本労働弁護団は4月25日、「多様化する労働契約のルールに関する検討会報告書に対する意見書」を発表した。
 意見書では、3月30日に公表された「多様化する労働契約のルールに関する検討会報告書」について、「有期労働契約の入口規制等、現行制度では達せられない有期労働契約に対する規制の在り方に言及しないだけでなく、無期転換ルールの活用を阻害し無期転換前の雇止めを誘発する制度の見直しに踏み込まない等、検討会が設定された目的である無期転換ルールの施行状況を踏まえて講ずべき必要な措置が述べられていない」などと問題点を指摘している。

2022春季生活闘争 第4回回答集計―連合

 連合は4月14日、2022春季生活闘争の第4回回答集計結果を発表した。
 平均賃金方式で回答を得た2,737組合について、「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で6,257円・2.11%(昨年同時期比 812 円増・0.28 ポイント増)となった。このうち、300人未満の中小組合(1,790組合)は加重平均で5,094円・2.06%(昨年同時期比 547 円増・0.25 ポイント増)となった。

国民春闘共闘委員会 第5回賃上げ集計

 国民春闘共闘委員会は4月25日、22国民春闘賃上げ第5回集計の結果を公表した。

 有額回答を得た554労働組合について、回答額の単純平均は6,079円(2.08%)となった。同一組合で昨年実績との対比が可能な組合の単純平均額は前年実績を669円上回り、賃上げ率でも前年実績を0.18ポイント上回った。

2021年「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要―経団連

 経団連は4月27日、「夏季・冬季 賞与・一時金調査結果」の概要を公表した。
 調査結果によると、賞与・一時金総額(原資)の決定方法について、業績連動方式を導入している企業の割合は55.2%(前年比△4.9ポイント)と減少はしているものの、2016年から6年連続で5割を超えた。また、賞与・一時金の水準については、非管理職では、夏季72万58円(対前年増減率△1.0%)、冬季69万2,033円(同+1.9%)、管理職では、夏季146万1,602円(同+0.2%)、冬季134万2,201円(同+4.5%)となった。コロナ禍等の影響により夏季・冬季ともに対前年増減率がマイナスとなった前年から、非管理職の夏季を除いてプラスとなるなど、回復に転じた。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・3月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」

労働力人口 6,864万人(6,838万人)
就業者数

6,684万人(6,658万人) 前年同月比11万人の減少

完全失業者数

180万人(180万人) 前年同月比9万人の減少

完全失業率【季節調整値】

2.6%(2.7%)

労働市場<東京都・3月>

資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」

月間有効求職者数 143,728人(141,152人)
月間有効求人者数 183,414人(176,936人)
有効求人倍率【季節調整値】 1.34倍(1.28倍)<全国:1.22倍(1.21倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・2月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」

現金給与総額 341,333円(346,122円)
定期給与 330,223円(330,804円)
特別給与 11,110円(15,318円)
総実労働時間数 130.9時間(131.4時間)
所定内労働時間数 119.6時間(120.2時間)
所定外労働時間数 11.3時間(11.2時間)

倒産状況<東京都・3月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 99件(81件)<全国:593件(459件)>
負債総額 53,770百万円(6,314百万円)<全国:169,673百万円(70,989百万円)>

 倒産件数は99件(前年同月比19.5%減)と、2か月連続で前年同月を下回った。負債総額は537億7,000万円(前年同月比26.5%減)となった。負債額10億円以上の倒産は7件(前年同月3件)となった。業種別件数ではサービス業(21件)、建設業(16件)、卸売業(15件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は73件となり、倒産件数における構成比は73.7%となった。倒産企業総従業員数は660人となり、前年同月の784人と比べ15.8%減となった。


お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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