労働情勢(2022年11月30日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
毎月勤労統計調査 令和4年9月分結果確報
厚生労働省は11月22日、「毎月勤労統計調査(令和4年9月分結果確報)」を公表した。
事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年同月比2.2%増の276,113円となった。総実労働時間は前年同月比1.6%増の137.2時間となり、このうち所定外労働時間は前年同月比8.3%増の10.2時間となった。
10月の完全失業率は2.6%―総務省労働力調査
総務省統計局は11月29日、「労働力調査(基本集計)2022年(令和4年)10月分」を公表した。
10月の完全失業率(季節調整値)は2.6%で、前月と同率であった。就業者数は6,755万人で前年同月に比べ50万人増加し、3か月連続の増加となった。完全失業者数は178万人で、前年同月に比べ6万人減少し、16か月連続の減少となった。産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「医療,福祉」、「情報通信業」などが増加となった。
10月の有効求人倍率は1.35倍と前月から0.01ポイント上昇―一般職業紹介状況
厚生労働省は11月29日、「一般職業紹介状況(令和4年10月分)」を公表した。
10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01ポイント上昇の1.35倍(正社員1.03倍)であった。都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は、前月と比べ0.02ポイント低下し、1.65倍であった。
令和4年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」(令和4年9月末現在)を公表<厚生労働省>
厚生労働省は、令和5年3月に高校や中学を卒業する生徒について、令和4年9月末現在のハローワーク求人における求人・求職・就職内定状況を取りまとめ、11月11日に公表した。対象は、学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒である。
高校新卒者の就職内定率は62.4%で前年同期比0.4ポイントの上昇、求人数は約42万5千人で同15.4%の増加、求人倍率は3.29倍で同0.63ポイントの上昇となった。
中学新卒者の求人数は759人で同7.4%の減少、求人倍率は1.11倍で同0.01ポイントの低下となった。
「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」の結果を公表<帝国データバンク>
帝国データバンクは11月17日、「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」の結果を公表した。
集計結果によると、物価高騰をきっかけとして従業員に対して特別手当(インフレ手当)を「支給した」企業は全体の6.6%、「支給を予定している」は5.7%、「支給していないが、検討中」は14.1%となった。他方、「支給する予定はない」は63.7%であった。
インフレ手当の支給方法(予定・検討中の企業を含む、複数回答)について尋ねると、「一時金」が66.6%、「月額手当」が36.2%となった。
支給額(予定・検討中の企業を含む。)を尋ねると、一時金については「1万円~3万円未満」が27.9%と最も多く、平均支給額は約5万3,700円であった。「月額手当」については、「3千円~5千円未満」と「5千円~1万円未満」が30.3%と最も多く、平均支給額は約6,500円であった。
令和5年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日時点)を公表<厚生労働省>
厚生労働省は11月18日、令和5年3月大学等卒業予定者の就職内定状況(10月1日現在)を公表した。
調査結果によると、大学生の就職内定率は74.1%(前年同期比2.9ポイント上昇)、短期大学の就職内定率は45.9%(同12.4ポイント上昇)となった。大学等(大学、短期大学、高等専門学校)全体では72.3%(同4.2ポイント上昇)、大学等に専修学校(専門課程)を含めると70.5%(同3.7ポイント上昇)となった。
令和4年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表<厚生労働省>
厚生労働省は11月22日、令和4年「賃金引上げ等の実態に関する調査」の結果を公表した。この調査は全国の民間企業における賃金の改定額、改定率、改定方法などを明らかにすることを目的として実施されており、調査の対象は常用労働者100人以上を雇用する会社組織の民営企業である。
調査結果によると、令和4年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業の割合は85.7%であり、前年から5.0ポイント上昇した。賃金の改定により1人平均賃金を引き上げた企業の「1人平均賃金の改定額」は5,828円であり、前年を641円上回った。
また、定期昇給制度がある企業(賃金の改定の実施が未定の企業を除く。)におけるベースアップの状況をみると、一般職について「ベアを行った・行う」は29.9%であり、前年から12.2%上昇した。
令和3年「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」の結果を公表<厚生労働省>
厚生労働省は11月25日、令和3年「パートタイム・有期雇用労働者総合実態調査」の結果を公表した。この調査は、パートタイム・有期雇用労働法の施行後の状況を明らかにすることを目的としており、事業所調査と個人調査で構成されている。
事業所調査の結果によると、令和2年4月以降(中小企業の場合は令和3年4月以降)のパートタイム・有期雇用労働者と正社員の間の「不合理な待遇差の禁止」の規定に対応するための企業の見直し状況については、「見直しを行った」企業の割合が28.5%となった。一方、「見直しは特にしていない」が36.0%、「待遇差はない」が28.2%であった。
一方、個人調査の結果によると、「業務の内容及び責任の程度が同じ正社員がいる」パートタイム・有期雇用労働者のうち45.0%が「賃金水準は低く、納得していない」と回答した。
自営業者やフリーランス等に対する育児期間中の給付の創設について検討<全世代型社会保障構築会議>
11月24日、第9回全世代型社会保障構築会議が開催され、「論点整理(各分野の改革の方向性)(案)」を基に議論が行われた。
論点整理案には、仕事と子育ての両立支援に向けた課題として、「自営業者やフリーランス・ギグワーカー等に対する育児期間中の給付の創設」や「男女ともに子育て期における柔軟な働き方の選択肢を広げられるよう、育児休業の取得を促進するとともに、希望する方が時短勤務を選択しやすくする給付の創設」が盛り込まれている。
「2023春季生活闘争中央討論集会」を開催<連合>
連合は11月1日、2023春季生活闘争中央討論集会を開催し、第13回中央執行委員会(10月20日)で確認した2023春季生活闘争基本構想にもとづいて討議を行った。
連合のホームページによれば、全体討論において、「これまでと違った成果を出さなければ労働組合の存在意義を失う」、「連合としての運動のスタイルや表現も転換していく必要があるのではないか」、「賃上げ、底上げが必要という認識に立って5%程度という目標に対し一歩でも二歩でも取り組みを進めたい」などと、活発な意見交換がなされたという。
2023春季生活闘争基本構想では「賃上げ分を3%程度、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含む賃上げを5%程度とする」との方針が示されている。12月1日の中央委員会で2023春季生活闘争方針を正式に決定する予定となっている。
「東京ジャック(青年大宣伝行動)」を開催<「東京ジャック」実行委員会>
東京地評青年協などが構成する「東京ジャック」実行委員会は11月6日、JR原宿駅東口前で「東京ジャック(青年大宣伝行動)」を行った。
東京地評のホームページによれば、青年組合員等66人が参加し、リレートークや街頭シールアンケート、チラシ配布、プラカードアピールを行った。街中シールアンケートでは、「最低賃金あといくら必要?」との質問に対し、83%が「1500円以上」と回答したという。
厚生労働省に対し、労働法制に関する5つの意見を提出<雇用共同アクション・国民春闘共闘委員会>
雇用共同アクション及び国民春闘共闘委員会は11月8日、「有期労働契約と無期転換に関わるルールの改正を求める意見」等、5つの意見を厚生労働省等に提出した。
「有期労働契約と無期転換に関わるルールの改正を求める意見」では、有期労働契約の濫用的な利用をなくすため、労働契約の原則を無期契約とし、有期労働契約を臨時的・一時的な業務に就労させる場合に限定する、いわゆる「入口規制」を確立すべきであると提起している。
「大学教員・研究職の大量雇止めを防止することを求める意見」では、10年の勤務期間を迎える研究者・教員等については労働契約法・無期転換ルールの趣旨にそって無期転換を認めるべきであるとし、国立の大学等及び研究開発法人における雇止めを国の責任でやめさせることを要請している。
2023年春季労使交渉においてベースアップを中心とした賃上げを呼びかける方針を表明<経団連>
経団連の十倉会長は11月7日、記者会見を行い、2023年春季労使交渉に臨むに当たっての考え方について発言した。
十倉会長は、様々な考慮要素のうち、物価の動向を最も重視して検討すべきとの考え方を示した上で、「賃金引き上げのモメンタムを持続的なものとし、物価と賃金の好循環を実現したい。ベアを中心に、手当、賞与・一時金などを含めて賃金引き上げを会員企業に呼びかけるべく検討していく」と、ベースアップを中心とした賃上げを呼びかける方針を表明した。
「新卒採用・選考活動動向に関する調査」の結果を公表<東京商工会議所>
東京商工会議所は11月10日、「新卒採用・選考活動動向に関する調査」の集計結果を公表した。
調査結果によると、2023年新卒採用の計画人数に対する2022年9月末時点の充足率が50%未満の企業は4割弱(36.9%)を占め、計画以上の内々定者数を確保している企業は12.4%にとどまっている。また、2023年新卒採用・選考活動をいつ頃まで実施する予定かを尋ねると、来年1月以降も採用・選考活動を実施する予定の企業が4割(40.6%)を占めた。
「労働審判手続の直接口頭原則を尊重すべき意見書」を発表<日本労働弁護団>
日本労働弁護団は11月16日、「労働審判手続の直接口頭原則を尊重すべき意見書」を公表した。法務省法制審議会民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)部会が、労働審判手続の一部をウェブ会議や電話会議によって行うことを可能とする中間試案を取りまとめたことについて、「労働審判手続は直接口頭により手続及び審尋が行われるべきが原則であり、ウェブ会議や電話会議を利用できるのは、証人尋問の場合と同様の相当性が認められる例外的場合に限られるべきである」との意見を表明するものである。
意見書は、その理由として、争点や証拠の整理に関する事情聴取や証拠調べとしての審尋の際に、労働審判委員会が直接・口頭で当事者本人及び参考人に対して質疑応答するといったコミュニケーションによって、早期の心証形成や調停成立への説得が実現していることなどを挙げている。
裁量労働制アンケートの結果を公表<日本労働弁護団>
日本労働弁護団は11月30日、裁量労働制アンケートの結果を公表した。このアンケートは、裁量労働制の実態を把握するために、裁量労働制で働いている労働者を対象に実施されたものである。
集計結果によると、「みなし労働時間」については8時間以下が5割を超えているが、実際に働いた時間については8時間以下という回答は約2割に過ぎず、10時間超という回答が3割を超えた。このことから、「実労働時間がみなし労働時間よりも長時間となり、みなし労働時間と大きく乖離しているという裁量労働制の傾向が現れている」と分析している。
2022春季生活闘争 年末一時金(第2回)回答集計結果<連合>
連合は11月28日、2022春季生活闘争年末一時金(第2回)回答集計結果を公表した。
回答集計によると、組合員1人あたり加重平均は、月数で2.35月(昨年同時期2.28月)、額で703,359円(同664,731円)となり、いずれも昨年同時期実績を上回った。
年末一時金第2回集計<国民春闘共闘委員会>
国民春闘共闘委員会は11月18日、年末一時金第2回集計の結果を公表した。
回答金額が判明している380組合の単純平均は630,423円となり、前年同期(627,682円)を2,741円上回った。回答月数が判明している528組合の単純平均は2.02か月となり、前年同期を0.01か月下回った。
年末一時金の平均妥結額は780,256円(2.40か月分相当)<東京都>
東京都は11月14日、2022年年末一時金要求・妥結状況の中間集計結果を公表した。
既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な236組合の平均妥結額は780,256円で、平均賃金(325,296円・39.6歳)の2.40か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(771,661円)との比較では、8,595円増加(1.11%増)となった。
2 主要労働統計
※( )内は前月
労働力状態<全国・10月>
資料出所:総務省統計局「労働力調査結果」
労働力人口 | 6,933万人(6,953万人) |
---|---|
就業者数 |
6,755万人(6,766万人) 前年同月比50万人の増加 |
完全失業者数 |
178万人(187万人) 前年同月比6万人の減少 |
完全失業率【季節調整値】 |
2.6%(2.6%) |
労働市場<東京都・10月>
資料出所:東京労働局「一般職業紹介取扱状況」
月間有効求職者数 |
133,809人(134,838人) |
---|---|
月間有効求人数 | 198,873人(197,592人) |
有効求人倍率【季節調整値】 | 1.65倍(1.67倍)<全国:1.35倍(1.34倍)> |
*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。
常用労働者月間賃金・労働時間<東京都・9月・事業所規模5人以上>
資料出所:東京都総務局「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き(毎月勤労統計調査)」
現金給与総額 | 358,448円(348,179円) |
---|---|
定期給与 | 337,843円(336,188円) |
特別給与 | 20,605円(11,991円) |
総実労働時間数 | 138.9時間(135.6時間) |
所定内労働時間数 | 127.4時間(124.7時間) |
所定外労働時間数 | 11.5時間(10.9時間) |
倒産状況<東京都・10月>
資料出所:東京商工リサーチ
件数 | 95件(118件)<全国:596件(599件)> |
---|---|
負債総額 | 30,406百万円(78,301百万円)<全国:86,995百万円(144,871百万円)> |
倒産件数は95件(前年同月比10.5%増)と、2か月連続で前年同月を上回った。負債総額は304億600万円(前年同月比193.3%増)となった。負債額10億円以上の倒産は2件(前年同月2件)となった。業種別件数では、サービス業(22件)、卸売業(20件)、情報通信業(9件)、小売業(9件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のシワ寄せ・売掛金等回収難)は83件となり、倒産件数における構成比は87.4%となった。倒産企業総従業員数は553人となり、前年同月の290人と比べ90.7%増となった。
お問い合わせ
- 雇用就業部労働環境課
- 電話:03-5320-4654