労働情勢(2021年3月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

現金給与総額は前年より1.3%減、所定外労働時間は8.0%減-厚生労働省毎月勤労統計

 厚生労働省は4月6日、「毎月勤労統計調査(令和3年1月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比1.3%減の271,761円となった。また、総実労働時間は前年比2.1%減の128.5時間となり、このうち所定外労働時間は前年比8.0%減の9.2時間となった。

2021年(令和3年)2月完全失業率は2.9%-総務省労働力調査

 総務省統計局は3月30日、「労働力調査(基本集計)2021年(令和3年)2月分」を発表した。2月の完全失業率(季節調整値)は2.9%で前月と同率となった。就業者数は6,646万人で、前年同月に比べ45万人減少し、11か月連続の減少。また、完全失業者数は194万人で、前年同月に比べ35万人増加し、13か月連続の増加となった。
産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業、飲食サービス業」、「製造業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などが減少となった。

一般職業紹介状況(令和3年2月分)

 厚生労働省は3月30日、「一般職業紹介状況(令和3年2月分)」を発表した。
その発表によると、2月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月より0.01ポイント低下し1.09倍(正社員0.82倍)であった。
また、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月と比べ0.04ポイント低下し、1.19倍であった。

令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況(2月1日現在)を公表

 厚生労働省と文部科学省は3月19日、令和3年3月大学等卒業予定者の就職内定状況を共同で調査し、令和3年2月1日現在の状況を取りまとめたことを公表した。 取りまとめの結果、大学生の就職内定率は89.5%(前年同期比2.8ポイント低下)となった。 なお、短期大学は82.7%(同6.6ポイント低下)、大学等(大学、短期大学、高等専門学校)全体では89.3%(同3.1ポイント低下)、大学等に専修学校(専門課程)を含めると88.0%(同3.8ポイント低下)であった。

令和元年度 労働者供給事業報告書の集計結果(速報)

 厚生労働省は3月31日、令和元年度 労働者供給事業報告書の集計結果(速報)を公表した。それによると、労働者供給事業を実施している組合等数は100組合(前年同数)、令和2 年3月末日における組合員等総数は1,061,700人で前年度と比べ5.5%増加した。供給延人員は1,861,020人で前年度と比べ4.7%減少した。

労働者派遣事業 令和2年6月1日現在の状況(速報)を発表

 厚生労働省は3月31日、労働者派遣事業 令和2年6月1日現在の状況(速報)を公表した。それによると、派遣労働者数は約156万人(対前年比0.2%減)、無期雇用派遣労働者は610,683人(対前年比10.9%増)うち協定対象派遣労働者※は554,570人であった。また、有期雇用派遣労働者は951,407人(対前年比6.3%減)うち協定対象派遣労働者は859,780人であった。
※労働者派遣法第30条の4第1項の協定対象である派遣労働者の数を今年度より計上

令和2年末現在における在留外国人数について

 法務省入国管理局は3月31日、令和2年末現在における在留外国人数(確定値)を公表した。それによると、令和2年末の在留外国人数は288万7,116人で、前年末に比べ4万6,021人(1.6%)減少となった。前年末と比べて減少したのは平成24年以来8年ぶりとなる。国籍・地域別では、1位中国778,112人(対前年比-4.4%) 、2位ベトナム448,053人(同+8.8%)、3位韓国426,908人(-4.4%)の順となっており、ベトナムは韓国を抜いて2位となった。在留資格別では「永住者」が80万7,517人(対前年末比1.8%増)と最も多く、次いで「技能実習」が37万8,200人(同8.0%減)、「特別永住者」が30万4,430人(同2.6%減)、「技術・人文知識・国際業務」が28万3,380人(同4.2%増)、と続いている。

「就職お祝い金」名目で求職者に金銭を提供し、求職申し込みの勧奨することを禁止

 厚生労働省は3月2日、職業安定法に基づく指針を一部改正し、令和3年4月1日から、職業紹介事業者が「お祝い金」その他これに類する名目で、求職者に社会通念上相当と認められる程度を超えて金銭などを提供することにより求職の申し込みの勧奨を行うことを禁止するとした。
 この改正は、職業紹介事業者が自ら紹介した就職者に対し「転職したらお祝い金を提供する」などと持ちかけて転職を勧奨し、繰り返し手数料収入を得ようとする行為が、労働市場における需給調整機能を歪め、労働者の雇用の安定を阻害する行為であるとして行われた。

テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドラインを策定

 厚生労働省は3月25日、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」を策定した。
 ガイドラインの改定に関する主なポイントは、①正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することのないよう留意が必要であることを記載、②テレワークを行う労働者のワークライフバランス実現のために、時間外・休日・所定外深夜労働の取扱いについて記載、③自宅等でテレワークを行う際のメンタルヘルス対策や作業環境整備等にあたって事業者・労働者が活用できるチェックリストを作成、④テレワークにおける労働時間を適正に把握するための対応方法等が挙げられている。

「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」の策定

 厚生労働省は3月26日、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁らと連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定した。
 ガイドラインでは、事業者とフリーランスとの取引について、「独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令との適用関係」、「フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項」とともに、「現行法上『雇用』に該当する場合の判断基準」が示されている。判断基準では、①フリーランスに労働関係法令が適用される場合、②労働基準法における「労働者性」の判断基準とその具体的な考え方、③労働組合法における「労働者性」の判断要素とその具体的な考え方などが示されている。

青少年雇用対策基本方針を策定

 厚生労働省は3月29日、「青少年雇用対策基本方針」を策定した。同基本方針は、今後5年間にわたる青少年の適職の選択ならびに職業能力の開発や向上に関する施策の基本となる方針を示したものである。
 基本方針のポイントとしては、①入職後早期に離転職する青少年に対するキャリア自律に向けた支援、②キャリア形成サポートセンターやオンラインの活用によるキャリアコンサルティングをより身近に受けられる環境整備などが挙げられている。

「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを全国で実施

 厚生労働省は3月30日、全国の学生等を対象として、「アルバイトの労働条件を確かめよう!」キャンペーンを令和3年4月1日から7月31日までの間、全国で実施することを発表した。当該キャンペーンは平成27年度から実施され7回目となる。 キャンペーンで重点的に呼びかける事項は、①労働条件の明示、②学業とアルバイトが両立できるよう適切な勤務シフトの設定、③労働時間の適正な把握など5項目である。また、主な取組内容は、①都道府県労働局による大学等への出張相談の実施、②大学等でのリーフレットの配布等による周知・啓発、③各労働局及び労働基準監督署の総合労働相談コーナーに「若者相談コーナー」を設置し、学生からの相談に重点的に対応することが挙げられている。

全国中央会と懇談会を開催<連合>

 連合は3月12日、全国中小企業団体中央会(以下、全国中央会)と懇談会を開催し、「コロナ禍における中小企業の課題について」をテーマに意見交換を行った。
 神津連合会長は、中小企業への支援施策について「失業なき労働移動を可能とする在籍型出向の取り組み等について全国、ひいては地域レベルでの全国中央会と連合の連携をお願いしたい」と強調した。森全国中央会会長は、「中小企業・小規模事業者を取り巻く環境は、ますます深刻度合いを増している。全国中央会として、中小企業組合を起点とした中小企業・小規模事業者全体のデジタル化の推進、人材育成など、コロナ禍からの回復に向けた支援を行う」と述べた。
 連合は懇談の中で、在籍型出向の活用による雇用の維持や事業を守るための各種補助金・助成金の積極的な活用など、コロナ禍で長期化している需要の変化に対応した事業の再構築に取り組むことの課題意識を共有したとしている。

東京労働局に対しクラスターの労災認定などを要請<東京地評>

 東京地評は3月3日、労働環境の適正化、最低賃金の引き上げと決定方法の改善などを求めて東京労働局に対して要請及び交渉を行った。 要請では、雇用調整助成金や休業支援金の活用状況、職場・現場でのクラスター発生と労災認定に関する課題、在宅勤務導入による長時間労働や不利益などに関して、実態を示しながら行政指導の強化及び制度改善を行うことを求めた。

春季生活闘争 第3回回答集計結果について<連合>

 連合は4月6日、春季生活闘争の第3回回答集計結果を公表した。賃上げ回答状況は、平均賃金方式(回答2,136組合)の回答額は組合員数による加重平均で5,463円(1.82%)となっている。昨年同時期との比較では298円と0.12ポイント下回っている。また300人未満の中小組合(回答1,369組合)の回答額平均は4,639円(1.84%)となっている。昨年同時期との比較では169円と0.09ポイント下回っている。

国民春闘賃上げ 第3回集計について<国民春闘共闘委員会>

 国民春闘共闘委員会は3月25日、2021春闘(第3回集計)をとりまとめ公表した。それによると、回答のあった616労働組合の回答金額は単純平均で5,049円(1.89%)となっている。同一労組の前年妥結額との比較では、金額で195円下回っている。

都内民間労組の平均妥結額は6,101円 賃上げ率1.82%<東京都>

 東京都は3月29日、2021年 春季賃上げ要求・妥結状況(中間集計)をとりまとめ公表した。それによると、既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な59組合の平均妥結額は6,101円で、これは平均賃金(334,364円・41.1歳)の1.82%に相当する。同一労組の前年妥結額(6,044円)との比較では、金額では57円、率で0.94%上回っている。

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・2月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査報告」

労働力人口 6,840万人 ( 6,834万人 )
就業者数

6,646万人 ( 6,637万人 )前年同月比45万人の減少。

完全失業者数 194万人 ( 197万人 )前年同月比35万人の増加。
完全失業率【季節調整値】 2.9% ( 2.9% )

労働市場<東京都・2月>

資料出所:東京労働局「職業安定業務統計」

月間有効求職者数 137,644人 ( 136,846人 )
月間有効求人者数 157,896人 ( 156,321人 )
有効求人倍率【季節調整値】 1.19倍 (1.23倍 ) <全国:1.09倍(1.10倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・1月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「毎月勤労統計調査」

現金給与総額 341,734円( 720,433円 )
定期給与 326,983円( 329,190円 )
特別給与 14,751円( 391,243円 )
総実労働時間数 129.0時間 (136.9時間 )
所定内労働時間数 118.7時間 (126.0時間 )
所定外労働時間数 10.3時間 (10.9時間 )

倒産状況<東京都・2月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 104件 (  73件 ) <全国:446件(474件)>
負債総額 18,060百万円 ( 9,525百万円 ) <全国:67,490百万円(81,388百万円)>

 倒産件数は、104件(前年同月比18.8%減)と、6か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、180億6,000万円(前年同月比17.3%減)となった。負債額10億円以上の倒産は5件(前年同月10件)となった。業種別件数では卸売業(31件)、サービス業(15件)、小売業(13件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のしわ寄せ・売掛金等回収難)は84件となり、倒産件数における構成比は80.8%となった。倒産企業総従業員数は405人となり、前年同月の493人と比べ17.8%減となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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