労働情勢(2020年12月31日現在)
東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。
1 労働情勢
11月完全失業率は2.9%-総務省労働力調査
総務省統計局は12月25日、「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)11月分」を発表した。11月の完全失業率(季節調整値)は2.9%で前月に比べ0.2ポイントの低下となった。就業者数は6,707万人で、前年同月に比べ55万人減少し、8か月連続の減少となった。完全失業者数は195万人で、前年同月に比べ44万人増加し、10か月連続の増加となった。
産業別就業者では、前年同月比で「宿泊業,飲食サービス業」、「製造業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などが減少となった。
現金給与総額は前年より0.7%減、所定外労働時間は11.1%減-厚生労働省毎月勤労統計
厚生労働省は12月22日、「毎月勤労統計調査(令和2年10月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比0.7%減の270,381円となった。
また、総実労働時間は前年比0.3%増の141.1時間となり、このうち所定外労働時間は前年比11.1%減の9.6時間となった。
一般職業紹介状況(令和2年11月分)
厚生労働省は12月25日、「一般職業紹介状況(令和2年11月分)」を発表した。
その発表によると、11月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月から0.02ポイント上昇し1.06倍(正社員0.80倍)、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月と同水準となり、1.19倍であった。
令和2年度「高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職・就職内定状況」の公表
厚生労働省は12月8日、令和3年3月に高校と中学校を卒業する生徒について、ハローワーク求人における求人・求職・就職内定状況(令和2年10月末現在)を公表した。対象は、学校やハローワークからの職業紹介を希望した生徒となっている。
なお、この調査は例年の公表では9月末現在の状況について取りまとめているが、このたびの新型コロナウイルス感染症感染拡大の影響により、令和3年3月高校新卒者の就職に関する選考・内定開始期日などの変更があったことを踏まえて、調査時点を10月末に代えて取りまとめている。
【高校新卒者】
○ 就職内定率 64.2%で、前年同期比0.2 ポイントの上昇
○ 就職内定者数 約9万8千人で、同9.9%の減
○ 求人数 約37 万人で、同20.7%の減
○ 求職者数 約15 万2千人で、同10.1%の減
○ 求人倍率 2.43 倍で、同0.32 ポイントの低下
【中学新卒者】
○ 求人数 933 人で、前年同期比23.7%の減
○ 求職者数 866 人で、同9.2%の減
○ 求人倍率 1.08 倍で、同0.20 ポイントの低下
※中学新卒者については、選考・内定開始期日が令和3年1月1日以降(積雪指定地域では、令和2 年12 月1日以降)のため、10 月末現在の就職内定率と就職内定者数を取りまとめていない。
労働経済動向調査(2020 年11 月)の結果を公表
厚生労働省は12月16日、労働経済動向調査(2020 年11 月)の結果を公表した。
調査結果によると、正社員等、パートタイム労働者ともに、「不足」とする事業所割合が引き続き多い結果となった。
今回の特別項目「働き方改革の取組」では、長時間労働の是正や多様で柔軟な働き方の実現に「取り組んでいる」事業所の割合は調査産業計で81%であった。その取組内容(複数回答)を見ると「業務の効率化を進める」が66%で最も割合が多く、次いで「時間外労働の事前申告制」が59%、「長時間労働抑制に関する数値目標の設定」が49%などとなった。「『テレワーク制度』の導入・活用」が32%と、前年同期(2019 年11 月)の調査と比べて上昇幅が最も大きく、20 ポイント上昇となった。
また、同一労働同一賃金など、雇用形態による待遇差の解消又は縮小に向けて「取り組んでいる」事業所の割合は調査産業計で52%、「待遇差はない(異なる雇用形態が存在しない場合を含む)」で31%、「取り組んでいない」で16%となった。その取組内容(複数回答)をみると、「諸手当の雇用形態間の不合理な待遇差の解消又は縮小」が62%で最も割合が多く、次いで「福利厚生の雇用形態間の不合理な待遇差の解消又は縮小」が58%、「基本給の雇用形態間の不合理な待遇差の解消又は縮小」が44%などとなった。
令和2年「労働組合基礎調査」結果の公表
厚生労働省は12月16日、令和2年「労働組合基礎調査」の結果を公表した。
調査結果によると、労働組合数は23,761組合と前年より296組合(1.2%)減少となっているが、労働組合員数は1,011万5千人と前年より2万8千人(0.3%)増加となっており、推定組織率が17.1%と0.4ポイント前年より上昇という結果となった。
女性の労働組合員数及び推定組織率については、労働組合員数は343万5千人と前年より5万人(1.5%)増加、推定組織率は12.8%と前年より0.4ポイント上昇となった。
パートタイム労働者の労働組合員数及び推定組織率については、労働組合員数137万5千人と前年より4万2千人(3.1%)増加と過去最高の結果に。推定組織率についても、8.7%(前年より0.6ポイント上昇)と過去最高という結果になっている。
なお、推定組織率とは雇用者数に占める労働組合員数の割合をいい、本調査で得られた労働組合員数を、総務省統計局が実施している「労働力調査」の雇用者数(6月分の原数値)を除して計算している。
令和2年東京都における労働組合の組織状況
東京都は12月17日、令和2年東京都における労働組合の組織状況をとりまとめ、公表した。
調査結果によると、都内の労働組合数は6,757組合(前年比150組合減)、組合員数は236万5,301人(前年比3万2,915人増)、推定組織率は25.3%(前年比0.8%増)となった。
産業別組合員数をみると、「製造業」が35万6,271人(都内組合員数の15.1%)で最も多く、以下、「卸売業,小売業」32万8,011人(同13.9%)、「金融業,保険業」28万4,072人(同12.0%)の順となり、パートタイム労働者の組合員数は46万3,284人(前年比2万1,269人増)となっている。
都内の主要労働団体別の労働組合員数は、「連合東京」が120万8,027人(都内組合員数の51.1%)で最も多く、以下、「東京地評」が20万5,881人(同8.7%)、「東京労連」が10万9,145人(同4.6%)、「東京全労協」が3万6,888人(同1.6%)となっている。(注)重複加盟あり
「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」に新コンテンツ追加
厚生労働省は12月7日、「トラック運転者の長時間労働改善に向けたポータルサイト」に新コンテンツが追加されたことを公表した。
今回新たに加わったのは、①「発荷主」企業向けの周知用動画「今こそ始めてみませんか?トラック運転者のために、『発荷主』ができること。」と、②トラック運転者の長時間労働改善につながる施策などをイラストから簡単に確認できる「始めてみよう改善活動」の2点である。
なお「着荷主」企業向けの動画は、当該ポータルサイトにて来年2月に公開予定である。
①については、発荷主企業とトラック運送事業者がトラック運転者の長時間労働改善のために、どのように問題を解決していくのかを、ドラマ形式(アニメーション)で再現している。また、②については、荷主企業・トラック運送事業者・一般の方が対象となっており、イラストをクリックするだけで、トラック運転者の長時間労働改善につながる施策候補などが簡単にわかる内容となっている。
「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」の公表
厚生労働省は12月25日、「これからのテレワークでの働き方に関する検討会報告書」を公表した。
報告書では、これからのテレワークでの働き方について、①対象者を選定する際の課題(雇用形態⦅正規・非正規⦆の違いのみを理由として対象者を分けることのないよう留意する必要があること)、②労務管理上の課題(実施者が時間外メール等に対応しなかったこと等のみを理由として不利益な人事評価を行うことは不適切)、③労働時間管理の在り方(過度な長時間労働にならないように留意することが重要)、④作業環境及び健康状況の管理・把握(業務上の不安や孤独を感じる等により、心身の健康に影響を与えるおそれがあるがその変化に気づきにくいこと)等、それぞれの対応方針等についての有識者の意見をまとめたほか、テレワークを推進す。
就職氷河期世代支援に関する行動計画2020について
厚生労働省は12月28日、「就職氷河期世代支援に関する行動計画2020」を公表した。
主な施策として、①プラットフォームを核とした新たな連携の推進、②相談、教育訓練から就職、定着まで切れ目のない支援、③個々人の状況に合わせた、より丁寧な寄り添い支援、④その他の取り組み(テレワークの推進等)に沿った内容が盛り込まれている。
2020春季生活闘争 年末一時金 最終回答集計結果について<連合>
連合は12月11日、2020春季生活闘争年末一時金最終回答集計結果を公表した。
集計結果によると、月数で2.17月、額で613,336円(加重平均)となった。
前年妥結額(714,067円)との比較では、金額で100,731円下回った。
2020年年末一時金 最終集計結果について<国民春闘共闘委員会>
国民春闘共闘委員会は12月18日、2020年年末一時金最終集計結果を公表した。
集計結果によると、回答金額は単純平均額で644,589円、加重平均額は622,075 円となっている。
前年同期との比較では、単純平均額は35,536円減、加重平均額は9,172円減となった。
2020年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結結果(加重平均)<日本経団連>
日本経団連は12月22日、2020年年末賞与・一時金大手企業業種別妥結結果最終集計を公表した。
集計結果によると、妥結額は865,621円(加重平均)となった。
前年妥結額(951,411円)との比較では、金額で85,790円減、率で9.02%下回った。
都内民間労組の平均妥結額は754,064円<東京都>
東京都は12月22日、2020年年末一時金要求・妥結状況について(最終集計)をとりまとめ、公表した。
集計結果によると、既に妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な450組合の平均妥結額は754,064円(加重平均)で、これは平均賃金(321,623円・39.9歳)の2.34か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(778,591円)との比較では、金額で24,527円減、率で3.15%下回った。
2020年「労働組合基礎調査」の結果に対する談話<連合>
連合は12月17日、厚生労働省の「令和2年労働組合基礎調査の結果」の発表を受け、事務局長談話を公表した。
事務局長談話によると、雇用者数が減少した中で組合員数が増加したことは、組織拡大の取り組みはもとより、集団的労使関係を築いた職場の多くで、コロナ禍にあっても雇用を守ろうとする労使の真摯な努力の表れとした。
コロナ禍は働く者に大きな影響を及ぼしているが、今こそ「必ずそばにいる存在」としての労働組合が必要である。連合はすべての働く仲間をまもり、つなぎ、新たな活力を創り出すため、集団的労使関係の輪をさらに広げ、引き続きナショナルセンターとしての役割を果たしていくとしている。
2020年「労働組合基礎調査」の結果について<全労連>
全労連は12月18日、厚生労働省の「令和2年労働組合基礎調査の結果」の発表を受け、事務局長談話を公表した。
事務局長談話によると、未だ新型コロナウイルスの感染症拡大の終息の見通しが立たない中、企業の倒産・廃業件数が増加しており、中でも中小企業労働者への雇用への影響が懸念される。また、非正規労働者については、地域最低賃金近傍で働くものが多く、雇い止め・賃下げ等といった不利益変更はたちまち当事者の生活困窮に直結する。雇用者数のうち半数近くを占める中小企業労働者、また非正規・女性労働者の組織化は喫緊の課題であるとした。
全労連は年間15万人の拡大を目標として、各地で旺盛に取り組みがすすんでおり、非正規雇用労働者や若者、女性をはじめ働くものすべての要求実現と組織化を結合させ、「150万全労連」をめざし奮闘するとのこと。