労働情勢(2021年1月31日現在)

東京都では、労働・経済情勢や労使の動向を調査把握しています。最近の情勢をまとめましたので、掲載いたします。

1 労働情勢

12月完全失業率は2.9%-総務省労働力調査

 総務省統計局は1月29日、「労働力調査(基本集計)2020年(令和2年)12月分」を発表した。

12月の完全失業率(季節調整値)は2.9%で前月と同率となった。就業者数は6,666万人で、前年同月に比べ71万人減少し、9か月連続の減少となった。完全失業者数は194万人で、前年同月に比べ49万人増加し、11か月連続の増加となった。
 産業別就業者では、前年同月比で 「宿泊業,飲食サービス業」、「卸売業,小売業」、「サービス業(他に分類されないもの)」などが減少となった  

現金給与総額は前年より1.8%減、所定外労働時間は10.2%減-厚生労働省毎月勤労統計

 厚生労働省は1月26日、「毎月勤労統計調査(令和2年11月分結果確報)」を発表した。事業所規模5人以上の事業所結果(確報)によると、現金給与総額は前年比1.8%減の280,460円となった。    
 また、総実労働時間は前年比2.7%減の138.1時間となり、このうち所定外労働時間は前年比10.2%減の9.7時間となった

一般職業紹介状況(令和2年12月分及び令和2年分)

 厚生労働省は1月29日、「一般職業紹介状況(令和2年12月分及び令和2年分)」を発表した。
 その発表によると、12月の有効求人倍率(季節調整値)は、前月と同水準の1.06倍(正社員0.81倍)であり、令和2年平均有効求人倍率は1.18倍で前年比0.42ポイント低下という結果となった。
 また、都内の有効求人倍率(受理地別・季節調整値)は前月と比べ0.03ポイント低下し、1.16倍であった。

令和2年「高年齢者の雇用状況」集計結果の公表

 厚生労働省は1月8日、高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計している令和2年「高年齢者の雇用状況」(6月1日現在)を公表した。
 今回の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業164,151社の状況をまとめたもので、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としている。
 集計結果によると、65歳までの雇用確保措置のある企業は計164,033社、割合は99.9%(前年0.1ポイント増)となっている。65歳定年企業については、30,250社、割合は18.4%(前年1.2ポイント増)となっており、66歳以上が働ける制度のある企業は、54,802社、割合は33.4%(2.6ポイント増)という結果となった。
 また、定年制の廃止企業は4,468社、割合は2.7%(前年同水準)となっている。

令和2年民間主要企業年末一時金妥結状況

 厚生労働省は1月15日、令和2年民間主要企業年末一時金妥結状況を公表した。
 集計対象は、妥結額などを把握できた、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業346社となっている。
 集計結果によると、平均妥結額は786,460円、昨年と比較して82,144円(9.46%)の減、平均要求額は848,022円で、前年に比べ58,322円の減という結果となった

令和2年障害者雇用状況の集計結果

 厚生労働省は1月15日、民間企業や公的機関などにおける令和2年「障害者雇用状況」集計結果を公表した。
 今回の集計結果は、障害者雇用促進法に基づき、毎年6月1日現在の身体障害者・知的障害者・精神障害者の雇用状況について、障害者の雇用義務のある事業主などに報告を求め、それを集計したものである。
 民間企業については、雇用障害者数57万8,292人(前年比3.2%増)、実雇用率2.15%(前年比0.04ポイント上昇)といずれも過去最高を更新した。公的機関においては、雇用障害者数は国・都道府県・市町村・教育委員会とも前年比を上回っており、国は雇用障害者数9,336人、実雇用率2.83%、都道府県は9,699.5人、2.73%となっている。   

 また、独立行政法人については、雇用障害者数1万1,759.5人、実雇用率2.64%でいずれも対前年比を上回る結果となった。

令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況

 厚生労働省は1月15日、令和2年度大学等卒業予定者の就職内定状況(12月1日現在)を公表した。
 調査結果によると、大学生(学部)の就職内定率は82.2%(前年同期比4.9ポイント低下)、短期大学生は57.6%(同14.4ポイント低下)となっている。
 男女別では、男子大学生の就職内定率は80.4%(前年同期比5.4ポイント低下)、女子は84.3%(同4.3ポイント低下)という結果となった。
 厚生労働省は引き続き、関係府省と連携し新卒者等の雇用に関する施策の推進に努めていくとしている。

「外国人雇用状況」の届出状況

 厚生労働省は1月29日、「外国人雇用状況」の届出状況を公表した。
 届出の対象は事業主に雇用される外国人労働者(特別永住者、在留資格「外交」・「公用」の者を除く)であり、数値は令和2年10月末時点で事業主から提出のあった届出件数を集計したものである。
 調査結果によると、外国人労働者数は1,724,328人で、前年比65,524人(4.0%)増加し、平成19年に届出が義務化されて以降過去最高を更新したが、増加率は前年13.6%から 9.6 ポイントの大幅な減少となっている。また、国籍別では、ベトナムが中国を抜いて最も多く、443,998人(外国人労働者数全体の25.7%)。次いで中国 419,431人(同24.3%)、フィリピン184,750人(同10.7%)の順という結果となった

雇用対策等に関する緊急要請<連合東京>

 連合東京は、1月25日(月)、再発出された緊急事態宣言により、さらなる経営悪化や事業停止・倒産、解雇や雇止めの増加が懸念されることから、東京都へ雇用対策等に関する緊急要請を実施した。
 要請では、杉浦連合東京会長より、①「失業なき労働移動」施策の強化(公益財団法人産業雇用安定センターが行う当該事業及び職業能力開発事業の拡充)、②新型コロナウイルス感染症に係る公的支援策・制度等の活用促進(国、東京都、公的機関が行う新型コロナウイルス感染症に係る支援策や制度の手続きの簡素化及び周知の徹底)、③保健所および医療施設の医療従事者の過重労働解消および処遇改善(経験者を含む採用者数の増加や特殊勤務手当補助基準額の引き上げ等、従事者の処遇改善を行うこと)等を求めた。

2020年6月度「定期賃金調査結果」の概要<経団連>

 経団連は1月19日、2020年6月度「定期賃金調査結果」の概要を公表した。
 調査結果によると、学歴別に標準者賃金をみると、ほとんどの学歴において、年齢・勤続年数が上がるにつれて金額が増加し、55 歳でピークを迎えた後、役職定年などの影響によって、横ばいまたは減少する傾向が続いている。
 産業別の平均賃金について、所定労働時間内賃金は、全産業平均が392,708円であるのに対し、製造業平均は381,073円、非製造業平均は413,521円となっており、非製造業平均が全産業平均を上回っている。製造業・非製造業別に所定労働時間外賃金をみると、製造業平均が38,521円(前年比16,839 円減)、非製造業平均が46,064円(同8,990 円減)となっている。コロナ禍の需要減少などを背景に前年を大きく下回ったものとみられる

2020 年1~6月実施分「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」の概要<経団連>

 経団連は1月19日、2020 年1~6月実施分「昇給・ベースアップ実施状況調査結果」の概要について公表した。
 調査結果によると、賃金決定にあたって主として考慮した要素は、「企業業績」(67.0%)、「世間相場」(36.0%)、「人材確保・定着率の向上」(27.0%)が上位3つを占める傾向が続いている。一方で、「世間相場」(前年比 6.1 ポイント減)と「人材確保・定着率の向上」(同4.1 ポイント減)が前年より減少し、4位の「経済・景気の動向」が25.0%(同 7.2 ポイント増)に上昇して3位となるなどの変化も見られた。
 月例賃金引上げの実施状況について、2014 年から 2019 年まで「昇給・ベースアップともに実施」した企業は5割超で推移してきたが、2020 年は4割弱(39.2%)に減少した。しかし、「昇給のみ実施」した企業(60.8%)を加えると、すべての回答企業が定期昇給や賃金カーブ維持分の昇給、ベースアップなど、何らかの方法により月例賃金の増額改定を実施している。この傾向は、2014 年から7年連続となっている。
 また、2020 年の月例賃金の引上げ額・率は 6,206 円・2.02%で、額・率ともに前年を下回ったものの、2014 年以降7年連続して 6,000 円超、2%超となった

2021年版 経営労働政策特別委員会報告<経団連>

 経団連は1月19日、2021年版経営労働政策特別委員会報告を公表した。
 2021年版の「経営労働政策特別委員会報告」(経労委報告)では、今年の春季労使交渉・協議における賃金改定や総合的な処遇改善に関する経営側の基本スタンスに加え、社員のエンゲージメントを高める人事労務施策や、コロナ禍で急速に普及したテレワーク推進のあり方、「自社型」雇用システムの検討など、「ウィズコロナ」時代における人事労務改革の重要性について言及しており、あわせて直近の雇用・労働分野における法改正とそれに伴い企業に求められる対応などについても取り上げている

経団連「2021年版経営労働政策特別委員会報告」に対する見解<連合>

 連合は1月20日、経団連の2021年版経営労働政策特別委員会報告(以下「報告」)の発表を受け、連合見解を公表した。
 事務局長談話では、全体に対する見解として、with/afterコロナ時代にむけた課題認識は一致する点が多いとし、賃金引き上げのモメンタムの維持について一致しつつ、現存する日本の構造課題への対処、将来不安の払しょくに向けた姿勢が見られないとした。そして、生産性三原則に基づく労使の営みを社会へ訴え、それぞれが役割と責任を果たしていく必要があるとした。
 一方で個別項目についての見解では、「場所と時間にとらわれない働き方」いわゆるテレワークの推進をはじめ、労働時間法制の見直し、女性の活躍推進、最低賃金制度に関する考え方など7項目を挙げた。テレワークに関しては、労働時間管理や健康確保について法令を遵守した運用の徹底について述べ、最低賃金制度については、「コロナ禍によって深刻な影響を被っているのは労働者も同様である」とし、有事の際でも健康で文化的な最低限度の生活を営むに足りるナショナルミニマムとしてふさわしい水準はいかにあるべきか、議論を尽くすべきであると述べている

経団連「2021年版経営労働政策特別委員会報告」について<全労連>

 全労連は1月28日、経団連の2021年版 経営労働政策特別委員会報告(以下「報告」)の発表を受け、事務局長談話を公表した。
事務局長談話では、報告の内容について、コロナ禍を口実に賃金引き上げを否定し、非正規労働者の解雇・雇止めや生活破たんにも触れず責任回避するものであるとし、それに便乗するように労働者保護規制の規制緩和を目指しているとして、これまでと同様に企業利益を優先し労働者の生活改善に向き合おうとしない報告は容認できないと述べている。
 全労連は、21国民春闘で大幅な賃金引上げ・底上げ、均等待遇や最低賃金の全国一律1,500円などの実現で、格差をなくし、8時間働けば誰もが人間らしく暮らせる公正な社会への転換を求めるとし、内部留保を還元して大企業の社会的責任を果たすよう求めるとしている 

 

2 主要労働統計

※( )内は前月

労働力状態<全国・12月>

資料出所:総務省統計局「労働力調査報告」

労働力人口 6,860万人 ( 6,902万人 )
就業者数

6,666万人 ( 6,707万人 )前年同月比71万人の減少。

完全失業者数 194万人 ( 195万人 )前年同月比49万人の増加。
完全失業率【季節調整値】 2.9% ( 2.9% )

労働市場<東京都・12月>

資料出所:東京労働局「職業安定業務統計」

月間有効求職者数 137,582人 ( 143,291人 )
月間有効求人者数 156,319人 ( 158,202人 )
有効求人倍率【季節調整値】 1.16倍 (1.19倍 ) <全国:1.06倍(1.06倍)>

*「求職・求人者数」は新規学卒及びパートを除く。「求人倍率」は新規学卒除く、パート含む。

一般労働者月間賃金・労働時間<東京都・11月・規模5人以上>

資料出所:東京都総務局「毎月勤労統計調査」

現金給与総額 351,968円( 339,748円 )
定期給与 329,502円( 329,760円 )
特別給与 22,466円( 9,988円 )
総実労働時間数 138.2時間 (142.4時間 )
所定内労働時間数 127.3時間 (131.4時間 )
所定外労働時間数 10.9時間 (11.0時間 )

倒産状況<東京都・12月>

資料出所:東京商工リサーチ

件数 131件 (  109件 ) <全国:558件(569件)>
負債総額 15,704百万円 ( 19,615百万円 ) <全国:138,518百万円(102,101百万円)>

 .倒産件数は、131件(前年同月比12.1%減)と、4か月連続で前年同月を下回った。負債総額は、157億400万円(前年同月比51.2%減)となった。負債額10億円以上の倒産は3件(前年同月1件)となった。業種別件数ではサービス業(30件)、建設業(19件)、卸売業(18件)の順となった。原因別では、不況型倒産(販売不振・既往のしわ寄せ・売掛金等回収難)は102件となり、倒産件数における構成比は77.9%となった。倒産企業総従業員数は458人となり、前年同月の709人と比べ35.4%減となった。

お問い合わせ

雇用就業部労働環境課
電話:03-5320-4654

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